『刹那』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
刹那、溢れる命
瞬きも及ばぬ光速が輝く瞬間を
あなたもどうか、忘れないでいて
宇宙が生まれてから現在までの間に、私が生まれて死ぬまでの時間=刹那
夕日が完全に沈む瞬間とか、線香花火の落ちる瞬間とか、夜空に輝く流れ星とか。小さい頃からそういった刹那の情景が好きだった。
それとは逆に長ったらしい映画や文字の細かい小説、休み時間の教室で行われる意味の無いおしゃべりが嫌いだった。
ダラダラとした刺激のない人生が嫌で、今この瞬間の輝きを追い求めて一所にとどまらない生活を送ってきた。先のことなんか分からないけれど今が楽しければそれで良かった。
君に出会ったのはそんな時。君は読書が好きで、意味の無いおしゃべりも大好きな人で。僕は最初「つまらない人だ」って、そう思ったのに。君のほころぶような笑顔に僕は一瞬で恋に落ちた。君といる時間はどれも大切で、一秒たりとも逃したくなくて、こんな時間がずっと続けばいいって僕らしくないことを思ったりして。
なのに君は僕を一人残して遠くに行ってしまった。
「貴方は刹那的に生きる人ね」
君はそう言ったけど、君の方が、僕を置いて消えてしまった君こそが『刹那的な人』だった。痩せ細ってもう先も長くない身体なのに君が
「私、貴方好みの女でしょ?」
なんて出会った頃と変わらない笑顔で微笑むから、僕は君といる時だけ『刹那』が嫌いになった。
君が最後に言った言葉を今でも覚えている。
「たくさんのものを見て、たくさんの人と関わって。そうして集めたたくさんの思い出を抱えてまた会えたら、次は貴方がおしゃべりする番よ。私、ずっと待っててあげるから。抱えきれないくらい持ってこないと許さないんだから」
その後すぐに君は旅立ってしまった。
君がいなくなってしばらくは希望も光も感じられなかったけど、君と交わした最後の約束のために今は色々なものを見て、聞いて、体験して生きてるよ。
いつか君と再会した時、約束通り今度は僕がたくさんお話を聞かせてあげるから。
だから君はその時を、読書でもしながらゆっくり待っててね。
喜びの刹那
あなたが一瞬だけ
顔を曇らせた理由を
私に教えて
め。
何とはなしに眺めてた視線が、合っただけ。
動かすのも億劫で、その場に置いていた目の先に相手がいて、その相手をぼーっと眺めていて、
それで、相手がふと顔を上げただけ。
一瞬のこと。
それで好きになったのか
前々から好きだったのに今気付いたのか、
分からないけど。
好き、かも。知れない。
そこで言い切れないから、駄目なのかも
でも、好きかって聞かれると、分からないし。
今好きになったんなら、ちょっとチョロすぎやしないか。
顔に出てたりしないかな。
相手に気付かれてやしないだろうか。
あ、また。
今度は一瞬のことじゃなく、見つめ合った。
逸らさなきゃ、いけないんだろうけど。
耐えられないんだろうけど。
でも、すぐ逸らすのも、意識してるみたいで。
いや、してるんだけど。
相手が逸らしてくれないかな。
ていうか、何で逸らしてくれないんだろう。
期待はしてないけど、好意的には思ってくれてるんだろうか
あ。
やっぱり、ただの気まぐれか。
長い命で考えれば、これも一瞬。
でも、この気持ちは、一瞬の出来事で終わらせたくないなあ。
お題『刹那』
ゴキブリも アルコール液 勝てないね
日一日 大切にして 終わりたい
どうして
君が独り言のように呟いた一言の絶望を
聞き流してしまったんだろう
その刹那感じていた事を君に伝えなかったのだろう
刹那
この温度が夢ならば君の手は現実だ。
わかったなら私に触らないで。
「こっちこっち」
狐のお面を被っている子がこちらに手招きしている。
おいでおいでと誘っている。
深い山奥。
狐のお面を被っている子は、きっと少女だろう。
少女についていくと知らぬ間にこんな山奥に来てしまった。
