『世界の終わりに君と』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
世界の終わりに君と?君とは誰だろう。"君"をすぐに思い浮かべる人はいるのだろうか?少なくとも心から愛している人や生き物がいる人間はすぐに思い浮かぶのだろう。だがそれ以外は?私はすぐにバンドのSEKAINO OWARIを思い浮かべた。別にファンではないが好き…そんなレベルの対象。その次に推しを思い浮かべた。だが世界の終わりを"推し"と過ごすのは気が引ける。推しには推しが大事に思っている人と過ごしていただきたいのだ。そして笑っていてほしい。
___じゃあ"君"とは誰だろう。
家族には少し申し訳ないが最後まで一緒にいたくない。そう、私は1人が好きなのだ。だからそもそも"君"という存在がいないのだと思う。じゃあ"私"は世界の終わりに何をするんだろう?行きたいところに全部行く?でももし世界の終わりが全人類に与えられたらどうなる?少なくとも社会人は仕事をしなくなるだろう。だから公共交通機関は当てにならないはず。こう言う時に車があればな…と思う。電車やバスでも行きずらいところには親に連れて行ってもらうしか無いからだ。もし目的地に辿り着いたとしても、お目当ての物が食べれない可能性も高いだろう。そうすると、もう家にいても良いんじゃ無いかと思う。
というかスマホは機能するのだろうか?テレビは見れるよね?見れると良いな。そしたらAbemaでスラムダンク全話見るよ。課金とかしない派だけど、最後の日なんだ。じゃんじゃんお金出すよ。でも1日じゃ56〜101話は見切れないな…なんて悲しいのだろう。45話×25分は……うーーーーん。2日くらいはいるのかな?計算すんのめんどいな。
私、小学4年生〜中学2年生あたりまではKUMONへ通っていたの。小学生の頃なんか算数の計算ばっかやっていたから暗算も2桁×2桁はたしか余裕でできたと思う。とにかく得意だったし好きだった。でも高校入ってからは全く。というか商業高校通ってたからほぼ電卓頼り。ぽちぽちするの楽しいんだよね。でも今は手元にないからスマホで計算することが多い。たまーーーーーに気が向いて自分で解こうと思って計算するんだけど、確認の為に電卓打つと違ってることがあって…。脳の衰えを感じる今日この頃、って感じ。
まあ、とにかく、世界が終わる日って有意義に過ごせ無さそうだなって結論に至ったw
はい。それではお聴きください。
WANDSの世界が終わるまでは
『世界の終わりに君と』
…いられたらどんなに幸せなんだろうか。
目をつぶり、私は想像する。
まず、世界の終わり方は隕石が落ちて来るのだろうか。それとも、未知なる生物が人類を侵略?
…想像力乏しい私はどんな風に世界が滅ぶのか、細かく想像はできないけれど、きっと街は跡形もなく破壊され、人々は逃げ惑い、その努力は虚しく、呆気なく、儚く、命は散らされるのだろう。
それでも、想像の中の君は笑っているんだ。
それは夏にきらめく太陽のように圧倒的な光を放ち、夜空で輝く一番星のように私を引き付けて離さない。
周りの風景なんてどうでもいいくらいに、想像の中でも私は君だけを夢中で見つめている。
そして、君も私を見つめている。微笑んでいる。
私だけに。
背筋がゾクゾクするような、身体の奥の奥から湧き上がってくるものを感じる。
最期の瞬間だけでいい。君の視界を私が独り占めして、君の誰も彼もを惹きつけて離さない笑顔も私が独り占めしている。
嗚呼。もしも。そんな終わりを迎えられたら私はこれ以上ないくらいに幸せを感じられる。
君に夢中になっている間に世界は勝手に終わっているんだろうから痛みも苦しみも悲しみもないんだろうな。
なんて素敵な世界の終わりなんだろう。
まぁ、あくまでも私の想像でしかない。
私は名残惜しいが幸せな夢から目覚めるかのように目を開けた。
追い縋ってくる女に、和樹は極めて冷淡に話した。
年の頃は20の長めの金髪を無造作に垂らす繊細な細面だった。
「誰が助けてほしいと言いましたか」
それまでの紳士的な…ある意味気弱な青年の素顔が払拭されるほど機械的だった。
残念です。と付け加えて、細身のサーベルを鞘走らせる。
娘が激高して指を突きつけるが、和樹には届かない。
おびただしい数の獣の影が遠くから音もなく現れたが、想定の範囲内。
周囲の空間が切り取られるように歪み、死神のような風体の少女が降り立つ。漆黒の衣服に長い鎌を持っていた。
「だから言っただろ。人間の女に入れ込むなって」
少女は周囲にいくつも結界とバフを掛けていく。
「ガチャみたいなもんだ」
この世に即戦力となる器はなかなかいない。殺してしまえ。少女に命じられ和樹は子供たちの目の前でひゅっと音を鳴らして刃をふるった。首が落ちる音がする。
「そうでした。SSRは最初に当たったんでした」
は?なんだそれ?
