『力を込めて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「あなたは悪くない」
その副音声として当てはまるのは、「だけどあなたのせい」辺りかな。口調は穏やかだし表情も悪くない。外面を保てるほど余裕はある、でも言わないとムシャクシャする。だから無難な言葉で嫌味としてぶつける。
この人はとても素直で真っ直ぐな人だ。感情的になることを恥だと考え、常に冷静であるかのように振る舞うのを徹底するくらいの完璧主義でもある。
悪い人ではない、悪い人ではないんだ。
でもいつも思う。この人は完璧なものを求めるあまり目の前のものなど何一つみえていないのだ。
心や感情なんて目には映らないが、言動から多少読み取れるはずなんだ。この人はそれを無意識かつ意図的に無視をする。
自分に都合のいい部分だけを掬っているだけ。
悲しみを悲しみと捉えているのにポジティブを投げつけ、嬉しさを共感しつつあら探しをするように情報をねだる。
悪いことではないが、あまり気分のいいものではない。相手に勘づかれさえしなければどうとでもなることだから。
そう、勘づかれさえしなければいいことなんだよ。
でもこれだけ長い時間を共にした自分には分かるんだ。全てではないけれど、分かってしまう。
思わず振りかぶりそうになる拳を握り込んで耐える。
こうやって力を込めておかないと取り返しのつかないことをしてしまいそうで恐ろしいのだ。
「そうだね、ありがとう」
この一言をどう受け止めているのだろうか。
【題:力を込めて】
握りしめられた手は今まで感じたことのない痛みが走っていた。
それでも悪い気はしなかった。
でも、跡がつきそうで、流石に手が離れた。
「大丈夫、俺はどこにも行かないからさ、、、、、、、なくなって。」
そう話しかけてみるが、顔は相変わらず暗いまま。
電気のついた明るい部屋でも、俯いた彼の顔には光など差せそうもない。
俺の顔を覗き込んでまだ泣いてるこいつは、
いまにも何処かに消えてしまいそうだ。
いっそ、「せめて、同じ場所にいけたら」そう何度も呟いている
俺だって、まだいきたくはなかったんだ。
でも、しょうがない。
いつかは来る日だったんだ。
おれが、ちょっと早かっただけで。
「、、、ごめんな。お前には笑っててほしい、、、、
なんて、ありきたりだしわがままかな?」
もうそろそろいかなくちゃならない。
もともとあんまり感情を行動に出さないほうだから、
とてつもなく離れ難いが、そうもいかない。
「もっとはやく伝えてれば、よかったのに、、、
俺の馬鹿、、、、なんで、、、」
隣から何か聞こえてくる。
「手紙なんかに書かないで、言葉で伝えてよ、、、
俺が真面目なときのお前に、真面目に返さなかったこと ないだろ、、、、」
世間体とか、そんなの、お前がいればよかったのに、、
そんな言葉が聞こえてくる。
それこそ、今じゃなくてもっとはやく言ってくれよ。
どうせ答えてくれないから、小さく笑いながら歩き出す。
「ほんとごめんな。
笑えとは言わないから、泣かないでくれ。」
背中を押すつもりで、
力を込めて背中を叩きながら俺は背を向けた。
後ろで振り向くような音がしたけど、気のせいだろう。
気のせいじゃなかったとしても、
もう、振り向いちゃダメだ。
これ以上、未練はいらない。
「フラれちゃった」
あっさりと、まるで呼吸するかのようにそんなことを言った。続けて彼女は目の前のカップに手を伸ばす。甘い香りが辺りにほんのりと漂っている。
「そうか」
「うん」
会話はそれ以上続かなかった。フラれた理由も相手が誰なのかも今の彼女の心境も。そのどれにも俺は興味がなかった。ただ、折角時間を作って会っているというのに悲しげな表情で俺の相手をするのが許せなかった。本人は何とも無いふうに取り繕っているつもりだろうが、ちっとも平然としている様子には見えない。こんな簡単に見破られてしまっていると言うのに、それでも彼女は平気なフリを続ける。馬鹿馬鹿しい。こんな空気をこれ以上味わってられるか。
だから、思いっきりその華奢な肩を引き寄せ、力を込めて抱きしめた。
「……苦しいよ」
