『冬は一緒に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
真っ白の雪景色の中を白サギが飛んでた。
冬は景色と一緒になるんだねえ。
「冬は一緒に」
【冬は一緒に】
寒がりな君と、暑がりな僕。
「かっちゃん、一緒に寝てもいい?」
年中ずっと一緒だけれど、一番寒さが厳しい冬は、特に四六時中一緒に居る。
「もちろん。今日も寒いね。」
枕と湯たんぽを抱き締めて震えている君が愛おしくて、上掛けを捲る。
「ありがとう!」
捲った所より下に湯たんぽを素早く入れ込んで、枕をセットした君が飛び込んでくる。
「…寒くないの?かっちゃん。」
心配そうに見上げてくる黒い瞳。
「カズくんが居ると、大丈夫。かな?」
独りだと寒いのは本当で、ふたりだと暖かいのも本当。
「えへへっ。なら、嬉しい。」
身体が温まってくれば、寒がりな君にも眠気が来て、ふたりして夢の中。
「冬は一緒にデートしない?」
「いいね! それじゃあ行きたい所があるんだけど…」
なんて話で盛り上がってた半年前がつい昨日の出来事のように思い出してしまう。彼女は冬を迎えることなく散ってしまった。
49日を終えた昨日を経ても実感が湧かずにただ何もせずに過ごしていた。ほこりの漂う空間よりも心が晴れないことに憂いを覚えていた。そんな空間が心地いいかと言われるとむしろ悪いと答えたいくらいの酷い環境だった。
少しばかりあずましくないので雪の積もる歩道をただ目的もなく歩き回っていた。
彼女が出来なかったことを僕が叶える。
希薄な望ではあった。私は…。僕だっけ?
どつでもいいや。さよなら
冬は一緒にお鍋でも食べて温まろう。
その方が一人でいるよりきっと楽しいから。
─────『冬は一緒に』
煤まみれの足跡が点々と続いている。
底冷えのする冷たい雪の寒さが、冬の朝を包む。
飯を炊いた竈には、汗が光っている。
火かき棒で、灰を掻き出す。
もったりと乾燥した黒いさら粉が、こんもりと山になる。
開け放した扉から見える雪とは、全く反対の質感だ。
昔から、この灰を見ていると雪に落としてみたい気持ちがうずうずと湧いてくる。
しかし、いつもそれを諌めるように、北風が吹き付けてきて、断念する。
今日も、冬の風の寒さに思わず体を丸めて、慌てて竈の片付けを再開した。
冬の土間は冷える。
こういう山奥の木造一戸建ては特にだ。
あらかた灰を掻き終わったので、火かき棒を置いて、竈の上の鍋を開ける。
白い米をしゃもじでかき混ぜて、味噌汁におたまを落とす。
ぽしゃん、おたまの丸い部分が音を立てる。
湯気が上がる。
朝飯の香りがふわふわと広がる。
朝が来るまで竈に潜っているほど寒さに弱いのに、この山で暮らしているとは、大した根性だ。
山奥に続く煤まみれの足跡を眺めながら、うちの竈猫に感心する。
姿を見たことは一度もない。
奴は冬にうちの竈に必ずやってくるが、こちらにはいつも姿を見せない。
白飯を盛った椀に、味噌汁をかける。
雪の降った寒い朝の土間で、こうやって食べる朝飯が一番美味い。
ばあさんが存命していたなら怒られそうだが。
土間に突っ立ったまま飯をかき込みながら、三年前にいなくなったばあさんのことを思い出す。
街出身だというのに、毛皮と蓑でおしゃれなど思いつかない粗暴な暮らしにも動じない、変わった奴だった。
大雑把だが、三度の飯と睡眠にだけはまめで、朝起きてみれば、もう温かい飯が炊いてあって、鍋に豆腐を手でちぎって投げ入れながら、ハキハキと朝の挨拶をしていたものだ。
早起きだったから、奴はうちの竈猫と顔を合わせたこともあったかも知れない。
