『力を込めて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
力を込めて地面を蹴る。驚いて口が閉じない人達を横目にどんどん進んで地面に近ずいて行く。アスファルトまであと少し、今回は大丈夫きっと成功するよ。
あと少し...
ゴチャと低い大きな鈍い音が響き頭に一瞬にして感じたことの無い熱さが通った、私の名前を呼ぶ声。もう戻る気は無い。もう大丈夫、成功は確実だ。私は意識を手放した。
チカラを込めて
チカラ強く
拳を突き上げろ
そこから逃げるな
闘うんだ…自分と…
戦え戦え戦え!!
力を込めて、私は貴方の手を握る。
私の力が、思いが、少しでも貴方につたわる様に。貴方が無事にゴールできるように。
無事に、私の所へ戻ってきてくれるように。
「かな恵、そんな力強く握らなくても大丈夫だよ。もう、充分過ぎる位伝わってきてるから」
「まだ、まだ、もう少し……」
私の彼氏は、珍しい仕事をしている。
私の彼氏、隼人の仕事はプロライダー。
バイクのモータースポーツをしている。
隼人の所属する階級では何回も優勝を果たしている。凄い彼氏だ。
「かな恵、俺、もう手が痛いよ」
「あっ!ごめんね。もう、離す。やり過ぎましたっ!」
そう言って、私が手を離すと、隼人は私の離した手を優しく掴み、自分の手で包んできた。
「ぎゅーっ!あははは、お返しー」
「だめだよ!お返しなんてっ!せっかく私が送ったんだから…………っ!!」
チュッ…………
私の手を掴んでいる手を隼人は隼人側へ優しく引き寄せ、私にキスをした。
びっくりしてしまった私は、少し固まってしまった。
「思いや気持ちは、唇でも伝えられるんだよ?かな恵」
やんちゃそうな顔で笑う隼人。
隼人、私の好きな人…。
大切で、大好きな人。
私はお返しにとばかりに、隼人にキスをする。すぐに離れると思った唇は、思ったよりも長く重なっていた。
「…………つ」
「あははは、かな恵、顔真っ赤だ。」
「……うるさいなー。…………行ってらっしゃい、隼人。」
「うん。行ってきます」
今日もレースに行く隼人を、私は見送る。
それが、私の日常。
それが、私達二人の日常。
お題「提灯」
目が覚めたら、見知らぬ場所に立っていた。
なんて、いつか流行った小説の導入のようなことを、まさか自分が本当に体験することになるとは思わなかった。
夢だろうか、と頬をつねる。普通に痛い。いや、でももしかしたら痛みを感じるタイプの夢だってあるかもしれない。何か他に、夢か現実か確かめる方法は無かったか……。
自分の服装を確認してみる。Tシャツにジーパン。シンプル極まりない、いつもの私服だ。
鞄はない。これはおかしい。出掛けるときはいつだって鞄を持ち歩いているのだから。
やっぱり、これは夢だ。
そう結論付けたところで、夢から覚める方法は分からない。気付きで駄目なら時間経過だろうか。それとも場所指定か。どちらの可能性もあるなら、とにかく適当に歩き回ってみるのもいいかもしれない。
心を決めて歩きだそうと前を向いた時、すぐにその決意は無くなった。
そもそも、痛覚やら持ち物やらを確認するまでもなく、ここはおかしかったのだ。
だって、こんなに真っ暗闇な場所は現実には存在しない。空には星も月もない。それなのに自分の身体や、すぐ隣に聳え立つ大きな宿のような建物は見える。
そして今、暗闇のなかでこちらに向かって進んでくるモノの気配も。きっとまだ遠いから姿は見えないだけで、もっと近付けば全容が見えてしまうだろう。
それはマズイ、と直感が告げる。見たらマズイ。このまま出会すのはいけない。
なら、どうしたらいい?背を向けて、全力で駆け出す?隠れられる場所を探す?一か八か、対抗する?
こういう暗闇に生きる存在は、光に弱い筈。スマホのライトを当てればもしかしたら……。
そこまで考えて、ここに鞄が無いことを思い出した。スマホはいつも鞄のなか。ということは、唯一思い付いた対抗手段は使えない。
残る選択肢は二つ。走るか、隠れるか。
……どうする。どうしよう。どうしたらいい?