少女は俗っぽいことを突然言い出した相棒に怪訝な顔をする。和樹はもとの柔和な顔を取り戻していた。
「助けてくれた人がね、SSRだったって話ですよ。付いていきますよマスター」
世界の終わりに君と
この世界は、着々と、
滅びの日へと向かってる。
それは、人間が抗えない、
大きな『力』によるものらしい。
だけど。
君も、俺も。
この世が滅び行くのを、
指を咥えて眺めてられる程、
達観して無くて。
傍から見たら、
無様で醜いだろうけど、
それでも、
世界を救える可能性があるなら、と。
俺も君も、必死に藻掻いてる。
正直に言えば、
世界が破滅して死ぬだなんて、
…凄く、怖い。
でも。
世界の終わりに君と、
一緒に居られるのなら。
俺は、幸せだよ。
今までずっとこの世界が生きづらかった
でも僕は今、解放感とホッとした気持ちで溢れているんだ
「この世界が終わるよ」
さぁ、みんなでお祝いしようじゃないか !
最後の晩餐何を食べるか
一度は話題になるような話しだ
何を食べるかより誰と食べるか
世界の終わりに君と
世界の終わりが
僕の終わりと同時だとは限らない
時間差で取り残されるとしたら
それは確かに悲劇じゃないか
でも
それが君と二人での“その後”なら
僅かな時間差で残されたとしても
それはきっと幸福と呼べるんじゃないか
そう思うよ
“世界の終わりに君と”
世界の終わりに君と
とりあえずもう一つの世界を妄想で作って
明日への報復性の夜ふかしをしながら
地獄をどう征服するかなんて話そう
そして最後なら守るだけ守らせてほしい
『世界の終わりに君と』
年代物のシャンパンを片手に
悪役令嬢の屋敷へ訪れた魔術師。
来たる終末の日────
悪役令嬢のお屋敷では
お別れパーティーが開かれていた。
悲しいことに彼女は友達が少ないので
呼べる相手はごく僅か。
父からの返答は「行けたら行く」
お父様、それは絶対に来ない方の常套句ですわ。
限られた友人たちも
最期の日は家族と過ごすと決めていたので
参加者は悪役令嬢と執事のセバスチャン、
魔術師の三人だけ。
ろうそくの仄明かりの中、
純白のテーブルクロス上にご馳走が並べられる。
ローストポーク、ラザニア、マルゲリータ、
焼き立てのパンが入ったバスケット。
バターのコクとレモンソースの風味が
加わったリッチな味わいの白身魚のムニエル。
さわやかなトマトの酸味が口いっぱいに
広がるカチャトーレ。
エビと野菜のアヒージョは、
カリカリに焼いたパンと一緒に召し上がれ。
「セバスチャンの料理は絶品ですね」
美食を堪能する魔術師が執事へ
賛辞を送ると、悪役令嬢が口を尖らせた。
「私も一緒に作りましたわ」
(野菜を切ったりしただけですけれど)
お次にシャンパンのコルクがポン!と
小気味好い音を立てながら解放され、
ぱちぱちと弾けるシトリン色の美酒が
フルートグラスに注がれてゆく。
「乾杯!」
グラスを合わせると涼やかな音が鳴る。
フルーティーかつ芳醇な香りと味わいに
うっとりとした笑みを浮かべる悪役令嬢。
「はぁ、素晴らしいですわ」
「ふふ、実家の酒蔵からくすねてきた
甲斐がありました」
美味しい食事とお酒に和やかな会話。
和気あいあいとした雰囲気から突如、
悪役令嬢がわっと泣き出した。
「主!どうなされましたか」
「私……もうあなた方に会えないと思うと、
悲しくて涙がちょちょ切れてしまって」
巷ではノストゥラサムスンによる
終末論が世間を騒がせている。
悪役令嬢もその噂に感化された一人だ。
アルコールで涙腺が緩んだ彼女は
ナプキンでちーんと鼻をかむ。
それを見た魔術師がセバスチャンに耳打ちする。
「まさか、お嬢様はあの胡散臭い予言を
信じておられるのですか」
「ああ……」
ヒソヒソと密談する二人を
じろりと睨む悪役令嬢。
「あら、殿方たちで私の悪口でも
お話されているのかしら?」
「そんな訳ないじゃないですか、ねえ」
魔術師がセバスチャンに促すと、
見目麗しい執事は目を泳がせた。
隕石の襲来に恐れ慄きながら、
いつの間にか眠りに落ちていた悪役令嬢。
目が覚めると宝石のような朝日が東の空に
浮かんでおり、あの予言がでたらめだった
ことにようやく気がついたのであったとさ。
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※『明日世界が終わるなら』
と話が繋がってます!
