『勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
勿忘草
真実の愛
そう信じてた
わたしを
忘れないで
なな🐶
2024年2月2日400
勿忘草(わすれなぐさ)
「私を忘れないで」
そう、一言残して花を投げ
亡くなった一人の騎士は
誰かの想い人であった
勿忘草
転校の日に
友がくれた
遠くへ行っても
ずっと友だちだよと
勿忘草
花言葉は
「真実の愛」
「誠の愛」
そして
「私を忘れないで」
連絡とらなくなった今も
忘れない
友と誓った
永遠の友情を
押し花にした
勿忘草を
【勿忘草(わすれなぐさ)】
名前の通り、書いてあるそのままに読むと、なんだか悲しいような気持ちになるなぁ、なんて最初は思ったものだ。
「思いの外、逞しいなぁ、君は。」
優しい青みを誇示するでも無く、可憐に健気そうに咲く姿が、きっと古の人々の心を打ってきたのだろう。
「君を見てると、思い出すなんて言ったら、きっと怒られるなぁ。」
偶然の出会いで持ち帰った可憐な花の名前を見て、複雑そうな少し困ったような顔をされてしまった。
「忘れないよ。だから、お迎えしたのにさ。」
台所に引っ込んでしまった人を背にして、花に内緒話をする。
「むしろ、オレの事こそ、忘れないでほしいのに。」
ちょっとだけ涙が出そうになって、ダイニングテーブルに突っ伏した。
「気を引きたい人間のエゴを託された君は、偉いなぁ。…ツラくない?」
花は、応えない。
「大丈夫?」
頬をテーブルにくっつけていたら、その視界の端にマグカップが置かれた。
「意外と丈夫で、良く咲くんだな。」
花に似た淡い青色の液体が、マグカップを満たしていた。
「色、変えたかったら、絞って。」
爽やかなレモンの香りが漂う。
「あ、喉に良いヤツ?」
テーブルの斜め向こう側に座って、マグカップを傾けている姿が絵になっていて、見惚れてしまう。
「うん、マロウ。」
赤く染めてしまうのは、少し勿体ない気がして、そのままマグカップに口を付けた。
「ありがとう。大好き、かっちゃん。忘れないでね、オレの事。」
花に影を作らない為に、対面に座らない優しさも、そっと傍に寄り添ってくれる暖かさも、全部君が教えてくれた。
「忘れようがないな。これだけ一緒だと。」
忘れなくちゃいけない時、大変なんだとひとつ苦笑いを零してから、君は笑った。
勿忘草も、笑ったような気がした。
勿忘草って聞いたことはあったけど
どんな花か知らなかったから調べてみた
淡い青色で綺麗だった
言われるまでもなく、忘れられるワケなかった。
恋人が死んで、10年が経つが、俺はあの人が好きなままだ。
あの人の墓はない。海に散骨したから。
自宅の遺影に話しかける。
「俺が逝くまで、待っててくれよ」
勿忘草に思いを馳せる。
この世を去る日に思いを馳せる。
誰かの心にいてほしい。
どこかで生き続けてほしい。
私を忘れないで。
『勿忘』を『ものわすれ』と読んでドヤってた私を殴りたい
ー晴れ予報ー
いつも笑顔の人を見ると眩しいよね
頑張っている人を見ると苦しくなるよね
人気者を見ると消えたくなるよね
そんな人たちを見てまた劣等感を感じちゃうよね
でも、そんなに落ち込まなくて大丈夫
それは君が自分と戦っている証拠だから
大丈夫
悩めるってそれだけ変われる余地があるってこと
君は強くなれるよ
今抱いている気持ちを忘れないで
いつか晴れる時が必ず来るから
君なら大丈夫
よく晴れた氣持ちいい日に、自転車で出かけるのが好き。
ちょっと遠出して、氣ままに、思いつくままに、道を選んで進むんだあ。
田んぼの脇にある砂利道をガタガタいいながら走っていたら、途中で水色の群生に遭遇。ちいちゃくてかわいくて、思わず、自転車を止めて、カメラを向けた。けど、わたしの技術では、そのかわいさが伝わる写真がなかなか撮れなかったのよね。
実はそのときはそれが勿忘草だって知らなかった。
小さくて素朴な野に咲く花。その可憐で完璧な美しさで存在している姿に憧れる。
『勿忘草』