「あぁ、こんばんは」
正解など到底分からずにぐるぐると考えを巡らせていれば、すぐ隣から扉が開く音と、人の声。
「そんなところにいたらいけませんよ。ほら、入って」
男性とも女性ともつかない、中性的な見た目と声のその人は、少し向こうの暗闇にちらりと視線をやってそう言った。闇に紛れる黒い衣装を纏っているのに、細身の輪郭がしっかりと見てとれた。
選択肢は三つ。走るか、隠れるか、この人に従うか。
「ほらほら、急いで。食べられちゃいますよ」
穏やかに、のんびりと、いっそ気軽さすら感じる声でとんでもないことを言い放たれる。
直感は、この人に従えと言っていた。
「お、お邪魔します!」
自分の直感を信じて、開かれている扉から中へと転がり込む。
宿らしき建物の中へと滑り込んだと同時に、声を掛けてくれた人が外に向かって何かを投げた。
放物線を描いて落ちていく、何色とも形容しがたい色合いをした光の球のようなもの。それが地面に落ちきる前に、外の暗闇が大きく蠢き、その光を呑み込んだ、ように見えた。
「あの、今のは……」
「悪いヤツじゃないんですよ。でも、私のお客さんを盗むので、私にとっては悪いヤツなんです。なので、要らないモノをあげてお帰りいただきました」
知らないほうがいいこともあると止める理性と、知りたい好奇心。一瞬の天秤で好奇心が勝った。
「お客さんって、私みたいな?」
「あなたは正規のお客さんではなくて招待客。とはいえ、アレに食べられたら困りますからね。ここにいる間は安心してください」
出会ってから一度たりとも笑顔を崩さず、あの暗闇の何かに脅威を感じている様子もない。
だからといって、この人に安心できる要素があるかと言われれば首を傾げたいところだが、今はこの人しか頼りがいないのも事実。
多少不安なところはあれど、信じるしかないだろう。
「ところで、ここは何処なんでしょう?気が付いたらここにいたので、正直何がなんだか……」
「ここは“御宿”です。こちらに泊まっている方があなたに会いたがっていたので、招待しました」
「おやど……」
「さ、どうぞ中へ入ってください」
ぐいぐいと手を引かれながら、奥にある正面玄関へと進んでいく。
外よりはマシだが、玄関へ向かう道もそれなりに薄暗い。手が離れたら辿り着けない気がして、引かれるままに歩いた。
「御宿へようこそ。歓迎しますよ」
そのまま勢い良く玄関扉を開け放ち、中へと通された。
一瞬、眩しさに目を細める。宿のなかは普通に明るかった。
玄関はとても広い。だが不思議なことに、靴箱は一つも置いていない。
「靴はそのままで結構ですよ。入ってすぐが受付ホールですが、今回は必要ないのでこのまま右へ進みます」
「あの、お金持ってきてないので、私やっぱり……」
今は誰もいない受付を見て、自分が今手ぶらなことを思い出す。
宿なのだから、泊まらないにしても滞在費くらいは必要なはず。けれどスマホも財布も手元にはない。ここまで入ってきてしまったが、引き返すべきだろう。
そう思って入り口のほうへ振り返ると、いつの間にか回り込んでいた黒い人影に遮られる。
「必要ないって言ったでしょう。ここの主は私ですから、何も心配することはありませんよ。あなたは招待客ですし、それに今外に出たら今度こそアレに食べられちゃうかも」
安心させようとしているのか、脅しているのか、よく分からない。けれど、表情は最初から変わらず穏やかな笑顔のまま。
「招待客って言いますけど、私を招待した人って誰ですか?」
「人って言うか、犬ですよ。ペット。前に飼っていたでしょう。真っ白くて小さなチワワ」
確かに、飼っていた。
ペットショップに行った時に、たまたま一匹だけいたあの子。即決は出来なくてその日は帰ったけれど、やっぱりどうしてもあの子がよくて。結局、数日後に迎えに行った。
甘えん坊で、手も掛かったけれど、本当に可愛い子だった。寝るのが大好きで、よく膝に上がってきては昼寝をしていたし、夜は布団に入ってきて腕枕で寝ていた。
一番愛情を注いで、ずっと一緒にいたいと思っていた。
けれど、犬の寿命は人より短い。ずっと一緒にいたくても、それは叶わない。
あの子も、一年前にいなくなってしまった。
「もうすぐ生まれ変わるので、どうしてもあなたに見送って欲しいって。甘えん坊な子ですね」
この話が嘘か本当か。判断できるような材料は何もない。
とても本当とは思えない話とも言えるし、でもちょっと、本当だったらいいなとも思っている。
「では、改めまして。こちらへどうぞ」
天秤は、期待に傾いた。それを察したらしい宿の主に促され、中へと足を踏み入れた。
またいつの間にか自分を追い越していた黒い背中に大人しく着いていく。
宿というが、他の宿泊客とすれ違うようなことはない。ざわざわと、微かに音や気配がある気もするが、イメージする宿より遥かに静かだった。
というか、廊下が長くないだろうか?
