M氏:創作:短編小説

Open App

やり残した事なんて無いと思ってた
後悔しないように行動してたと思ってた
だからいつ死んでも受け入れられると
そう思い込んでた
でも人間はそんな単純なものじゃ無かったらしい

まだまだ我儘なあの人はどう生きるのだろうか…
あの人が好んで食べる辛過ぎる食事は誰が用意するのだろうか…
まだまだ教えないといけない事が多い皆に何か残してただろうか…
今日の仕事が失敗だとして…誰がこの仕事を終わらせるのだろうか…
あの人に出来れば逢いたかったなとか…

いつも以上に遅いこの時間
思い浮かぶ全てが他愛無い日常の事
誰かの笑顔とか
誰かの体温とか
愛しくて愛しくて仕方がないもの

守れなくてごめんね

でも全てを投げ出さないから
これからを生き抜く最愛の人の為に
動かした指先にもう力は入らない


題名:力を込めて
作者:M氏
出演:☀️


【あとがき】
何故か題材と逆を行くような創作となりました
分かりやすく言うと力を込めた後ですね
M氏は走馬灯を何度か見る経験をしましたが
全て他愛無い日常が流れました
走馬灯を浴びるキッカケが流れればなんの未練も感じないのにも関わらず
何にもない日常が流れるんですよね
何にもない日常ってこんなにも愛おしいんだって感じさせられます
人間ってよく出来ていますよね
生きていて良かったです
今は笑ってそう言えます

10/7/2023, 10:34:35 AM