『今一番欲しいもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
余裕がほしい
日々を必死に生きるためだけに
時間を使うなんて疲れたよ
毎日、何かに心配をする
お金の心配
仕事の心配
病気の心配
人間関係の心配
将来の心配
そういうのをさ
気にしないくらいの
楽しむくらいの
余裕がほしい
「えっ!嘘だろう⋯マジかぁ⋯」
会社からの連絡メールを確認中に、スマホの画面が突然真っ暗になった。
電源ボタンを押しても、うんともすんとも言わず、再起動してみてもしばらく振動した後、ピクリとも動かない。
慌ててモバイルバッテリーを挿してみるが、効果は薄そうだ。
何せ、つい一時間前まではフル充電だったのだから。
見上げれば夏空。
濃い青色の空に、白い厚みのある雲が浮いている。
辺り1面の水の貼った田んぼには青々とした水稲が生え、時折吹く風にさわさわと音を鳴らして遊ばれている。
こめかみを伝って落ちてくる汗を手の甲で拭う。
まだ九時前だと言うのに、気温はぐんぐん上昇し陽射しは肌を刺すほどに強い。
おかしいな、ここは日本でも北の方、冬になれば雪が多く降り積る地域だ。
夏は、東京に比べれば涼しいはずではないのだろうか?
それにしても⋯⋯。
「はぁぁ、どうしよう」
見渡す限りの田んぼ。
所々に家もあるし、道路も通ってる。
事実バスを降りてから15分ほど、その道路を歩いて来たのだ。
問題なのはその間、たった一人の人間ともすれ違っていないということ。
まぁ、車とはすれ違ったが。
取り敢えず、約束の時間まで残り25分。
記憶にある地図を頼りに歩くしかない。
それにしても、色々と話には聞いていたけれど、田舎は本当に車がないと不便なんだと実感する。
本来であればタクシーを使う予定だったのだが、駅前にタクシーがおらず、駅員に確認したところ昨今の人手不足もあり、今タクシーは1台しか運行されておらず、ほぼ予約で埋まっているため対応は無理だろうとの事。
それでバスに乗ったのだが、そのバスも目的地までのルートはなく一番近いバス停で降りて、そこから徒歩30分ほど掛かるという不便さ。
これなら、年をとって反射神経が鈍って運転が危なくなっても免許返納に二の足を踏むその気持ちが痛いほどわかる。
「えーと、多分この辺り⋯⋯、あ、あった」
今まで歩いてきた道路から横に逸れるように接続している、車がすれ違うのがやっとと言うほどの幅の道。
その角の所に『鏡池神社』と書かれた石柱が建っていた。
石柱のところで立ち止まり写真を⋯と思いスマホを取り出しはたと気付く。
「あー、⋯そうだ、確かデジカメ持ってきたはず⋯」
背中に背負ったリュックから、だいぶ前に購入した私物のカメラを探す。
ついでにタオルと飲み物も引っ張り出す。
恐る恐るカメラの電源を入れると、待ってましたとばかりに、元気に起動した。
最近はスマホのカメラ性能が劇的に向上し、このカメラの出番もめっきりと無くなった。
入社して初めて貰ったボーナスでちょっとばかり奮発して購入した、コンパクトカメラ。
本当は一眼レフが欲しかったのだが、手が出せなかった。
それでも当時、吟味に吟味を重ねて買った大切なカメラだ。
個人旅行の時や、今回みたいな地方への出張などには大抵一緒に連れていく。
石柱のアップと引いて石柱を入れた構図で何枚か撮り、カメラを肩掛けのバックに入れる。
