『上手くいかなくたっていい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
上手くいかなくたっていい
そう思ってても、上手くいくように立ち振る舞って
ストレスを抱えてしまう。
少しでも楽に考えて、行動できたらいいのにって思っても
楽にしてしまうと何かミスが起きてしまうかもしれない。
と思って、息が詰まりながら仕事をしている。
明日は、上手くいきますように。その次の日も何度も上手くいくよう願う。
でもいつか上手くいかなくても乗り越えられるような
自分に変わりたい
お題 上手くいかなくたっていい
手を伸ばせば雲に手が届きそうかも
なんて呑気なことを考えるには全く向いてない場所にいる私
今、私がいるのは山の中の崖っぷち。ボロボロのフェンスを跨いで来たここはあと一歩で知らない世界に行ける場所。
そこがどんなところかは知らない。きっと誰も。
こんなところにいても恐怖心一つ湧かなくなってしまった自分に思わず自嘲気味な笑みが零れる。
あ、久しぶりに笑えたかも。
笑えなかった人生。辛かった人生。
そんなことからも今日で解放されると思うと今すぐにでも
この一歩を踏み出してしまいたくなるくらいだ。
何も上手くいかなかった人生。
私は優しくなりたかった。
私の優しさは誰に気づかれず、空回りに終わった。
私は可愛くなりたかった。
私の肌が、体型が髪の毛が美しくなることはなかった。
私は友達が欲しかった。
私の周りにいたのは、いじめっこだけだった。
私はなろうとした。誰からも慕われる姉のように。
私は姉とは対象的になった。
母は姉を愛した。この世の何よりも。
娘という同じ立場の私は全くもって違う扱いを受けた。
何もかも、上手くいかない。
努力は報われない。
そんな人生も15年で終わり。
こんな終わり方だから来世に期待をすることはできないけど
それでも今よりもいい人生だったらいいなと思う。
さぁ、終わろうか。
セミの鳴き声がいっそう大きくなる。
私はくるりと後ろを向き、背中から落ちようと思った。
そこにいた、見覚えのある人を見るまでは。
「お兄ちゃん…?」
そう声に出した瞬間、お兄ちゃんはバッと走り出して
フェンスを挟んで私を抱きしめた。
『ごめんな。ごめんな。』
そう言って私の肩に涙を零した。
『もう、大丈夫だから。お前は本当に頑張った。』
なんのこと?そもそもお兄ちゃんは、ずっと一緒にいなかったから、私の事なんてほとんど知らないはず。
流されるようにフェンスの内側に帰ってきた頃には死にたいという気持ちよりも、聞きたい事のが多くあった。
しかし質問するまでもなく、お兄ちゃんは全て話してくれた
『今日な、8年ぶりくらいに帰ってきたんだよ。家に。
そしたら母さんと莉央がいて。真奈美は?って聞いたら、知らないって言って。家の雰囲気とかから何となく良くない感じがして、小さい頃お前とよく来ていたここに来てみたんだよ。』
莉央は私のお姉ちゃんの名前で真奈美は私の名前。
久しぶりに名前を呼んでもらえたことに思わず涙が流れる。
『お前のことだからきっと色々頑張ってたんだろ。昔から頑張り屋さんだもんな。』
「…でもっ、私全然ダメでっ、
なんにも上手くいかなくてっ、お姉ちゃんみたいに、
なれなかったよぉ〜」
ダムが壊れたように泣き出す私の頭をお兄ちゃんは優しく
撫でてくれた。
『うまくいなかくてもいいじゃん。やろうとしただけ真奈美は偉いよ。偉い偉い。』
『だからさ、今度からは一緒に頑張ろ?
