『七夕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
天気予報は晴れだった。見目の良い、青々とした笹の葉を選んで窓枠に差す。会えるだろうと胸踊らせ、お手製の短冊に願い事を書いては少ない葉っぱに吊り下げた。
夜。天気予報は真っ赤な嘘。期待していた夜空は嘘と同じくらいの厚い雲に覆われて見えそうになく、目をきらきらと輝かせることもない。湿った生ぬるい風は天気が荒れる予兆だった。天候が不安定なら船は様子を見るため進まず、港に着くはずもない。
彼に、会えない。天の川に橋がないのと同じ様に。
果てしない海を天の川に例え、小さな船を橋に見立てて。対岸で待つ私は────
「ただいま!」
湿気を吹き飛ばすカラリと明るい声が玄関に響いた。忙しない足音が近づいて
「空は見た?見てないならすぐに行こう!見ないと損だ」
興奮冷めやらぬ彼に挨拶も返せないま腕を掴まれ連れ出された。街の灯りから離れ、岬にたどり着く。じめじめした空気は変わらず、分厚い雲の中には雷雲まで混ざっている。
「変な天気だから何も見えないよ。降ってくる前に……」
「あ!」
彼が指を指す。彼の指先、1ヶ所だけ雲が切りとられたかのような、待ちわびていた沢山の星々がささやかに輝いた。握り直された手に力が入る。
「……空の2人は会えたのかな」
「あの隙を見逃すわけないさ。……会いたかったよ、俺の織姫」
眺める星空に似た、粉砂糖みたいな甘い声が波風とともに溶けていった。
七夕
願いよ届け夜の川に
人の思いで繋ぐひとつの逢瀬
祝福するように輝く星々
祈るは幸せのみ
たなからぼた餅なんてよく言ったもんだ
なんだかんだラッキーだったけど…
ばかな君はそれですぐに幸せになってしまう
ただ、君の笑顔が好きな自分はもっと馬鹿
七夕
それは私が彼と会える日
彼と一年越しに会える!
#七夕
七夕の日は、
おりひめとひこぼしが年に1回会える日
私たちは願いが叶う日
七夕というのはなんて素敵なんだろう。
私たちのいろいろな願いが叶うとき、
おりひめとひこぼしは会いたいという願いが叶っているんだと思う。
みんなが幸せになれる七夕が私は好き。
。 。 。
。 。 。
。。 。 。
♥━━ヾ(●´v’)人(’v`○)ノ━━♥
。 。 。
。。 。 。
。 。 。
(=´∀`) (*´∀`*)
白磁のような艶々した欄干に寄り掛かりながら、さらりと音がしそうな絹糸のような美しい黒髪を掻き上げながらスマホを触りつづけている女性がいた。可愛らしいピンクのトップス、白いタイトなミニスカートは白く美しい肌に映え、綺麗な身体のラインがわかる。
反対側からのんびりと歩きながら、近づいてきた男性がいた。古代中国の民族衣装に似ているがどことなく違い、素材が軽やかで黒く艷やかであった。
短髪の黒髪に浅黒く日焼けした肌、整った顔立ちの青年は悪びれた様子もなく、笑顔で手をひらひらと振っている。
「ごめん待った?遅くなっちゃった」
「はぁ?キメ顔でキモい写真アップしている暇があればさっさと来なさいよ!」
男性の顔面に、スマホに映し出された画像を見せつけた。画像には今も着ている服を何故か半分だけ脱ぎ、筋肉を見せ付けるようなポージングされたもの。『今日は久し振りの牛飼いお出掛けコーデ』と、添えられた文章もある。
「やだなぁ、ただの需要と供給だよ。ほら、コメントでもみんなが喜んでいる」
「こんな勘違い野郎が私の夫だなんて、絶対に知られたくない」
楽しそうに語る夫を睨みつけながら、そう妻は冷たく突き放す。
そんな言葉も大して気にしていない様子の夫は、妻を可笑しそうに見ている。
「織姫、随分と自分のこと棚に上げてない?インフルエンサー気取りで、服まで作ってデザイナーにでもなったつもりかもしれないけど。天帝に見つかったらどうするつもりだい?」
見る間に顔面が蒼白になっていく織姫、それを楽しそうに満足気に彦星はしてやったりと笑顔で見つめている。
怠けすぎて怒られた織姫と彦星なら、現代に感化されすぎて謳歌していそうだなぁ。
そう妄想しながら、そうめんを啜る。
どうやら七夕に食べるらしい、初めて知った。
『七夕』
_____________
毎日投稿を密かな目標にしていたけど、複数の可愛い?推し達に翻弄されているうちに19時が過ぎ去っていた。いや…お題を書くこと自体(笑)そう何も書いてなかったです…。見事に綺麗さっぱり忘れてました。