しばらく歩いているが、両サイドはずっと白い壁が続いている。
外観を見るにかなり大きな宿のように見えたので、もっと多い部屋数を想定していた。その予想に反して、部屋に繋がる襖はまだ一つもない。
「ここです」
それから少し歩いて、やっと一つの襖が見えた。
この先に、あの子が待っている。そう思うと、途端に緊張してきた。
開けられた襖の奥へ、黒い背中を追っていくと見えた光景は、普通の宿の部屋とは違っていた。
「足元、気を付けてくださいね」
明るい光に煌々と照らされた廊下とは正反対に、部屋のなかは薄暗い。
襖の奥には、鍵の掛かった両開きの扉があった。カチャカチャと鍵を開ける音が聞こえたかと思えば、重たい音を立てて扉が開いた。
仄かに明るい光が扉から漏れてくる。光の色は、赤や青、黄色、緑など様々だ。
「おーい、来てくれましたよー」
部屋の中に声を書けながら先へ進むその背中は、薄闇に紛れることなくしっかりと黒の輪郭を保っていた。
それを追いかけながら、周囲を見回す。
扉から漏れていた様々な色の光は、この部屋の中に無数にある提灯の光だったらしい。
提灯のなかでじっとしている光の球もあれば、提灯を好き勝手に移動している光の球もあった。
「あぁ、いたいた。ここですよ、この子がそうです」
示された一つの提灯には、真っ白な光が浮かんでいた。
「この子が……」
白い光を放つ提灯にそっと近付けば、喜ぶようにふわふわと揺れながら寄ってきたように見える。
その様子が、名前を呼んだ時に尻尾を振って駆け寄ってきた姿と重なる。
「これは魂の光が灯る提灯。ここでゆっくり、ゆっくり癒されて、また廻っていくんです」
「一年で、大丈夫なんですか?」
「愛されていましたからね。粉々に砕けた魂は、時間が掛かりますけど」
その視線が示す先。提灯のなかに、弱々しい光を放つバラバラに散らばった光の欠片がある。
「あんなに砕かれたくせに、まだ生まれ変わろうってここにいるんだから凄い子ですよね」
あの魂に何があったかは分からない。けれどあの状態からでも、ここにいればいずれはちゃんと癒されて、生まれ変わるのだという。
聞かなくてもいいことだと思う。けれどやっぱり、好奇心には勝てなかった。
「死んだら、私もここに来るんですか?」
「この先の人生で悪いことをせず、生まれ変わりたければ、ここに来ますよ」
「……悪いことをしたり、生まれ変わりたくなかったりしたら?」
「生まれ変わりなくないなら、受付をしたら左の小宿へ。悪いことをした魂は生まれ変わらせることは出来ませんので、要らないモノにするしかないですね」
要らないモノ。その言葉には聞き覚えがあった。
あの暗闇のなかにいた何か。アレの注意をこちらから反らすために投げ込んだ光の球のことを、そう言っていた。
思い返せば確かに、ここにある光の球と似たものだった気がする。
そんな、不穏な話が出てきても、白い光は関係なくふわふわと楽しげに揺れている。
提灯越しに手を添えれば、すり寄ってくる仕草をしたように思えた。
姿形は変わっても、この子はやっぱり可愛かった。
このままでも、一緒にいたい。出来れば、ずっと。
「もう行くみたいですね」
だけど、それは叶わない。
この子は生まれ変わろうとしていて、それを見送ってほしくてここに呼ばれたのだから。
白い光が提灯を出て、お別れを告げるように身体の周りをくるくると飛ぶ。
それから正面に来て、手を振るように数回左右に揺れた。
「またね」
見送るために、声を掛ける。今度は頷くように上下に揺れた後、真っ直ぐに奥へと飛んでいって見えなくなった。
「生まれ変わるんですね、あの子」
「はい。見送って貰えたので、満足したみたいです」
