冬のはじまり』の作文集

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冬のはじまり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

11/29/2024, 8:42:21 PM

お題→「冬のはじまり」

私たちが付き合って3年目の冬。「それ」は突然訪れた。
「もうすっかり寒くなって冬らしくなってきたね。」
「そうだね。」
そんな会話をしながら、私たちは帰り道を一緒に歩いていた。
「今年のクリスマスとかお盆は何して過ごそうか。」
私が、笑顔で貴方の方を見ながら聞くと貴方は、悲しそうな顔をしながら口を開いた。
「ごめんね。私はクリスマスまでしかあなたと一緒に居れないの。」
そういった彼女は今にも消えてしまいそうだった。
私は、彼女が言った言葉の意味を理解出来ず戸惑ったが、戸惑いを隠すように笑顔を作り貴方の手を握りながら言った。
「またまた!そんな暗い冗談言ってどうしたの?もしかして何か嫌なことでもあった?」
そういうと貴方は少し驚いた顔をした後、私の手を強く握り返して来た。
「ううん。なんでもないの。今度書こうとしてる小説にこういうセリフどうかなっていきなり思い出して言葉にしちゃったの。」
そういうあなたに対して私は
「そうなんだ。あ!次の小説も楽しみにしてるね!」と返すことしかできなかった。
その後の帰り道は2人とも手を繋いだまま家に帰った。

「 何かが始まれば何かが終わる。」

冬の始まりと共に、私の終わりが近づいていると感じた。きっとあなたは沢山泣いてくれるだろう。
でも、私はあなたの涙を見るのは嫌だからこんな終わり方を選ぶしか出来なかった。ごめんね。
ずっと、あなたの事が大好き。誰よりも大好き。

でも、安心して。私はあなたであなたは私だから。

11/29/2024, 7:45:12 PM

「新田さんは、何で冬のはじまりを感じるタイプ?」
 高校からの帰り道、俺が訊くと、
「え、と。私は……」
 真剣に考える。うーんと、悩んでいるから、
「俺はね、コンビニの井村●の肉まん機のメニューが増えるのと、おでんが出ると冬だなアって思う。コロナで、おでん置いてるの減っちゃったけど」
そう言うと、あ、そうだねと微笑む。
「昔はレジ脇にあったね。ちょっと食べたいとき、買うの。好きだった」
「タネはなにが好き?」
「たまご」
 可愛い。もー何を言っても可愛いぞ。委員長は。
「俺はこんにゃく」
「ふふ。美味しいよね」
 放課後セーター事件で、俺たちはお近づきになった。告白はしていないけれど、休み時間とか何となく話すようになって、帰りも一緒にと俺が誘っている。新田さんは断らない。家が同じ方向なのをいいことに、うちまで送っている。
 新田さんは、気取ってると思わないでねと慎重に前置きをしてから、
「空が澄んで星がきれいに見えだすと、冬が来たなって感じる」
 暮れなずむ夕空を見上げて言った。横顔が薄紫の西日に照らされて、きれいだなと思う。
「そうだね」
 あ、一番星、と俺が指差すと、自分の息が白いことに改めて気づいた。
「間宮くん、あの」
 ややあって、新田さんが切り出した。おそるおそる。
「あの、いつも送ってくれてありがとう。……あのね、お礼したいんだけど、今度手袋とか編んだらもらってくれる……?」
「手袋」
 手編み? ってことは、手作り?
「そんな、お礼とか気にしないでいいけど。でも、いいの?」
「手編みとか重いかなって思うんだけど、私、それぐらいしか特技なくて。しかも五本指のじゃなくてミトンだけど」
 あわあわと、早口になる。ミトンってなんだ? 新田さんは宙に指でシルエットをなぞった。
「こういう、なべつかみみたいな」
「あー、あれか。もちろん、嬉しい。すげえ嬉しいよ。新田さんからもらえるなら」
「ほんと……よかった。引かれたらどうしよって思ってずっと訊けなかったの。じゃあできたら渡すね」
 ほっとした様子で歩く足取りも軽くなる。俺はそんな彼女を見て「楽しみだな」と言った。
「あまり期待しないでね。編み目とかがたがたかも」
「うん」
「間宮くん、何色が好き?」
「うーん、青か紺かな」
 今年の冬は、彼女の手編みの手袋ではじまり。そう思うと今から子どもみたいにわくわくした。

