『二人ぼっち』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
二人ぼっち
転校生の影響でギターを始めた。初めて目の前でギターの演奏を見た。彼の指が踊っていた。
何も知らない僕に彼はイチから教えてくれた。夢中で練習した。
そのうちバンドを作った。二度、メンバーが入れ代わったが、2年目からは同じ5人で活動した。
ライブもした。小さなハコだったが。
楽しかった。
そして。
誰もが大人になっていく。ひとり去り二人去り。結局、元のふたりだけになった。
だからさ、そこ、押さえ方が緩いんだよ。彼が言う。
いいんだ、これがやりやすいから。僕が返す。
休日に2本のギターだけのセッション。弦の上で彼の指は相変わらず、華麗にダンスを踊る。
いつか必ず僕も追いつく。
ぼっちは嫌じゃない。
人付き合いは煩わしい。
気を使いすぎてメンタル壊すくらいなら、最初から一人でいる方が楽。
ぼっちでいることは自由でいることと同義だ。
なのに、最近うるさい奴がいる。
二学期に入った辺りから、やたらと俺に声をかけてくる。
今日の体育何だっけ?とか、あいつの授業暇だよな、とか、どーでもいい独り言みたいなのを、俺の席まで来てつぶやく。
とりあえず、さあ?とか、うん、とか返すけど、正直鬱陶しい。
学校からの帰り道で、あいつを見かけた。
河川敷で上級生に囲まれてた。
そーいえば、今日学校で、最近先輩達に睨まれててさー、とか言ってたな。
まったく、人付き合いはめんどくさい。
見て見ぬふりが出来ないのは、俺個人の性格のせいかもしれないけど。
「なんでここにいんの?」
「帰り道だから」
「いや、そうじゃなくて、なんでお前も殴られてんの?」
「お前が殴られてたからだよ」
ぼっちは嫌じゃない。
人付き合いはめんどくさい。
余計なことにクビ突っ込んで、痛い目にあうこともある。
でもまあ、二人でいても、相手が相手なら自由でいられるんだな。
束縛や詮索のない関係でいられるのならば。
二人ぼっち…
完璧な一日さがし求めては
朝も明日も君とたゆたう
二人ぼっちの砂の上、
足跡二つ。
歩む速度も行く先も同じなのに、
それでも二人は一人だった。
二人ぼっちの砂の上、
声二つ。
幾らかの問答の末、
いつしか声は一つになっていた。
一人ぼっちは砂の上、
これで本当に一人になって。
それがどうにも寂しくて、
一人静かに泣いたのだった。
テーマ『二人ぼっち』
初めての友だち。
明るくて可愛い女の子。
いつも隣にいてくれて
ペア決めも班決めも全部あなたと一緒
あなたが居るだけでよかった。
あなた以外誰もいらなかった。
ねぇ,あなたもそう思ってるよね?
ねぇ,あなたも私が居れば他はいらないよね?
二人ぼっちって幸せだね。
私はあなたに依存してるのかな?
依存してても良いよね?
だってあなたも同じでしょ?
違うの?