ああ、俺はこのまま死んでいくのだろうな。ぼんやりと、まるで他人事のように俺は思った。
激しい川の勢いのままに流されているこの体は、冷えでロクに動かせず、重りが増えるように少しずつ沈んでいく。
愛しい人に良い顔しようとして死んだなんて、同僚の騎士達が聞いたら腹を抱えて笑うだろうか。間抜けなヤツめ、と隊長は呆れるだろうか。
それでも――
「ルドルフ!!嫌ぁ!、誰か、彼を…ルドルフぅ!!」
荒れ狂う川の水音をつんざくように耳に届く、愛しい人の狂乱した声。
俺を追いかけようとして転んでしまったのだろう、声が遠くなっていく。
やはり、花を摘みに川に入ったのが俺で良かった。流されるベルタを見るくらいなら、彼女の小さなワガママを叶えて死ぬ方がよっぽどマシだ。
可哀想なベルタ…自分のちょっとしたお願いのせいで恋人を死なせてしまうことになる彼女は、あの蒼い花を抱えながら、一生自分を責めていくだろう。
川を見るたびに俺を思い出し、蒼い花を見るたびに胸を痛めるベルタ。
これからもずっと、ベルタの心に俺の存在が、楔のように残り続ける。忘れようとしても忘れられないだろうし、この先どんな男がベルタに近付こうとも、貞淑な彼女は、一生俺に操を立てたままでいるだろう。そう考えると、これから死んでしまうというのに、何だか妙な幸福感で、心が熱くなるように感じた。
戦場で死ぬよりも、とても光栄なことではないだろうか。
瞼が閉じられていく。今も冷たい水の中なのか、もう分からないぐらい体の感覚は無かった。
ああ、俺の愛しいベルタ。俺のために泣いてくれ、俺をずっと忘れないでくれ。
―勿忘草(わすれなぐさ)―
君とはもうずっと会えていないけれど
僕は未だに君を忘れられない
家族や友人からは
聞き飽きるほど言われてきた
もう諦めた方がいいと
でも、まだ君を忘れられない
私は勿忘草が好きなんだと
教えてくれた君の声は
鈴の音のように凛と澄んでいて
今まで生きてきた中で
君より美しい声の持ち主はいない
僕はまだ君を忘れない
だから今年も
君の好きな花を買いに行く
君が働いていた花屋に
そして今年も
君に勿忘草を渡しに行く
君の眠る墓に
幾度となく、あなたと同じ言葉を交わした
私の名前を紙に書いて
毎日願う様に唱えるあなた
明日になったら忘れてしまうかもしれない
そんな不安も悲しみも消してしまえるくらいに
あなたの愛は深く広く私の心に刻み込まれる
忘れたくて、逃げたくて、
甘く淡い快楽を求めた。
いつまでも瞳の奥に、胸の鼓動に残るように、
あの日あの瞬間を脳裏に焼き付けた。
このざわざわする心を忘れられたら、
あの幸せな一時をずっと感じられたら、
幸せな時もあった、
でも今は苦しいな
忘れたいもの数えちゃって、また記憶が更新されていく。
消したいのに考えるから、ほら、自業自得。
バカみたいね。
だから、あの日のあなたの笑顔を、100万回目の再生をするの。
ああ、見えた。
忘れたくないもの。
忘れたくないって思って、それを覚えておける。
それがこんなに嬉しいなんて、
あなたの笑顔はよっぽどね。さすがだわ。
あなたの笑顔で生きていける、なんて大袈裟な話じゃないの。
ただ、好きな物はもう一度見たくなるの。
そんな単純な話。
―勿忘草―
病室に入ると、君がにっこりと笑った。
「持ってきたよ」
僕は一冊のアルバムを手渡した。
「ありがとう……えっと、あ、あった。見て」
それは、真っ青な勿忘草が咲き誇る高原の写真。
僕と君が写真の中央で笑顔でピースをしている。
「覚えてる?」
「もちろん、僕がプロポーズした場所だもの」
「この子の名前“るり”はどう?」
そう言って君は産まれたばかりの我が子を見つめる。
「るり……?」
「貴方が教えてくれたのよ。この勿忘草の別名は“ルリソウ”って言うんだって」
「うん、良い名前だ。この子にぴったりだよ!」
僕はすやすやと眠る娘の側へ行き「るり」と呼んでみる。
るりは返事をするように小さな指を微かに動かした。
「るりが大きくなったら、今度は3人で行こう」
「うん、約束ね!」
