『三日月』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『三日月』 kgty
また二次創作を書きたくなってしまいました。
そうです。nmmn とか呼ばれてるものです。
お気をつけて。でも名前は出してないんですけどね。
ベッドからこっそりと抜け出した。僕と同じベッドで眠る彼を起こさせたくなかったからだ。
夜のひんやりとした空気を浴びたくなった。
そんなちっぽけな理由だ。リビングに繋がる廊下を素足でペタペタと歩き、扉を開けた。
カーテンから溢れる光を目指してゆっくりと部屋の中を歩く。物に当たって音が立ったら、きっと彼は起きてしまう。
カーテンは開きはせず、中に潜る。そのまま窓の鍵を開け、体が通るくらいに窓に隙間作った。
ベランダにするりと体を通すと、ひゅうと体に風が当たって、頭上には明るい三日月が笑っていた。
残念なことに、星々は見えない。都会だし、しょうがないけど。
頭が空っぽになって、体の無駄な力が抜けて、目がくうっとして…目の前の光を取り込もうとしている。
「………きれい」
溢れるようにして出た言葉に、自分でも気付かないくらいに、月に見惚れていた。
意思のない、ある意味、無垢な存在。
僕にとっては、人間にとっては、とんでもないくらいに、純粋な存在。
大きな存在なのに、欠けている月が脆く見えて。でも光に目を逸らせない僕がいる。
「こんなところに居た」
どのくらい見惚れていただろうか。声をかけてもらって意識がふっと戻った。
振り返ればさっきまで隣で寝ていた僕の愛おしい人がいる。
「目が覚めたら居なくて…びっくりしましたよ」
呆れた声がかかる。駄目だったか。僕の恋人は物音を立てていなくとも、隣に居ないだけで目が覚めてしまうらしい。
「月を見ていたんですか?」
彼もベランダに降りてきて、僕に近付いた。
「うん……」
「わ、綺麗ですね〜。三日月かな…?欠けているのもいいですね」
「……ふふっ」
僕から小さな笑い声が漏れる。
「どうしました?」
彼が不審に聞いてくる。
可笑しいなぁ…目の前には、こんなにも大きくて、抗うこともできない、明るい小さな灯があるのに。
今はもう、この人しか目に映らない
行間ガバガバにしたい性でして。by作者
《三日月》
書きたいなー
2026.1.9《三日月》
空には、細い三日月が浮かんでいた。
縁側に座りぼんやりと月を見上げながら、泣けない理由を考えた。
壊れてしまっているのだろうか。それとも、元から非常だったのか。
そのどちらもなのかもしれない。初めて神を見た時、自分以外の何かが入り込んで混ざり合ってしまった。混ざり、どろどろとした上澄みが削がれた後、底に残ったものが本当の自分だったのだろう。
削がれてしまった。胸に手を当て、心の内で繰り返す。
削がれた自分は、弟と共にいってしまった。もう二度と戻っては来ない。
「削がれたのならば、行かなければ」
ふと、思ったことが口をついて出る。
削がれたのならば、自分はきっと怠け者《かばねやみ》なのだ。だから行かなければならない。
浮かぶ月は静かに佇んでいる。まるで幼いころに見た、あの神のように。
「行かなければ」
立ち上がり、部屋へと戻る。開いたままの障子戸を抜け、音を立てぬようそっと戸を閉めた。
かたん、と微かに鳴った戸の音に、はっとして顔を上げた。
気づけば、古い障子戸に手をかけていた。びくり、と肩を揺らして手を離す。
灯りのない部屋は、とても暗い。ここが何処なのか分からず、眉を寄せて振り返る。
暗がりの中に、小さな火が灯っていた。囲炉裏だろうか。その側には、誰かの小さな影が見えた。
息を呑み立ち尽くしていれば、影は手慣れた様子で囲炉裏に火を入れていく。ぱちぱちと音を立て火が大きくなるにつれ、部屋が明るくなっていく。
「睦月《むつき》ちゃん」
「お姉さん。そこは冷えるから、こっちで火に当たるといいよ」
囲炉裏の火から目を逸らさず告げられ、ゆっくりと囲炉裏端に座った。ぱちん、と火の爆ぜる音に、じわりと染み込む熱に、体の力が抜けていく。
「お姉さんも、わたしとおんなじなんだね」
「同じ?」
「うん、そう。これはわたしの夢だけど、お姉さんの夢でもあるでしょ?」
そう言われて、あぁと声が漏れた。
ここは夢の中なのか。囲炉裏の前に手を翳し、確かめるように握り開いて、その動作を繰り返す。
「もうすぐ、ヒガタが来るよ」
彼女の言葉を不思議に思う。陽が暮れる前に、全ての戸は閉めたはずだ。ここは外ではなく、家の中。誰も招き入れる訳でもないのに、どうして入ることができるのか。