世界が終わるなら踊りましょう
酒場で陽気なポルカでも
紳士も淑女も皆々様で
どうぞコチラへ 鳴らせ 靡かせ
刻みましょう 歌いましょう
踊りましょう 踊りましょう
サァサ、あなたもコチラへいらっしゃい
〖世界の終わりに君と〗
大切な人との別れは、とてもつらい。
きちんとしたお別れができないのであれば、尚更。
可能な限り、ずっと一緒にいたい。
君と一緒に最期を迎えられたらと、よく考える。
世界の終わりに君といられることは、
とても幸せなことだ。
それが、僕の一番の望みかもしれない。
世界の終わりに君と
世界の終わりと考えた時、地球が終わる時に何をしたいかを考えたことはあるけど、それはきっと遠い未来の話になるのだと思う。
身近で考えると、自分の死に際がきっと近いんだと思う。
親が先にいなくなってしまった時も終わりに感じてしまうのだろうけど、それは前に進むべきと親からの愛だとも思う。
自分が死ぬ間際に、傍にいてくれた人に見送られながら、終わりを迎え穏やかに逝きたい。
世界の終わりに君と 2024.6.8
突然だけど、あと数分で世界は滅ぶ。俺は悔いのないように世界で1番大好きな君と、思い出の地へ来ていた。夕焼けの美しい海。君と初めてきた場所。俺は眠そうな君の横に座る。
相変わらず君は気分屋というか、世界が滅ぶのに呑気だなぁ。そういうところが好きだよ。頭を撫でてあげると、君はこちらを見つめて目を細めて笑った。
不快な音のカウントダウンがはじまった。60、59、58 … 。俺は君の頭を撫でて、世界が滅んでも君を愛することを誓った。君は何言ってるの?と言うかのように笑った。10、9、8 … 。
「またね。」
「にゃあ〜」
「待ってたよ。ずっと」
夜はまだ起きている。だから、朝はまだ起きない。
薄暗い海の中で、君は月の光だけに照らされてぼんやりと、しかし力強く立っている。
「はは、遅かったか?」
ふわりと海の匂いを巻き込んで、風が吹く。
悪いなんて少しも思ってなさそうな顔で君が笑ったから、何となく許してしまいたくなった。
君の悪い癖と私の甘さの重なりは、お互いの凹んだ部分を埋めるように、心地良さへと変化する。
「どうせまた、賭け事でもしていたんでしょう?」
黒いズボンの後ろポケットに、くしゃくしゃになった新聞が入っている。
君の趣味は、確か馬だっただろう、そう呟くと、あちゃーやっちまった! と、後ろポケットに手をやり新聞を引っ張り出した。
「勝敗は?」
ふ、と全てが闇に包まれる。
月が顔を隠してしまったみたいで、君の表情が上手く読み取れなくなってしまった。
「面白いくらいの惨敗だ」
ぱしゃっ
遠くの方で魚が跳ねた。
「……そう」
ゆっくりと、月が顔を出し、君の広げた新聞に光を注いだ。
確かに、それは面白いくらいの惨敗かもしれない。
見開き一ページ、大きく載せられた無機質な文字。
【桜の木の下で男性の遺体発見】
「見つけられるとは、思わなかったんだけどなぁ」
ぽつり、呟く。
君の吸い込まれるような暗い黒い瞳が、私を捕らえる。
「……なぁ、約束しただろ?」
「……嗚呼。そうだったねぇ」
酷く不安定な声だ。縋るようで、なのに手を取って救い上げて欲しいとは思っていない。
答えなど、求めてはいないのだろう。だけど、答える。
波の音に負けない様に、聞こえるように、声を出して。
「いつかまた会おうって、約束しただろ」
「うん、うん。そうだった筈だよ」
ひとつひとつ、何も間違いなどないのだと、肯定して安心させてあげるのだ。