七夕に食べると今日、友達から教わりました!そして食べてないです(笑)
私の地域は今日は雨が降った七夕になりましたが、織姫の嬉し涙という諸説もあるそうなので、きっと久し振りに会えて喜んでいるでしょう。
ちなみにウチの織姫は韓国ファッションに感化されています(笑)時代的にロン毛のはずの彦星は、フォロワーに短髪が見たい!で切りました。
七夕は織姫と彦星が会える日、と覚えてはいるものの、今年は特段何もしない一日だった。お願い事を飾ったりもせず、ちらし寿司を食べたりもせず、ケーキも食ったりせず。
友だちは喪に服しているのだろうから、今年は絶対にやってないだろう。
嬉しくないお揃いだ。
七夕。そういえば今日は七月七日か。そう思って日付を見たら今日は八日じゃねーか。七夕は昨日だろ。まぁ七夕なんてどうでもいいけど。
てか七夕ってやったことないわあの笹に願い事ってやつ。そもそも笹自体見た記憶ないな。動物園とかで見たことはあるんだろうけど覚えてないや。
しかし七夕もそうだけど絵馬やら流れ星やら日本人はなにかに願い事をするのが好きね。日本人に限ったことじゃないだろうけど。
他力本願というか人事を尽くして天命を待つと言ったほうが正しいのかな。やるだけやっても最後は運だから神様に願うのかね。
どうでもいいけど他力本願は願いを叶えてくれるのを待つのとは少し違うんだっけ。なんかで見たけど仏教の言葉なんだっけか。
確か現世は苦しいし悟りを開くのも難しいから先に仏になった神様みたいなすごい人に救ってもらうために願う、これが他力本願だったかな。調べてないから間違ってるかもだが。
そういえばわからないことがあったら調べる癖をつけたいんだった。なので調べた、けどよくわからんかった。
偉い仏に頼って自分も仏にしてもらう。わかったのはこれくらいかな。まぁ大きく間違ってなかったと思う。
【七夕】
七夕がいいなって思ったんです。俺は織姫と彦星が一年に一回会えるのって考えながらってのいいなって思ったんです。他人にはわかって貰えない。だから、本を読んで自分の持てる語彙全てを七夕に注ぐんです。一年ずっと貴方を思いつけたって証明するために。
「案外執念深いんですよ、好きです。」
1年に1度だから、着飾らないと
今日は七夕
あなたに会える
大人になったら、何をねがうんだろう、と君がいう。
もうねがうことなんてないぐらい、楽しいんじゃないか、と期待に胸をはせるボクはいう。
そんなことないよ。キミは冷たく言い放つ。
暑さが増す夏の夜。体は蒸されてじっとり汗をかいているのに、ボクの心はその一言で氷を当てられたようになった。
そんなことないよ。だって、わたしのママはいつも変な男のヒトにありがとうございますっていっぱいあたまさげて、私を冷たい風呂に入れて変なはっぱを入れて、あなたは愛された子よって言うの。それで、おねがいします、おねがいしますって、いっぱい叫ぶの。紙が棒についたやつをバサバサふって、髪もバサバサになるまで、おねがいします!おねがいします!って。
キミは色の悪いくちびるをかんで、冷たい言葉の後にそう続けた。
フキンシンだっただろうか。フキンシンっていうのをこんなところに使うのかわから、ないけど、これはとてもフキンシンだったんじゃないかな。ボクはちょっと前の自分の言葉を反省して、でも反省してもどうすればいいかわからなくてキョロキョロ目だけ動かした。
もうヤダなあ、とキミはいうのだけれど、ボクは全くイヤじゃない。ボクは、好きな女の子と2人きりで、七夕の日にお出かけして、その最後に暗くなった公園で2人で星を眺めているのだった。それはあまりにロマンチックで、ボクは全身の血がもえるような、それでいて逆に凍ったように落ち着いているような、変な感じを体験した。
キミはカワイイ。ボクはキミみたいにカワイイ子に出会ったことがない。キミみたいなカワイイ子が、彦星と織姫みたいに運命っぽく、そして偶然っぽく生まれたのなら、ひとつ何かが違ったらキミはキミじゃなくなってしまうんじゃないかなと思う。だから、ボクは全くイヤじゃない。キミが不幸なのも、かわいそうなのも、ボクはそれがキミを作ったものというのなら、全くイヤじゃないのだ。