「戸締りをしっかりしてても関係ないよ。ヒガタは、家の中で怠けてる悪い子を連れていくんだから」
来訪神とはそういうものだ。中から戸を開け招き入れずとも、家の中に入り怠け、泣く子を戒め、福を呼び込む存在。
思わず手を握り締めた瞬間、玄関から風が吹き込む音がした。
振り返る目の前で、音もなく障子戸が開いていく。その向こう側から現れた異形の存在に、目を見張り硬直する。
青い異形の面。その造形は人よりも獣のそれを思い起こさせた。
その右目から頬にかけて、深いひびが入っている。端は欠けてしまっており、だがその奥に見えるものは何もない。
真っ黒だ。肌も、目も、何もない。
藁蓑をまとう姿は、確かにヒガタに見える。
だが違うのだと、感覚で理解する。今ここにいるのは、姿形こそは似ているが別な何かだ。
「行かないと」
隣で呟く淡々とした声に、驚き視線を向ける。
昼間見た人懐っこい様子とは真逆の、無感情に何かを見る彼女の横顔に、背筋がうすら寒くなるのを感じた。
「泣かない子は、行かないと」
「どう、して……?」
声が震える。
聞かなければいけないと理性が命じ、聞いてはいけないと本能が警告する。
彼女はこちらに視線を向けない。ただ目の前の何かを見つめ、それが当然であるかのように立ち上がり、歩き出した。
「待ってっ!」
咄嗟に手を伸ばし、腕を掴んだ。振り解かれる様子はないが、視線は何かに向けられたまま。
何かもまた部屋に入り込むことはせず、戸の向こう側に佇んでいる。
「行かないと」
繰り返される言葉に、無意識に腕を掴む手の力が緩んだ。慌ててしっかりと腕を掴みなおすが、数歩何かとの距離が近くなった。
この手を離せば、彼女は何かと共に去ってしまうのだろう。そしてもう二度と此方には戻らない。
根拠のない確信に、腕を掴む手が震える。どうかと祈る気持ちで、そっと腕を引いた。
「どうして行かなければならないの?泣いている訳でも、怠けている訳でもないのに」
肩が小さく跳ねた。緩慢な動作で彼女はこちらへと視線を向ける。
「削がれてしまったから。外から入って混ざり合って、溢れた分が削がれてしまった……もう、二度と元に戻れない」
「それって、どういう……?」
「お姉さんはどうして、溢れていないの?」
ひょう、と雪を纏った風が吹き抜ける。思わず目を閉じるが、掴んだ腕を離さないようにと両手で必死にしがみつく。
「どうして?」
それは誰の言葉だったのか。
顔を顰めながら薄目を開けた。
「――っ!?」
目の前に広がる雪に覆われた大地と木々。見上げた空には、白く細い三日月が浮かんでいる。
しゃん、とどこからか鈴に似た音がした。視線を下ろすと、夜の暗がりにぼんやりと、ヒガタに似た何かが佇んでいる。
「ヒガタが来るよ」
彼女の囁きに、何かの面を見る。
面の奥の黒。微かな月の光に浮かぶその黒が、僅かにざらりとした質感を露にする。
石のようなその冷たさに、逃げるように目を閉じた。
「燈里《あかり》」
呼ばれて、燈里は目を開けた。
電灯の灯りに、目が眩む。何度か瞬きをして、小さく息を吐いた。
「冬玄《かずとら》、楓《かえで》」
眉を寄せ、どこか険しい表情の二人に、燈里は何も言わずに首を振る。夢を見ていた気もするが、目覚めてしまった今、その輪郭は酷く朧げだ。
「外から入り込んだモノが混ざる、か……困ったね。これ以上深入りすると、戻れなくなるよ。冬玄との約束はどうするの」
楓の言葉に、燈里は冬玄を見つめた。不安げなその表情に冬玄は嗜めるでも言い聞かせるでもなく、手を伸ばしてそっと頬を撫でた。
「燈里、離れるなよ」
静かに願う冬玄に、燈里は小さく頷いた。頬を撫でる手に触れようと身動ぎ、そこで違和感に気づく。
誰かが隣にいる。朧げだった夢が僅かに輪郭を取り戻し、無表情な誰かの姿を浮かばせた。
「手を離していたら、この子は連れて行かれていただろうね」
苦笑して、楓が布団を捲る。
「睦月ちゃん?」
そこには小さく丸まって眠る睦月の姿。
その小さな腕を掴む自身の手に言いようのない不安を覚えながら、燈里は誤魔化すようにその手を離した。
20260109 『三日月』
三日月
三日月を見ると心が暖かくなる。
あの日のことを思い出すから。
一人で歩いていた帰り道。
綺麗だと呟いていた。
久々に三日月をじっくり見た気がする。
細長く綺麗に私の目に映っている。
また私は話した。
綺麗だね、って。
彼は私の隣でそうだね、と返してくれた。
あの日と同じ三日月。
でも何故か違く見える。
それは彼が隣にいるからかな。
「三日月」
クッキーをかじり三日月をつくる。という子供の頃多くの人の記憶にあるだろう思い出を三日月を見て思い出す。
びーえるかも注意報!!
