『何でもないフリ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「もしかして怒ってる?」
――別に怒ってないし。
そう呟きながら、そっぽを向いたまま、目を合わせようとはしない。なんとなく合わせたくないだけ。
別に、私以外の女にちょっかいかけてたって怒らないし。嫉妬なんかしてない。
「かわいいなぁ」
そう言いながら、頭を撫でてくる。
やめてよ、そうやって機嫌を取ろうとするの。
私のことはほっといて。あの女と遊べばいいじゃない。
「ねぇ、もしかして嫉妬してくれてる?」
違う。嫉妬じゃない。他の女が私の城を土足で踏みにじっていく感じが嫌なだけ。
「誤解だよ。ちょっと遊びに来ただけだって。友達がさ……」
そうやって言い訳を並べるあなたに、だんだんと腹の底から怒りが湧いてくる。
だって、誤解じゃないじゃない。実際、その女を家に上げてたよね? 遊びに来てただけって、私がいるのに他の女を上げるなんて。
……なんて、何でもないフリしながら、結局そうやって怒ってしまう私が、だんだんと醜く思えてくる。「かわいい」って言ってくれるけど、本当はこんなにかわいくない。だから浮気されちゃうのかな。
「どうしたら機嫌を直してくれるかな……」
家の中を見渡して、私が興味を引きそうな物を必死で探している。
許してあげた方が、可愛げあるかな? でも、やっぱり簡単には許せない。何を出されたって騙されないんだから。
「おもちゃは――ダメかぁ。じゃあ、ちゅーる! ちゅーるあげるから!」
そんな物出されたって……許さないからぁ!
――ちゅーる美味しい!
『何でもないフリ』
しっぽのついた
あたたかな家族が
そっと寄り添うように
となりで丸くなる
何でもないフリは
得意なほうなのに
いつもきみだけは
ごまかせない
「何でもないフリ」
傷つきたくないから、心を空にする。
そんな癖を、いつから身につけたのだっけ。
陰口も、上辺だけの賞賛も、どうでもいい。
聞こえないフリ、聞いていないフリ。
傷ついても——何でもないフリをしていたら。
いつしか、誰の言葉も心底に届かなくなってしまった。
でもいいの。
ひとりが気楽、ひとりが良いから。
「にゃー」
リビングの窓辺に座っていたら。
老猫が隣に、寄り添ってきた。
冷えた手に、やわらかな肉球の感触。
キラキラのおめめ。
優しい暖かさ。
……何でもないフリなんて、できないね。
大好きは、確かにここにあるんだ。
おはよう(笑顔)
私は常に笑顔がつく。
でも、そんな私も辛い時、悲しい時、大変な時がある。
だけど、こんな弱い姿を見られたら、失望されるかもしれない。
だから私は笑顔の仮面をつけるの。
仮面さえつけておけば泣きたいほど苦しい時も、
隠せるもの。
私の気持ちなんて大した事ないんだから。
「〇〇さん大丈夫?」
あっ、ええ、大丈夫よ。(笑顔)
(ほんとは、ほんとうは、私の本音を聞いてほしいの
ただただ話を聞いてくれるだけでいいの。私は私は今、全然大丈夫じゃないの。)
何でもないフリ
いつも笑顔で悩みなんてない、なんでもないフリをする。先生に何か頼まれたら「はい!わかりました!」
友達に頼まれたら「OK!やっとくね」これは表の俺。裏の俺は「死にたい。消えたい。どうやったら死ねるかな。寝たらそのまま死んでないかな。すきぴまだ他の子と話してる。あの子嫌い。膝に乗ってくんな。授業中話しかけてくるな。寒い。誰が俺を虐めて。学校に行かなくていいようにして。誰が俺を殺して。めんどくさい。あの人きもい。」など沢山のことを思っています。なんでもないフリ、俺上手なのかな?
#何でもないふり
いつも”大丈夫”っていって
自分より他人の心配ばっかりする
やりたいことも我慢して
言われたこと、頼まれたことをする
本当はこんなのキャラじゃないでも
そうしないといけない
こうやって笑顔を偽ってキャラを演じる
でも時々これが壊れそうになる
ただ皆んなは気づかないバカだから
だけどねそろそろ疲れたよ
”何でもないふり”するの
何でもないフリは
得意だった。
平気なフリ
見て見ぬフリ
聞こえないフリ
それが、自衛にもなると思った。
けれど…なんだか違うんだ。
些細なこと、気付いたことに
手を伸ばしてみたい。
世界の大きな渦の、端っこでいい。
私は、私らしく。
通り過ぎようとした、足を止め
私は、駆け寄った。
大丈夫ですか、と声をかけ
そっと手をさしだした。
【お題:何でもないフリ】
PM. 何でもないフリ
何でもないフリをしているだけなのに、
何故か顔が赤くなる...。
─何でもないフリ─
「大丈夫」って嘘ついて、
本当は無理してる癖に。
「怖くない」って嘘ついて、
本当は自分が一番怖い癖に。
「なんでもないよ」って嘘ついて、
本当は作り笑いに疲れてる癖に。
何でもないフリってそんなに楽しい?