#冬のはじまり
「セーター3」

11/29/2024, 7:02:33 PM

口どけのいい小さな四角いチョコを、一粒口に頬張る。

青いマフラーを巻いて、今日も駅に立って電車を待っている。



「冬のはじまり」

11/29/2024, 6:50:50 PM

カートを押して、店内を少し急足で進む。野菜のコーナーで、4分の1にカットされた白菜と、春菊を見つける。ほうれん草も欲しかったが、おばあさんがその売り場の前にずっと居座っていていた。わたしは、彼女の真ん前に立ち、はしたないと思いつつも、体を伸ばして、無理やりにそれを一袋とりあげた。
そして、その場所を迷いなく離れる。おばあさんがこちらを睨んでいるのが、目に入る。こういうことはお互い様じゃないか。
お肉が、スペイン産の方が安いのだけど、子どものころ、外国のお肉の噛んでも噛んでもちぎれないガムのようなのだったという体験があり、日本産を買った。もちろん、薄いしゃぶしゃぶ用のお肉だから、そんな心配はなく、お財布にやさしい方が良かったかもしれないけれど。そこに、鍋の素も置いていた。
冬の始まりにまずはお鍋だ。
ふと、私は思い出したようにレジに向かう足の方向を変えた。
日本酒も買おう!!
冬の楽しみは、風が轟々する痛々しいお外の音を聞きながら、ストーブのあるお家で、あったかくすること。
うん、ごはん、楽しみだな!!

11/29/2024, 6:46:48 PM

冷たい風が開いた首元を撫でる。
思わず身震いをして、肩を竦めた。

感覚のない指先が、貴方の体温を求めている。
寒空の下に晒された頬は、貴方を想うと熱を孕む。
悴んだ足は、今にも貴方の元へ走り出しそうで。
白い息を吐き、貴方の名前を呼んだ。

寒さを理由に、貴方の熱で温めてもらうの。
冬のはじまりは、貴方の胸の中で迎えたい。

11/29/2024, 6:34:29 PM

一緒に寝たスマホ 翌朝にはキンキンに冷えていて

バッテリーは0 まるで死体 蘇生を試みる

7時を指したまま 動かない時計

今 何時だろう もしかしたら遅刻かも

11/29/2024, 6:33:11 PM

寒いよー💦❄️って
自然にあなたにくっつける
そんな冬のはじまりが私は好き





【冬のはじまり】

11/29/2024, 6:32:31 PM

冬が始まった
始まってしまった

もう少し気づかないでいたかった

気づいたらもうだめだ
急に寒くなってきた気がする
知らないでいられたら
気のせいで済ませることもできたのに

もう明日の気温が気になり始めてきた
これからは明日の気温に怯えて暮らさなければならない
冬が始まったと知ったところで寒いことには変わりないんだから、知らないままのほうが良かった

冬になったということはきっと明日も寒いに違いない
冬になったということはしばらく寒い日が続くに違いない
冬になったということはもう夏ではないということだ
もう認めない訳にはいかないのだ
夏は終わったということを