赤子に話しかけるように、優しく。やさしく。
「俺は、約束を守れたか?」
「……それは、分からない」
約束、とは、いつから呪いになるのだろうか。
守れぬ約束など、最初から結ばなければ皆、無責任に幸せでいられるのに、
「……人は何故約束をするのだろうねぇ」
ざぷん、波が変な音を立てて泡を立てた。
それを二人して見て、何となく目を合わせたら、それが可笑しくて笑いが込み上げてきた。
くすくす、はは、二人の笑い声が薄暗い海に響く。
どうやらその声で、朝が起き始めたようだ。
それは、私達の終わりの合図でもある訳で、こうしちゃいられない、と呼吸を整える。
君が言う。
「もし来世があるなら、また会おう。約束だ」
「なんで今、約束をするのかなぁ」
「はは、悪い」
そう言う癖に、悪いなんて少しも思ってなさそうな顔で笑うから、何となく許してしまいたくなった。
「そりゃあさ、未来に期待したいから、だろ」
きっと何度繰り返しても、同じことをしてしまうんだろうな。
世界の終わりに君と、生きていた。
そんな気がしている。
─────────────────
それが、二人の約束。
約束は、呪いなのか、はたまた祝福なのか、願いなのか。
人によって変わってしまうことだけど、それが誰かの生きる理由になるんだろうなと思います。
義務になれば、辛いけれど、辛ければ辛いほど忘れられない物になる。
それが、酷く美しいなと思います。
久しぶりに書くと、難しいですね。本を読まなくなってしまったから、言葉が出なくなりました。
元々頭の回転が遅い上に、言葉の選び方や種類が最悪なのですが、本を読むと少しだけ上昇するんですよ。
影響されやすい体質ってのが、そんなとこにまでって感じですが、
浮上しない間に沢山ありました、けど、眠たいので今日はここで。
おやすみなさい。良い夢を。
世界の終わりってイメージがつかない
地球温暖化とか星の爆発とか地球の自転の停止とか? 話のスケールが大きすぎて想像できないな。もっと身近なもので喩えてもらわないと。そうだな、死んでしまいそうなくらいショックな出来事が起こるとか? それも想像が難しいから、やっぱりそんな悲劇的な話題とは縁がないみたい。
そういえば今日は恋人と付き合って3年目になるんだ。まぁ特になにも用意してないしする気もないんだけど。そういう仲でもないし。お互い気を遣わなくていいやって感じ。
さっき「大事な話があるから」って、電話して欲しそうにしてたからこれからかけてこようかな。あー今日のごはんなんだろう。お腹空いてきた。早く帰ろう。
「世界の終わりに初めましての人」
世界の終わりに君と
そんな日は来てほしくはないけど
もしそんな日が来るのならば
やはり君と一緒にいたい
いつもの通り
話をして
最後の瞬間まで
共にいて
抱きしめて
その時を迎えたい
でも考えただけでも
胸が苦しくなる
そんな日は永遠に来てほしくはないんだ
世界っていつ終わるんだろうか。
隕石が落ちる時?
世界戦争?
太陽が膨張して地球が飲み込まれる時?
私が死ぬ前かな?後かな?
たとえば私が死んだ時、私の世界はたぶんそこで終わる。
でも、私が産まれる前から本当に世界はあったのか
死んだ後も、みんなの世界は続くのか
わからない。
胡蝶の夢って話もあるし、全部夢かもしれないし。
世界ってどんな感じで終わるんだろう?
「明日世界が終わります」ってニュースで言われるのか、
突然ぷつっと消えるのか、
無の空間に放り込まれるかもしれない。
それか、町から生き物だけごそっと消えちゃうとか?