辛くないフリってそんなに簡単?
自分のことはどうでもいいの?
…自問自答しても意味ないか。
全て私がしたことだもの。
誰にも解決出来やしない。
自分を変えられるのは、自分だけ。
別にいいけどフリするのは難しいとおもうそれにいつかバレるからね
おおげさに慈しむ朝日の慈しみの数だけ朝日へ向けられる殺意
「何でもないフリ」
これは僕がしたくない行動の1つだ。
何でもある時に何でもないフリをしてしまう。これは、
相手を心配させない為などに使う。
最初の頃はそれでもいいだろうが、何回も使っていると相手の手間が増えてくる。
相手「大丈夫か?」
自分「大丈夫、何でもない」
相手「本当に大丈夫か?」
と、再度確認される。 これは自分の「何でもない」に信用がなく、相手に気を使わせている状態。
相手からすると面倒くさい。
相手のことを本当に考えているのであれば、「何でもないフリ」はする必要がない。
そうは思うのだが、クセでつい言ってしまう。
僕って面倒くさいな。
なんでもないフリをして、自分の気持ちに蓋をして、感情殺して、そして───息をする。
今日もそうやって生きていく。
私はそうすることしか知らないし出来ない。
きっと愛すべき人が居ても愛してる人が出来てもずっとこのまま。
このままでも悪くないのかな。そうやってまた感情に蓋をする。
『なんでもないフリ』
大袈裟だと言われた。
幼少期に言われた言葉。今でも刺さったトゲが抜けない。
あれから、どんなに痛くても、どんなに悲しくても何でもないフリをした。
苦しい時からも辛い時もなんでも無いフリを続けてきた。
いつの間にか本当になんでも無い事のような気がした。
苦しいのも辛いのも自分が大袈裟なだけなんだ。
毎日学校へ行くのが嫌だった。陰でヒソヒソと笑われるのが辛かった。周りの視線が怖かった。
だけどそれも全部自分の考え過ぎなんだ。その程度なんでも無いと思うようにした。きっと本当に何でもない事だったんだ。
大人になって会社員になった。
毎日仕事が辛かった。
怒鳴る上司は何を怒っているのかもわからなかった。誰にだって怒鳴りつけていて、些細なミスでも怒っていて、挙句は悪いのが自分じゃ無くても怒られた。
残業は当たり前だった。残業代は出なかった。家に帰るのはいつも終電、食事はコンビニの売れ残り。食べる事すら億劫で、早く寝てしまいたい身体に鞭を打って風呂に入る。
数時間後にはすぐ出勤し、また怒鳴られる毎日に根を上げてしまいたかった。
でも大袈裟だから。自分は大袈裟な人間だから、こんな事で弱音は吐けないと飲み込んだ。
大袈裟だから。なんて事ないないんだこんな事。些細な事だと飲み込んだ。
気の所為だと、何でもないフリを続けていれば本当に何でもなくなるから。
何でもないフリを続けた。
どれだけ仕事を押し付けられようと、どれだけ理不尽に怒られようと、寝る時間を削り、終電で帰る日々も周りだって頑張っていると思い込んで。自分が大変と思っているのもきっと大袈裟なだけだと言い聞かせて。
何でもないフリを続けた。
何でもないと思い込んだ。
何でもないと思っていた。
だけどもう耐えられなかった。
会社の屋上。普段から誰でも出入りが出来る場所。
高層ビルでは無いけれど充分な高さはある。
周りは高いフェンスで囲われているが、よじ登れば越えられない事はない。それ位は何でもない。本当に、些細な事だから。
みんなまた大袈裟だと言うだろうか。何でもない事だったのにと言うだろうか。
大袈裟でももう良かった。これ以上何でもないフリは出来なかったから。
最後は大袈裟な自分に正直になりたかった。
最期は、あのトゲを抜いて、自分に正直になりたい。
ずっとずっと苦しかった。だから今、楽になります。
***
最期の手紙には、こう綴られていた。
『大袈裟な子供でごめんなさい。何でもないフリが出来なくてごめんなさい』
本当に追い込んだのは、一体誰だったのか。
#何でもないフリ
ポーカーフェイスになれる人を尊敬する。
自分では表情に出していないつもりでも感情が漏れていたらしく、眉間にシワが寄っている!と指摘されたことがある。自覚なく感情が露呈すると、かなり恥ずかしい。
悲しみをあえて表に出さない人には頭が下がる。
病気でつらいのに明るく振る舞う人、大切な人を喪ったのに微笑みを浮かべている人、傷ついているのに平静を装う人。
心配させないため、自分の心を防御するため。切なくなるが、見守ることしかできない。
個人的には、絶対怒っているのに怒っていないフリをする人が一番怖い。怒れないのではなく怒らない。謝罪を受け入れる隙さえ与えないので、相手はどうすることもできない。
自分もこの先、心底許せないことがあったらやりたいと思う。
『何でもないフリ』
何でもないフリ、するから。
私達は上手くいかなくなったんだ。
ポーカーフェイスは得意だったので、気付かれることはないと思っていた。