「とりっくおあとりーと!!」
大きな声とともにひょっこり現れたのは大きなオレンジのかぼちゃに三日月の形をした目とギザギザのくちがくり抜かれた被り物。
思わず無言で見つめてしまう。
無反応なおれにひょこひょこと首を傾げながら様子を伺っている。
「お前季節間違えてるぞ」
それしか言うことない。
「どうしたんだこれ」
存外に大きな顔の部分をあちこち触りながら目がありそうな部分を探す。
「これはなんかその…たまたまイベントの片付けしてる人から借りたというか」
歯切れがわるい。
「ふぅん。そーなんだ。でもなんで今頃ハロウィン?」
この辺が目のあたりだろうか三日月型のそれを覗いてみる。
暗くてよく見えない。
口のほうかな?
顔をまじまじ見てたらふいに大きな被り物ごと顔を背けられた。
「それよりこれ。今日の朝ご飯」
目の前に差し出された袋を覗く。
「ありがと。でも別に毎日届けてくれなくていいのに」
そっと受け取った袋を大事に横に置いて隣りにおいでよと手招きする。
素直にこちらに来たかと思うとちょっとした段差に躓いてよろけた。
「その被り物取らないの?危ないよ」
手を伸ばしたら祓われた。
「ごめ…」
「いいけど。気をつけて」
ポンポンと自分の隣りを叩いて誘導する。
ようやく収まった隣りの彼の被り物を軽く撫でる。
「ごはんは食べたの?俺のだけ」
「俺はもう食べたからそれはお前の分」
「いつもありがとね」
「それはお礼だから」
いつも車を出してあちこち送迎してるお礼だと始まったご飯のお届けサービス。
これはいつまで続けてくれるのだろう。
切ろうと思えば簡単に切れてしまう関係。
「いいのに別に。好きで、俺が逢いたくてやってる事なのに」
やんわり頬のあたりを撫でる。
「またお前はそうやって」
身体を押し返される。
「勘違いするだろ」
「勘違いって?」
三日月の目を覗き込む。
ちょっと後ろに身を引かれた。
「俺がお前を好きとか?」
逃がさないようにがっちり腰をホールドする。
それからギザギザのくちを覗き込む。
「好きとか?」
また三日月の形をしたそれに戻って繰り返す。
「そーいうの、どうしていいか落ち着かないから困る」
思わず握った手が赤い。
「それって迷惑って事?」
「そうじゃないけど…」
「ねぇ。ほんとにこれ取っちゃダメ?」
どんな顔で居るのいま。
顔が見たい。
(三日月)
書いてるうちに方向性間違えた(時間ない)
【三日月】
移ろいゆく姿に名前をつけて
見つめ直す私の現在地
節目であり通過点
今はまだ満ち足りていない
『三日月』
しんと静まり返った真夜中。
街灯の届かない路地裏を黒猫が歩いていました。
黒猫の目的は、今夜の特別な獲物。
空に浮かぶ、鋭く研がれた爪のような黄金の三日月。
黒猫は古い時計塔の屋根まで一気に駆け上がると、月に向かって前足を伸ばしました。
不思議なことに、彼が空を引っ掻くたびに、夜の帳がわずかに揺らぎます。
シャッシャッ、ゆらゆら。
シャッシャッ、ゆらゆら。
次第に街へと降りてきた夜の帳。
黒猫は三日月の端を器用に咥え、まるで重力から解放されたように、夜空の海へとふわりと浮き上がりました。
そして月を揺りかごにして、都会の喧騒を見下ろしながら静かに目を閉じました。
翌朝、人々は何も気づきませんでした。
けれど、夜になればきっと誰かが不思議に思うでしょう。
なぜ昨日まであんなに尖っていた三日月が、今夜は少しだけ猫の背中のように丸みを帯びているのかと。
あの海から見える三日月だって
少しでも照らされようと頑張ってる。
_三日月_
寒空で綺麗で光明な三日月を見た。
三日月の見えた日は厳寒であった。
寒空に無数の星屑が見えた。
呼吸をする度に白息が宙を舞う様な厳寒。
この日は晴天で寒空が見えていた。
綺麗な星屑と三日月という希望が見えた。
呼吸する度肺の冷たい感覚。
綺麗に輝いていた冬の星屑と三日月。
「三日月」
三日月みたいな月が多過ぎるね
