『何でもないフリ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
何でもないフリをすることが、癖のようになってしまったのは、いつからだっただろう。
私はいつも気づかぬうちに自分の容量を超えてしまう。いい加減上手く付き合える様にならなければと思うけれど、それがまだ掴めずにいる。
…………なのに…。
なのに、この男には…………
「朝倉〜少し休憩してこ〜い」
この男、成林 豪(なるばやし ごう)には見抜かれてしまうし、気付かれる。
「大丈夫だから」
「駄目、はい休憩いってらしゃ〜い」
「ぐっ………………」
私は渋々自分の席を立ち、休憩をしに広場へと向かう。
珈琲を購入し、深くて柔らかいソファに座ると、疲れていた自分が顔をのぞかせる。
「…………何であいつにはわかるのよっ」
何だか腹が立つ、私の方が、誰よりも私自身と暮らして生きてきたというのに…。
どうして彼のほうが私の体の疲れに気が付くのか。
本当に腑に落ちない。
◈◈◈◈
「成林〜」
「うん?何?」
成林に声をかけたのは、成林、そして私と同期の近藤 学(こんどう まなぶ)だ。
「何でわかるんだ?」
「何が?」
「いや、ほら、小倉さんが疲れてるって…」
小倉とは、私の名字。
「うん?そんなの分かるよ。……というか、小倉は特にわかるし、分かりやすい」
「そうなのか〜?俺にはさっぱり」
「お前はわかんなくていいの。
それに、お前に分かられたら俺が困る」
「何でお前が困んだよ!」
そう聞かれた成林は、優しく笑いながらこういった。
「……秘密。」
そんな会話が密かに繰り広げられていた事は知る由もない私。
私は買った珈琲を飲みながら、静かに自分の疲れを癒やし、自分を労るのだった。
なんでもないふりしながら、耐える力を、つけていく。
人の痛みが、少しでもわかるようになるかもしれない。
何でもないフリ
薄っぺらの大丈夫
そんなのわかるよ
無理しないでね
ころがった"なんでもない"で左手の草紙のふちの赤に気づいて
火曜日の朝、私は電車に乗って学校に来た。
席に座って本を読む。
先生が教室に入るまでの時間が私にとって一番の楽しみである。
「もしかして怒ってる?」
――別に怒ってないし。
そう呟きながら、そっぽを向いたまま、目を合わせようとはしない。なんとなく合わせたくないだけ。
別に、私以外の女にちょっかいかけてたって怒らないし。嫉妬なんかしてない。
「かわいいなぁ」
そう言いながら、頭を撫でてくる。
やめてよ、そうやって機嫌を取ろうとするの。
私のことはほっといて。あの女と遊べばいいじゃない。
「ねぇ、もしかして嫉妬してくれてる?」
違う。嫉妬じゃない。他の女が私の城を土足で踏みにじっていく感じが嫌なだけ。
「誤解だよ。ちょっと遊びに来ただけだって。友達がさ……」
そうやって言い訳を並べるあなたに、だんだんと腹の底から怒りが湧いてくる。
だって、誤解じゃないじゃない。実際、その女を家に上げてたよね? 遊びに来てただけって、私がいるのに他の女を上げるなんて。
……なんて、何でもないフリしながら、結局そうやって怒ってしまう私が、だんだんと醜く思えてくる。「かわいい」って言ってくれるけど、本当はこんなにかわいくない。だから浮気されちゃうのかな。
「どうしたら機嫌を直してくれるかな……」
家の中を見渡して、私が興味を引きそうな物を必死で探している。
許してあげた方が、可愛げあるかな? でも、やっぱり簡単には許せない。何を出されたって騙されないんだから。
「おもちゃは――ダメかぁ。じゃあ、ちゅーる! ちゅーるあげるから!」
そんな物出されたって……許さないからぁ!
――ちゅーる美味しい!