秋の間なら続けていられた見ないふりも、もう終わりにしなくてはならない
冬が始まった

始まってしまった

11/29/2024, 5:56:41 PM

冬の始まりは、生命の終わりである。
みなが眠り、二度と目を覚まさない者だっている。

それは悲しいことだと、私は思っている。

だが、その代わりに冬が終われば春がやってくる。

春がやってくればみな眠りから覚める。
新しい命が芽生える。

だから、頑張って欲しい。
今は辛くても、耐えていればいつか過ぎ去る。

あなたの冬がいつ終わるかの確証はない。

でも終わりは必ず来る。
それが摂理だ。

だからもう少し待っていて欲しい。

イキシアの咲く頃まで。

【冬の始まり】

11/29/2024, 5:53:39 PM

最近寒い日が多い。

雪が降った日もあった。

いよいよ冬だなぁ〜って思うと何と無く気分が上がる。

手に息を吹きかける。

少し手が痛くなった。

真っ赤になった手を自分の首元に当てながら「はー」っと息を吐く。

口からでた白い息は直ぐに見えなくなった。

空を見上げる。

今日も快晴だ。

                            ー冬のはじまりー

短いの多くなりそうです。あと、出来るだけ書こうと思ってるので、毎日覗いてくれたら嬉しいです。

11/29/2024, 5:46:18 PM

冬のはじまり あったかお鍋♡
心身温めてくれますよね!
五感を意識していただくと 何とも豊か!
美味しくいただける喜びを 心で感じて
是非 召し上がれ♡
幸せは当たり前の日常の中にある

11/29/2024, 5:44:19 PM

朝、家を出た時はまだ平気だったような気がする。
道端に設置された自動販売機の横、羽織ったアウターの防寒性に疑問を抱きながら、丸い外灯の光をぼうっと見上げていた。スーツの下の腕や脚の表面が、寒さにじんわりと鳥肌を立てている。

ああ、でも、朝は太陽が出ていたからか。日が落ちてしまえば、冷えた空気を温めるものは人工物の他には何もない。常に最適な室温を保ってくれる空調設備とはかくも偉大なものだったのか、と文明の発展に改めて感謝の念を覚えた。
縁のところを爪の先で引っ掛けてぶら下げていたドリンク缶を、片手にしっかりと持ち直す。それだけで指は、手のひらは、ずっと上着のポケットに突っ込んでいた方の手よりも簡単に温かさを得ることができた。
取り出し口から出てきた瞬間は、一度手を引っ込めてしまうくらいには熱かったけれど、なんて、素手で掴んだ缶を見やる。

吐いた息はまだ白い煙として可視化されることはないが、確かに季節は移ろっていて。
仕事や生活に夢中になって、ほんの少し景色を見逃せば、あっという間に月日は過ぎ去っていく。こんな風に、例外的にふと足を止めた時、ようやくそのことに気がつくのだ。
なんだか感傷的な気分に浸ってしまうのも、露出した耳を赤くなりそうなほど冷やすこの寒さのせいか。
カッ、カッ、と音を立てるだけの空振りを数度繰り返して、これ以上ぬるくならないうちにとプルタブを開けた。

「何飲んでんの」

路地とは言えないまでも、ここは人通りの多いような道ではないからとすっかり気を抜いていた。
大した思考にふけるわけでもなく、星一つない暗い空を、町並みと明かりをただぼんやりと目に映し、缶の飲み口を唇に付けていたところを、突如真横から聞こえてきた声に引き戻される。
思わず顔をそちらに向けたものの、冷静に考えれば私に掛けられたものだとは限らない。瞬時にそう思いなおしたのだ。が。
こちらを見上げる、つんとした顔の少年と目が合った。

「え」

「だから、何飲んでんのって」

困惑をあらわに声を漏らす私に対し、少年は声色に若干の不満を滲ませて同じ質問を投げかけた。
知らない顔。周囲に友人らしき子の姿はない。
制服姿にリュックサック、近くの学校のものだろうか。この辺りは地元でもないため詳しくは知らないが。
ここまで明確に話しかけられている以上、無視するのもなんだかなぁ、と彼に向けて冷めた缶を軽く振ってみせる。

「スープ」

既にもう残り半分を切ったそれは、正確に言えばシチューだった。 少年は眉をひそめながら、その見るからに温かさを売りにしている暖色系のパッケージに視線を移す。彼の指先が、自販機のダミーラベルの中でも右下のあたりを指した。