水分補給をして、タオルを首にかけリュックを背負い目的地に向かって歩き出す。
一歩一歩と進んでいくと、涼やかな風を感じるようになった。
道は一面田んぼだった世界から、集落を囲む山の一つへと続いている。
山に近づくにつれ気温が少しずつ下がり、山の麓に着く頃には吹く風がだいぶ涼しく感じられた。
「ははは⋯」
道は山の突き当りで、左に大きく曲がっている。
正面には石で作られた鳥居が間隔を置いて二つ設置されている。
一つは道が曲がる所に、もうひとつは山を少し入った所にありその間には砂利が敷き詰められている。
木々により日が遮られた薄暗い2つ目の鳥居の先、そこに長く続く階段を見つけ笑いが込み上げた。
神様はとことん、俺に試練を与えたいらしい。
お辞儀をして鳥居を潜り、一つ息を吐き出す。
気合を入れて顔を上げ、1段目の階段を上り始めた。
「ご連絡をいただければ、お迎えに参りましたのに」
「い、いえ。お手を煩わせるわけには⋯」
「てっきりお車で来られるのかと思っておりました。驚きましたでしょう?こんな辺鄙な所で」
「あ、いや、まぁ」
息を切らし、階段を上りきった俺を待っていたのは一人の女性だった。
ここの神社の神主さん奥様だというが、随分と若い気がする。
神主さんは60手前だと聞いていたのだけれど、どう見ても20代に見える。
下手をすれば10代でもいけるかもしれない。
いただいた冷たい麦茶を飲んで、俺は息を整える。
ここは山の中腹より少し下にある社殿。
隣には白壁に囲まれた純和風の屋敷が建っていて、お二人はそちらに暮らしているという。
神主さんは今急用で、街まで出ており俺は神主さんの戻り待ちだ。
「鏡池の事をお調べになられていると聞きましたが」
「あ、はい。今度神秘的な池の特集を組もうと思っていまして、その下調べになるのですが」
「左様でしたか。もうすぐ戻って来ると思いますが、そうですね。資料などお持ちしますので、少々お待ちください」
そう言うと奥さんは部屋の奥へと入っていった。
残された俺はと言うと、窓から見える景色に目を奪われていた。
田舎と言えど、駅がある付近はそこそこ栄えており、昨夜泊まったホテルもWiFi完備の近代的な造りだった。
客室数は少なく、宿泊者も多くはなかったようだが設備としては申し分なく、すぐ隣にはコンビニもあり、駅から徒歩1分で一泊素泊まり五千円を切るのだからリーズナブルだ。
また周辺に商店街やスーパー、それにオフィスビルっぽいものも見かけた。
ただ今いるこの辺りはその駅のある、いわゆる市街地から離れ山一つ隔てた場所にある。
故にこの場所から見える景色は、時代を一つ二つ戻ったようなそんな気にさせる。
近代的な建物は何一つなく、青々とした田んぼが広がり、所々に昔ながらの瓦屋根の家が建っている。
都会育ちで田舎とは無縁の人間なのに、郷愁の思いに浸っていると車のエンジン音が聞こえてきた。
隣の屋敷に止まったらしく、エンジン音が止まると共にドアの閉まる音がし、パタパタとこちらへ走ってくる音がした。
「あ、すみません。お待たせしてしまって」
勢いよく部屋に入ってきたのは、自分と同じ年頃の男性だった。
服装もハーフパンツにTシャツと、街中にいる若者と変わらない。
「えっと、あの」
「あ、ここの神主をしています、加賀美と申します。東京から来た冨野さんですよね?」
「あ、はい。そうです」
あれ?60歳くらいの方だって聞いてたんだが?
