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[何でもないふり]

彼女は日頃「何でもない」と口にする
それがフリなんだと分かったのは彼女が倒れてからだった
彼女の家に行くと、玄関先には無造作に置かれた
金融会社からの催促状と各々のライフラインの停止の通知書が散乱していた

「ー……」

僕は彼女の変化に気付いてやれなかった
逢う度に疲れている様子も服装の乱れも見られなかったからだ
各々の催促状を持って彼女をから事情を聞くことにした

「ー…何で生活困窮してることを相談してくれなかったの?」

彼女は各々の催促状をちらと見た後、空に視線を逸らした

「ー…何でもない。」

君はいつもそうだ。
何があっても「何でもないふり」をして、自分を追い込む癖は治らないだろうか?

12/11/2023, 10:44:02 PM