『優しさ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
わたしは優しさが嫌いだ。
優しさに甘えられることが嫌いだ。
わたしはあなたに優しくありたくて意識して言葉に優しさを込めているのに、あなたはわたしの優しさを当たり前だとでも思っているみたい。優しくありたいわたしを優しくあれない悪い人にするあなたが嫌いだ。
誰かから与えられる優しさは、その人を気遣う心を麻痺させる毒なのかもしれない。
わたしは優しい人じゃなくて優しくありたい人だって、それだけ分かってほしかった。
(優しさ)
優しさに囲まれて
暖かさに囲まれて
世界は生きて、回っている
その優しさに押しつぶされて
苦しむ人を見ないふりして
「知ってる?『優しい』って半分は誉め言葉じゃないんだよ」
「裏にはね、『頼みを聞いてくれる』とか、『何も言わなくても対応して』とか、『利用しやすい』とか、『押せばどうにでも出来る』とかね、隠れてるんだ」
「だからね、私、君に『優しい人になって』って言えない」
「君を損なわない程度に、人に優しく『してあげる』位で良いよ」
そう言って、母は微笑んだ。
とても、とても優しい人だった。
<優しさ>
あの子はいつも僕に優しい。だから絶対に僕に気があるんだ。そんなこととっくに気づいてるよ。なのに、いくら待ってもあの子は僕に告白しようとしてこない。チャンスをあげようと思って、「今日一緒に帰る?」って誘っても友達と帰るからいいと断ってきた。なんだそれ。僕のこと好きなんだろ?だったらできるだけ僕のそばにいたらいいじゃないか。なのに君は涼しい顔して僕の誘いを受け流す。どういうつもりなんだよ。僕のこと本当に好きなの?
だから今日、あの子の後をつけてみた。彼女が言ってた“友達”なる子達と校門を出るところだった。多分、同じクラスの女子。何かを楽しそうに話していて、みんなでいきなり爆笑したりよく分からない歌を歌いだしたり。僕に見せるあの笑顔をそのままみんなにも振りまいている。つまり、あの子は僕だけじゃなくてみんなにも同じように優しいというわけだ。
これが女子の友達になら納得がいったと思う。けど僕は信じられないものを見てしまった。どこから現れたのか、女子グループに合流してきた男子にまであの子は笑いかけている。ソイツがわけ分かんないことを言って飛び跳ねるのを見て、彼女は全力で笑っている。目じりには涙を浮かべるくらいに爆笑している。そんな顔見たことなかった。なんだかいつもよりいきいきしている。嘘だろ、と思った。
僕に優しいから僕のことが好き。
そんなわけがなかった。あの子はみんなに優しい。そして、みんなのことが好き。男にも女にも、分け隔てなく接する彼女は、僕のものじゃないんだ。
くやしい。彼女の優しさを好きの気持ちだと勘違いしてたことが恥ずかしい。チクショウ、と呟いて彼女の尾行をやめた。踵を返す僕の背にまた、彼女らの楽しげな笑い声が降ってきた。
優しさ
人のちいさな『嬉しい』をたくさん見つけてくれるあなたはちいさな『ありがとう』をたくさん受け取ってそれがだんだんと『優しさ』になっていったんだろうな
優しいあなたの様になれるように
わたしもちいさな『嬉しい』をたくさん見つけて言葉に出そう行動しよう
それがきっとわたしと同じく救いになる人がいる
優しい眼差しの向こう側に
私はいつまでも行けないのだろう。
いくらその横顔を見つめたって、ずっとずっと
私には笑いかけてくれないの。
今もなお届く君からのメールに、
変わらない君を懐かしく思う。
…それと同時に憎らしくも思う。
君と別れる前の関係を崩したくないのは、
私の身勝手な願いなのかもしれない。
…でもね、やっぱり少し胸の痛むことはあるよ?
それでもきっぱりと嫌えないのは、
君を好きになった弱みなのかもしれないね。
君の何気ない残酷な優しさが刺さる。
そのたびに胸の痛みを覚えながら、
君に返すメールの文面を考える。
【優しさ】
自分の立場を考えて
売って、買って、利用して
本当は自分のことしか考えてない
なのに傷付きながら
それでも誰かの為になることを
祈りながら
自分にできることを考える
みんながみんなそうならいいのに。
–優しさ–
久々に
人の優しさに触れた
頑張って生きていれば
いいこともあるなって思えた
自分も
そう思ってもらえるように
出来るだけ
優しい人間でいたい
たとえそれが
偽善だと
言われようとも
君の優しは僕を包んでくれる
ついつい君の優しさに甘えちゃう。
優しさを擬人化したのがこの私だと思う。
私は、多分優しい。ただ、この優しさは多分誰にも気づかれていないと思う。さりげなく道を開けたり、会話に入れてあげたり、友達を仲直りさせてあげたり。
私の優しさを全部表に出せば、ノーベル賞も夢でない。
今までは、優しさという言葉を使ってみたけれど、優柔不断だったり八方美人だったりするだけなのかもしれない。優柔不断も八方美人も良くないとは言うけれど、そのような人がいるから世界は回っていると私は思う!