私はもうあなたを離さないよ。
─────『二人ぼっち』
【二人ぼっち】
気のいい友人はそう多くないがいる。
連絡は取らないけれど、会えば楽しく話する友人や何年か振りに会う友人とも話をする。
連絡はたまに取るけれど、昔ながらの何でも話せる友人が一人いる。
たった一人でもなんでも話せる友人がいるのは安心だし、その友人がいる事で救われる。
年に一、二度会うくらいだけどね。
二人共、お互いにあまり連絡しないからね。
似た者同士なんだよ。
だけどね、その一人の友人がとっても大切なんだ。
一人ぼっちじゃなくてよかった。
これからもその友人を大切にしていこう。
二人ぼっち
二人ぼっちになることになれている
でも、どこか頼りにしてはいけないって思ったり
甘えたりしてはいけないって思っている。
だから二人ぼっちをやめようと言ってみた。
二人ぼっちに慣れていた
あなたの傍にいることに
二人ぼっちでいることに
やすらぎと
落ち着きと
安心感と
平穏な優しさ
その居心地の良さに
心は解放されて
あなただけを見続けていた
あなたを失くした現在(いま)
粉々に砕け散った
二人ぼっちの日々の欠片を
拾い集めては
完成することのない
ジグソーパズルで
生きる辛さと
一人ぼっちの
寂しさと虚しさを
紛らわす
# 二人ぼっち
「おー!元気だったかあ!」⋯
専門学校時代、最も仲が良かった知り合いと都内で久々の再開
珍しく、難しい話が好きな彼とはよく色々な話をする。
時に意見が分かれ、激しい論戦になることもあるが、それほどまでに互いにさらけ出す仲であるからこそできるから出来ることだと思っている。
その日は二人で見たい映画を観た。その後、レコード店でレコードを見たり、銭湯でリラックスしたりした。
やがて街は夜になり、ドーナツ店に入る。
そこで私と彼の出会った頃の話になった。
互いに高校時代は半ば不登校、そんな中、偶然珈琲の話から2人は出会い、専門学校時代に私が結成した珈琲の会にて一緒に喫茶店に入り浸った
⋯思えばあの時からもう3年が経とうとしている⋯
「君に会ってから楽しくてあっという間だった」そう言う彼を眺める⋯夜に落ちるドーナツ店は徐々に静けさを増していた。
外は北風の吹くドーナツ店⋯今宵、まもなく二人ぼっち。
君と僕、2人ぼっちそう思っているけれど、
実はみんなと一緒なんだよ、
そこで宇宙と合わさって1つの絵になるんだ。
僕らが近いうちに君たちに会いに行くからね。
そしてたくさんの驚きと幸福に耳を傾けて、
皆で応援しているよ
君とだったら
世界で二人ぼっちでも
僕は幸せだ!
胸を張って言えるよ
それくらい君のことが
何よりも特別で
大好きなんだ
2人ぼっち
一人ぼっちより2人ぼっちが
いい
一人ぼっちはさみしいし
不安で苦しくて…泣きたくなる
でも…自分をわかってくれて
思ってくれて…お互い…助け合える
パートナーさんがいたら
心強いと思う
わたしは、いまは、だれも
いない
そんな素敵なパートナー
かけがえない人
でも、一瞬でもやさしい時間
を過ごせたことに感謝してる
いまは…一人ぼっち
でも…心の中では
2人ぼっち
だって…かつては
あなたがいてくれたもの
ありがとう
あの頃、きっとこの楽しさは永遠だと思っていた。
私達の推しの誕生日だから。
ただそれだけ。
街のケーキ屋に行き、一番小さいサイズのホールケーキを買い、自転車を二人乗りして、彼女の家へ向かう。
今でいうところの、本人不在の誕生日会をおこなうために。
放課後、自転車の荷台に私をのせ、彼女はペダルをこいだ。
雨の中、傘もささずに。
制服のスカートのヒダがとれるほどの、まれにみる大雨の日だった。
「うちらがこんなにずぶ濡れになっててもさー、本人知らないんだよ?」
「ほんと、何やってんだって感じだよね。」
「まぁ、これが楽しくてやってんだけどさ!」
雨の音にかきけされないように、いつもより大きな声で自転車をこぐ彼女に話しかける。
「来年も、」
と言いかけて私はやめた。
彼女と私は別の道に進む。
同じ制服を着て、自転車を二人乗りすることなんてもう永遠に来ないのだ。
大雨のせいで誰もいなくなった通りを二人で駆けていく。
「来年も、お祝いしようよ!私の家で!」
坂道にさしかかり、立ちこぎをしながらペダルをこぐ彼女は文字通り、前しか向いていなかった。
「うん、もちろん!」
少なくとも、彼女の未来には私がいる。
私の未来にも彼女がいた。
私達はずぶ濡れで、ケーキも箱が潰れてかたむいてしまっていた。
二人ぼっちで開催した、本人不在の誕生日会はとてもとても、楽しかった。
彼と、私達の未来はきっと明るく楽しいものだと、信じて疑わなかった。
20年以上すぎて、彼は芸能界からいなくなった。
それよりも前に私と彼女の関係も、なくなった。
約束していた「来年の誕生日会」は開催されなかった。
卒業後、連絡を取り合っていたが、彼女が体調を崩してしまった。
ほどなくして、彼女が精神を病んで入院し、療養中だと別の友人からきいた。
あの頃、二人ぼっちだった私達は、一人ぼっちになった。
彼女が抱えた孤独をわけることも出来ずに、私はただ自転車の荷台に乗ってるだけに過ぎなかった。
一人ぼっち、というのは一人法師らしい。
すると二人法師になれば、艶めかしくてあのよろし。
『二人ぼっち』
もしこの世界にキミと僕の二人ぼっちだったら
どんな世界になるのかな?
