『何でもないフリ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
強がり。そんな言葉で片付けて仕舞えれば楽なのに。
素直になることすら出来ないまま自分の恋路を終えた。
ただひたすら、嫌われたくないその一心で距離を置き遠ざけた。
自分が悪いことなんてわかっている。だが、どうする事も出来なかったのだ。
そんな私は今日も何でもないフリ。
何でもないフリ____
2023.12.12
12/11「何でもないフリ」
ずっとずっと好きで、好きで、好きで、大好きで。
手を繋いだり、抱きしめたり、抱きしめられたり、キスしたり、その先も何度も想像してる。
今だって、机に頬杖をつきながら、アイナの横顔を盗み見て、想像してる。
「ん?」
気づかれた。にっこり笑う。
「どしたの、アイナ。急にこっち見て」
「いや、なんか視線感じた気がして…。まあ気のせいか」
想像だけじゃとっくに物足りない。いっそ気づいてくれればいいのに。
(所要時間:8分)
12/10「仲間」
ろうそくの灯りの下、複数の男に囲まれ、1枚の紙とにらみ合いながら、親指の先をナイフで傷つけた。
金が必要だった。どうしてもだ。そのためになら何でもする。連れて来られたのがここだ。
血判状に指を押し付ける。向かいに座っていた男が、紙を取り上げる。
「これであんたは、抜けられない」
無表情だった男が、ニイッと笑った。
「よろしくな、兄弟」
(所要時間:6分)
12/9「手を繋いで」
「大丈夫、怖くない」
そう言われて、おずおずと手を出す。中途半端に伸ばした手を、キロと名乗った少年は掴んだ。
「行くよ」
引っ張られて歩き出す。
スマホを見ていてうっかり落ちたマンホールの底に広がっていた世界。地下世界か、あるいは異世界なのだろうか。
不安はいっぱいだが、キロの手は温かかった。
(所要時間:6分)
12/8「ありがとう、ごめんね」
拾った時は、ほんの小さな子猫だった。
初めてミルクを飲んでくれた時は、本当にほっとしたっけ。
だんだん近くに来てくれるようになって、体を擦り寄せてくるようになって。
甘えた声も出してくれるようになった。
仕事で凹んだ日も、恋人と別れた日も、キミがいてくれたから頑張れた。
キミと出会ってからずっと、キミは家族だった。
「…お隣さんの家に警察が…」
「…強盗が入ったらしくて…」
「…亡くなったとか…」
今まで、ありがとう。
置いて逝って、ごめんね。
(所要時間:8分)
何でもないフリ
父が入院した。
私は父の病気が発覚してから親身に寄り添ったりアドバイスをしてきた。
でも、もう何もしなくていいのだ。
看護師さんやお医者様が世話を焼いてくれる。
何でもないフリをして看病をしなくていいのだ。
正直面倒だった。
DVばかりする父に優しくする理由がなかった。
しばらく休みたい。何でもないフリをするのは疲れるのだ。
今日も6人の男をくわえた。
計15万。
メタボおやじと腕を組みながらバリアンから出る。
駅に向かって歩いてるとユイトが見知らぬ女とパシャから出てくるのが見えた。
「ああ、ユイト、またあたしに隠れておイタしたのね。」
クソ客と笑顔でサヨナラして事務所に向かう。
お金を受け取ると今日で退店すると言って店を出た。
スタッフさん、絶句してたな。ふふ。
いつもはそのままユイトとのデートに向かうけど、うん、まずはドンキで買い物だな。
ビルの地下にあるお店につながるうす暗い階段。
10センチヒールを響かせながら考える。
今夜のデートは盛大にいこう。
ピンドンでシャンパンタワー。
ユイト喜んでくれるかな。
えっと、こういうのなんて言うんだっけ。
何とかの…おみやげ、ん?何とかのみやげ?