もうあんな家には返さないよ。』
お兄ちゃんとお父さんは私たちとは別に住んでいた。
両親の仲が悪いせいで私たちは7歳の頃に離れ離れになった
当時お兄ちゃんだけは私と仲良くしてくれて、お兄ちゃんの横が私の唯一の居場所だった私にとって、とても悲しいことだった。そんなお兄ちゃんとこれからは一緒。
私は心が踊った。こんな感覚は初めてだ。
私は、うんうんと首を縦に振ってお兄ちゃんに抱きついた。
『よし真奈美!すぐに荷物をまとめるぞ!』
「おーう!」
小さい頃に戻ったように私は明るくなれていた。
自分でも驚くほどだ。数分前まで死のうとしていた人間とは思えない。これか本当の私だったのか。
それから私たちは、少し強引だったけど元いた家を抜け出して、お父さんと大好きなお兄ちゃんに囲まれて新しい人生を
歩み始めました。
上手くいかなくったっていいなんて、そんなわけないだろ!!!!!
そうやってすぐに達観した気になって諦めて放り出してるんじゃねぇよ!!
たった1度の失敗で投げ出してへらへら笑ってるんじゃねぇよ!!!!!!!
これもいい経験だとか全部が全部上手くいくわけじゃないとか失敗から学ぶこともあるとか、くだらない言い訳してるんじゃねぇよ!!!!
そうやって色んなことから逃げてちゃんと向き合わないからいっこも上手くいかねぇんだよ!!!!
てめぇは失敗から何も学んでないんだよ!!!!
泣いていい、沈んでいい、喚いていい、怒っていい。
だからさあ!!
上手くいかなくったっていいなんて言ってねぇで!!
上手くいくまで何度でも立ち上がってぶつかって挑戦してみろよ!!!!!
なあ!?!?!!!!!
20270809.NO.17.「上手くいかなくったっていい」
【上手くいかなくたっていい】
上手くいかなくたっていい。
100点が取れる保証がなければ。
成功すると約束されていなければ。
『絶対』『必ず』
それが無ければ1歩踏み出せないと言うのなら。
それなら上手くいかなくたっていい。
0か100かだけで総てを量らなくていい。
上手くいかなくても
それが失敗にはならないから。
100点じゃなくても
それがマイナスにはならないから。
1つ行動したならそれはプラスにしかならない。
1つ挑戦したならそれはいつか何処かに繋がるから。
だから怖がらなくていい。
上手くいかなくても大丈夫。
失敗も涙も悔しさも、
重ねていく事にちゃんと意味があるから。
上手くいかなくたっていいといいながら、
いつだって私はあわよくばを期待していますとも。
もう後戻りできないように手首に傷をいれた
それが私の覚悟
いってきます
上手くいかなくって良いんだ。
だって、成功したって死んだら無だから。
だったら、最初から適当に生きれば良い。
そして、死にたくなったら死ねば良い。
【君は君の人生という名の物語の主役。君が動かないと物語は始まらない。】
こんな言葉は、偽善だ。
だって物語が進まなくたって、世界は回るのに。
でもこんな戯言が賞賛を受ける世界で、きっと頑張れない俺は悪者だ。
それなら、悪者らしく生きていこう。
文句言ってくる奴には、中指立てろ。そして言ってやれ。
「俺の人生に口出しするなモブが。」
でも世界は冷たい。
上手くできる人間を、英雄と。
上手くできない人間を、怠惰と呼ぶ。
【あの子もできるなら、君だってできる。】
何で分からないんだろうね。
何で全員同じだと思うんだろうね。
そんな謎理論のせいで、何人が死んだんだろうね。
自殺した人間が弱いんじゃない。
自殺に追い込んだ奴らの頭が弱いんだよ。
失敗や挫折感を味わい不安な気持ちで
落ち込む事があると思う。。。
その時って本当に