本物の君はこんなに美しいのに
満月は夜を照らす光
三日月は少しだけ
暗闇の中を照らす光
でも月自体の面積はなんにも変わらないんだよ
夜更けに お散歩をしていたら
ふうわり と光るものが 歩いてきた
それは 楽しげに
ふわふわ と 宙に浮き
ボクの 横を ゆらゆら
と 通りすぎて いった
すれ違うとき
ミントキャンディ みたいな
涼しげな 匂いがした
空を 見上げると
今夜は 三日月
″さっきの光と 空の三日月を
パズル みたいに 合わせたら
まんまるに なるなあ″
と おもった
お月さま も
ちょっと だけ
お散歩したかった のかも しれない
三日月
「うーん」
結婚記念日を来週に控え、キミに何をプレゼントするか悩んでいた。
「夜景がキレイと評判な、レストランは予約した。あとは、プレゼント…」
何が良いかわからずショッピングモールをいろいろと見て回る。と、ある店のPOPが目に入った。
「大切な方へのプレゼントに」
何だろうと近づいて見てみると、モチーフの意味が書かれている。
「えーと…これにしよう」
僕が選んだのは、三日月と太陽のペアネックレス。三日月と太陽のペアは、愛し合う恋人や夫婦の象徴とされています。と書かれている。
「僕たちにぴったりじゃん。渡すときは、選んだ理由も伝えよう」
渡すときのことを想像し、ウキウキしながら、レジへ持って行くのだった。
2日分いっぺんに失礼致します。「あたしの魔法少女のコスチュームって水色だけどさ、やっぱいろんな色の人がいたの?」
敵を倒して変身を解く時にふと疑問に思ったことをマスコットに尋ねると、相手は大きく頷いた。
『いたよ、もちろん。テレビなんかに出てくる魔法少女も沢山のカラーリングがあるだろう?』
「ん〜、あんま見ないけど……でもそっか、戦隊ヒーローとかと同じ感じなら色とりどりなはずだよね」
『そうだね。そして、キミたちの色は変身するまで分からない。だからキミが水色の理由を答えることはできないよ』
あたしが聞こうとしていた質問を先回りされてしまった。なんだか凄く不服な気持ちだ。……まぁ、いいけど。
「……でも、あたしもし決められたらピンク色が良かったな」
『…………それはないんじゃないかな』
「……ないって何」
あたしが口を尖らせながら聞けば、マスコットは平然として顔で答える。
『ピンクは主人公の色だから』
わけが分からなかった。何を言っているのかも、言葉の意味も。『主人公の色』だからあたしがピンクになれないってことはあたしが主人公じゃないってことだ、今この瞬間に。
「……いないんじゃないの、魔法少女」
『いないよ。今この世界にキミ一人しか魔法少女はいない』
「じゃあなんでそんな言葉が出てくるの」
『一人しかいなかったらその人が魔法少女、なんてのは過ぎたる幻想だと思うよ。主人公は主人公になり得る人がなるものだ、埋め合わせで生まれるわけじゃない』
それじゃあまるで、あたしは主人公にもなれないのに魔法少女として戦っているみたいじゃない。酷い言葉だと思った。
『傷つかないでくれよ、カオル。君自身もそうは思っているはずだ。だからピンクじゃないんだから』
心中を察せないような様子でそう言う姿はやっぱり人外のようだった。
第八話 色とりどり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
空を見上げれば三日月が輝いている。もし本当にあの形だったらきっとあそこに座れたんだろうな、なんて空想が頭の中に浮かんだ。
時刻は二十一時。まだ今日の敵が見当たらなくて街を徘徊……パトロールしてるところだった。
『……いないね』
マスコットもさすがに困ったような顔でそう呟いた。
「出てこない、なんてことあるの?」
『さすがにない。そして興味ギリギリに敵がくるなんてこともないはずだ』
「そっか、ギリギリだったら次の日の敵に影響があるかもしれないしね」
『そういうことだよ』
