「ごめ、また、俺のせいで…」
そう俺の親友が目を伏せて言った。得点板を見ると、既に相手はマッチポイント。対して俺たちは五点遅れで相手を追っている。
緊張からかサーブをネットに引っ掛けてしまった親友は今にも泣き出しそうなほど不安そうな顔をしていた。
「大丈夫だって! まだ負けてない」
「でも…」
「でもじゃない。後悔も反省も試合が終わってからだ。まずは今に集中。大丈夫! お前のスマッシュはめっちゃ強い。落ち着いていこう」
そう言って俺は彼の背を叩く。それは、下を見がちな親友を鼓舞するための癖みたいなものだった。
「ああ、そうだな」
「絶対勝つぞ」
「おう!」
そう笑った親友の背を俺はもう一度叩いた。
俺の気持ちが届くよう、精一杯の力を込めて。
10/8/2023, 7:28:45 AM