…そもそも、うちに竈猫が来ていると発見したのは、ばあさんだったような気がする。確か出汁をとったいりこをやったのだ、なんとか言っていたような。
つまり、儂とあの竈猫は、共にばあさんに餌付けされていた同じ穴ならぬ同じ釜のムジナなわけだ。少なくとも冬の間は。
起きるのが遅い儂には、竃猫の奴が生きているか知れるのは冬しかない。
冬の煤の削れ具合と、雪に残された煤の足跡にしか分からない。
竈猫にほんの少し置いてやる残飯も、食っているのは鼠か猫か虫か、すぐに奥にこもってしまう儂には分からない。
儂と竃猫の奴は、お互い独り身なのだ。
お互い、今は、あくまで一人でいたいのだ。
冬は一緒に越すが、それぞれ一人。
それが、儂と竃猫の距離。
飯を食べ終わる。
味噌汁のおかげでつるりと空になった椀だけが残る。
儂は椀を上り口に置いて、しゃもじとお櫃を準備する。
飯を移して冷ましておこう。
一人分はあの竈猫に。
あとの分は握って昼飯に。
儂と竃猫は、冬は一緒に越す。
お互い寄り添うことはなく、でもお互いの生きている余韻は感じながら。
ばあさんを思いながら。
儂は今年も、顔も知らない竈猫と一緒に冬を越す。
イルミネーション
白いホールケーキ
大掃除
お節 雑煮
初詣 節分
一人きりは気が楽だけども
これらの時には
誰かがいてくれたらとか
少し 考えてしまう
棚に飾っている
好きなアイドルやキャラクター達を
ちらっと 見る
多分 今年も
君たちと一緒だ
最近買ったあのグッズと一緒に
並べて撮ろうかな
【冬は一緒に】
寒い。冬は端的に嫌い。若くないからだと思うが。最近はこうして文字でする自慰すら殆どしなくなった。一年中暖かい夏の国に憧れる。行った事はないがフィリピンとか。ハワイとかもずっと夏なんだっけ?自分を探してたり決めてる頃は冷たい風に吹かれたり体に悪い煙草が寒くて尚旨いなんて笑ったけどもう昔話だ。嬉しいも気持ちいもむかつくも薄味か無味無臭にすら似てきた。寒さはね ... だから砂糖抜きのショートケーキを齧ってしまった気分にも近い。相変わらず自分は友達って作らない人だから特にね ... 差別ありきの慮い遣りや正義ってやつのニセモノって事実がどうにも嫌いでね。焚き火みたいな暖かさには思わず有り難みを感じるが誰か他の人が並ぼうとすれば邪魔するのもごめんだし立ち去る。はあ、早く過ぎ去らないかなあ冬。
18
「寒いッッッ!!!!!!」
大きく山のように丸く膨らんだ毛布から渾身の一声が聞こえた。
「おい、そろそろ起きろ。せっかくの休日が台無しになるぞ」
ゆらゆらと湯気が立ち昇る珈琲を一口飲みながらそう声を掛けてみるものの、毛布山はモソモソと動いたのみで、一向に中身が出てくる気配は無い。
俺はマグカップをテーブルの上に置くと、一度小さく溜息を吐きながら毛布の山へと近付いた。
「―――ほう。俺を無視するとは良い度胸だ」
俺は一言そう言うと、毛布山めがけて思い切り回し蹴りをお見舞いした。
山の奥から「ぐえっ」という奇声が発せられる。
「痛ェじゃねーか!何すんだよ!!」
そう叫びながらようやく出てきた大男は、肩程まである黒髪を掻き上げながら俺を仰ぎ見た。
俺は「ふん」と小さく毒づき、男の額に人差し指を立てる。
「翔(かける)がいつまでも起きないからだろう。先週は風邪のせいで何もできなかったからな。今日こそはやるぞ」
「やるぞ…って、まさか……七星(ななせ)お前…」
翔がゴクリ、と喉を鳴らしながら毛布を退かし立ち上がる。
俺は縦に頷き、腰に手を当てた。
「そうだ。今日こそはやるぞ―――年末最後の禊…大掃除を!!!!」
―――
「嫌だ…やりたくねーよう…なんで大掃除と冬はセットみたいになってんだよ…寒いんだから冬と一緒にじゃなくてもいいじゃねーか…春秋くらいが丁度いいのに…」