彼女の反抗する声はあまりにも小さかった。弱々しくて、かろうじて聞こえるレベルだった。だから俺は否定とは捉えない。腕の力を今以上に強くする。もっと強く、骨がきしむくらいに抱き締めたい。痛い苦しいと、本気で訴えてくるような、真正面から俺自身と向き合うほどの抱擁を与えたい。
「こんなことして、どういうつもり」
「当ててみろよ」
俺の気持ちを読んでみろ。本当はもう分かっているんだろう。じゃなきゃ心神耗弱している時に会う相手に俺を選ぶはずがない。本当は慰めてほしかったんだろう?だがな、“お前には俺が居る”だなんてセリフ、お前が欲しがっても言わねぇよ。お前自身が、自らの意思で俺を選ばない限り、両手広げて受け止める真似なんてしないさ。つっても今、既にお前を抱き締めてるんだが。これくらいは許せよ。だが次は無い。お前が、俺を選ばない限りは2度目の抱擁は与えない。別に、尻軽だとか変わり身が早いだなんて俺は思わない。だからさっさと俺に堕ちろ。その気持ちを込めて今一度強く抱いたら、震える手が恐る恐る俺の背にまわされた。彼女に気付かれないようにほくそ笑む。ここで甘い言葉を囁くのは、フェアじゃない。これ以上はお前の弱った心には付け込まない。あとはお前が選ぶだけ。さぁ、どうする?
「当たれ」
そう、強く願い
両手を合わせ
顔の前でぎゅっと祈る
『力を込めて』2023,10,08
私が精一杯、力を込めて応援する日本代表のスポーツは
勝てない、勝ってくれない。直でではない。テレビ観戦でだ。
適当に観てれば勝つこともあるのだが
もし勝ってても私が真剣に見始めると逆転される。
サッカーもラグビーもバレーボールも、マラソンも
野球も水泳も体操もスキージャンプも。
いろいろなあれもこれもを思い出す。
なので大事な試合、負けられないだの、ここ一番だのは
もう観ない。
試合が始まったらテレビを消す。
居間で誰かが観戦するなら居間から消える。
そして、まんじりともせず結果を待つのだ。
勝ったら観なくて良かったとホッとし
負けたら私のせいじゃないとホッとする。
馬鹿にされようが可哀想がられようが
これが私の力を込めた応援なのだ。
頑張れニッポン!
「力をこめて」
精一杯お腹に力を入れて…大きな響く声を出す。
そう、君に思いを伝えるために。君に届くように何処にいるか分からない君へ思いを伝えるために。
そのときが来たら俺はどうするのが正解なのだろう。
喜びを爆発させて、手をとってぶんぶん振り回して、最後に甲にキスをするのがらしいのか、無難に体の前で手をひらひらさせて、お互いに近づいて笑顔で挨拶すればいいのか。さすがに駆け寄ってハグしたら捕まってしまうだろう。まだ、その人と会う話にすらなっていないのに、そういう妄想ばかりする。
経験の浅い者によくある話だ、という自覚はある。それだけはある。
とにかく俺はその人が気になって気になって、それはもう気になって仕方がないのだ。本当はどんな人なのかも知らない。分からない。会った瞬間幻滅するかもしれない。されるかもしれない。とにかく何も分からない。分からないくせに、ポジティブな気持ちだけが膨れあがって胸がいっぱいになって、仕事どころじゃない。眠ることもできない。冷静になるまでもなく恥ずかしい。自分で自分が見ていられない。狂いそうだという理不尽な感覚だけが一丁前にある。
思うに、選択肢を素早く、複数用意できるのが経験を積んだ人、豊かな生きかたのできてきた人なのだ。そう思うと、俺の半生は空疎で、粗末で、貧相だったなと思う。いや、分かる。だから自分の気持ちが分からない。比較対象がない。ないわけじゃないけど、風化しすぎてサンプルとして用をなさない。だから、このよく分からない気持ちが実ることはないだろう。そう、何度も自分を説得し、何度か諦め、放棄し、そしてまたその気持ちを拾って、棚に飾って眺めては悦に入っている。
もし、本当にその人に会えたなら、俺はどう振る舞うべきなのだろう。どうしたいのだろう。力の入れかたが分からない。抜きかたも分からない。効率が悪い。結局「頑張る」しか出てこない。疲労した頭で思う。ない尽くしの手札で考える。俺の提示できるもの。与えられるもの。無謀な望み。
経験という煉瓦なしに、俺は泥から粗末な犬小屋でも建てられるというのだろうか。
力を込めて
職場で彼と出会って恋人になり一年程経った頃、
彼に1年間の海外出張の辞令が出た。
就職してから1〜2年目に行く予定だった海外出張。