しおれてしまった。
花弁も散った。茎も曲がった。蕾も干からびた。
強く握りしめていたせいだろう。
なんて儚いんだ。
なんて小さくて、か弱いんだ。
この色褪せた花弁を見る度に、君のことを思い出す。
君の手を強く握りしめたら、
私よりも強い力で、君は握り返すはずだ。
君の身体を強く抱きしめたら、
苦しくなるくらいに、君は私を離さないはずだ。
どうして、こんな花を置いていった。
こんなものが、君の代わりになどなるはずがないだろう。
君のことは思い出せるのに、
君の力強さを忘れてしまう。
君の勇敢さも、真っ直ぐなところも。
君に似つかわしくない枯れたこの花は、
君を忘れない道具でありながら、
私の中から君を消してゆくのだ。
#勿忘草
「え」
「え?」
近くのお花屋さんで買ったきれいなお花を渡したら、きみはきょとんとしてから慌ててぼくを見てきたの。すっごく顔色を変えて。
くしゃっ、と包んでもらったラッピングが音を立てて歪んでいった。
一歩だけぼくに近づいて。
すでにシャワーをしたのか、ふわりと清潔なにおいがする。
「びょ、病気ですか……?」
「え」
「そ、それとも、べっ、別居ですか…⁉」
「えっ、なに? どうしたの」
思わず後退るくらい怖いお顔だったの。真に迫る、って書いて迫真。
でも訳が分からないの。何でそんな、冬が溶けたせいで薄氷の上に立たなくちゃいけなくなったようなお顔をしてるのか。さっぱり分からない。
だって、だってきみにそんなお顔をしてほしかったわけじゃない。
ただちょっとだけ、びっくりさせちゃおうって、驚いて喜んでほしくて。なのにどうしてそんな、ラグナロクを見たみたいなお顔なの。
きみは狼狽、ぼくは困惑。
硬直硬直、ずっとそんな時間が進んだの。ぼくが鞄を置いただけで、上着を脱いだだけで、きみってば肩を跳ねさせて。
ほんともう、ぼくには何も分からないから、つられて泣きそうになってくる。
落ち着かせようと思って近寄っても後退ってカバディ。ルールも勝ち負けもよく分かんないから延々と試合できちゃう。
埒明かないから変な距離感で弁明。
「あっ、あのね、そのお花、きれいだったから。きみ、お花好きだし、えと……あわよくば喜んでくれるかな……って」
「え」
「そのお花、す、好きくなかった……?」
「え、あ、……その、は、花言葉は……」
「花言葉? ぼく、そのお花がなんてお名前なのか分かんないから……わ、分かんない」
だんだんぼくの顔からも血の気が引いてくのが分かる。どんなににぶちんでも、ここまで来れば。
きれいって思ってぼくがきみに渡したお花、きみにとってあんまりよくない花言葉だった。それを贈られたから、あんなに。
この五放射の青色にどんな意味があるの……。
ちゃんとお花屋さんに聞いておくべきだった。
気まずい。
とっても。
きみもぼくも黙りこくっちゃって。なんだか息をするのさえ憚れるような沈黙が続くの。空気が重い。
何か言わないと、って口を開いたら、
「あ、あの」
「あ、あのね」
被っちゃう。いま、ほんと、そういうのいらないのに。ぼくたちが息ぴったりなばかりに。
また気まずくて口が閉じちゃう。
それって、すごくループ。
「あのねっ、ごめんね、ぼく、お花に明るくないから、ぜんぜん知らなくて。店員さんに教えてもらうべきだった」
「い、いえ、わたくしも早とちりを……」
「んーん、ぼくのせい。ごめんね。ぼくとっても健康。家賃だってきみと折半してたい。ほんと、そんなつもり、ないの」
「よ、よかった……」
ようやく行き違いもなくなって、ダイニングテーブルで腰を落ち着けた。
なんだかとっても疲れた……。
向かい合ってぼくたち、ぐったり。
その日はぎこちないまま、夜を迎えて朝陽を待った。ちょっといろいろ、お互いに感情も表情もお花の処遇も整理が必要。
きみにお花のお名前だけ訊いて。
ぼく、危うく溺れて呪文かけるところだったみたい。きみの反応も頷ける。
そのお花はきれいだし、きみも嫌いじゃなかったみたいだけれど、間柄も場面も知識もよくなかった。結局、話し合ってハーブティーに。