「文句を言うな。やらなければ終わらないだろう。念の為言っておくが大掃除が終わらなければ他の全てはお預けだからな」
二人で掃除を分担しながらも、この期に及んでまだ及び腰の翔に俺はちくりと一言刺しておく。
「何だと…!?全部、お預け……!?」
其れは困ると言わんばかりに翔は窓を必死に拭き始めた。
「…それにしても」
俺は塵取りに溜まった埃を見、溜息を吐いた。
「一年でこんなに汚れが溜まるんだな」
「そう、だな」
キュッキュッと心地良い音を立てながら翔は答えた。
「ま、でもそれだけこの家で俺と七星が過ごした色んな想い出も沢山あるって事だな!!」
「…っ!」
俺は己の顔が熱くなるのを感じて思わず下を向いた。
「お?七星、お前照れてるのか?」
「…っ!煩い!さっさと終わらせるぞ」
今年の冬は、君と一緒に。
空を見上げると、白く冷たいものがちらついていた。道行く子どもたちは大興奮。私の隣を歩く君はまだそれが何か分からない様子。
次の日、積もった雪で君と共に雪だるまを作った。
冬は一緒に雪だるまを作った思い出が蘇る。素敵な思い出。
Y
〜冬は一緒に〜
冬は一緒に楽しもう
温かいもの食べて
冬ならではのことやって
綺麗な景色見て
冬を楽しんじゃおよ
どんな時にだって魅力はあって
些細なところに楽しさは転がってるから
見えなくなってきたらちょっと休んでさ
ありのままの自分でいよう
止まってるように見えても進んでいる
必ず移り変わるから
それは季節のように
だから大丈夫だよ
今の自分を生きていこ
幸せになるために一緒にいるんだ。
1日でも多くそばにいたい。
毎日あれやってこれやって軍隊みたいで。
たまに、思い出そ?
日本人として この日本に生まれ
日本の正しい教育を受けて育ち
優秀な日本人達に囲まれて暮らし
生涯を掛けて真面目に学習し
"正しい日本語" を完璧にマスター出来た人は
果たして何人居るだろうか?
いや、一人でも居るのだろうか?
俺なんてもーいーとしのおとな?
なはずの年齢だが
いまだに 日本語が覚束無い!
美しい日本語を喋れる人に成りたいけど
多分 ムリ
死んでから頑張るしかなさそうだ。
吐く息の白さにうっとりと目を閉じる。
そんな日は家に帰るのがいつもよりも待ち遠しい。
枯葉達のダンスに心弾ませ、耳たぶを突き刺すしんみりした冷たさを存分に味わう。
さぁて、いよいよ待望の帰宅だ。
いそいそと六畳半にでんと陣取る我らが主役に身体を潜らせる。
嗚呼炬燵、嗚呼炬燵。
季節限定だけど今年もずっと一緒だよ。
寒くなって来たなと思ったら秋が終わって暖かくなってきたなと思ったら春が来る。普段は季節はあんまり気にしてないけどふと空を見上げたり新しい服選んだりしてる時はやっぱり楽しいよね。
冬は一緒に
冬は雪だけじゃなくて
寒さと
暖かさの存在と
わくわくする気持ちと
何となくの切なさと
そういうものを一緒に連れてくる
【裏山に 名前がなくて 裏の山】
「冬は一緒に」子供たちと雪だるまを作るのが楽しみです。森のくまさんや、砂漠のらくだに見せられないのは残念です…
毎年、冬になると私は色々なことを台無しにしてしまう。今まで描いた絵を破り捨て、友人の連絡先を削除し、仕事にも行かなくなる。
そうしてなにも無くなったとき、私はようやく前向きな気持ちになれる。
繋がりがきれたら存在してないのと同じ。
私は存在しなくなることで、どこにでも行けそうな気がする。
「影」のことが好きになれる。
影は笑いながら私に付きまとい、動きを真似する。
「君は全てを失ったとしても独りではない。」
影は言う。
「人間は生まれたときから2人なのだから。」
あ アイスの美味しい季節
い は?