コロナでずっと延期になっていた。
離したくなくて、離れたくなくて。
2人で家族になろうと決めた。
日本を出発する直前、2人の記念日に入籍した。
新婚一年目の遠距離生活。
毎日ビデオ電話をして、今日一日の出来事を話す。
時差のせいですれ違ってしまう日もある。
直接会って話せないからこそ、モヤモヤして言い合いになることもある。
不安でどうしようもなく、泣きたくなる夜もある。
それでも離れたくない人、離したくない人。
一緒に歩むと決めたから、寂しい夜もあなたを思って乗り越えた。
今日は一年目の結婚記念。
一緒にお祝いできないけれど、1週間後、あなたは帰国する。
それが何より嬉しい記念日のプレゼント。
ずっと会いたかった人。
私の人生に欠かせない人。
大好きな人。愛してる人。
空港に迎えに行って、あなたの姿がみえた時、
私は駆け寄ってあなたの顔を見るなり、
力を込めて抱きしめるのだろう。
〘力を込めて〙
先へ行く不安はあって当たり前反省気づき目を背けずに
これが最後だ。
自らの拳に力を込めて、精一杯パンチを叩き込む。
体が悲鳴を上げるが、今だけは持ってくれ、と自分に言い聞かせる。
これが終わったら、オレは---
パンチを叩き込んだ相手が倒れ込む。
10カウント。
勝利の鐘が鳴り響いた瞬間、オレも精魂尽きたように地面へと身を預けた。
「ごめ、また、俺のせいで…」
そう俺の親友が目を伏せて言った。得点板を見ると、既に相手はマッチポイント。対して俺たちは五点遅れで相手を追っている。
緊張からかサーブをネットに引っ掛けてしまった親友は今にも泣き出しそうなほど不安そうな顔をしていた。
「大丈夫だって! まだ負けてない」
「でも…」
「でもじゃない。後悔も反省も試合が終わってからだ。まずは今に集中。大丈夫! お前のスマッシュはめっちゃ強い。落ち着いていこう」
そう言って俺は彼の背を叩く。それは、下を見がちな親友を鼓舞するための癖みたいなものだった。
「ああ、そうだな」
「絶対勝つぞ」
「おう!」
そう笑った親友の背を俺はもう一度叩いた。
俺の気持ちが届くよう、精一杯の力を込めて。
力を込めていきんだけど
産まれてくる気配がない
帝王切開に切り替えたけど
麻酔科医がいない
副院長に頼んだけど断られたらしい
結局、別の病院の先生が到着するまで1時間
出てこないのに迫り来る陣痛との戦い
いざ、手術が始まったら
麻酔があまり効いていなくて切腹状態
ただ痛くて、産まれた時の感動もクソもない
それが私の出産経験です
︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎小さなあの子と僕の記憶︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎
あの子の声が聴こえなくなって
もう3日目の朝を迎える。
世間体で考えれば、
「3日しか経ってないじゃん」「所詮3日だろ? 」
と口々に云うだろう。
でも違うんだ。
周りには世間にはわかることの出来ない。
あの子の存在感。
何故なら僕にとってはあの子は
かけがえの無い存在であり
僕の命が誕生したその瞬間から
存在していたのでは無いかと思えるから。
これが根拠か分からないが
あの子を思う気持ちは誰にも負けない。
決して負けることの出来ない。
だからその3日間が重く長く感じる。
そんな気持ちを抱きながら声に出してみた。
窓から見える その景色を見届けながら
愛おしさの想いが募り
僕のなり愛情表現で
誰よりもどんな人よりも
力を込めて
「また、僕の元へ。」
「僕の軌跡という小鳥」 と発した。
でも僕は
何時もと変わらず
決まって布団の中だ。
終。 #003 「力を込めて」
「待って」
思わず、去ろうとした彼の手を握る。
やっちまった。
その言葉が頭の中を駆け巡る。
やってしまったことは仕方がないので、振りほどかれないように、力を込めて握る。
振り返り、怒ったような顔で私を見る。
そりゃそうだ。
さっきまで別れ話をしていたのだ。
これ以上何の話があるというのか。
衝動的にとはいえ、引き止めてしまった。
なにか言わなければと思うが、頭が真っ白で何も出てこない。
このままでは、無事に別れることはできない。
別れる?別れる!