「いやぁ、鈴置の婆ちゃんにエアコンが動かないって呼ばれてしまって」
「エアコン、ですか?」
「この人もともと電気屋で働いていたので、ご近所さんからよく連絡が来るんです」
数冊の本を手に戻ってきた奥さんが、テーブルの上に本を広げながら言う。
「簡単な故障なら直せるし、そうじゃなければ古巣に連絡すればいいんで。今回は後者でしたが」
「そうなんですね。あの⋯」
「はい?」
「失礼ですが、こちらの神主さんは60歳くらいの方だと聞いてきたのですが、その⋯」
「あぁ、多分それ親父のことですね。去年俺が引継いだんです」
聞けば、昨年の今頃に倒れ半身が不自由になってしまったのだと言う。
それを機に息子である加賀美さんにここの神主を引継いだとか。
「それで、鏡池の事を知りたいんでしたね」
「はい」
「じゃぁ、簡単に説明をしてから、実際に見た方がいいかな」
「えぇ、その方がよろしいかと」
「ではまずこれから説明しますか」
そう言って、加賀美さんは奥さんが持ってきた本の中から絵本を取りだした。
「これが鏡池⋯⋯」
目の前にあるのは池と呼ぶには大きく透き通った水を湛えた場所だった。
「正確には池ではなく湖に分類されるらしいです。水深は15mくらいじゃないかって言う話ですが、正確なところは不明ですね」
「それはこの下が洞窟だから、ですか?」
「はい。前に一度調査に入ったらしいんですが、あまりにも複雑で危険を伴うので中止になりました。それ以降は調べていませんね」
「ここは普段立ち入り禁止、なんですか?」
「えぇ、禁足地にしています。先ほど説明しましたが、過去に何人かここで行方不明になっているので。子供が落ちたりすると大変ですしね」
「そうですか⋯⋯」
これだけ綺麗であれば、良い観光地になるのにと思ってしまう。
そして禁足地であれば、特集記事にするのは厳しいだろう。
「わざわざ来ていただいたのに、申し訳ありません」
「いえいえ、こちらこそお忙しい中ありがとうございました」
「あぁ、そうだ。折角だから、ちょっとこちらへ」
そう言って案内されたのは、今までいた場所の反対側。
大小様々な岩が円を描くように配置されている。
不思議なことにこの場所だけ底が浅いようで、白い砂が敷き詰まって中央からこぽこぽと水と空気が湧き出ていた。
「ここは?」
「手鏡池、と呼んでますね。ここで神に願うと一度だけその人の人生に必要なものを映し出してくれるそうです」
「え?」
「私の場合は妻が映りました。どうです、やってみますか?」
「⋯⋯なんだかちょっと怖いですね」
「そうですか?因みに親父は車が映ったそうです」
「車?」
「はい。その時一番欲しいものだったらしいんですが、買うのに躊躇していたそうで」
「で、買われたんですか?」
「えぇ、買って母をナンパして捕まえたと言っていました」
今一番欲しいものは⋯スマホだけど、それが映し出されたら嫌だな、とか考えていると加賀美さんが手鏡池に手をさし入れた。
「必ずしも映し出されるわけではないんです。私も子供の頃からやっていましたが、映ったのは3年前ですから」
「なるほど」
「今回映らなくても、また来た時に試してみればいいんです。いつでも来てください。お待ちしてますから」
「はい」
俺は加賀美さんに言われるままに、手鏡池の縁に立ち目を閉じた。
三度自分の名前を唱え、同じく三度、深くお辞儀をする。
そして、柏手を三度打って、静かに目を開き手鏡池を覗き込んだ。
「それでは、また。来られる際にはご連絡ください。駅まで迎えに参りますので」
「ありがとうございました。お伺いする時には、ご連絡差し上げます」
駅のロータリーから去っていく白色の車を見送って、俺は踵を返す。
先ずは公衆電話を探して会社に連絡を入れなければ。
それから次の目的地に行く前に携帯ショップに寄って、スマホの状態を確認してもらって。
頭の中で今後のスケジュールを組み立てる。
次の取材先はここから西に向かって二時間の電車の旅だが、スマホが無いことには色々と不便すぎる。
ほんの少し前はスマホなんかなくて地図を片手に歩いたものだ、と編集長がボヤいていたのを思い出す。
一度便利を手にしてしまうと、その有難味を忘れがちになる。
スマホも然り、車も然り、家電も然り、コンビニも然り。
「あ、あった!」
駅構内を歩き回ること10分、やっとの思いで公衆電話を見つけた。
携帯電話が流通し、ほぼ1人1台持つようになったためか、公衆電話の数は激減している。
「えーと、会社の番号は⋯⋯、あぁぁ、覚えてない、そうだ、名刺、名刺」
やっとの事で会社に連絡を入れ、次の目的地までの電車の時間を確認する。
出発まで37分、携帯ショップは、近くに⋯⋯あるのか?