忘れちゃった。
まいっか。
あたしはズッシリとしたドンキの袋を持って
ピンク色に照らされたお店のドアを、開く。
家に帰ってドアを開けても
目の前にもう貴方は居ない
お帰りって出迎えてくれる貴方は居ない
当たり前の事が当たり前では無くなった事が
これ程辛いなんて思いもしなかった
貴方が居なくなって
どれだけ救われてきたか思い知らされる
貴方がニヤッーと鳴くだけで
幸せな気持ちになれた笑えた
ドアを開けるのが怖いな
貴方を探してしまうから
寂しさにつつまれてしまうから
涙が止まらなくなるから
もう一度貴方に会いたい
大好きな昊空に
もし
不倫されて
別れたくないと
それを
望むなら
何でもないフリをして
普通の生活をしていく
傷つかない
フリをして
責めたてないで
作り笑顔で
私は
とんでもなく
努力して
家庭を守ってきた
これからは
自分の思いを無視したりしないよ
「私に何でもないフリして誤魔化せると思ってるの?!」
こんなことを結構な声量で立ち上がりながら言うものだからカフェでの視線が彼女だけでなく僕にまで突き刺さってくる。
「てか急に何?その何でもないフリして誤魔化せると思ってるのってやつ。僕なんも隠してないんだけど。」
「え〜絶対隠してると思ったのに」
「勘で言っただけ?だとしたら迷惑すぎるんだけど。」
僕の冷たい言葉にも彼女は笑っている。
いつも彼女は笑っている
僕は彼女が何でもないフリをしていても
気づけないのだろうか
─────『何でもないフリ』
何でもないフリをすることが、癖のようになってしまったのは、いつからだっただろう。
私はいつも気づかぬうちに自分の容量を超えてしまう。いい加減上手く付き合える様にならなければと思うけれど、それがまだ掴めずにいる。
…………なのに…。
なのに、この男には…………
「朝倉〜少し休憩してこ〜い」
この男、成林 豪(なるばやし ごう)には見抜かれてしまうし、気付かれる。
「大丈夫だから」
「駄目、はい休憩いってらしゃ〜い」
「ぐっ………………」
私は渋々自分の席を立ち、休憩をしに広場へと向かう。
珈琲を購入し、深くて柔らかいソファに座ると、疲れていた自分が顔をのぞかせる。
「…………何であいつにはわかるのよっ」
何だか腹が立つ、私の方が、誰よりも私自身と暮らして生きてきたというのに…。
どうして彼のほうが私の体の疲れに気が付くのか。
本当に腑に落ちない。
◈◈◈◈
「成林〜」
「うん?何?」
成林に声をかけたのは、成林、そして私と同期の近藤 学(こんどう まなぶ)だ。
「何でわかるんだ?」
「何が?」
「いや、ほら、小倉さんが疲れてるって…」
小倉とは、私の名字。
「うん?そんなの分かるよ。……というか、小倉は特にわかるし、分かりやすい」
「そうなのか〜?俺にはさっぱり」
「お前はわかんなくていいの。
それに、お前に分かられたら俺が困る」
「何でお前が困んだよ!」
そう聞かれた成林は、優しく笑いながらこういった。
「……秘密。」
そんな会話が密かに繰り広げられていた事は知る由もない私。
私は買った珈琲を飲みながら、静かに自分の疲れを癒やし、自分を労るのだった。
なんでもないふりしながら、耐える力を、つけていく。
人の痛みが、少しでもわかるようになるかもしれない。
何でもないフリ
薄っぺらの大丈夫
そんなのわかるよ
無理しないでね
ころがった"なんでもない"で左手の草紙のふちの赤に気づいて
火曜日の朝、私は電車に乗って学校に来た。
席に座って本を読む。
先生が教室に入るまでの時間が私にとって一番の楽しみである。
「もしかして怒ってる?」
――別に怒ってないし。
そう呟きながら、そっぽを向いたまま、目を合わせようとはしない。なんとなく合わせたくないだけ。
別に、私以外の女にちょっかいかけてたって怒らないし。嫉妬なんかしてない。
「かわいいなぁ」
そう言いながら、頭を撫でてくる。
やめてよ、そうやって機嫌を取ろうとするの。
私のことはほっといて。あの女と遊べばいいじゃない。
「ねぇ、もしかして嫉妬してくれてる?」
違う。嫉妬じゃない。他の女が私の城を土足で踏みにじっていく感じが嫌なだけ。
「誤解だよ。ちょっと遊びに来ただけだって。友達がさ……」
そうやって言い訳を並べるあなたに、だんだんと腹の底から怒りが湧いてくる。
だって、誤解じゃないじゃない。実際、その女を家に上げてたよね? 遊びに来てただけって、私がいるのに他の女を上げるなんて。
……なんて、何でもないフリしながら、結局そうやって怒ってしまう私が、だんだんと醜く思えてくる。「かわいい」って言ってくれるけど、本当はこんなにかわいくない。だから浮気されちゃうのかな。
「どうしたら機嫌を直してくれるかな……」
家の中を見渡して、私が興味を引きそうな物を必死で探している。
許してあげた方が、可愛げあるかな? でも、やっぱり簡単には許せない。何を出されたって騙されないんだから。
「おもちゃは――ダメかぁ。じゃあ、ちゅーる! ちゅーるあげるから!」
そんな物出されたって……許さないからぁ!