後ろを振り返っても道はなく、帰り方さえわからない。
もうついていかない方が…。
頭では分かっているものの、体はついていきたがっている。
自然と引き寄せられて足が止まらない。
「こっち、もう着くよ」
可愛らしい声が私を呼んだ。
微かにお祭りのような音がする。
近づくに連れ、美味しそうな匂いがしてきて私の腹がなる。
「美味しいものが沢山あるよ、あとちょっと」
どうにも食欲には勝てないようで、私の足は次第に早くなる。
「あそこに行く」
顔を上げると、少女が暗い林の向こうを指さしていた。
「どうしてあんな所に行くんだ?」
「丁度中間なんだよ」
私の質問は答えられることは無かった。
薄気味悪い林を抜けると小さな鳥居が一つだけあった。
「この鳥居をくぐるの」
そう言うと少女は少しかがんでくぐった。
私は四つん這いにならないと、とてもじゃないけどくぐれない。
躊躇っていると少女はまた手招きして、こっち、と言った。
不思議な事に直ぐに四つん這いになる決心がついて、頑張って鳥居をくぐった。
「あそこだよ」
くぐり終わると少女は視線で示す。
そこには、さっきよりも暗い林があった。
体力も限界になっており、ペースは落ちたが無事に林を抜けた。
林を抜けるととても明るくなり目の前には立派な鳥居が構えていた。
その鳥居の向こうには楽しげに踊る、動物の仮面を被った人達がいた。
私が早速入ろうとすると、何処から出したのか、少女は私に狼の仮面を渡してきた。
そして一礼して鳥居をくぐり私に真似するように言ってきた。
言われたとおりに真似をして鳥居をくぐった。
瞬間、少女は私の手を掴んで引っ張ってくる。
それからしばらく手を掴まれていたが、その間、一言も言葉を交わさなかった。
ようやく私の手を離したのは人気の無いもう一つの鳥居の前だった。
「折角来たのに」
そうつぶやくと少女は笑いながら言った。
「ここで踊るの」
それからは有意義な時間を過ごした。
時間を忘れるくらい踊って気づけば音楽は止まっていた。
「これ、飲んで」
渡されたのは透明ななにか。
その液体が何だったのかはわからない。
ただ、美味しかったのは覚えている。
どんな容器に入っていたかもよくわからないがきっとペットボトルだったのだろう。
渡される前は驚いた。
少女は何も無い空間を掴んでおり明らかに手にしていない真っ白なキャップだけが空中に浮かんでいたのだ。
触ってみると確かに実体はあった。
私が飲み終わると少女は殻になった容器を取り上げ、私を鳥居の外に出るよう誘導した。
鳥居の外に出ると何事もなかったかのようにすべてが消えていた。
仮面以外は。
不思議と足取りは軽く、直ぐに家に変えることが出来た。
それからは、どんなときでも必ず頭の片隅にあの少女の顔とその時の出来事が浮かんでくるのだ。
あの時の事が一瞬のように思えてならない。
また行きたい。
しかし、どんなに願ってもあの時以来一度もあの少女が来たことは無い。
他にも一瞬のように思う時は山ほどあったが、あれほど楽しいと思う事はもう無いのかもしれない。
これからの人生、長いように思えて一瞬だと考えると少しだけ悲しくなってくる。
ー刹那ー
〝刹那〟
長めの信号を待っていると、背後から衝撃を感じた。
フワッと、身体が前に倒れ込んでいく。
赤い信号機やトラックの音がやけに遠くて、
代わりに今までの記憶がフラッシュバックしている。
所謂、走馬灯というものだろうか。
ああ、私は死ぬのだな。
そう思い目を閉じようとしたその刹那、
誰かが私の腕を掴んだ。
「ひゃっ」
「おい、大丈夫か」
「ありがとうございます…って、アンタか」
「親友に向かってアンタか、とはなんだ」
「ごめんごめん驚いちゃって…」
「ま、無事でなりより」
「おかげさまで助かったよ。あと、なんでここに?」
「いや別に、偶然外歩いててさ。
見かけたから、声掛けようと思ったんだ。