『何でもないフリ』
[何でもないふり]
彼女は日頃「何でもない」と口にする
それがフリなんだと分かったのは彼女が倒れてからだった
彼女の家に行くと、玄関先には無造作に置かれた
金融会社からの催促状と各々のライフラインの停止の通知書が散乱していた
「ー……」
僕は彼女の変化に気付いてやれなかった
逢う度に疲れている様子も服装の乱れも見られなかったからだ
各々の催促状を持って彼女をから事情を聞くことにした
「ー…何で生活困窮してることを相談してくれなかったの?」
彼女は各々の催促状をちらと見た後、空に視線を逸らした
「ー…何でもない。」
君はいつもそうだ。
何があっても「何でもないふり」をして、自分を追い込む癖は治らないだろうか?
しっぽのついた
あたたかな家族が
そっと寄り添うように
となりで丸くなる
何でもないフリは
得意なほうなのに
いつもきみだけは
ごまかせない
「何でもないフリ」
傷つきたくないから、心を空にする。
そんな癖を、いつから身につけたのだっけ。
陰口も、上辺だけの賞賛も、どうでもいい。
聞こえないフリ、聞いていないフリ。
傷ついても——何でもないフリをしていたら。
いつしか、誰の言葉も心底に届かなくなってしまった。
でもいいの。
ひとりが気楽、ひとりが良いから。
「にゃー」
リビングの窓辺に座っていたら。
老猫が隣に、寄り添ってきた。
冷えた手に、やわらかな肉球の感触。
キラキラのおめめ。
優しい暖かさ。
……何でもないフリなんて、できないね。
大好きは、確かにここにあるんだ。
おはよう(笑顔)
私は常に笑顔がつく。
でも、そんな私も辛い時、悲しい時、大変な時がある。
だけど、こんな弱い姿を見られたら、失望されるかもしれない。
だから私は笑顔の仮面をつけるの。
仮面さえつけておけば泣きたいほど苦しい時も、
隠せるもの。
私の気持ちなんて大した事ないんだから。
「〇〇さん大丈夫?」
あっ、ええ、大丈夫よ。(笑顔)
(ほんとは、ほんとうは、私の本音を聞いてほしいの
ただただ話を聞いてくれるだけでいいの。私は私は今、全然大丈夫じゃないの。)
何でもないフリ
いつも笑顔で悩みなんてない、なんでもないフリをする。先生に何か頼まれたら「はい!わかりました!」
友達に頼まれたら「OK!やっとくね」これは表の俺。裏の俺は「死にたい。消えたい。どうやったら死ねるかな。寝たらそのまま死んでないかな。すきぴまだ他の子と話してる。あの子嫌い。膝に乗ってくんな。授業中話しかけてくるな。寒い。誰が俺を虐めて。学校に行かなくていいようにして。誰が俺を殺して。めんどくさい。あの人きもい。」など沢山のことを思っています。なんでもないフリ、俺上手なのかな?
#何でもないふり
いつも”大丈夫”っていって
自分より他人の心配ばっかりする
やりたいことも我慢して
言われたこと、頼まれたことをする
本当はこんなのキャラじゃないでも
そうしないといけない
こうやって笑顔を偽ってキャラを演じる
でも時々これが壊れそうになる
ただ皆んなは気づかないバカだから
だけどねそろそろ疲れたよ
”何でもないふり”するの
何でもないフリは
得意だった。
平気なフリ
見て見ぬフリ
聞こえないフリ
それが、自衛にもなると思った。
けれど…なんだか違うんだ。
些細なこと、気付いたことに
手を伸ばしてみたい。
世界の大きな渦の、端っこでいい。
私は、私らしく。
通り過ぎようとした、足を止め
私は、駆け寄った。
大丈夫ですか、と声をかけ
そっと手をさしだした。
【お題:何でもないフリ】
PM. 何でもないフリ
何でもないフリをしているだけなのに、
何故か顔が赤くなる...。
─何でもないフリ─
「大丈夫」って嘘ついて、
本当は無理してる癖に。
「怖くない」って嘘ついて、
本当は自分が一番怖い癖に。
「なんでもないよ」って嘘ついて、
本当は作り笑いに疲れてる癖に。
何でもないフリってそんなに楽しい?
辛くないフリってそんなに簡単?
