『何でもないフリ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
何でもないフリが得意だった。
時には、無理矢理笑顔を作って。
時には、自分の気持ちを押し殺して。
でも、これからは。
嫌なときには嫌と言うし
しんどいときには助けを求めようと決めた。
何よりも大切なのは
自分自身だから。
何でもないフリ
何でもないフリして気にしてるでしょ?
大丈夫なフリして大丈夫じゃないでしょ?
泣いてないないフリして泣いてるでしょ?
そんなことわかってる
私一番わかってる君の強がりな姿を
私もそうだから
大丈夫な顔フリして大丈夫じゃない……。
平気な姿をして平気じゃない……。
泣いてないフリして泣いてる自分……。
いつもちゃんと食べるフリして食べてない……。
強かって気丈振舞っているだけ。
泣きたくても泣き顔なん見せたくないから
食べてる時間なんてないくらいの日々を過ごしているなんて言えないよ…。
逆にそれが辛くなって苦しくて言えないよ…。
何でもないフリ
物事の変化に気づける人ってどれくらいいるのだろう。
あきらかに昨日と違うものの変わりようには少なからず何かあったのかと思うはずだ。
人もそう。前髪切ったの、シャンプー変えたの、メイク変えたの、
普段見ている人の外見は気づけなくもない。
でも、気持ちだけは分からない。
笑顔の盾はその泣いている心も隠してなかったことにさせてしまう。
待ち合わせの場所の5分前に着いたと同時にポケットのスマホが鳴った。
『ごめん、少し遅れそうです』のメッセージが彼女が申し訳なさそうな声とリンクする。
遅刻を人一倍気にしている彼女のことだ、なるべく早く着くように急足でくるに違いない。
『大丈夫だよ。あせらないで、ゆっくり来て』僕はそう返信する。
彼女が時間を守れなかった自分を責めて暗い気持ちになってないといい。
せっかく久しぶりに会えるのだから。
『ごめんね、ありがとう』トーク画面に新規の吹き出しを確認して、トーク画面を遡る。
二週間前くらいからお互いに空いてる日があるかのやり取りが続いていた。
学生の僕と社会人の彼女とでは、生活リズムが当たりまえに違っていた。
僕は僕で大学の友達付き合いや、アルバイト、4年生だから卒業に向けて何かとバタバタしている。彼女も彼女で仕事があるし、プライベートで寛ぎたいときもあるから、休みだからって会おうという期待はしていない。
時間が合えば会おうのスタンスでいるから、1ヶ月会わないなんてときもザラにある。別に恋人同士でもないから、普通のことだ。
しばらくスマホを眺めていると、肩に軽い衝撃が走る。
『ごめん、お待たせ』
肩で息をした彼女が乱れた髪を手櫛で整えながら言った。
『そんなに待ってないから大丈夫だよ。来てくれてありがとね』
『こっちこそだよ!』
ぶんぶんと大袈裟に手を振るが、今日は彼女が合わせてくれた日だ。わざわざ予定を合わせてくれたことが僕は嬉しかった。
『とりあえず、行こうか。お腹空いてる?』
腕時計の針は11時の半分を回わりそうだ。
『うん、朝ご飯みかんしか食べてない』
『まじか。それだけで足りるの?』
『最近お腹の調子悪くて、あんまり食べれなかった』
僕が心配する前に、「でも薬飲んだから大丈夫」っと彼女が笑う。女性だから体調の変化もあるのだろう。
それでも、食べることを幸せだと言っていた彼女がご飯を抜くことが不思議に思える。以前なんか、風邪をひいて寝込んでいるときにアイスを食べたいと所望してきたし、食べたい欲のために料理の仕込みを早朝からやる本格っぷりだ。
そうこうしているうちにお店に着いた。
僕たちが遊ぶ日は決まってここだ。洋風料理が食べれるチェーンのレストラン。メインがほぼパスタやピザが占めているが、その種類の多さに驚く。見開き1ページにいくつものメニューが並んでいる。
