お題→「冬のはじまり」
私たちが付き合って3年目の冬。「それ」は突然訪れた。
「もうすっかり寒くなって冬らしくなってきたね。」
「そうだね。」
そんな会話をしながら、私たちは帰り道を一緒に歩いていた。
「今年のクリスマスとかお盆は何して過ごそうか。」
私が、笑顔で貴方の方を見ながら聞くと貴方は、悲しそうな顔をしながら口を開いた。
「ごめんね。私はクリスマスまでしかあなたと一緒に居れないの。」
そういった彼女は今にも消えてしまいそうだった。
私は、彼女が言った言葉の意味を理解出来ず戸惑ったが、戸惑いを隠すように笑顔を作り貴方の手を握りながら言った。
「またまた!そんな暗い冗談言ってどうしたの?もしかして何か嫌なことでもあった?」
そういうと貴方は少し驚いた顔をした後、私の手を強く握り返して来た。
「ううん。なんでもないの。今度書こうとしてる小説にこういうセリフどうかなっていきなり思い出して言葉にしちゃったの。」
そういうあなたに対して私は
「そうなんだ。あ!次の小説も楽しみにしてるね!」と返すことしかできなかった。
その後の帰り道は2人とも手を繋いだまま家に帰った。
「 何かが始まれば何かが終わる。」
冬の始まりと共に、私の終わりが近づいていると感じた。きっとあなたは沢山泣いてくれるだろう。
でも、私はあなたの涙を見るのは嫌だからこんな終わり方を選ぶしか出来なかった。ごめんね。
ずっと、あなたの事が大好き。誰よりも大好き。
でも、安心して。私はあなたであなたは私だから。
11/29/2024, 8:42:21 PM