あ 溶けないしさ
い こたつでみかんでしょ
あ みかん高いしさ…
い ふむ…こたつでお茶とか
あ 外でアイスだって
い 出たくない
あ あ、ラーメン行くかなぁ
い …もう、仕方ないなぁ…
『冬は一緒に』
「これやるよ!」
緑色の手袋…
大好きだった人からもらった手袋
学校に行く時はもちろん…
授業中も制服のポケットに入れて
時々触れた…
気持ちが温かいと、ただの手袋が
まるでカイロみたいに温かく感じた
作業用みたいな色つき手袋は
おしゃれとは程遠かったけれど
冬は一緒に何年も過ごした
月日は流れ…
大好きだった人とは結局、縁がなく
片思いで終わった
一度で良いから、緑色の手袋を付けて
手を繋ぎ貴方の隣を歩きたかったなぁ…
また、寒い冬が来た…
思い出によく似た緑色の手袋
でも探してみようか…
【冬は一緒に】
彼女は家族との相性が悪く、自分を守るために距離を置くと決めて、実家を出てきたという人だった。
「母によく言われてたよ。『ひとり暮らしは寂しい』『家に帰っても誰も居ないなんて耐えられない』『あなたには絶対に無理だ』って」
でもねぇ、と彼女は苦笑した。
「全然そんなことなかった。引っ越して初日の夜、部屋にひとりきりで、私が何を感じたと思う?」
わからない、と私は正直に答えた。
「『ああ、良かった』って思ったの。『これで自由だ』『やっとひとりになれた』『開放感が素晴らしい』って。『寂しい』なんて気持ちは本当に少しもなかったなぁ」
「でも、たまには寂しくないですか?」
「そうね。具合が悪い時とか、ちょっとだけ。それでも、実家に居た頃に比べたら……」
親も子もお互いを選べない。確かに、合わない組み合わせというのもあるのだろう。残念なことだが。
「あとはね、暖房って、人が居ないと効きにくいんだなって思ったよ。36度の発熱体がそこに居るってだけで、室温って上がるんだね。家賃が安いのはいいんだけど、建物が古くて無駄に広いから寒くって」
灯油を使うファンヒーターやストーブは使用禁止らしく、現在、暖房はエアコンだけで頑張っているらしい。
「たぶんエアコンの性能が部屋の広さに合ってないんだよ。なかなか設定温度まで上がらなくてさ。こたつを買うか迷ってるけど、あれってその場から動けなくなるじゃない」
「えっと、じゃあ……今度、よ、良かったら、遊びに行ってもいいですか?」
かなり緊張しながら聞くと、彼女は一瞬だけきょとんとした。
「ほら、あの。私も一応36度の発熱体なので。少しは、部屋、暖める手伝いになりますよね、たぶん。だから、その。この冬は一緒に鍋でもしませんか。食材は持って行くので」
もっとしっかりとわかりやすく喋るつもりだったのに、しどろもどろになってしまって、私は赤面した。
「あ、でもでも。もちろん、もし、誰かを部屋に入れるのが嫌なら、場所は、私の家でもいいんですけど……」
我ながら必死すぎて格好悪い。でもずっと、彼女とはもっと親しくなりたいと思っていたのだ。
彼女がくすっと笑った。
「いいね、鍋。鍋自体も発熱体だし、きっと暖かいよね」
どうやら嫌悪感は持たれずに済んだみたいでホッとした。
「けど……うちにはカセットコンロとかないからなぁ」
「あ。それなら、私、卓上IHヒーター持ってます」
「本当? 持ってきてくれる?」
それは、私が彼女の家に行ってもいいってことだ。そうだよね?
「もちろん。持って行きます」
「じゃあさ、食材は一緒に買い出しに行こうよ。スーパーが近いから買い物は便利だよ」
「そうしましょう、ぜひ」
彼女が『無駄に広い』と言った部屋は確かに広くて、元は家族用の間取りだったのだろうと思った。水回りなどはリフォームされていたものの、あちらこちらの雰囲気から建物の築年数が察せられる。
だけど、どういうわけだか居心地が良くて。私はすっかり彼女の家に入り浸るようになってしまった。
「誕生日、近いですよね?」
どんなものを贈ればいいか思い付かなくて、私は思い切って彼女に直接聞くことにした。
「何か欲しいものはないですか」
「そうだなあ」
彼女はいたずらっぽく笑った。
「ね、そろそろ敬語やめない?」
「え?」
「プレゼント、今年はそれでいいよ」
それは、まあ、構わないけれど。
「流石にそれだけじゃあ……」
「じゃあさ、あの卓上ヒーター。あれ、便利だよねぇ」
「わかりました。同じやつ探します」
「敬語になってるよ?」
「まだ誕生日じゃないので、当日までは」
ちょっとすぐには切り替えられなくて、私はそう言い訳をした。
「わかったよ。そういうことにしてあげる」
家族とは一緒に居られなかった彼女が、私とは一緒に過ごしてくれる。そのことに、私はなんとなく安堵している。