何度も食べに来ているのに、彼女はいつも同じものしか頼まない。
『季節のメニューとか期間限定はだめ。どんな味なのか分からないから心配で、食べれなかったらどうしようって思っちゃうの。一度食べたことのあるものなら安心でしょ?』とのこと。外食の冒険はしない。
ちなみ僕もペペロンチーノしか頼まない。辛いものが好きだから。
『最近どう?なにしてたの?』
注文を済ませると彼女は口を開いた。
『この間、就職に必要な資格試験が終わって、やっと解放されたところだよ』
『そっかぁ、お疲れ様だね。じゃあ今日は合格祝いだ』
『大したことじゃないよ、ただの資格試験だよ?』
『いーの、いーの。今日はデザートを奢ってあげよう』
ケタケタと得意気に笑う彼女につられて頬が緩む。
『ありがとう。そっちはどうなの?』
ふいに彼女の表情が固まる。
『…うーん、私は仕事行って、帰ってきて、ごろごろして…っていつも通りかな』と弱々しく笑った。
自分のことを話すのに詰まるのは昔からある癖だけど、その様子に違和感を覚えた。
『お待たせしました。チーズカルボナーラのお客さま』
彼女の名前を呼ぶ声に料理を持ってきた店員さんの声が重なった。
『わあ!美味しそうだね』
料理を目の前に彼女の表情は戻ったので、僕は違和感をパスタに巻きつけて一緒に飲み込んだ。
食後のデザートを堪能して、僕たちは外へ出る。結局、彼女は我慢できずに自分もデザートを食していた。
今日は彼女が買い物をしたいそうなので、適当にふらふらショップを巡った。
隣を歩いてて思ったことだが、彼女は見ない間にどんどん可愛くなっていると思う。髪も丁寧に編みこまれているし、服の色味のバランスもいいし、彼女によく似合っている。
髪なんか一本結びがいいところだった。
『めっちゃ練習したからね』
僕が聞いたら恥ずかしそうにまた笑っていた。
努力家なところは尊敬する。
僕もかっこよくなりたい欲は少なからずあるけれど、ほぼ諦めている。僕は僕で、このままで、まあいい感じだ。
『見てー!かわいくない?』
休憩に立ち寄った珈琲店で彼女が興奮気味にはしゃぐ。
ラテアートがオーダーできるようで、歴代に作ってきたラテアートの写真が飾られている。女の子が好きそうなサービスだ。
彼女は猫のラテアートを頼んだ。
『すごいちゃんと猫に見える』
『そりゃ猫だからね』
かわいいと愛でる彼女を僕はアイスティーを飲みながら見ていた。
彼女は散々眺めてから惜しむようにカップに口をつけた。
『美味しい…さすが猫だけあるね』
『なんだそれ』
『なんかこうやってのんびりするの久しぶりだからかな…染みるね』
えへへっと彼女が笑う。
その表情が痛々しくて僕は顔をしかめる。
『なにかあったの?』
『なんでもないよ!ラテが美味しいなって思っただけ』
嘘だ。何かあったときヘラヘラするのも、彼女のくせだ。
『嘘つき。キミの何でもないは何かあるときだよ』
がんばり屋さんで、思いやりがあって優しくて、それなのに自分には厳しい彼女。優しすぎて他人優先にして、いっぱいになるまでがんばる。
『何年幼馴染やってると思ってるの?』
その度に見てきた。彼女が落ち込んで、元気になって、またいっぱいになるまでがんばって、なんでもひとりで抱えようとするところを。
『そうだね、やっぱ分かっちゃうかな…』
力なく笑った瞳が揺れる。
『話聞くぐらいはできるよ。力になれることならやるし。いつも言ってるじゃん』
辛いことがあったときは落ち込んでいい。
悲しかったら泣いていい。
ひとりで全部抱え込まなくていい。
『何でもないフリして、笑わらなくていいから』
キミの悲しさを笑顔の盾で隠さないでいて欲しいんだ。
あの子と君が話してる
何故か見ちゃうのはなんでだろう
君への恋をあきらめてもうかなり時間が経つのに
ふとした瞬間に思い出すのはなんで?