めちゃめちゃ辛いし、しんどいよね。。
泣きたい時はスッキリするまで涙を流したっていい。
なにもかも上手くいかなくたっていい。
必ず誰か君が一生懸命取り組んでるのをみてるから
物事に全力で頑張った事。
その自分を思いっきり誉めてあげてほしい。
誰かと一緒に居たい時はすぐ僕を呼びにきて。
いつだってすぐ駆けつけるし傍にいるから。
「お前、将来どーすんの?」
高校三年生、周りが模試やら夏期講習やらで自分を追い込み始めた時期。
全く先生の言葉が響かなかった俺は今日も実家就職の幼馴染と海を眺めていた。
「いや…特になんも考えてねぇわ…」
「いやぁ〜ちゃーんと考えろよぉ?」
「お前は行きたい道選べるんだからさ」
その言葉が、怠惰な自分に随分と突き刺さったのだ。
コイツは実家が地元じゃ有名な企業を代々受け継いできた様な家系で、4人中3人が女の中、1人だけ男として生まれた奴。
性別が決まった瞬間から、コイツに権利はなかった。
だからこそ、俺はその言葉を重く受け止めたのだ。
「でも俺、やりてぇ事なんかねぇよ…」
少しの反発も含めて言葉にしてみた。
まるで、子供のように。
「演劇は…?」
「はっ、…お、お前、それ、本気で言ってんのか、?」
「俺はいつだって本気だっつーの!!!」
演劇。
それは俺が習い事で始めたミュージカルで得る事が出来たほんの少しの能力。
選ばれるだけの世界で、俺は選ばれる側の人間になる自信がなかった。
だからずっと、見ないふりをして来たのだ。
「上手くいかなくたっていいよ。歩ける道なら歩こうぜ、」
水面張力のようにずっと誰の言葉も響いてこなかった自分の心に、コイツの言葉だけが入り込んできた。
まるで背中を押してくれているかのように。
「…親に、掛け合ってみる」
「…!おうっ!」
活躍する事が出来たとして、その時はコイツを同じ世界に引き込んでやるのもありなのでは無いか、そんな事を脳裏に浮かべながら俺はヤツに水をかけた。
【上手く行かなくたっていい】
でも、最後まで自分を信じてください
ーNo.4ー
上手くいかなくなっていい
繰り返して繰り返して上手くいく
トライ・アンド・エラーだ
挑戦すればするほど成功を信じている
一人じゃない。
みんなで作り上げていく
上手くいかなくなってもいい
諦めなければ出来ることをこの手で
うまくいかなくたっていい。
行動したこと自体が最高なのだから。
何か行動を起こす際に、うまく行くかどうかなんてのは、いろんな要因が関係してくる。自分が上手くやっても、環境や他人とうまくマッチしなければ、結果としてうまくいかないことはある。
自分は上手くやったのだから、それ以上はどうすることもできない。しかし、全体の結果に目を向け、失敗という結果して見ていなければ、次に踏み出せなくなる。
失敗を重ねた先に成功はあるもので、1回目から成功することなんてなかなか無い。何回失敗しようが、成功するまで続ければ成功になる。
今の世の中、失敗を極端に恐れる人が多いように思う。それが悪いわけでは無いが、失敗できない奴に成功はないし、失敗してみなければ、失敗による影響も理解することはできない。
失敗を恐れるあまり、失敗の影響を怖がりすぎ、行動ができなくなる。実際に失敗してみると、意外に大したこと無かったりする。そんなもんなのだと思う。
この世界は、自分の見方で変わってくる。同じ物でも、大したことないようにも思えるし、ものすごく怖く感じたりもする。所詮そんなもんなのだと思う。
失敗が怖い時は、本当に怖い物なのか、考え直してみると良いと思う。意外と怖くないと思えたのなら行動すれば良いし、それでも怖いと思うなら辞めればいいし。