――ちゅーる美味しい!
『何でもないフリ』
[何でもないふり]
彼女は日頃「何でもない」と口にする
それがフリなんだと分かったのは彼女が倒れてからだった
彼女の家に行くと、玄関先には無造作に置かれた
金融会社からの催促状と各々のライフラインの停止の通知書が散乱していた
「ー……」
僕は彼女の変化に気付いてやれなかった
逢う度に疲れている様子も服装の乱れも見られなかったからだ
各々の催促状を持って彼女をから事情を聞くことにした
「ー…何で生活困窮してることを相談してくれなかったの?」
彼女は各々の催促状をちらと見た後、空に視線を逸らした
「ー…何でもない。」
君はいつもそうだ。
何があっても「何でもないふり」をして、自分を追い込む癖は治らないだろうか?
しっぽのついた
あたたかな家族が
そっと寄り添うように
となりで丸くなる
何でもないフリは
得意なほうなのに
いつもきみだけは
ごまかせない
「何でもないフリ」
傷つきたくないから、心を空にする。
そんな癖を、いつから身につけたのだっけ。
陰口も、上辺だけの賞賛も、どうでもいい。
聞こえないフリ、聞いていないフリ。
傷ついても——何でもないフリをしていたら。
いつしか、誰の言葉も心底に届かなくなってしまった。
でもいいの。
ひとりが気楽、ひとりが良いから。
「にゃー」
リビングの窓辺に座っていたら。
老猫が隣に、寄り添ってきた。
冷えた手に、やわらかな肉球の感触。
キラキラのおめめ。
優しい暖かさ。
……何でもないフリなんて、できないね。
大好きは、確かにここにあるんだ。
おはよう(笑顔)
私は常に笑顔がつく。
でも、そんな私も辛い時、悲しい時、大変な時がある。
だけど、こんな弱い姿を見られたら、失望されるかもしれない。
だから私は笑顔の仮面をつけるの。
仮面さえつけておけば泣きたいほど苦しい時も、
隠せるもの。
私の気持ちなんて大した事ないんだから。
「〇〇さん大丈夫?」
あっ、ええ、大丈夫よ。(笑顔)
(ほんとは、ほんとうは、私の本音を聞いてほしいの
ただただ話を聞いてくれるだけでいいの。私は私は今、全然大丈夫じゃないの。)
何でもないフリ
いつも笑顔で悩みなんてない、なんでもないフリをする。先生に何か頼まれたら「はい!わかりました!」
友達に頼まれたら「OK!やっとくね」これは表の俺。裏の俺は「死にたい。消えたい。どうやったら死ねるかな。寝たらそのまま死んでないかな。すきぴまだ他の子と話してる。あの子嫌い。膝に乗ってくんな。授業中話しかけてくるな。寒い。誰が俺を虐めて。学校に行かなくていいようにして。誰が俺を殺して。めんどくさい。あの人きもい。」など沢山のことを思っています。なんでもないフリ、俺上手なのかな?
#何でもないふり
いつも”大丈夫”っていって
自分より他人の心配ばっかりする
やりたいことも我慢して
言われたこと、頼まれたことをする
本当はこんなのキャラじゃないでも
そうしないといけない
こうやって笑顔を偽ってキャラを演じる
でも時々これが壊れそうになる
ただ皆んなは気づかないバカだから
だけどねそろそろ疲れたよ
”何でもないふり”するの
何でもないフリは
得意だった。
平気なフリ
見て見ぬフリ
聞こえないフリ
それが、自衛にもなると思った。
けれど…なんだか違うんだ。
些細なこと、気付いたことに
手を伸ばしてみたい。
世界の大きな渦の、端っこでいい。
私は、私らしく。
通り過ぎようとした、足を止め
私は、駆け寄った。
大丈夫ですか、と声をかけ
そっと手をさしだした。
【お題:何でもないフリ】