それで近づいたら、オマエが倒れかけてたってわけ」
「そっか、偶然に感謝しなきゃね。今から時間ある?」
「ああ、特に用事もないけど」
「じゃ、お礼に奢らせてよ!最近いい店見つけたんだ」
「おっいいじゃん」
「決まりだね!よしっ行こいこ!」
顔の赤さがバレないように、急いで彼を先導する。
親友が違う存在になるのは、意外と早いかもしれない。
[刹那]
刹那とは極めて短い時間、あるいは瞬間のこと
だけどどういう風に使えばいいか全くわからない
刹那
生きていれば、躓くことだってある。
生きていれば、辛いことだってある。
でもそんな時は、自分の愛する人、大切な人を思い出して
そうすれば、どんな困難だって乗り越えられる。
私は、辛くて逃げ出したい時、家族を思い出す。
私にとっての家族は「生き甲斐」だから…。
これからもその『刹那』家族を思い出して、
眼の前にある壁を乗り越えたい。
”刹那“
夏の時期だけ開く海の家
人々が集まる場所
そして想い出を作る場所
ある意味刹那的な恋をもとめて
男女が出逢う場所
そんな光景を
私は毎年見ている
夏の恋はまるで花火
パッと打ち上がり
そしてパッと消えていく
私はいつか
そんな刹那的な恋ではなく
永劫的な恋が出来る人と出逢いたい
その時が来る事を信じて
私は今年も海の家で汗を流す
【刹那】
今生きているこの時は
止まることなく
終焉に向けて進む
1日
1時間
1分
1秒
どんどん時を細かく区切っていって
どんなに短くなっても
刹那の連続でしかない
消えてなくなることもない
だからほら
今の今 その時は
訪れた瞬間に過去になっている
時が止まることがないということは
『今』は存在しているのだろうか
今が存在しないとするなら
過去も未来も存在しないのではないか
貴女のために剣を振るった。
そんな貴女はもういない。
私と貴女が交われたのは、ほんの一瞬。
貴女は僕にこう言ってくれた。
「私を一生守ってね」
でも。
彼女の最期は突然訪れた。
彼女はこの国の王。
王がいないと、国は廃れていく。
だから、民たちにとって、彼女はかけがえのないもののはずだった。
だが、政治の全ての問題は王である彼女に押し付けられていたために、彼女を批判するものは少なからず存在していた。
そんな批判的な民が、彼女を殺し、次の王になろうと目論んでいた。
だから、私は彼女を守らなければならなかったのに。
私は彼女を守りきることは出来なかった。
最期の瞬間はこの目にしっかりと焼き付いている。
彼女が最期に私に言った言葉。
「ありがとう」
貴女は私の命の中で、一瞬の時しか生きていない。
私にとって貴女が全てだった。
あの日、「ありがとう」と言われても、私は私を責め続けた。
当たり前だ、私のせいで貴女は死んだ。
私がもっと強ければ貴女は死なずに済んだのに。
私がもう一度、貴女を守ることが許されるのならば、
私は貴女にこう言う。
「命をかけて守ってみせます。」
『刹那』
これはとある貴族の男の話
彼はギャンブルが好きな酒浸りの浪費家で、仲間と連んでは下の立場の相手を使い鬱憤を晴らす性根の腐った奴だった。
ある日の事、男は酒場で好みの女に強い酒を
勧めて酔わせた後、そのまま宿に持ち帰った。
暫くすると女は泡を吹いて動かなくなった。
はー、めんどくせえ。
また親父に頼んで処理しておくか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
気が付くと見知らぬ場所にいた。
どこだここ?
口枷と漏斗がはめ込まれた状態で
テーブルの上に縛り付けられた男。
辺りを見回すと、仲間たちと酒場で出会った
あの女がこちらをじっと見下ろしている。
女が手に持った酒瓶を男の口に突っ込むと
勢いよく酒が喉へ流れ込んできた。
ごぼぼぼぼぼっ!苦しい!
「飲んで飲んでー!」
「いっき!いっき!」
周りの連中が手拍子しながら囃し立てる。
ふざけんな!誰かこいつをとめろ!