行動することのみが持て囃されるが、別に行動してもしなくても大して変わらないこともある。しなくていい行動もあるし、何でもかんでもやればいいわけでもない。
結局、自分よりすごく見える人も意外と大したことない。別に、凄くなりたいと思わなければ凄くなろうとする必要もない。見栄や虚勢は要らない。ただありのまま、思うままに生きてれば良い。上手くいかなくたっていい。上手くいったらラッキー。そんなもんだから。肩肘張って生きなくていい。
初心に立ち直ってみれば、彼とボクとの出会いは演奏者としての彼と権力者としてのボクのいわば対立構造だった訳だ。
なのに気がついてみたら、もう既に仲のいい関係になっていることは言わずもがなである。
毎日毎日、彼が弾くピアノの演奏を聞いて、仲良く会話をして、まるでそれは友達のようで、とてもじゃないけれど対立しているといえないようなものである。
でもそれでいいんじゃないかと、今は思えてしまうほどにボクは彼のことを好きだったのだ。
変な意味じゃない、恋愛感情でも何でもない。 ただ彼のことをまるで友達のように感じていただけだ。権力者として、それはとても正しくないことだけれども、それでもボクは今はこれでいいと思っている。
本当は対立しなくてはいけないかもしれないけれど、ボクは彼のことが好きで、友達だと思っていて、今はそれでいいんじゃないかと。
権力者集団に命令されたこととは、今の結果と真逆かもしれないけれど、それでも、うまくいかなくてもいいんじゃないかと今はそう思っている。
上手くいかなくたっていい
失敗したら怒られる
スポーツをしていたらこんなことばかりだ
もっと努力しないといけない
でも、これ以上何をすればいいかわからない
スポーツを辞めたくなる
辞めたいと言うと、逃げるなと言われる
逃げてなんかない
これ以上続けると自分が壊れてしまう
そんな気がするから辞めたい
正直に言えたらいいのに…
上手くいかなくたっていいんだよ!!
ある日、自分が嫌になって、逃げ出した日
クラスの男子に怒鳴られた
びっくりした
おまえなんかにこの気持ちなんてちっとも理解できないだろ
そう思った
でもそれは違った
俺だってもともとは水泳してたんだ
でも、タイムは伸びないし、それどころかどんどん下がっていく
失敗しまくって怒られて、怒られて、怒られまくって
生きてる価値がないんだな、
そう考えたこともあった
でもね、覚えてるかわかんないけど、
とある女の子に、
逃げたきゃ逃げればいい
自分の人生なんだから自分で決めればいいよ
上手くいかなくたっていい!
まだ、人生始まったばっかり!
他のことしてどんどん楽しみまくろ?
って、言われたんだよ、
その子のおかげで今も生きてる、ほんとにありがとう。
そう言われた瞬間、自分が放った言葉だと思った
そんなことを言ったのに、自分は何をしてるんだろう、
涙が止まらなかった。
上手くいかなくたっていいんだ、
誰が何を言おうと自分の人生は自分で決めていくんだ
今日からまた頑張ろう
『上手くいかなくたっていい 1』
上手くいかなくたっていい
失敗した時に、意外な宝物を発見することもあるから。
『上手くいかなくたっていい 2』
私の嫌いな言葉は、「〇〇さんは、大丈夫だよ」である。
試験の前や悩みを相談した際に
「〇〇さんは、大丈夫だよ」って言われると
私の不安、辛さ等、何が分かるのって思ってしまう。
あなたの言った「大丈夫だよ」は、
『うまくいかなくってもいい』という私の心の逃げ道を消すプレッシャーとなってます。
あなたの言ったその一言、大丈夫の保証は何ですか?大丈夫ではなかった時に、あなたは責任を持てますか?