その時、別れるという言葉に天啓を得た。
彼の顔を真っ直ぐ見る。
「さよなら」
そう言うと彼は少し困った顔をして、
「さよなら」
と返してくれた。
よくある別れの挨拶。
こうして私と彼は別れた。
そして私の手から、彼の手がスルリと抜ける。
これ以上引き止めてはいけない。
彼には次があるのだから。
「カーット」
監督の声が響く。
その言葉に、現実に引き戻される。
私は周りに聞こえるように声を出す。
「すいません。台本にないことしちゃって‥」
「いいよ。アドリブ良かったし、君のアドリブは有名だからね」
思わず苦笑する。
視界の端に去っていった彼が戻ってくるのが見える。
「びっくりしましたよ。だめかと思いました」
「ごめんね。私、役に入り込んでしまうの」
大丈夫ですと彼は笑う。
「じゃあ、僕この後別の収録あるんでもう行きますね」
頑張ってねと、衝動的に手を差し出す。
また、やっちまったと思ったが、彼は握手に応じてくれた。
彼の素敵な笑顔を見て、握手の手に自然と力がこもる。
仕方ない。
君は私の好みのタイプど真ん中だからね。
力を込めて
辛い時こそ、包むようにマイクを握る。
そして声に力を込めて、遠くまで届くように歌うんだ。
私は誰かを救いたくて歌手を目指した。
私の歌を聴いてくれた人が、ほんの少しでも前向きになれるように。
嬉しいことに、私の歌が好きだって、よりどころになってるって、言ってくれる人が増えてきた。
気づいたのは、そんなときだった。
私は、私の歌を生きる意味にしてるって。
だから、どんな時だって私は歌う。
私の生きる意味を見失わないように。
まず、私にとって力とは愛ということを知っていて欲しい
あと2ヶ月で私は遠距離のパートナーに会いに行くことができる。
その時は力を込めて、愛をこめて君に伝えたいことがあるの
聞いてくれる?
「力を込めて」
途絶えてしまったか細く不安定なあなたに安らぎをと、
力を込めて。
ごめんなさい、アプリを消します。
詳細
アプリを消す。
理由は携帯が重いから。
次のところへ来ていただくと嬉しいです。
アプリ名 『テラーノベル』
ユーザー名 『天華🎧📖』
良ければお話ししましょう。
見てくれていた皆様。
『帚星』を見守ってくれてありがとうございました。
さようなら。
★力を込めて★
目の前のドア。
このドアの向こうで待っていてくれる大好きな人。
鼓動が速くなる。
小さく深呼吸。
取手を握る手にギュッと力を込めて
私はドアを開けた。
「先生こんにちは、よろしくお願いします」
【力を込めて】
君の髪はサラサラしていて、子どもの頃と変わらない。
全然ヘアケアなんかしてないのにね。
シャンプーなかったらボディソープで頭洗っちゃうのにね。
そんなことを思いながら君の髪に顔を寄せると、君は嬉しそうに目を細める。
「何、甘えてんの? 珍しい」
「違うし。ハゲてないか、確かめてんの」
「お前なぁ〜、久しぶりに会えたってのに、もうちょい言い方あるだろ」
「久しぶりだから確かめてるの」
力を込めて君の背中に腕を回す。
子どもの頃とは違う2人だから、力を込めて。