同じように奥へと視線をやり、ひらひらと手を振っているこの人の言葉を、今度は素直に信じようと思った。
不思議なことばかりだけど、あの子が満足して生まれ変われるのならそれでいい。
「さて。あなたをここに泊めるわけにはいかないので、戻りましょうか」
「この宿で寝たら戻れるとかじゃないんですね」
「死人になりたければ、泊まってもいいですけど」
「あ、嫌です。帰ります」
流石にまだ死にたくはないので、再び大人しく黒い背中に着いて歩く。
元来た道を進んでいって、玄関を出て、最初の扉へ戻ってきた。
「ここから出れば、帰れますよ」
今更、嘘は言わないと思う。だから、この扉から本当に帰れるのだろう。
けれどこの扉の先には、不安要素が一つある。
「あの変なヤツ、また出てきたりしませんか?」
「大丈夫ですよ。アレは元々、生まれ変わりたくない魂のためのモノですし、今は要らないモノでお腹いっぱいですから」
ここに来てから、不穏な話ばかり聞いている気がする。だがとにかく、そのどちらにも当てはまらないから大丈夫ということだろう。
なら何故あの時は駄目だったのかと言えば、今の話からしてアレがお腹を空かしていたからだと思う。いい迷惑だ。
「では、お邪魔しました」
「はい。次に会うのは、あなたが亡くなったときですかね」
最後の最後まで不穏なことを口にしながら。
閉まっていく扉の向こうに見える表情は、相変わらずの笑顔だった。
―END―
力を込めて……。
力を込めて、人生を台無しにした、あのゲス女を殴りたい。
人のおもいを躊躇いもなく踏みにじった売女……犯罪者・今井貞夫の娘、人でなしの今井裕子。
力を込めて……。
意識して、力を込める。トイレでウ●コを踏ん張っているときくらいかな? 失礼……。
私は今中学1年生。部活は吹奏楽部。
この中学には吹部の顧問の先生が4人いる。
音楽の先生二人と非常勤の先生。そして、2年のクラスを受け持つ英語の先生だ。
この先生の性格が..なんて入部当初は思わなかった。
今年の夏、私たち吹部は県の地方コンクールにでた。そのとき私を含めた4人の1年生は言ってしまえば雑用係をしていた。今から本番という時にリハ室のキーボードと台をその先生は1人の女の子に持たせた。私が手伝おうとすると、
[ひとりで持っていきなさい。]
と、誰でも重いと感じるだろう物をひとりで持つように言ったのだ。
その先生はそう言ってすぐにチューナーの入っている袋だけを持っていきスタスタと歩いて先に行ってしまった。
その女の子だけでは無い。その先生は先輩たちの水筒がほとんど入った箱もひとりで他のもう1人の女の子に持たせた。
私は内心、
(この重さを知らないのか。明らかに態度が違う)
そう思った。
私は先生が先に行ったあとその女の子たち2人と一緒に後を追った。残りのふたりの男子はスピーカーを2人で持って遠くに居た。だが大丈夫だと見て私たちは先に行かせてもらった。
その時だった。
キーボードと台を一緒に持っていた女の子が、キーボードを落としてしまったのだ。
まだそう遠くない距離に先生がいたので来てくれるかと思ったが。
来なかった。声もかけずにそのまま行ってしまった。
幸い他校の先生が通りかかってくれて心配してくれた。この先生に顧問になってくれないかと思った。
水筒の箱を持ちつつ、キーボードの方を見つつ私たちは先生の後を追うことを再開し、何とかたどり着いた。
そして本番が終わり、私は今度はキーボードと台を持とうとした。そうしなければさっきのようになると思ったから。
持とうとした時はその先生と音楽の先生1人がその場にいた。
だからか、持とうとしたらその置いていった先生は、
[重いから2人で持ちな!]