自分のことはどうでもいいの?
…自問自答しても意味ないか。
全て私がしたことだもの。
誰にも解決出来やしない。
自分を変えられるのは、自分だけ。
別にいいけどフリするのは難しいとおもうそれにいつかバレるからね
おおげさに慈しむ朝日の慈しみの数だけ朝日へ向けられる殺意
「何でもないフリ」
これは僕がしたくない行動の1つだ。
何でもある時に何でもないフリをしてしまう。これは、
相手を心配させない為などに使う。
最初の頃はそれでもいいだろうが、何回も使っていると相手の手間が増えてくる。
相手「大丈夫か?」
自分「大丈夫、何でもない」
相手「本当に大丈夫か?」
と、再度確認される。 これは自分の「何でもない」に信用がなく、相手に気を使わせている状態。
相手からすると面倒くさい。
相手のことを本当に考えているのであれば、「何でもないフリ」はする必要がない。
そうは思うのだが、クセでつい言ってしまう。
僕って面倒くさいな。
なんでもないフリをして、自分の気持ちに蓋をして、感情殺して、そして───息をする。
今日もそうやって生きていく。
私はそうすることしか知らないし出来ない。
きっと愛すべき人が居ても愛してる人が出来てもずっとこのまま。
このままでも悪くないのかな。そうやってまた感情に蓋をする。
『なんでもないフリ』
大袈裟だと言われた。
幼少期に言われた言葉。今でも刺さったトゲが抜けない。
あれから、どんなに痛くても、どんなに悲しくても何でもないフリをした。
苦しい時からも辛い時もなんでも無いフリを続けてきた。
いつの間にか本当になんでも無い事のような気がした。
苦しいのも辛いのも自分が大袈裟なだけなんだ。
毎日学校へ行くのが嫌だった。陰でヒソヒソと笑われるのが辛かった。周りの視線が怖かった。
だけどそれも全部自分の考え過ぎなんだ。その程度なんでも無いと思うようにした。きっと本当に何でもない事だったんだ。
大人になって会社員になった。
毎日仕事が辛かった。
怒鳴る上司は何を怒っているのかもわからなかった。誰にだって怒鳴りつけていて、些細なミスでも怒っていて、挙句は悪いのが自分じゃ無くても怒られた。
残業は当たり前だった。残業代は出なかった。家に帰るのはいつも終電、食事はコンビニの売れ残り。食べる事すら億劫で、早く寝てしまいたい身体に鞭を打って風呂に入る。
数時間後にはすぐ出勤し、また怒鳴られる毎日に根を上げてしまいたかった。
でも大袈裟だから。自分は大袈裟な人間だから、こんな事で弱音は吐けないと飲み込んだ。
大袈裟だから。なんて事ないないんだこんな事。些細な事だと飲み込んだ。
気の所為だと、何でもないフリを続けていれば本当に何でもなくなるから。
何でもないフリを続けた。
どれだけ仕事を押し付けられようと、どれだけ理不尽に怒られようと、寝る時間を削り、終電で帰る日々も周りだって頑張っていると思い込んで。自分が大変と思っているのもきっと大袈裟なだけだと言い聞かせて。
何でもないフリを続けた。
何でもないと思い込んだ。
何でもないと思っていた。
だけどもう耐えられなかった。
会社の屋上。普段から誰でも出入りが出来る場所。
高層ビルでは無いけれど充分な高さはある。
周りは高いフェンスで囲われているが、よじ登れば越えられない事はない。それ位は何でもない。本当に、些細な事だから。
みんなまた大袈裟だと言うだろうか。何でもない事だったのにと言うだろうか。
大袈裟でももう良かった。これ以上何でもないフリは出来なかったから。
最後は大袈裟な自分に正直になりたかった。
最期は、あのトゲを抜いて、自分に正直になりたい。
ずっとずっと苦しかった。だから今、楽になります。
***
最期の手紙には、こう綴られていた。
『大袈裟な子供でごめんなさい。何でもないフリが出来なくてごめんなさい』
本当に追い込んだのは、一体誰だったのか。
#何でもないフリ