何でもないフリで
周りも、自分も誤魔化して、
もう泣くこともできなくなっちゃったね
何でもないフリ
寒くなると悲しい気持ちになる
周りはクリスマス気分で溢れている…この年になるとクリスマスも
関係ない…
今日まで一週間くらいずっと晩御飯は鍋。
親に「ごめんね」と言われて、なんでもないフリをした。
何でもないフリ
「今日は大安です。一粒万倍日です。」
宝くじ売り場前で繰り返される呼び込みの声。
世の中の吉日が万人にとって吉日ではないようだ。当たり前か、吉日であろうとなかろうと事故や病気で亡くなる人もいるのだから。
慎重な性格といえば聞こえが良いが、面倒臭がりで臆病だからゆえに自分から知らない場所に足を運んだり、珍しいものを食べに出かけたりしない。
知りたいとなんて思わないみたいなフリをしているが、年齢を重ねてもまだこんなことすら知らないなんて恥ずかしいという気持ちもある。
無欲で慎ましいとは程遠く、内面には人間らしい欲望もあるし、嫉妬や妬みもある。何でもないフリをしているだけなのだ。
子供の頃から感情や欲望が周りに伝わらないように、寂しく辛くても、笑顔を作り、嬉しくて飛び跳ねたい時には冷静を装った。
自分自身の素の感情に嘘をつき続けることで、自分を愛せなくなった。ズルくて、したたかな感じがして、なぜ素直になれないんだろうかと苦しんだ。
音楽を通して、素直な自分を表に出すことへの恐怖や不安が小さくなった。私が出会った楽器は、二胡という弦楽器だ。“ド”の鍵盤を押さえれば、必ず“ド”が出るピアノとは違い、緊張、苛立ち、心地よさ、自信の有無といった内面の状態が、指に入る力の度合いや姿勢の崩れなどにより、全てが音に表れる。
最初は恥ずかしくて、怖かった。緊張してどんなに乱れた演奏をしても、周りの人は何でもないフリをしてくれた。どんな状態であっても、自分のことを否定しないで、ただ見守ってくれたことが嬉しかった。
何でもないフリは無関心だけじゃない。相手を傷つけないための優しさでもある。
何事にも動じない隣の席の男をどうにかして動じさせたい。
突然、ワッ! と言ってみたり、消しゴムを渡すふりをして豆腐を渡してみたり、彼の好きなアイドルのスキャンダル(ウソ)を話してみたりしたが、彼はやはり、何事にも動じなかった。
落とし穴にでも落としてやろうと考えたが、さすがにそんなことは、と思い直した。
観念して、彼に「どうしたら動じるの?」と素直に聞いてみると、「きみがぼくを好きじゃなかったら」と答えた。
落ちていたのはわたしのほうだったみたい。
恋という穴に。
みんなと同じじゃなくても
いいとわかっているのに
みんなと同じじゃないことが
本当はたまらくて
強がっていたのだきっと
#何でもないフリ
大丈夫。ありがとう。
キミの手は震えてる。
大丈夫?目の前のボクは笑顔が曇ってる。
キミは、、、ボクは、、いつも。
どうして苦しいの?
悲しんでるの。寂しいの。
どこへ向かったらいいんだろ。どこに向かっているんだろ。
なんでもないフリをしてても背中から伝わるよ。
そっちじゃないよ。何をしてるの。
そこじゃないよ。何をしようとしてるの。
壊れてしまうなんてイヤだよ。つらいよ。
その手をどうしたら繋げるの。寄り添ってくれないの。
いてくれるだけで、話せるだけで良かった。
もうボクは失ってしまった。ヒトリにしないで。
誰か助けて。
虚無と哀が心を染めてくる。
頑張らないで。1人にならないで。
アナタのなんでもないフリは、もう見たくない。
#何でもないフリ
少し待って今の君から聞きたくないと
心の痛みポーカーフェイスで
寝坊した急いで降りたベッドから
早くリビング行ってぶつけた
川の底でざりがにが死んでいる
誰にも悲しまれず
死んでゆく
ひとり
何でもないフリ
ちょっとしたことを話す時も、自分はただの友達だと装う。
警戒心や羞恥心を、相手に抱かせないように。
意識して、視線を向けないよう、だけど、嫌っていると思われない程度の、さり気なさで、相手のことを見つめる。
だいぶ板についてきたけど、いつまで続ければいいんだろう。
君のことなんて、特別に思ってないよ。
彼と似た顔をしている小さな君は
コソコソ何をやってるの?