そう言って今度は2人に持たせた。
私はこの時、この先生二重人格だ。そう思った。ほかの先生がいるなら今だと。そう思い、力を込めてこう言った。
[先生理不尽すぎます]
現実でも言えたら良かったのに言えなかった。
この先生は今でも性格が変わらない。
なのにサックスは上手い。憎めないと言いたいところだが、きっと一生覚えているだろうな。
【力を込めて】5 kogi
やり残した事なんて無いと思ってた
後悔しないように行動してたと思ってた
だからいつ死んでも受け入れられると
そう思い込んでた
でも人間はそんな単純なものじゃ無かったらしい
まだまだ我儘なあの人はどう生きるのだろうか…
あの人が好んで食べる辛過ぎる食事は誰が用意するのだろうか…
まだまだ教えないといけない事が多い皆に何か残してただろうか…
今日の仕事が失敗だとして…誰がこの仕事を終わらせるのだろうか…
あの人に出来れば逢いたかったなとか…
いつも以上に遅いこの時間
思い浮かぶ全てが他愛無い日常の事
誰かの笑顔とか
誰かの体温とか
愛しくて愛しくて仕方がないもの
守れなくてごめんね
でも全てを投げ出さないから
これからを生き抜く最愛の人の為に
動かした指先にもう力は入らない
題名:力を込めて
作者:M氏
出演:☀️
【あとがき】
何故か題材と逆を行くような創作となりました
分かりやすく言うと力を込めた後ですね
M氏は走馬灯を何度か見る経験をしましたが
全て他愛無い日常が流れました
走馬灯を浴びるキッカケが流れればなんの未練も感じないのにも関わらず
何にもない日常が流れるんですよね
何にもない日常ってこんなにも愛おしいんだって感じさせられます
人間ってよく出来ていますよね
生きていて良かったです
今は笑ってそう言えます
『力を込めて』2023.10.07
絶対に離さないでよ、と息子が叫ぶ。わかったわかったと返事をして、自転車のサドルを押した。
息子は最近、補助輪を外したばかりだ。周りの友だちはみんな補助輪無しで乗れるようになったらしく、自分もそうなりたいと彼は言う。
懸命にペダルを漕ぐ彼を、俺の仲間たちが応援する。
最年長の彼なんて、自分のことのように感動して泣いている。まだ乗れてないのに。
最年少でメンバー一の健脚の持ち主である彼は、並走しながら器用にスマホを構えている。
後ろをもって支えているとはいえ、息子の自転車は右へ左へとふらふらしている。危なっかしくて仕方がない。
しかし、それも最初のうちだけ。息子も慣れてきたのか安定してきたような気がする。
これなら手を離してもいいかもしれない。他のみんなも離せと頷いている。
「いいか、前だけを見るんだぞ。足元を見んな」
そう声をかける。息子はうんと頷いた。
ペダルを漕ぐ足は止まらない。力強く、前へ前へ、進む。
他のみんなも、行け行けと拳を突き出している。
もう大丈夫だ。
俺は力を込めて、息子の自転車を前へ押し出した。
一瞬、自転車がぐらつく。危ない、転ぶ!