パンパンになった腹を殴られ、
胃に溜まったものを噴水のように吐き出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
場面は移り変わり、
男は檻の中で鎖に繋がれ吊るされていた。
扉が開くと奥から鼻息荒く口から涎を垂らした
豚が飛び出してきた。
ぷぎぃぃぃぃぃぃ!!
腹を空かせた豚たちは男の存在に気が付くと、
一目散に駆け寄ってきて男のスネに齧りつく。
いぎぃぃぃぃい痛い痛い痛い痛い!
足が、俺の足があああああ!!!
「お前さんのような輩は生きているだけで
害悪じゃ。このまま豚の餌になってもらおう」
檻の外で誰かがこちらを覗いている。
そうだ、こいつは、橋の下で仲間と
嬲り殺しにしたあの老いぼれ…
嫌だっ!こんなところで生きたまま豚に
食い殺されるなんて、お願いだ、助けてくれ!頼む!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
目を覚ますと男はベッドの上に横たわっていた。
死んでない。今までのは全て夢だったのか?
安堵する男の傍らで、
闇のように黒い鎧と黒いローブを着た
二人組の男が何か話している。
「薬の効果は如何程だ」
「順調です」
Hyperbolic Time Chamber
この薬を摂取した者は、幻覚を見るようになり
薬を摂取してない者と時間の進み方が違う。
我々にとっては一瞬の出来事でも、
被験者にとっては永遠の時間のように思える。
「けれどまだ試作の段階です。
この者には暫く付き合ってもらわねば」
刹那
人生を変える刹那
これからも幾度か訪れるだろう
その度に私はどんな選択をするのだろう?
長く生きていると過去の選択には反省もある
今をどう過ごすかでどんな選択をするか
変わってくるのかもしれない
そんなことを思いながらなんでもない毎日に感謝しながら大切に過ごそうと改めて思った
このお題に感謝
綿あめだ!
もしかしなくても、綿あめの話をしてますね?
上質なかき氷でも、プリンでも、水まんじゅうでも、
ゆるいラムネでも、脂ののったお肉でもいいよ。
口の中に広がってふわっと消える刹那的な美味しさは、
いつだって、私が追いかけたくなる感覚だ。
簡単に形容できないそれをなんとか表現しようと、
口の中を探って、刹那の体験を思い出すのが楽しい。
セツナトリップって曲が好きだけど、今思えばとても
いい題名だ。自分の全部がどこかに持っていかれるのは
一瞬の衝撃で充分だって、みんないつ知るんだろうね?
あぁ、また何か口の中で溶けるものが食べたいな。
#13 刹那
『刹那』
今この瞬間を大事に生きたいと思う。
そう告げたら刹那的な人ねと君は笑うだろうか。
君と出会った奇跡があって
君と話してる内に恋に落ちて
今日結婚式を挙げようとしている。
二人きりの結婚式。式とも呼べないそれは、身分的にも金銭的にも両家に反対されている二人らしいものだった。
憐れに思ったのか仲のいい神父が来てくれる話だったが、聞きつけた家の者に捕まったのだろう。
自然豊かなこの小さな町にそぐわない豪勢な馬車が一台、教会に停まっているのが見えた。
ずっと監視がついているのは知っていた。
僕と違い、彼女は勘当されたわけじゃなかったから。
連れ戻されるのではないかと怯える体を抱きしめる。
お腹の子を潰さない程度に。
幸せになろうと言うと、君は眉を八の字にしたまま微笑んでみせた。
認知症ミステリー
相手が誰なのか、
何時なのか、
何の用件か目的もわからない
連絡先もわからかい
日付だけ決まっている約束
いつもの妄想
午前中は眼科の予約、
午後は入院中の父と面会のある
忙しい土曜日に...
謎だらけの約束を優先しようとする母
カレンダーへ書いとくべきだったと
後悔しながらも説き伏せる
後日、ふと母が気にしていた
自治体から来ていた健康診断の受診券
何気にみると裏に日付と時間の
走り書き?!
鳥肌がたつ。点がつながる。
信じなくてごめんなさい
わたしは母を観ているつもりで
実は観ていない
刹那に訪れる正気の断片
見逃してごめんなさい