「それって、これのこと」

「そうだけど」

寒さの目立つこの季節が近付いてくると現れ始める、いわゆる変わり種。それらを購入するのは、いつからか私の僅かな楽しみになっていた。
たまに見かける、よく分からないスイーツ系の飲料や適当なものと混ぜた炭酸ジュースと比べて、スープ類は美味しいものが多いような気がする。
大体同じような位置に追いやられているとはいえ、メーカーの本気度が違うのか。
外気に晒された手指の先がかじかむ頃、冷たい空気を吸って体の芯が震え始める頃、これ一本でどちらの感覚も温もりで満たしてくれるのだからありがたいことだ。そう思いながら、すっかりそのありがたみが薄れた中身を流し込む。細かな具材が微妙に缶の中に残ってしまったが、今の私に彼らを救い出すすべはない。
たったそれっぽっちのことに、少しばかりの無力さと名残惜しさを覚えた。

少年は薄暗がりのなかで煌々と光る商品一覧を眺めてしばし迷うように指をさ迷わせていたが、結局ホットカフェオレのボタンを押したようだ。
人に聞いたくせに買わないのか、と心の中で突っ込んだものの、結局は赤の他人の選択だ。横目で少年がペットボトルを取り出す様を見届けて、そろそろ立ち去ろうと寄りかかっていた壁から体を離す。

「おば……お姉さんはさ」

まさか会話が続くとは。
少年は指先の冷たさを溶かすように、購入したカフェオレを両の手で包み込んで私の横に立った。

「さっきまで何してたの」

夕方と呼べなくもない時刻。夜みたいな顔をして町を覆う暗い空には寂しさを感じる。どうせ、家に帰ろうと誰も待ってなんかいないわけで。
なんとなく。
こちらに視線を向けるわけでもなく、ただ淡々と、何気ない雑談として聞かれた質問に少しだけ付き合うことにした。

「特別なにかしてたってわけじゃないけど。強いて言うなら、考え事してた、かな」

「何を」

「寒いなぁって」

「思ってたより中身ないんだね」

なにひとつ返す言葉がない。呆れたような笑い声を零しながら、生意気な少年はペットボトルのキャップを捻る。

「君は。学生の下校時間には遅いけど」

「そうかな。部活とかあったらこんなもんでしょ」

そう言われればそうだったような気もするし、自分はさほど熱心にクラブ活動に勤しむタイプではなかったために、現役学生の言葉には納得せざるを得なかった。
ふぅん、と頷いて、近くのゴミ箱に空き缶を捨てる。
日が短くなったせいで、視覚から想像する時間帯が頭の中のイメージとずれているのかもしれない。午後五時の風景だって、今の時期じゃあ夜の景色とそう変わらない。

「もう冬だなぁ」

ポケットに両手をしまい込み、なんとはなしに雲の広がる空を見上げてはそう呟いた。
遠くで飛行機のライトがたった一つ、星のように点滅しているのが見える。UFOだと思い込んでいた幼い頃を思い出した。
肩に掛けていたバッグの紐がずり落ちそうになって、元の位置に直す。

「冬なら。雪、そのうち降るかな」

「さあ。それはまだ先かもね。好きなの、雪」

「いや別に。冷たいだけだし、滑るじゃん」

子供らしくない理由の否定を述べながら、少年は早くもカフェオレを飲み干した。底の方に溜まったままの濃い茶色を、ほんの数滴ほどしかない飲み残しに溶かすみたいにペットボトルを揺らしている。
話しかけてきた時からあまり変化のない無愛想な表情で、彼は私に釣られるように空へ視線を移した。

「いつもここにいるの」

「いつもじゃないよ。今日はただ、普段より早く仕事が終わって……たまに、こうやって好きな飲み物買ってさ、ぼーっとする日があるっていうだけ」

家に比べれば身体が休まることはないけれど、大切にしたい時間ではあった。時折足を止める必要がある。
社会に情緒やら感性やらを持っていかれないように。
でなければ、季節の移り変わりも周期的な環境の変移として流したまま一年を終えてしまいそうだから。
それは、人生の使い方としてなんだかもったいない。と、思った。