駅員に聞いてみると携帯ショップは駅から徒歩20分、バスでも10分かかるらしい。
つまり、携帯ショップも車で来店することを前提とした場所に建てられているとのこと。
なので駅員のオススメは、ここから6駅先の大きな駅の駅ビルの中にあるショップ。
途中下車にはなるが、背に腹はかえられない。
俺は駅員に礼を言って改札を通り、ホームのベンチに腰を下ろした。
「はぁぁ、疲れた」
結局、手鏡池には何も映らなかった。
怖いとか言っていた自分が情けなくも感じるが、これでよかったのかも知れない。
また、ここに来る口実ができたから。
今度は、スマホは2台用意しよう。そうすれば1台が故障しても大丈夫だ。
そして今一番欲しいのは、一眼レフのカメラ。
あの綺麗な鏡池、そしてそこからの景色を撮りたい。
スマホのカメラでもなく、長年の相棒のコンパクトカメラでもなく、昔からのあこがれの一眼レフカメラで。
技術とかそういうのはまだ無いけれど、気持ちだけは十分に詰まったいい写真が撮れると思うから。
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(´-ι_-`) 長くてごめんなさい。
今一番欲しいもの
動じない心 継続する根性 計画的に動ける強い意思
あとは…汗かかない身体 片付けが出来る娘 話しを聞いてすべて受け止めてくれる夫 息子の夢を叶える強運
お金では買えない物だけでもいっぱい!お金で買える物はさらにいっぱい!
私の今1番欲しい物
私は少しで良いから愛して欲しい。
今一番欲しいもの(あの頃の情熱はどこへ)
「何だろ? 俺物欲ないからなー」
―――付き合って一年が過ぎて、一緒に過ごす二度目の彼の誕生日があと数日後。
デートの合間に入った喫茶店で、どこか退屈そうにスマホをいじりながら彼がそう返答する。
わたしはその反応を受けて、気づかれぬよう浅く溜息をついた。
マンネリ、を絵に描いたようなこの状況。
半年を過ぎた頃から徐々に自分から興味が薄れていっているのは、よく抜けていると揶揄されるわたしでもそれなりに肌で感じ取っていた。
………他に誰か意中の相手ができたわけではない、と思う。
彼の性格からしてそうなればちゃんと別れ話が出るだろうし、二股や浮気をするくらいならケジメをつける、という人柄も好意を抱いた理由のひとつだった。
わたしに関心は向かなくなったが、特に嫌いになったわけではなく別れたいわけでもなく。
一緒に過ごした時間を考えるとそうするには惜しくて、何よりも楽である、―――そんな態度が今しがたからもよく表れていた。
「………何もないの? ケーキ買ってお祝いだけでいい? って、会えるよね?誕生日の日」
「ん? あー………、もしかするとバイト入ってて無理かも。また確認しとく」
「うん」
―――途切れた会話もそこから繋がらない。
店員がわたしにメロンソーダ、彼にコーヒーを運んでくる。
それをストローで吸い上げながら、わたしは窓からの景色を味気ない思いで眺め入る。
まだ日の高い暑さが残る午後、行き交う人々の群れはとても幸せそうに見えた。
夏休みが始まったばかりで家族連れやカップル、友達同士、皆陽の光を浴びて表情が明るい。
………わたしも一年前はそこで同じように彼とはしゃいでいたはずなのにな。
肘をついて憂いていると、
「そっちは?」
―――不意に話を振られて、わたしは彼に視線を戻した。
「何が?」
「誕生日」
………。誕生日?
わたしの誕生日はまだ先、10月の頭。
誰かと間違えてる?―――と思ったが、すぐに自分の中で訂正した。
興味がないから、オウム返しよろしく場繋ぎの話にでもなればと彼は適当にそう尋ねただけだ。
現にここに座ってから一度も、スマホから目を離していない。
「欲しいのは、」
―――付き合い始めた頃のあなたの熱意かな。
………そう言うにはメロンソーダの炭酸が思いの外強くて、喉を詰めたあと
「………何だろ?」
と無関心を装い、わたしは緑の液体を再度喉へ流し込んだ。
END.