世界が終わる時っていっても難しい。
でも、なんとなく嫌かも。
だって将来のためって頑張った勉強も無駄になっちゃうし
お金貯めて買ったものも意味なくなっちゃうし
最近会ってない友達にも会えない。
先輩と約束したご飯も行けない。
それは嫌だな…
そう考えると、やっぱり世界なくなって欲しくないと思う。
この先何したらいいのか、何しなきゃいけないのか、
考えるのは好きじゃないし
将来の見通しなんてないし、正直未来が怖い。
けど、無くなるのは、ちがう。
それはそれでいやだ。
何もわかんないけど、とりあえずこのまま生きてようかな。
多分世界がなくなるよりはマシかなって思う。
ところで明日提出の課題はなんだっけ、やらなきゃな。
世界の終わりに、君と海を眺めたいんだ。
つれないこというなよ、親友だろう。
ああでも、君にだって世界の終わりに、一緒にいたいひとがいるのか。それなら仕方ないし、勿論今すぐそのひとのところへ行ってあげるべきだ。
ほら早く行けよ、行けってば。
ぼくが腕を掴んで、涙の海に溺れながら、
行くなと引き止めてしまう前に。
だいぶ少年らしくはなったと言っても、まだ13歳。
成長しきっていない僕の手は血で塗れていた。
必死に掴んで走ったから気づかなかったけど、華奢な君の手も汚れた血で染まっていた。
土手沿いの薮の中で、震えながら必死に君を抱きしめていた。僕らは声を押し殺して泣いた。
君から相談を受けていた僕は、夜にノックもせず君の家に入り込んだ。
仕事に出ていてお母さんはいない。
君の部屋のドアが細く開いていて、煌々と電気が照らしている下で、セーラー服姿のままで君は養父に覆い被さられていた。
怒りで脳が熱くなるほど僕は冷静だった。静かに近づき思いっきり包丁を振りかざし、養父の右の背中に突き刺した。何度も何度も突き刺した。
僕らは汚れた血で染まった手を繋ぎ、交番へ向かった。
題:世界の終わりに君と
“世界の終わりに君と”
戦争ばかりが続いていた世界がついに平和への第一歩を踏み出した。テレビのニュースは大国と大国とが和平交渉を始めただの停戦が終戦になっただの、明るい話題で埋め尽くされている。
そんなニュースを見ながら朝食の準備をしていると彼女がもそりと寝室から出てきて、俺をみるなりあくびをした。
なんて平和な朝だろう。
お互い昨日脱ぎ捨てた軍服はそのまま床に転がっていて、きっと明日にはゴミ収集の業者に連れて行かれてサヨウナラだ。
今までは決まった時間に跳ね起きて端末を確認したものだが、軍用の端末はもう軍に返却して呼び出されることもない。
彼女も俺もだらしのない寝間着のままふらふらと椅子に座ってのんびりとコーヒーを啜った。
「昼はどうしようか」
「あー……前に美味しいっていってたレストランは?」
「あそこはこの間ミサイルで吹っ飛んだって聞いたよ」
「……じゃあ良く行ってたパン屋」
「あっちはご主人が戦死で閉店」
「……なんならあるんだ」
個人用の端末で開いている店を調べる。
せっかく世界が平和になったのだから良いものを食べなければもったいない。向かいの彼女が出来合いのデザートをスプーンでつついて遊んでいるのを横目にスイーツの有名な店を何個かピックアップする。
どこも一度も行ったことのない店だがまあしかたない。
彼女に端末を渡して、彼女が食べ残したデザートを口にする。パサパサで美味しくない。昼には美味しいスイーツを食べさせてあげよう。
彼女が選んだお店までのルートを確認して、ついでに予約も済ませてしまう。
「夜はどうする?」
「夜は……適当にコンビニで買えば良いだろ」
「そんなもん?」
「そんなもんでしょ。最後の晩餐期待してた?」
「……いや、別に」
お互いそこまで食には煩くない。
美味しいものを食べたいと漠然と思ってはいるものの、戦場での携帯食に舌が慣れているものだから、正直コンビニ飯でもご馳走みたいなものだ。
彼女もそこまで拘っている様子もなく、目線はすうっとテレビに移った。
今日、世界が平和になって俺たちは世界から不要になる。明日になれば今度はきっと世界は俺たち人殺しに厳しくなるだろう。なにせ俺と彼女は英雄だった。英雄ってことは誰よりも人を殺したってことだ。
平和な世界に英雄はもう要らない。
誰かの手でバラバラに殺されるのであればいっそ、お互いの腕の中でお互いに殺されたい。
だから俺たちは今日、二人の思い出の場所で終わりにすることに決めていた。
「ねえ、来世でも会えるかな」
「……どうだろうな」
「好きだよ、きっと来世でもずっと」
「……そう」
「君は?好きって言ってよ、最後くらい」
テレビを見ていたはずの彼女がこちらを向いた。
てっきり照れているのかと思っていたが、思いの外強気な笑みを浮かべていて面食らった。
「まだ、最後じゃない。最後の最後になったら言ってあげる」
片方の口角がキュッと持ち上がる。
その勝ち誇った様な顔は俺が一目惚れをしたときの彼女の顔で、死ぬ間際だというのに俺はまた彼女を好きになってしまうのだった。