「空が泣く」
空が泣き始めたら
君は笑い出す
君は蛇の目傘を広げて
回り出す
「ワタシは雨が好き。
空が泣いてくれればワタシは生き延びるから」
君は回りの目を気にせずに蛇の目傘をくるくる
辺りに雨の飛沫が飛んでもお構い無しだ
僕は見てるしかなかった
こうなった君を止めるのは危険
空が泣いてるんだ
君を止めたら
君からの雷か落ちるからね
「君からのLINE」
帰宅途中にLINEの通知が鳴った。
君からのLINEだった。
内容には大量のビールのスタンプが押されていた
「帰りにケースで買ってこいてことか?」
君はメールもLINEにも文字を打たずに
絵文字/スタンプで意思を現す
付き合い始めた時は普通に会話のやりとりも出来てるし、
メール/LINEのやり取りも文字でのやり取りだったのが、
何故か途中からメール/LINEは絵文字/スタンプでのやり取りで
僕だけなのかと思ったら、どうやら共通の友人たちにもらしい。
返信に店とビールと駈け足のスタンプを付け加え
君に返信して、酒屋に向かった。
帰宅後、
何故か玄関にビールのギフト箱が3個
「待って?何でビールのギフト箱が3個あるの?」
「夏祭りの抽選会と○代書店の抽選会と○物々交換で。
まさかビールを更に買って来るなんて思わなかったよ。」
僕は買ってきたビールケースを置いた。
「買ってこい」じゃなく
「ビールのギフト箱を貰った」て意味だったのか。
「せめて夏祭りのスタンプとか付け足してよ」
「あまりにも嬉しくてさ、付け忘れちゃった。」
やはりスタンプだけの会話は難しい。
僕が汲み取ったスタンプの意図と君が送ったスタンプの意図が
見事に擦れ違い、誤爆した。
台所の片隅に僕が買ってきたビールケースとビールのギフト箱が鎮座し彼女は毎晩選んでビールを嗜んでいる。
「命が燃え尽きるまで」
アタシと云うアタシは歴代のアタシたちの記憶を持ったまま生まれ
この世の出来事を記録していく命を受け継いでいる
ワタシが見た物、聞いたこと、見たことを記憶して記録していく
輪廻転生を繰り返す
命が燃え尽きるまで
この世の出来事を記憶して記録していく
「夜明け前」(一行詩)
ベランダで夜明け前の一服
◆
日の出入り待ちに甘酒を飲む夜明け前
◆
消灯夫の夜明け前の準備は忙しい
◆
群青のグラデーション
◆
夜明け前に帰るから朝帰りじゃない
「本気の恋」
惚れた
惚れた腫れたが
惚れた腫れたが
惚れた腫れたが
惚れた腫れたが
惚れた腫れたが
惚れた腫れたが
淡いココロ
行為の意
乳白濁色の糸
金(きん)の糸
柘榴を膨らませて
茎が尽き果てるまでと
ナカで這いずり回り
ナカで乳白色濁色の糸が溢れ出して
最後に本気の賽の目を振った
最後に本気の賽の目を振られたのは
だぁれ?