《今一番欲しいもの》
それは、ここ連日睡眠時間を削って調整した議題が一段落し、久し振りの休日を過ごしていた時だった。
「これはまた、ぐっすりと…。」
屋内に彼女の姿が見えないと庭に出てみれば、木の根元に座りながら眠りこんでいた。
その木は大きめで豊かに葉を茂らせていて、木陰も広く風通しも良いので、この季節でも涼しく過ごせる一角になっている。
このところは本部からの帰宅時間も遅かったので、彼女も疲労が溜まっていたのだろう。
膝には、『次に来るのはこれ!秋までに欲しいファッション特集』と書かれたページが開かれた雑誌が置いてある。
これを読んでいたら気持ちよくなって眠ってしまった、といったところだろう。
無理に起こすのも忍びないので、起こさないようにそっと隣に座り、ちらりと雑誌のページを見る。
そこにはトーンは押さえ気味ではあるが色彩も豊かな洋服や、紅葉を思わせるゴールド主体のアクセサリーなど様々な物が掲載されていた。
そうか、世の女性はこういう物を好むのか…。
それにしても、確かにこの木陰は気持ちいい。
するりと吹き抜ける風が、太陽による汗をさらりと引かせてくれる。
ふわり靡いた彼女の長い髪が、僕の腕を撫でる。
それがこそばゆくも心地好く。
目を瞑りながら風と共に流れるその髪を楽しんでいた。
==========
…あー、寝ちゃってた。
毎日かなりの残業に自宅持ち込みで大変そうだった彼の仕事も佳境を越えたのか、今日は久々のお休み。
たまには帝都の流行りを見るのもいいかな、と図書館から借りてきた雑誌を庭の木陰で読んでいたら、つい眠り込んでしまった。ここ涼しくて気持ちいいから。
うーん、にしても何か肩が重い…
と、顔を横に向けて私は固まった。肩の重みの正体が見えたから。
かっ、かか彼が私の肩に頭を預けて寝てる!!
うわ、どうしよう顔が近い!っていうか寝顔見られてた、涎垂らしてなかったよね私!?
彼の身体を揺らさないように身体は静、頭の中は嬉しいパニックで動も動、あまりに激しく回転している。
それでもそっと瞑られた目と小さな寝息で分かる。
相当疲れてたんだな。毎日毎晩、あんなにお仕事頑張ってたから。
そんな事を考えてたら、彼の頭が肩からズルっと落ちかけた。
起きるんじゃと驚いたけど、それでも起きる様子はない。
熟睡してるみたい。身体起こしたままじゃ辛いよね。
そうと決めれば、私は雑誌を横に避けてからそうっと慎重に彼の頭を下に降ろしていき、自分の太ももに乗せた。
いわゆる、膝枕というやつです。
…わ、何これ。物凄い心臓ばくばくする。
起こさないようにするのもドキドキしたけど、そんなの全然比べ物にならない。
小さく開いた口元から微かに聞こえる寝息。
伏せられた瞼を縁取る、女の私よりも、ってくらい長くてふさふさの睫毛。
艶のある綺麗な髪。
それでも男性の逞しさを垣間見せる、顎から耳にかけてのライン。
スリムだけど、きっちり筋肉の付いた肩。
自分でこの体勢にしといて何だけど、刺激が強過ぎやしませんか?
…本当に、ただ寝てるだけでも素敵ってどういうことなんでしょ。
荒ぶる心臓を落ち着かせる為に深呼吸しながら、ほんの少しだけ頭を撫でてみる。
あ、凄い、髪の毛サラサラ。
指の間から、するすると零れ落ちてく。
風がさわさわと木の葉をすり抜けて、火照った頬を冷ましてくれる。
木の葉の緑の間から、澄み切った高い夏空の青。
思えば、こんな贅沢はないな。
あなたに触れられるなんて、死んでも叶わないと思ってた。
もう本当に、何にもいらない。彼と二人のこんな穏やかな時間が、私がずっと欲しかったものだから。
『いま一番ほしいもの』
艷やかな黒髪を耳より下の位置にゆるく束ね、ヘアゴム隠しも忘れていないツインテール。入念な準備を経てつくられた前髪。ころんとした大きな目が特徴的な愛くるしい顔。これらの特徴を兼ね揃えているのが私の親友──春花こころだ。
こころは本当にとても可愛くて、存在がもう可愛くて。いつの間にか常にこころの隣にいたい、と思うようになっていた。