しかし、こんな偉ぶったことをこれまで書いてはみたものの、私の優しさに溢れた行動の25%はありがた迷惑や、おせっかいという部類になってしまっている気もする。。
「ミサキさんって優しいですね」
隣に座っている彼がそう言ってくれた。そうかな、と私は彼から顔を逸らして作業を進める。
「えぇ、とっても。俺が分からないことは丁寧に教えてくれるし、何回聞いても怒らないじゃないっすか。まじ、頼れる先輩っす」
彼の言葉をタイプ音で必死にかき消そうとする。
違う、私は……私は、そんなに清らかな人間ではない。
罪悪感に押し潰されそうになりながら、それでも私はここから逃げ出すことができなかった。このまま、ずっと「優しい人」でありたいと思ってしまった。
彼には、気づかないでいてほしい。優しさの裏地は、とんでもなく汚れ切っているということに。
私は、聖人ではないのだ。
しかし、悟られるわけにはいかないのだ。
私は化けの皮をめくられないよう、笑顔を取り繕う。胸の内で昂る野性を押し殺して、彼と二人きりのオフィスで残りの仕事を片付ける。
気がつけば 長き月日を 共にして
いつなんどきも 肩寄せ合いて
#優しさ
優しさ
悲しんでる人に、
声をかけるのも、
声をかけないのも、
優しさ
『優しさ』
私が好きを伝えても、あなたは曖昧に微笑むばかり。きっぱりフってもくれないのだから、私はいつまでもあなたへの想いを抱えたまま。ねえ、それは優しさとは言わないのよ。それでも傷付くのが怖い私は、今日もそれを言えないままで。
優しさと暖かさを繋ぐものはなんだろう
ひんやりして心地よいと感じるとき、それが優しさとは思わない
手が冷たいひとは優しいと言ったりするけど
優しさに触れると不意に涙が流れる。
なんでかな。
私に優しさをくれてありがとう。
遠い君へ
ごめん。
最初はいっぱい好きって言ってたけど
今はなんて言ってあげたらいいか
わかんないや、
大好きだから
丁重に扱いたい
だから、1からやり直します
貴方を愛してます。
さようなら、
「今日私」
朝は晴れやかだった君の顔が雲っていた。
「ただいま」と帰って来てから隣に座って一言も話さない。
聞かない優しさもある。言いにくいことをわざわざ尋ねる必要もない。思い出したくない記憶を呼び起こすこともない。
「飲み物取ってくるから気が済むまで居るといいよ」
疲れたり落ち込んでいる時は君が甘い物を必要としていることが多い。むすりとしたままの君の頭を軽く撫で、元気にさせる手伝いになればとミルクティーでも淹れて、パンケーキを焼こうと思い立ち席を離れた。
キッチンで用意を始めても君の気配は消えずにもっと近くなる。
「言いたくないことは言わなくて構わないから、どうして欲しいかは言って欲しいな」
「……」
返答はなく背中が温かい。君の腕が腰に巻き付いて何があったかは分からないがかなり重傷みたいだ。
「あはは…。困ったな。俺はどこにも行かないよ」
細腕に愛おしく触れると離さないとばかりに君は力を込めた。君が離れないことに困っているんじゃない。そんな顔をさせる問題を取り除けないことがもどかしいだけなんだ。
「紅茶のミルクは多め?それとも少ない方がいい?」
「…ミルクは多めがいいな」
「了解。ホイップクリームも乗せようか」
「うん…。ねぇ、パンケーキ焼くの?」
卵、小麦粉、ベーキングパウダーに牛乳とお菓子に必要な材料が並べられてフライ返しにフライパンとくれば答えは決まっている。
「分厚いパンケーキにチャレンジしようと思うんだ。食べたくなかった?」
「違うの。…気を遣わせちゃってごめんね」
「俺が君にしたいことをしてるだけだよ。パンケーキの付け合わせは君に選んで欲しいな」
パンケーキにもホイップクリームを付けて君が選んだバニラアイスをのせる。チョコソースで仕上げを施してネコの顔なんて描いてみた。
いつもの君が戻ってきますように。
我ながら上手に描けたと思うけど君にはどう見えるかな。
世の中、要らない優しさで溢れている。
金にならないものは、この際捨ててはどうか?
捨てることが出来ないなら、有償にしてはいかが?
スマイル百円、挨拶千円、サービス残業は一万円。
今よりずっと、明日よりもっと。
他人に優しくなれそうでしょ?
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