キミと好きなことをして、たくさん笑い合って、楽しい
日々を過ごせるかな?
でも、この世界にたった二人ぼっちだったら・・・。
二人ぼっちの世界なんて、一見良さそうだけれど
この世界にたくさんの人がいるから、キミに出会えたん
だと思う。
だから僕は、二人ぼっちの世界なんていらない。
一人ぼっちは慣れてる
人といると疲れるし
無意識に猫かぶっちゃうから
理想と現実のギャップにモヤモヤする
本当はこんなことしたくないし
そんな風に微塵も思ってないのになあ…
そう思いながら
望まれているであろう「私」を演じる
演じきれてるつもりだけど
本音や本性が駄々盛れする
そういう部分を垣間見せると
人間味が出ているとかで好感を持たれたりする
下手に演じなくても
自然体でいた方がいいのかも知れない
一人ぼっちには慣れてるけど
一人上手ではない
寂しさで震えてる自分を匿うために
つまらない薄っぺらい「私」を演じるのだ
大人数は疲れるけど一人は飽きたなあ
ジレンマを抱えながら
今日もひとり。
二人ぼっちに憧れを抱きながら
明日も生きてく。
何でもお願い叶えるからと
確かに私はあの日、あのビルの屋上で、彼女に言った
その時の彼女の答えは、なら私を幸せにして
だった
だから、私は彼女殺した
いつも一人だった。人との関わり方が分からなくて。
目つきが悪く口下手だった俺に話しかける奴なんか居なくて。
それでいいと思っていた。音楽があるから孤独じゃない。
――よし、誰もいない。
辺りを見渡し誰も居ないことを確認して音楽室から持ち出したギターを掻き鳴らす。楽譜に起こさないから、二度と歌えないその日限りの俺の歌。
「〜〜♪」
観客の居ないリサイタルを終えると、どこからか拍手が聞こえた。
「自分、歌上手いなぁ!なんて曲なん?」
ぽやぽやと笑いながら話しかけてくる人懐っこい奴。
まん丸い目をした女顔のそいつには見覚えがあった。
転校してきてその日にクラスに馴染んだ
いつも能天気にアホみたいに笑ってる奴。
上級生にもタメ口で接する怖いもの知らず。
俺とは住む世界が違う奴。
「…ない、俺がつくったから」
「そうなん!すごいなぁ」
話しかけられるのが久々で声が上擦る。
いつからお前はここにいる。なんで気づかなかったんだ俺は。
「ぼく音楽苦手やねん。やから羨ましいわぁ!」
「どーも」
話を切り上げたくて単語で言葉を終わらす俺にそいつが笑った。
「なんですか?」
「いや自分コワイって聞いたけど、全然怖ないなぁ」
「はぁ?」
「やって人見知りなだけやろ?友達おらんの」
何コイツ。怖いもんなしどころかデリカシー0やんけ。
「お前に関係ねぇだろうが」
「関係あるよ」
ぼく全校生徒と友達になりたいねん、ニカッと笑ってそいつは言った。
「無理だろ」
友だち百人出来ないことは小学生の頃に知っている。
それなのにこいつはそんな馬鹿げたことを言うのか。
「わからんやん!」
「クラス全員も出来ねえよ」
「出来たやん」
「は?」
「やってもう友達やろ?俺たち」
「なんでやねん」
「あっ、やっぱり関西やったな自分。自己紹介の時に怪しい思っててん。イントネーションがときどき標準語とちゃうから」