こころは性格もかわいいからモテるし、色んな女の子に話しかけられる。こころは常に引っ張りだこだ。
だから私はよく、こころをどこかに連れて行って、鍵をかけたいなあ、と思う。
ショートケーキといちごみるくでいっぱいの世界に連れて行って、月の光を浴びてきらきらと輝く、ピンクのリボンが結ばれた檸檬色の鍵でがちゃり、と鍵をかけてしまいたい。
かわいいこころを、かわいいで埋めて、致死量のかわいいを浴びたい。
それに、こころはかわいいが大好きだから、真っ白なショートケーキにピンクのリボンが飾られたケーキでお誕生日をお祝いしたら、つぼみがぱっと開くような花々しい笑顔が咲いた。
かわいいこころがかわいいこころに魔法をかけられて、かわいく微笑んでくれたら、それが私の夢なのかも。
こころがずっと私の隣で微笑んで、夢のなかで紡がれるような歌詞を、歌ってくれたらな。
「あ、優!こんなところにいたの?早く部活行こー!」
「うん、行こうこころ」
天使みたいな軽やかな足取りで部室に向かうこころの隣で歩く。こころと出会ってから、このかわいいの擬人化みたいなこころと出会ってから、私の人生ははじまったの。かわいいあなたが私に微笑んでくれるから、私はこうして歩いていられるの。
だからみんなあなたが好きなんだね。みんな、あなたのガラスの靴を見つけたいんだよ。
でも大丈夫。私が作り上げてあなたの足に履かせてみせるから。
私があなたにガラスの靴を履かせて、「私のお姫様はあなただったのですね」って、絶対に言うからね。
いま一番欲しいのは、春花こころ。
あなたの隣にいる資格。私があなたを独り占めしても良いっていう、証明。
そう、それが──ガラスの靴なの。
今一番欲しいものは安心。
人間関係も金銭的にもいろんな面での安心がほしい。
安心できたと思えば失われてしまうし、
明らかな偽物を安心として捉えている人もいる。
どこまで行っても安心なんてないのかもしれない。
安心を目指して辿り着いた先でまた新たに
もっと高度で難解な不安に襲われそうだ。
それが人として生きる人生なのだろう。
みんなそれぞれが自分の人生を自分の選択で生きている。
それが全部幸せに繋がるならそれでいいけれど、
そうでない場合も多いようだ。
だからといって挑戦せずに今のつまらない状態、
ただ日々の労働で時間が経っているような、
そんな人生には決してしたくない。
自分にとっての幸せを叶えるために私は行動し続けたい。
好きな人とゆったりとした時間を有意義に過ごしたいな。
ある日、
家の倉庫でランプを見つけた。
物語に出てくる、
「いかにも」なランプだった。
こすると精霊が出てきた。
体格は良いがビールっ腹のオッサンだ。
そのなりで精霊とか、
自分だったら恥ずかしくて言わない。
それはさておき、
「今一番欲しいものはなんだ?」
と、そいつは聞いてきた。
オレは裏があることなどを予想しつつも、
答えた。
「聞いてみただけ」
と、そいつは答えて消えた。
オレはイラっとして、
ランプをメルカリに出品して売った。
2000円くらいで売れた。
しかし手数料10%とられ、
送料500円ほど取られたので
1300円くらいの利益である。
その金で飲みに行ったバーで
知り合ったのが、今の妻である。
願いは叶っていた。
現実的には時間がほしい
でも欲しいものがありすぎて
私は「魔法使いになりたいです」
具体的な物欲というよりは
非現実的な、
タイムマシンで過去や未来に行きたいとか
パラレルワールドを見てみたいとか
自分以外の周りの時間を止めたいとか
要は今いる自分の世界から抜け出したいんだよね~
今一番欲しいもの
仕事に家事に趣味に地域の行事。
あれをしなきゃ、これをしなきゃ。
あれもやりたい、これもやりたい。
しかし、どんなに時短をしようが一日は二十四時間しかなく、睡眠時間や食事の時間を抜けば、一日に使える時間は実質一二時間程度だ。
とても足りない。
購入したまま積まれた書籍やゲーム、木片に厚紙その他諸々の趣味のものによって、そろそろ一部屋埋まりそう……。
誰だよ、一日=二十四時間なんて決めたやつ!