「次はいつ来る?」

「えぇ。そう、だね」

予想外の質問に戸惑う。何を考えているのか、少年は
こちらをじっと見つめている。

「雪、が。降ったらかな。そうしたら、多分また来るよ」

その頃には、自販機に並ぶスープのラインナップも変わっているかもしれない。駅やショッピングモールみたいな施設にあるような、利用者が多い場所のものではないけれど、もしかしたら。
少年からペットボトルを受け取って、代わりにゴミ箱へ捨てる。
もう熱をもって私たちを温めてくれるものはなくなった。ここに留まる理由も。

「じゃあね。風邪ひかないように気をつけて」

無言で別れるのも違う気がして、友達にするみたいに微笑んで軽く手を振った。

「うん。じゃあね」

素っ気なく、けれど少年からも確かに手を振り返され、また寒さを訴え始めていた身体がほんの少し気にならなくなる。
もしもこの先の日、お互いが今日の話を覚えていたのなら。今度はまた違う飲み物でも勧めてみようかなと考えた。雪に凍えた手を瞬時に火傷させるような、あったか〜い缶のやつでも。


【冬のはじまり】

11/29/2024, 5:33:17 PM

冬のはじまりを感じる寒さ。
体を突き抜けていく風が
耳や鼻や手を冷たくする。
空を拭くこの仕事。
夏は別に大丈夫だけど
冬はちょっと寒い。
縁も拭かなきゃだから、
じかんもかかるしね。
そのキンキンに冷えた手を
お風呂の中に一気に入れるのが好き。
足は直ぐに冷める。
週末だって浮かれてたら怪我しちゃう。
目をつむったら、
すぐ寝れちゃうかもね。
私は予知や予言を信じるタイプだから、
来年の災害は信じてる。
でも逃げ場なんてどこにもないし、
知り合いと出会えるかもわからない。
"Good Midnight!"
と言って
寒い夜を過ごすかも。
とりあえず
空を吹くお仕事で
誰かの心を晴れにできたなら。

11/29/2024, 5:25:48 PM

長袖の安心感と引き換えに、視える君の範囲が狭まると思うと少し残念です。君の何もかもを視えていたいから、それをどんどん覆ってしまう冬は少し憎らしいが、白い息を吐いたときに君もちゃんと呼吸をして生きていることがわかった、ただそれだけはよかった。

(冬のはじまり)

11/29/2024, 5:18:31 PM

『冬のはじまり』

「寒いね」と言う君の手をとる。

喋ることもなく、そのまま手を繋いでいた休み時間。

何食わぬ顔してたけど、

全神経は手に集中してたんだよね

11/29/2024, 5:02:38 PM

シンと静まり返った暗い夜道

乾いた、どこか懐かしい澄んだ空気の匂い

雪虫が飛んでいた

朝、息を吐くと白くなる

「冬の始まり」を感じる瞬間だ

11/29/2024, 4:58:12 PM

「冬のはじまり」

冬のはじまり、
外に出た瞬間、寒さが突き刺さる。
「お、これが冬か!」と思うけれど、
思ったよりも冷たい風にびっくりして、
慌ててコートをしっかり閉めるけれど、
それでも寒さがじわじわと染み込んでくる。
「いや、これ絶対コートの意味ないじゃん!」
とツッコミたくなる自分がいる。

空を見上げると、
雪が舞い始めて、
「雪だ!やった!」と思うけど、
顔に雪がピシャっと当たって、
「うわっ、これ、冷たすぎ!」
でも雪の冷たさすら、少しだけ気持ちよく感じる。

歩きながら、
雪が降り積もる地面を踏みしめる音に、
思わずテンションが上がって、
「うわ、雪って踏むとこんな音するんだ!」
と子どもみたいに感動して、
そのまま無駄に歩く速度が速くなる。

でも、帰る頃には靴の中に雪が入って、
足がビショビショになってることに気づく。
「これが冬の洗礼か…」と、しばらく立ち止まるけれど、
結局そんな自分に笑ってしまう。