穏やかで優しく微笑んでいれば、いつものようにやり過ごせると思っていた。
「ものすごく怒ってるクセに、何でもないフリするんだね」
「…なんのことでしょう?」
とぼけてみせても『わかってる』態度が癪に障ったので、早足でその場を離れる。
「仲間の為に怒ってくれてるんだから、別に隠さなくたっていいのに」
背後の呟きは、こちらの耳が赤くなっていることにすら気付いているようだった。
『仲間』『何でもないフリ』
7
こちらに背を向けて座り込む彼が愛おしい。手を添えてもたれ掛かると温かい。
「身体辛くなかったか」
掠れた声でちょっと聞き取りにくい。
「平気だよ」
頬を当てて、それでもこっちを見てくれない。ちょっと笑ってしまった。子どものようなんだもの。
きゅっ、と艶やかな唇が引き結ばれる。小さな白い手が首に伸びては、細い指が喉元を何度も撫でた。
きみは照れるといつもそうする。自覚があるのかは知らないが、全く気にしていない素振りを演じる様はいつ見ても愛らしい。平静を保っていても少しぎこちなくなる言葉に乱れてもいない髪を整えようとする指、震える長い睫毛。
そこまでして隠そうとするくらいなら、早く俺にすがりついてくれればいいのに。今の男なんてさっさと捨てればいいのに。俺が少し褒めるだけであんなに可愛い顔するくせに、きみは情だけであんな男の隣に立ち続けてる。
その愚かさすらも愛おしいのだから、きみが自分の信念を曲げてまで情けなく手の中に転げ落ちてくるときは、どんなに可愛いのだろう。
『何でもないフリ』
「うーん……」
澪は何度も画面を閉じたり開いたりしながら苦悩していた。
テーマに対する答えが全く出ないのだ。
澪は高校で、文芸部に所属している。そこで月に一度、共通のテーマに対して部員がそれぞれオリジナルの作品を持ち寄ることになっており、その課題作文をしているところだ。
今回のテーマは「何でもないフリ」。それに対して何も浮かばないわけではない。仲違いする二人、何でもないフリをするが内心は互いを気にしていて、……とそこまで思いつき、ありきたり過ぎて粗筋を消した。そこから先、何も進まないでいる。
(誰かとかぶったらつまらないしなあ、どうしたもんかな)
悩みに悩むが、何も出てこない。締切は明後日に迫っている。執筆の時間を考えると、もう粗筋は決まっていなければならない頃合いだった。
「澪、ごはん」
黎が呼びに来た。
「わかった、すぐ行く」
「早くしろよ」
黎は扉を閉めると去っていった。
(仕方ないよな)
本当は、夕飯の前にどうにかしたかったのだが。澪はスマホをポケットにしまい、リビングへと向かった。
夕飯は豪勢だった。普段は忙しいからか、ごはんに大皿のおかず一品というような献立ばかりのこの家で、大皿三品にスープまでついてくるような食事が出るとは。今日は誰かの誕生日だったか?その割にはケーキはなく、食卓の雰囲気もなんとなく暗い。
「さあ、どうぞ」
無理に明るい声を出したように母が言う。
「んむ」
父はテレビから目を離さないまま、肉を摘む。
「今日はスーパーで安売りしていたから、ごはんいっぱい作っちゃったの。どうかしら、黎」
「悪くないんじゃない?美味しいよ」
「そ、そう。澪はどう」
「うん、美味しい。でも、作り過ぎじゃない?」
「やっぱりそうかしら。おかわりもあるのよ」
「げっ……そんな食えないよ」
いつものような他愛もない会話だが、どこかギクシャクしている。母の様子が変なのだ。ふと脳裏に創作テーマが過る。何でもないフリ。
(母さんは苦手みたいだな)
明らかに何かあったと、それほど鋭くない澪でも察せられた。何があったのかはちょっと気になったが、下手に話を振って地雷を踏み抜いたら適わない。結局表面上はいつもと同じような会話を続けながら、夕飯は幕を閉じた。
食器を下げて、澪と黎はそれぞれ自室に向かった。
「兄貴」
部屋に入ろうとする黎を呼び止める。
「なんだよ」
「今日、なんか母さん変じゃなかった?」
黎は澪より察しが良い。なにか知っているんじゃないかと思って聞いた。
「ああ、俺と母さん、喧嘩してるから」
答はあっさりと返ってきた。
「え、喧嘩?」
「そう。二人きりだともう……3日くらい口利いてないかな」
「え、そうなの?え?」
全く気づいていなかった。
「ちょっと揉めてな」
まあ、折れる気はないけど、と黎は続けた。
「澪には関係ないことだから気にしなくていいよ」
そう言うと黎は部屋に入ってしまった。
(なんだよ……3日って)
全く気づかなかった。黎は何でもないフリがうますぎる。それだけに。人一倍、なにか抱え込む傾向が黎にはあった。
(……よし)
意を決して澪は、黎の部屋の扉をノックした。
たまには弟が兄の相談にのるのも悪くないだろう。
部活の課題のことは、澪の頭からはすっかり抜け落ちていた。
(お題 何でもないフリ)