しかし、息子は耐えた。頑張って前へ進む。
俺の息子は、また少しだけ、お兄ちゃんになった。
力を込めて 愛を伝えよう
今ここにいない君に 精一杯の声で
強く吹くこの風に負けない声で
こぼれそうな涙をこらえて
力を込めて愛を伝えよう
『力を込めて』
元々何か作品を作る人とたまたま何かのきっかけで作る人
料理で例えるとして
料理人が素材や作り方の手順、切り方等力を込めて
作った味噌汁
素人がただその人の事を想って作った味も見た目も荒い
味噌汁
普段料理をしない人が作った味噌汁はとても褒められるだろう。
しかし、料理人が作った味噌汁は確かに味は良い。だが、
料理人が味噌汁を作ってもっと手の込んだ料理が出てくると
思い少なからず残念だと思う人が多いのが現実だろう。
僕はただズルいなと思った。
どちらの人も力を込めて作った味噌汁なのに料理人は残念だと言われる。
状況によっては褒められるとしてもそういう世界が僕は嫌だと思った。
6__力を込めて
うーん。
思っていたよりも硬い。
想定よりも時間がかかる。
一刻も早くこの場を離れないといけないのに。
人体の仕組み、もう少し勉強してから実行すれば良かったな。
もう一度、力を込めて。
その晩、私はやけに不安定な状態だったのだろう。あの時は渋々といった形で友人について行ったのだが、やはり承諾すべきではなかったと思っている。少なくとも私にとっては良いものではなかったのだから。ああでも、私が友人に話したことについては、やはり私自身が錯乱していたと言わざるを得ない。引き留めるために少し強引な手を使ったのも良くなかった。ただ、友人はその後私に対し怒るでも諌めるでもなく、私の力の入りすぎた言動をただ受け流して相槌を打つばかりで、私にはそれが幾ばくか嬉しかったものであった。
[力を込めて]
今季初めてのパンプキンチーズケーキを焼いた。
材料を丁寧に混ぜて美味しくなるようにと
願い型に流す。
力を込めて焼いたパンプキンチーズケーキは
どんな味?ワクワク!
力を込めて
熱中出来ることが見つからない。
周りと同じように出来ない。
陰口を言われる。
視線が怖くなる。
でも、私は我慢してた。
きっと何処かの誰かは私がこんなことで悩んでるうちに、もっと悩んでる。 はず、、、
だから私は、力を込めて今日を生きる。
私が死にたい今日は、きっと当たり前にくるものじゃないから。
強くなくても、根性無しでも、しっかり毎日を生きる。
力一杯、明日も、明後日も、ずっとずっと。
―今日を生きている君達へ。
明日も一緒に頑張ろう―
今日で60回目
よく続けることができた
ただその時思ったことを
そのまま文字にしただけなのに
次は100回目だ
力を込めてもう一度
絶対達成するぞ100回
力を込めて
えい、と引っ張る。例えば重い扉やジャムの蓋。
私は握力が小さいから何事も試練だ。
今日はゼリーの蓋が開かなかった。
安物だから圧着部分が無茶に張り付けられている蓋が、固くて固くてどうしようもない。
包丁やフォークで切り込みを入れるという手がないではないけれど、もはや意地だ。
えいえいえい。んーっ。
はぁ、開かない……。
独り言を言いながら力の込めすぎで赤くなった指を擦る。
もうちょっと。頑張ろう。
えい、えい、……えーーい!
中の汁がちょっと飛んだけど、やっと剥がせた。
世の中の人はどうやってるのかなと気になる。
明日も開きますように。
力をこめて
星の引力で
放射する 熱量の果てに
覚めてはなくす
空間のはて
質量を失った そのあとで
もとのところへ 愛の力は
戻ってくる
重力の果てに
重みを増した天体となって
惑星を形成する
星のバランスみたいに
互いの距離を大事にしながらきっと
電子の力 だしあいながら
互いにちかづき そして離れる
共鳴するエコーのような
心の中のテレパシー
周波数を大事にしながら
声と声を隔てる
色彩のトーンが 別の時間へ 移動して
浮力のように 鏡に写る
電荷と電荷の相殺のような
ポテンシャルとモーメント
ニュートン力学のような
万有引力の果て
あなたに落ちる
力を込めて
運動会の目玉全校リレー
私はアンカーにバトンを繋ぐ
足に力を込めて...スタート!!
後ろから足音が聞こえるあの子めっちゃ早いんだよな
やばい抜かされる
でも...力を込めて全力でダッシュ!
よしもうすぐゴールでも油断したらダメ
アンカーに向けてバトンを繋ぐ
結果は1位小学校最後の運動会
いい思い出ができたな
ちなみに弟のチー厶は2位で悔し泣きしてました。
今年は1位になれたのでご満悦このまま三連勝だと息巻いています。勝てたらいいね!
君のことが好きなはずなのに、時々不安になる
あれ、私ってこの子のこと本当に好きなのかな?って
嫌だな。もっと、自信を持って「好き」って言いたいのに……
#No.2
精一杯の力を込めて、この大地を踏み締める。
疲れたこの足で、どこまで歩けるか試してみたい。
行く先にはきっと、何かが待っている筈だから。
そう信じて僕は今日も歩くんだ。
〝力を込めて〟