「ママはこっちに来ちゃダメだよ!」
なんて言いながら君は弱い力で私を押す。
「わかった,わかった」
そういう私に君は
「ぜったい、ぜったい来ちゃダメだから」
なんて必死に念を押してくる
そんな君を可愛いなと思いながら
椅子に座って君を待つ
隣の部屋にいるから声が少し聞こえるけど
「これをママにあげるんだよ?」
なんて彼の声が聞こえる。
「うん!!」
元気な君の声
「これママにあげたらね,おめでとうって言うの!!」
「あーぁ,聞こえてるよ」
と思いながら君を待つ
そっとドアが開いた。
「ママこっち来て!!」
君は私の手を引いて移動する。
「ママおめでとう!!」
彼も君も声を揃えてお祝いしてくれた。
祝ってくれることがわかっていても嬉しいと思った。
「やっぱり,聞こえてた?」
彼はそう聞いていたが
「なんの事?」
なんて何でもないフリをしてその時を楽しんだ。
なんの事でも
祝ってくれる人がいてくれるのって幸せだね
─────『何でもないフリ』
あのね あのね
…なんでもないや。
そんなのってすこし寂しい。
大丈夫だけどだいじょばない。
それでいいけどホントはよくない。
言わなきゃ、伝わらない。
『心反転模様』
「気づいてほしい」に蓋をして
今日も上手に何でもないフリ
「助けて欲しい」を飲み込んで
明日も上手に何でもないフリ
うっかりボロがでちゃっても
「何でもない」と言っちゃうの。
「どうしたの?」と訊かれれば
「ホントはこうなの」と言いたいの
「 」なんにも訊かれなかったら
「はやく気づいてよ」って心が叫ぶ
私の心は穴だらけ
ホントを言ったら治るのに
自分から突き刺して黒に染めてく
私の心
白と黒との斑点模様
嘘ばかりの反転模様
#何でもないフリ
「路上応援団長」
帰りの駅を降りて、
いつもの大声が聞こえる
路上応援団の女の子が一人応援をしているのだ
一昔前の格好の学ランにハチマキ
ポニーテールの眉毛がキリッとした女
頼まれた相手に無償で人を応援している
俺が帰る時サラリーマンが応援を頼んでいた
エネルギッシュで前向きな彼女は応援をもらった人は不思議と元気になれるらしく一定数ファンがいるほどだ
人前でよくあんな目立つことができるもんだな
応援団長の女と話す機会があった
「キミもエールが欲しいのか!」「いや、そういうわけじゃないです聞きたいことがあって」「なんだい」「どうしてこの活動やってるんですか」「応援が必要だからだよ」
「生きていくには誰でも大変だ、日常生活で誰かが応援してくれると思うとなんだか頑張れると思うんだ」「そういうもんですか」「そういうものだ!」
何でもないフリをしていたが応援団長の女の真っすぐな姿勢に内心動揺していた。
No.10『プロポーズ大作戦』
散文 / 恋愛 / 掌編小説
お願いだから今すぐやめて欲しい。恋人に呼び出されたお洒落なレストラン。わたしたちが予約されていたらしい席に着いた途端、陽気な曲が流れ始め、ホールスタッフの人たちがひとり、またひとりと曲に合わせて踊り始めた。
「うそでしょ……」
わたしの声に至極ご機嫌な恋人は気づくことなく、ぴったり揃った完璧なダンスは、厨房スタッフ、隣の席のお客さん、その向こうのお客さんにまで広がって行く。
待って。皆、何でもないフリをしていたけど、これって他のお客さんも事前に練習していたってことだよね。こんな中で「僕と結婚してください!」だなんて正気なの?
店に着くまでは「喜んで」の返事を用意していたわたしは、恋人に「ごめんなさい」と頭を下げた。
お題:何でもないフリ
学校に行かなくても 自分が好きなことを好きなだけしていけばいいと思う。ゲームをいくらやっても、自分のためになるならそれでいい。
何でもないフリをして
今日も生きている
本当は心も体も
辛くて仕方ない
誰かに気づいて欲しくて
心が叫んでいるけど
誰にも気づいてもらえない
そばに人がいるのに
私は今日も一人ぼっちだ
寂しくて寂しくて
悲しくて悲しくて
苦しくて苦しくて
みんなは普通に毎日を生きてるように見えて
自分が駄目な人間に思えて仕方ない
小さなことですぐに絶望して死にたくなる
ただただ息をして生きているだけで苦しい
自分が弱いだけ?
甘えてるだけ?
やっぱり私は駄目なやつだ
結局死ぬ勇気もないし
だから今日も私は
何でもないフリをして生きていく