お互いに身体に取り込んじゃえって。
調べてみたら、なんだか身体に良さそう。
花びらを摘んで乾燥させて、お湯でおいしく。花びらの色だ出て、薄く青みがかったとってもきれいな花茶。
「ん、おいしい」
「本当。……喉に良いみたいですね、内臓にも」
「ごめんね。ほんと、今度から気をつける」
「健康にも。……ふふ、お花ありがとうございます。また贈ってください」
「うん。今度、お花の本、どれがいいか教えてほしい」
この騒動はちょっと、忘れられないかも。
#勿忘草(わすれなぐさ)
テーマ“勿忘草(わすれなぐさ)”
勿忘草の花言葉は
「私を忘れないで」と言うらしい。
由来は、何やかんやあって、まあ、そうなったらしいけれど(雑)
随分、重いなと思ってしまうのです。
人の思いは、とても重い。
むしろ私は、忘れて欲しい…
私という存在を。
「私を忘れないでなんて、自分勝手で未練がましいことは言いません」
彼女はそういって僕に青く小さな花を握らせた。
「ただ、私はあなたを心からお慕いしていたということは、知っていてください」
僕が何というべきか言葉に詰まっていると、彼女はふっと笑みを漏らした。なんだか泣く寸前のような今にも崩れそうな笑みだった。
「…とかなんとか言って、馬鹿みたいですね。「真実の愛」なんて花言葉の花は他にもあるのに。…わざわざ勿忘草なんて選んで、本当に…」
彼女はぐっと唇を噛んで俯いた。しかしすぐにぱっと顔を上げて微笑んだ。
「…今までありがとうございました」
そう言うと彼女は踵を返して足早に歩いて行った。
情けないことで、僕がどうすることも出来ず、ただ立ち尽くしていると、こちらに背を向けたまま彼女は少し震えた声で言った。
「そんな花渡しておいてなんですけど、…どうか全部忘れてください!私の事なんかこの先思いださないでください!」
忘れようとしたって、忘れることなんて絶対に出来ない。僕が身勝手に傷つけた君の事は、この先きっと忘れることなんて出来ないだろう。いや、忘れてはいけない。
だけど、君はどうか僕の事を忘れて欲しい。
こんな最低な奴なんか、忘れて幸せになってください。
…最後まで身勝手でごめんね。
勿忘草
以前にも書いたことがあるが、私は認知症外来で看護師として仕事をしている。
毎日の暮らしでいろんなことが少しづつできなくなっていく患者さんと家族をサポート出来ればと日々思っている。
今回はある家族の話。
患者様であるお母様と娘さんが予約の日でした。
先生の診察前に症状を本人や家族に聞き取りをしていた時のこと。お正月後の診察だったので、「お正月の思い出は何かありますか?」と問いかけた。
すると患者様は「毎年餅つきをします。まあ杵と臼ではなくて器械ですけどね。」と教えてくれた。
たくさんのもち米を蒸して、鏡餅とのし餅を沢山作って配るらしい。大変だと言いながらとても嬉しそうに話していた。
すると娘さんが「うちの娘がね、ばあちゃんの餅は本当に美味しかったんだって気がついたって言ってたよ」と話し始めた。
遠方で暮らすお孫さんが、小さい頃から手作りのもちを食べていてその味が普通だと思っていたが、初めて市販のもちを購入して食べたら味の違いに驚いたそうな。
その話を聞いた患者様の本当に嬉しそうな顔。そうかい、そうかいと何度も頷き嬉しそうだった。
その後、娘さんと2人で話をする時間になると、こう切り出された。「母はもう餅を1人では作れません。もう何年も。ほとんど私がしたんです。でもね、ちょっぴりでしたけど作ったんですよ、一緒に。」と。少し寂しそうだった。
認知症では過去の記憶を今の記憶のように話すことがある。今回もそうだったのだろう。でもきっと患者様にとって、娘さんにとって餅つきは大事なエピソードなのだ。
お孫さんにとって美味しいもちはきっとおばあちゃんの手作りの餅。その時の餅つきの風景も。
忘れないでほしい、忘れたくない記憶。できなくなっていく日々。できないことも忘れてしまう。
その分娘さんがお孫さんがおばあちゃんの餅つきのことを語っていくのだろう。