テーマ「今一番欲しいもの」
自分専用のメイク道具が欲しい。
今は共通のメイク道具しか持ってないから。
自分専用のがあったらいちいち「ファンデ使うよ〜」
って聞かなくても良いし。
6. 今一番欲しいもの
欲しいものを聞かれても答えられない。
そして必ず
「お前は贅沢だ。小さい頃から何もかも与え過ぎた。」
と返ってくる。
その通りだと思う。
食べるものも、住むところも、着るものにも困らなかったし、勉強道具も与えてくれた。
両親と一緒に暮らせている。
遊び相手にも困らなかった。妹が生まれてから、家に一人という状況はなかった。
高校を選ぶときも好きにすればとしか言われていない。大学も。
これらを支えているのは親の労働と良心だ。その苦労を考えたこともなく、これが当たり前だと思って育ってしまったから、これから先が不安だ。
何が不安かというと、それだけこれから失っていくものが多いというのが不安だ。
父は何度も入院して手術を受けている。最近金遣いが荒いのは、もう長くないと思っているからではないか。憶測ばかりして何も聞けずにいる。
一番醜いのは、死なないでほしいという気持ちの中には、お金が無くなったら困るという最悪の理由が含まれていることだ。なんて親不孝なのか。
更に、欲しいものが浮かばないということは向上心がないことを意味している。
例えば、かっこよくなりたいという心持ちがあれば、筋肉がほしい、洒落た服がほしいなどあるはずだ。
向上心があるから、必要なものがはっきりする。
堕落しているから、何が必要か分からない。
今も指定校推薦に引っかかればいいやと堕落した生活を送っている。
だから、強いて言えば向上心が必要だ。欲しいわけではないが。
一番欲しいものは友達。
気が合う、尊敬し合える友達がほしい、と思う。
今ほしいもの。
夏用のかごバッグ
新しい服
今よりも広い家
ボルボのSUV
ぺたんこのお腹
一番ほしいのは何だろうって考えていたら、私の足にウサギ姉がピッタリ寄り添ってきて、足を投げ出して寝始めた。
ママが一番ほしかったのはこの瞬間でした。
今1番欲しいもの
なんでしょう?友達でしょうか?
ペースの合う友達
1人の時間を尊重してくれる友達
"今一番欲しいもの"は?と聞かれると、すぐには答えられない。
人から尋ねられるとなんだってそうだ。
誕生日プレゼントなんかもだ。
欲しいものは何?私にとって一番難しいかもしれない問い。
けれど、この問いが終わった後に思い出すのだ。
「ああ、あれが欲しかったんだ」と。
欲しいものが出来たら、ノートなんかに書き留めておくのもいいかもしれない。
書き終わっても、欲しいものは答えられない。
きっとこれが書き終わってから思い出すのだろう。
今一番欲しいもの
長い貧困生活の中で私は物欲を抑え込んでいた。貧困生活から幸運にも脱することができたが、欲を抑え込むことに慣れてしまったためか今一番欲しいものと問われると何も思い浮かばない。
強いてあげるならば、トマス・ピチョンの「重力の虹」という本だろうか。上・下巻で1万円はするので図書館で借りようか迷っている。
貧しかった時代のことを思うと、今はとても満たされている。
この先、また状況が変わり経済的に困窮したり、健康に支障をきたすようなことが起これば今の無欲な心境も変わってくるだろう。
周りの人が見たら私の人生は枯れていると思われるかもしれないが、仕事がほどよく順調で、健康で本が読める現在の状況が私にはとても幸せなのだ。
今一番欲しいもの
夏休みまでもう少し。暑くて青くて、かき氷が美味しくって、木陰で休んだりして、海に行っちゃったりして、でも貴方と会う約束なんて無い、夏休み。貴方が欲しいとは言わないから、時間が欲しいの。貴方との。夏休みまでもう少し。
今1番欲しいものはバイクです。
と、言うかずっとバイクが欲しい。
小さい頃からバイクへの憧れをずっと持っていた私は、
大学の時に大型バイクの免許を取得したけど、
購入した事はまだない。
今は忙しいけど、いつか旅をしよう。
どんなカスタムをしよう。
愛車は何にしよう。
いくらで買えるかな。
考えるだけでとてもワクワクします。
でも、バイクは多分一生買わない。
これで良い。
【免許は持ってるし】
実は最初から購入する気はあまりなく、このワードを使用したいがために免許を取得したのです。
今日も仕事は大変だけど、定年後のバイク日本一周旅を考えてワクワクしながら、ガンバりたいと思います。
と、カッコつけた事を言ってますが、実はバイクを買いたいけど奥さんが恐くて言い出せていないおじさんの、自分を納得させているお話でした。