マスコットは不安そうな顔だった。初めて見たかもしれない、そんな顔。
人外じみてて基本的に静観してて、あたしが例えピンチになってもきっと顔色ひとつ変えそうもないマスコットが困惑したような顔で辺りを見回している。そんなに敵が出ないっていう事が大変ならしかった。
『…………カオル、何か今失礼なこと考えなかったかい?』
「あたしは今、認識を改めたところだったけど、あんたにとっては失礼だったんだ」
嫌味たっぷりにそう言えばマスコットは少しキョトンとしたあと、眉を下げるような行動を示した。
『…………失礼ではあるよ。キミがピンチになっても困らないだろうと、そう思われているんだろう?』
「それはそうでしょ。困ったとしても助けに入ることはできないんだよね、くらいは言いそうじゃん」
『……事実ではあるけども』
マスコットはそう言った。でも、とすぐに言葉を続ける。
『……それでも、キミのことを大事に思ってはいるんだよ。顔色ひとつ変えないことはない。それに』
言葉の先は聞こえなかった。上から大きくなにかが振ってきてそれを瞬時に避けた瞬間にはもう紫色のもやがかかった結界内にあたしはいて、ワンテンポ遅れて地面が大きく割れたから。
『敵だよ、カオル』
「分かってる」
あたしはそう言ってリングに口付けを落とす。光に身体か包まれて魔法少女のコスチュームに変わる。
「……マスコットも心配してくれるみたいだし、今日は気合い入れて頑張っちゃおうかな!」
そんなふうにあたしはカッコつけて行ってみたけど、マスコットは酷く冷静に言った。
『どんな時だって気合い入れて戦ってくれると嬉しいな』
第九話 三日月
「ねえねえ、昔のアニメにこんなのなかった?」
鞄から取り出した円柱っぽいなにかを美咲が空に掲げる。
「先っぽにこういうモチーフ? が付いててさ、変身するやつ」
「あー」
手にしたなにかは黒い影になって、空に浮かぶ細く丸い縁に寄り添う。
「なによそれ」
「え、メガネケース」
えへへと振り向いたあなたの頭上に、輝く三日月。
『三日月』
題名:三日月
「三日月はすぐに、沈むんだ。儚いでしょ?」
手すりに手をかけて、君は言った。
「そうだね。それより僕は君の行動を止めかった。だけど僕は君と仲良くないから止められない。」
僕は君に鋭い視線を向けた。
「それで話の続きをするね。三日月もそうだけど、時間って一瞬一瞬だから大事だと思わない?だってすぐに、消えちゃうからさ。」
君は問いかける。
「だったら君は、一瞬を一生にした方が良いと思わないの?」
僕は声のトーンを低くした。
「説得力はある。だけどあなたは私を止められない。なぜなら仲良くないから。まるでいじめの傍観者だね、あなたは。何もできずに、後悔するだけの人間。可哀想。」
君は嘲笑って同情しようとする。
「だけど僕は君より力はある。だから君を羽交い締めにして止めることはできる。だけどそれだと僕と君は一緒に死ぬ。だったら君を説得するしかない。」
僕は力強く言った。
「そっか。それじゃあそろそろ行動に出たいところなんだけど良いかな?」
君は笑って言った。
「ダメだ。せめて理由ぐらい聞かせてよ。君はなぜ…。」
僕が全てを言う前に君は行動に出た。
手をつかんだ。
それは、とある三日月の日の出来事だった。
じっと見ている。
目を細めて、私のことをじっと見ている。
空に浮かぶ大きな目が、私の罪をじっと見ている。
三日月
三日月が吹き飛ばされそうな夜
背後に満月の影
頼りなげない人影は
長く伸びることで大地にしっかりと立つ
夜。辺りは暗闇に包まれ、
三日月だけが、淡い光を放っている。
「三日月、幸運の象徴です。」
その紳士は言った。
「だが徐々に満月へと変わるでしょうな。」
続けて老紳士が言う。
「不吉。」
「えぇ、不吉です。」
彼らの眼下には、民衆のデモ活動が、
2ヶ国の間での戦争が、島を巡った争いが、
見えている。
「行く手には災いが見えます。」
「月が満ちてきていますね。」
「えぇまったく。」