家に帰って暖房をつけると、
「温かい!」と感じながらも、
すぐにコタツに吸い込まれて動けなくなる。
それでも、寒さを感じるたびに、
どこかホッとする自分がいるから不思議だ。

冬のはじまりって、
寒さに振り回されるけれど、
その中に意外と心地よさがあったりして、
なんだか好きになってしまう瞬間がある。
あっという間に慣れて、冬が自分のものになっていく。
それが冬の面白さかもしれない。

11/29/2024, 4:55:14 PM

寒くなった。
路面が凍った。
雪が降った。
冬のはじまり

11/29/2024, 4:51:15 PM

僕の名前は、杉下 健太。
 二人しかいないゲーム研究部に所属しているんだ。
 内訳は、誰もが認める絶世の美少女である部長と、何の変哲もない僕の二人だ。
 活動内容はゲームの研究――ではなくゲームばかりしている実に退廃的なクラブだ。

 もちろんゲームばかりしている部活に、予算を出す学校は無い。
 なので、遊ぶ合間に適当にでっち上げ、レポートをネットに発表するなどして誤魔化している。
 なぜかそれがネットで受けて、一部の界隈で有名になってしまったのだが……
 まあ、そんな感じで楽しくやっていた。

 にもかかわらず、ウチには部員が二人しかいない。
 たまにあるレポート制作を除けば、天国のような環境なのになぜなのか?
 それは、現部長に原因がある。

 この部活は古くから『部の中で一番ゲームがうまい奴が部長』という、体育系も吃驚のしきたりがある。
 で、前部長が引退した際に、現部長が勝ち残り就任したわけだが……

 けれど、他者を圧倒するほどのゲーマーは、得てして変人である。
 現部長も例外じゃない。
 さらに部長は変人の多いゲーマーの中でも、特に変人の部類。
 『作業ゲー』と呼ばれる、多くの人が苦痛と感じるゲームが大好きなのだ。
 部長に就任してからは、部員たちに作業ゲーを押し付けるようになった。
 それに嫌気が差した部員たちは、一人また一人と辞めていった……

 前部長も『クソゲーが好き』という、とんでもない変人であったが、『自分は変人である』ことを分かっているタイプの変人であったので、そんなトラブルは皆無。
 それに対し、現部長は自分を『普通よりゲームが好きな、どこにでもいる少女』と固く信じているので、善意で『作業ゲー』を周囲に押し付け、部活を崩壊させてしまった。

 そんな流れで、部長以外には僕だけが残っただけなのだが……
 僕が研究部を辞めずに、残っているのには理由がある
 実は僕、部長の事が好きである。
 研究部に入ったのも、お近づきになりたいからで、今回の事件も『二人っきりになれば、いいムードになるかも』という下心で残っている。
 もっとも、部長はゲームバカなので、そんなムードになった事は無いけど……

 話が長くなったけど、僕がゲーム部に所属しているのはそう言ったわけ。
 そして今日も、研究部の部室にやって来た。
 『部長と仲を深められるといいな』という微かな希望を胸に、僕は部室の扉を開ける

「こんにちは」
 僕は挨拶しながら部室に入って、すぐゲームをしている部長の姿を認める。
 僕が来たのは気づいているのだろうが、返事が無い。
 明確に無視されたのだが、いつもの事なので気にしてない。

 なぜならゲームに忙しい部長は、挨拶を返さないのだ。
 僕はカバンを机の上に置いて、部長の隣に座る。

「何やっているんですか?」
「……見たら……分かるでしょ……テトリス……だよ」

 部長はモニターから目線を外さず、質問に答えてくれる。
 たしかに部長の言う通り、テトリスには違いない。
 けれど、テトリスとは思えない光景が広がっていた。

 ブロックが異常な速度で落ちて積まれていき、そして積まれていたブロックが異常な速さで消えていく。
 はたから見て、一体に何が起こっているのか分からなかった。

 テトリスはスコアが上がるごとに落ちる速度が上がると聞いたことがある。
 けれど、目に見えないほど早くなるのは、始めて見た。
 そしてそれに対応する人間も始めて見た。