「そんなんどうでもいいわ!なんで俺とお前が友だちやねん!」
「やっておたくがこんな喋ってるところ見た事ないで?こんな言い合いできるん友だちやろ〜?」
なんだその理論。ポジティブ過ぎて気が抜ける。
「……それやったら喋った奴みんな友達なんか」
「うん」
「そんな訳ないやろ……」
「でも言葉交わさな友達になれへんで?」
「お前がそう思ってるだけかも知らんやんけ」
「俺がそう思ってたらええやん。相手がどう思ってようが喋ってる事に変わりないやん」
「無茶苦茶や……名前も知らん奴が友達な訳ない」
「天谷君、やろ?自己紹介で言うてたやん」
さっきから自己紹介って言ってるが、俺の自己紹介なんて
『天谷ほくと、帰宅部……よろしく』位だ。
それがこいつの記憶には残ったっていうのか。
「父親が転勤族やからしょっちゅう学校変わるんよぼく。やから初速速するために人の名前1回聞いたら忘れん頭になってもうてん」
未だに担任の名前すら出てこない俺と雲泥の差だ。
こいつもこいつなりに苦労してんねんな。
だからって友達になるつもりはないが。
「よろしくって言ってたやん。やから勝手によろしくさせてもらうで」
よろしくなぁと手を差し出してくる。
その手は掴まずに、勝手にしろと吐き捨てると、
そいつはまん丸い目をにっこりと細めて
「ほな、勝手にさせてもらうわ」と笑った。
その日から俺の『一人ぼっち』の空間にあいつがやって来た。
『二人ぼっち』
作者の自我コーナー
関西弁が書きたかっただけ。
いつもの2人に二人ぼっちが解釈違いすぎたため、いつものじゃないです。めちゃくちゃ難産でした。
天谷くんからすると自分の世界に自分以外の人間が初めて入ってきたから『二人ぼっち』なんですけど、よりにもよって人懐っこい彼が入ってきたせいですぐに二人ぼっちじゃなくなります。その話もいずれ書きたい……。お題次第ですね。
私の好きなあなたと2人。気まずい空気。
だけどもう少し、この時間が続いたら良いな
『二人ぼっち』
生返事しか返ってこない。私が忠告した事を忘れるくせに、他の人が言ったことは覚えている。小馬鹿にしながら、甲斐甲斐しく世話を焼く。何年経っても、あなたはミスした時の印象のまま、私を扱う。
こういう時、周りの世界が切り取られて、私とあなただけが取り残されたような気分になる。
今なら殺せる。
そう思う。心の底から。
今は世界が歪んでいる。蔑ろにされる私と、平気な顔をしているあなた。そして、私を支配したがるあなたと、あなたを憎む私だけしかいない。
でも、実際にはそうじゃない。
怒りで視野が狭まっているから、二人ぼっちになった気がしているだけ。
分かっている。
分かっているうちは、殺さない。
分からなくなったら?
その時は多分、私は私を辞めているから、躊躇いなく殺すだろう。開放感に胸を満たして、腕を振り抜き、血を纏わせ。恍惚とした笑顔で、あなたを肉にするための処理を施すだろう。
私は、「私」という正気が霧散するのを待っている。
その瞬間を支えに、二人ぼっちの世界を生きている。