「大丈夫」って、安心を与える言葉ではあるけど、使い方って難しい。
一昔前、「勝ち組」や「リア充」なんていう社会的に「上手くいってる」人達を指す言葉が流行ったけど、人の幸せは他人が決めつけるものではないから、自分で自分の幸せが何なのか、それさえ解っていれば世間の基準なんてどうでもいいんじゃないかな。
上手くいかなくったっていい。
やってみようと行動したことが、凄いことなのだから。
最初の一歩を踏めたことをまず喜ばなくては。
失敗しても大丈夫。
歩みを止めない限り、必ずどこかしらに行き着き、出会うべき人に出会えるから。
ゆっくりゆっくり自分のペースで歩めば良い。
周囲には、徒競走している人や走っている人がいたりするかもしれない。
思わず「自分も走らなくては」と焦ってしまうかもしれないけれど、自分の心が否であったなら、走らなくても良い。
人は人。自分は自分。
それぞれの違いがあって良いのだから。
ゆっくり歩いていると、走っていたら見逃してしまう綺麗で美しいものたちに出会うことが出来る。
名前も知らない花や虫に、世界の多様性と懐の広さを教えられる。
失敗を怖がる必要もない。
斯くある世界に、受け入れられないものなどほとんどないのだから。
お題「上手くいかなくたっていい」
上手くいかなくたっていい。
人間全員失敗する事なんていくらでもある。
落ち込んでもいい。それが次に繋がる1歩なんだから。
貴方はダメな人間なんかじゃない。希望を持って。
「上手くいかなくたっていい」
眠れない夜には、月や星を見る。
うっすら浮かぶ雲を眺める。
夜空がこんなに綺麗なら
たまには眠ることが上手くいかなくたっていい。
そう思うとだんだん眠くなってくる。
おやすみなさい、良い夢を。
「蝶よ花よと可愛がられ♪
褒められ撫でられ愛されて♪
みんなの人気者、百合子ちゃんは~♪
今日も元気に「カーン」
私が気持ちよく歌っていると、部屋に鐘の声が鳴り響く。
タイミングと鐘の回数からは、私への悪意しか感じられない。
まるで私が音痴かのようじゃないか!
誰がこんなことをするのか……
決まっている!
友達の沙都子だ!
「ちょっと沙都子!
気持ちよく歌っているから邪魔しないで」
私が抗議の声を上げると、沙都子は不愉快そうな顔をした。
「それはこっちにセリフ。
本読んでいるんだから、歌わないで」
沙都子は読んでいる本を机に置いて私を睨みつける。
「なんで歌っちゃダメなのさ。
それに私の歌、家族から大絶賛なんだよ。
お願いされるレベルだよ!」
「はあ」
沙都子はこれ見よがしにため息をつく。
最近の沙都子はため息が多い。
「沙都子、ため息をつくと幸せが逃げるよ」
「誰のせいよ!
あのね、私は歌うなって言ってるんじゃないの。
私の部屋で歌うなっていってるの。
自分の部屋で歌いなさい」
沙都子が正論を吐く
私もそう思う。
だけど、私の部屋で歌えない事情があるのだ。
「ウチで歌うと大変なんだよ」
「家族が『うるさい』って怒るでしょうね。
私みたいに」
「違う。
家族が、私の歌を聞こうと押しかけて、大騒ぎになる」
「……さっきの『お願いされる』とか、歌の『蝶よ花よ』は誇張じゃなかったのね」
「うん、そうなんだ……
だからここで歌うね」
「なにが『だから』なの?
ダメよ。
歌いたければカラオケにでも行きなさい」
「お金無い」
「自業自得ね。
私の家の物を毎日のように壊して、弁償していればそうなるわ」
会話は終わったとばかりに、沙都子は再び本を読み始める。
沙都子は満足したかもしれないが、私はまだ言い足りない。
「まだ話は終わってないよ。
さっきの鐘の音は何さ?」
「これよ」
沙都子は、私に何かを投げてよこす。
受け取ってみると、のど自慢でよく見る鐘のミニチュアだった。
そして微妙にパチモン臭い。
「だいぶ前に、あなたが持って来た正体不明のおもちゃよ。
多分許可を取ってない偽物だと思うんだけど、ちゃんと音が少し出て感心したわ」
「……これを、私が?」
「覚えてないのね。
まあいいけど。
じゃあ、私は本読むから」
「待って、私の話はまだ――」
私が立ち上がろうとした時、近くにあった机に肘が当たってしまう。
衝撃で花瓶が机の上から落ちそうになったのが見えて、とっさに掴もうとしたけど、私の手は虚しく空を切る
花瓶はそのまま床に衝突し、粉々になった。
「ごめんなさい」
「あなたね、毎日のように家の物を壊すけど、もしかして反省してないの?」
「反省はしている。
すぐ忘れるだけだ」
「意味が無さすぎる……
その悪癖、直したほうがいいわ。
家族は何も言わないの?」
「全く」
私の言葉を聞いて、沙都子は呆れたような顔で言った。
「本当に、蝶よ花よと育てられたのね」