 ……もしかしたら部長は人間ではないのかもしれない。
 そう思うと、急に部長が恐ろしいもののような存在に見えてきた。

 とそこである事を思い出す。
 そういえば、昨日も部長はテトリスをやっていた。
 僕が帰ろうと誘った時も『いいところだから、先に帰ってくれ』と言われたのだが……
 気のせいか、昨日いた時の位置と変わってない気がする。
 ゲーマーは、ときには徹夜することもあるが、もしや……

「部長、もしやと思いますが、昨日は寝ましたか?」
「……たくさん……寝たよ……」
 嘘だ。
 部長の目の下には、濃いクマが出来ていた。
 このゲーム狂、間違いなく徹夜である。

「寝ましょう!」
「……だめ……いいところ……だから……」
「中断しましょう!」
「……だめ……勢いが……なくなる……」
「この前、徹夜ではやらないって約束してくれましたよね」
「……でも…手いいところ……だったから……」

 うん、知ってた。
 僕が少し諭したくらいで、この人が寝るわけがないんだ。
 多分、これ以上言葉を掛けても、部長は態度を変えることはないだろう

 という訳で実力行使である。
 僕は椅子から立ち上がって、ゲーム機へと近づく。
 ゲームの電源をシャットダウンして、むりやりゲームを止めさせるんだ。
 言っても聞かないのだから、強硬な手段に出るしかない。
 僕のその意図に気づいたのか、部長が怒気をはらんだ声で僕を怒鳴る

「……杉下くん!
 ……何をする……つもりなの!」
 僕は振り返って、部長をまっすぐ見る。

「ゲームの電源を切ります。
 言っても聞いてくれなさそうなので」
「言ってるでしょ!
 今いいところなの!
 勢いがあるの!
 だから――」
「切りますね」
「待ってあと五分待って五分で終わるからここまで続いたのは初めてなの奇跡なのいいところなのだからもう少しやらせてこの奇跡を終わらせないで――」
「ダメです」
「あっ」

 はい、強制終了。
 これでゲーム終わり、良い子は寝る時間だ。
 部長はショックのあまり、その場に立ち尽くす
 
 僕だっていいところで中断される辛さは分かる。
 けれど徹夜はしないって約束を破ったのは部長の方なんだ。
 僕は悪くない。
 僕が責任転嫁している間も、部長は未だにモニターを見つめていた。

 なにも言わず、動かず数刻……
 やりすぎたかと思い始めた時のことだった。
 部長はゆっくりとその場に崩れ、床に倒れる

「部長!
 気をしっかり!」
 僕は倒れている部長を抱き起す。
 ちょっといい匂いがする……


 ってそんな場合じゃない。
 僕は部長の容態を見る。
 ピクリともしない
 さすがに刺激が強すぎたのか、死んでしまったのかもしれない。
 普通の人間はそんなことないけど、部長だったらありえる……
 そんな感じでパニクっていると、部長から寝息が聞こえ始めた。

 なんだ、寝ているだけか……
 びっくりした……

 僕は起こさないように(起きないと思うけど)、静かにソファーに運び横たわらせる。
 それにしても寝顔は可愛いな。
 さっきまで鬼気迫る表情でテトリスをやっていたが、絶対にこっちのほうがいい。
 なんども寝落ちした部長を見た僕が言うのだから間違いがない。

 けどちょっと憂鬱なのが、部長が起きた後の事。
 絶対に責められるよね、コレ……
 だって自己新記録を邪魔したもの……

 今までいろいろあったけど、今回こそ絶交を申し付けられるかもしれない。
 この楽しい関係を終わらせないでいられるよう、言い訳を考えないといけないな。

 僕は部長の可愛い寝顔を見ながらそう思うのだった

11/29/2024, 4:48:28 PM

冬の始まりへ
朝6時頃、外に出てふと空を見上げると濃い青と薄い青の間に三日月が見えた。綺麗だと思った。そんなふうに思える朝も悪くないなって思えた。

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