でもボクは、それを言えなかった。頭の中ではずーっとそういうながーいキミへの想いが詰まってグルグルしているのだけど、そんな恥ずかしいことは口から出なかった。
ダンマリのボクに我慢できなくなったキミは、ボクをじっと見た。なにかいうのを待っているキミの姿に、ボクは余計気まずくなって何も言えない。ボクらは数分そうして固まって、でも突然キミはボクの手を掴んだ。ボクはびっくりして、どうしたの、と聞いてしまった。キミはそんなボクを無視して————
——キスをした。
ボクのファーストキスだった。キミにあげたいキスだった。キミにあげたキスになった。
ボクはまたびっくりしてしまって、なんにも話せなかった。キミは顔を真っ赤にして、走っていってしまった。数分そうして固まってたボクは、自分をいくじなしだと思った。もっと、カッコよくすればよかったと。
そうしてボクはとてもロマンチックな七夕を過ごして、学校でもポウっと毎日を過ごした。友達にはそれを笑われたり、つまんねーとぶうたれられたりした。それでもボクは浮き足立っていた。あの日以来、キミとは中々話せないけれど、廊下ですれ違うとキミははにかんで手をふってくれる。ボクはそれに毎回1秒ぐらい止まって、固まった表情で手をふり返したりした。
だがボクは友達もいるので毎日どこかに遊びに行っていろんなことをしていた。キミと過ごした後でもそうだった。
オレ今日塾!
ガイショク?しに行くって。
母ちゃんの店の手伝いする……。
でも、今日はいつも仲のいいみんなが用事があって、ボクは1人で帰らないといけなくなった。
仕方ないのでボクは、人が全くいない道を、トボトボ歩いた。ともだちがいないと、ボクは遊びに行くのもできないので、そうやってちみちみ歩くことしかできなかったのだ。
そんなさびしい道の先に、ボクは人カゲがあるのを見た。珍しいな、ココ、誰も通らないのに。ボクは少し不思議に思ったけど、そのまますれ違おうとてくてく歩いた。だけど、その人に近づいてみると、その顔に見覚えがある。
‘’キミ”のお母さんだ。
ボクは固まった。どうしてここにいるんだろう。キミはいつも早くに帰ってしまうから、お母さんはきっとキミといつも過ごしていると思ったのに。
でも、ボクは固まるのも変だと気づいてしまって、キミとキスしてしまったので、バレるわけにはいかないとふつうっぽくその横を通ろうと、近づいた。
ボクの身長だと、キミのお母さんの手が最初に見えた。その手はとても、ブルブル震えていた。そうしてなにやら変だぞ、一体なんなんだと気づいてボクは、お母さんの顔を見上げた。
日の光が背中に当たって、そのせいで顔には光がさしてなかった。キミのお母さんの顔は黒く一部を塗りつぶされたようになって、表情がよくわからなかったけど、ボクははっきりわかることがあった。
……とても、怒っている!
そして、キミのお母さんはブルブル震えていた手に持っていた包丁を力いっぱい振り上げて、固まっているボクのことをさした。
さした。
この!この!あの子を、あの子は大切な子なのよ!
さされた。
かみ様に あいされた子なの!
グサグサさした。
おまえみたいな!きたないこどもに!
なんだか熱い。
こ のごみ が しね し ね しね しね
死ね!
死ぬのかな、と呟いた。つぶやいたつもりだけどなにも声が出ていなかった。
ボクが死んだら、キミはもっとカワイくなりますか。もしカワイくなるんなら、ボクは全くイヤじゃない。ボクはやっぱり全くイヤじゃない。
“七夕”
天の川
ゆらゆら
笹の葉
さらさら
星の色
きらめき
星たちがかけた魔法は
時のながれを遅らせて
永遠の色をした長い夜
会いたくて会えなくて
待ち侘びたふたりへの
甘くはかない贈りもの
『七夕』
仕事終わり。
クタクタになって駅の方へ歩いていると、ワイワイと騒がしい声が聞こえてくる。
駅なら当たり前だが、どこか楽しそうな声に目を向けると普段無いものがそこにあった。
笹の葉とカラフルな短冊が風でゆらゆらと揺れている。
そうだ、今日は七夕だ。
社会人にもなると、行事ごとに疎くなるもので、今の今まですっかり忘れていた。
子供の頃は、学校の行事等で短冊に願い事を書いたものだが、大人になった今では逆に書く人の方が少ないだろう。
駅主催の行事なのか、笹の葉の周りには机が設置されており、山盛りの短冊と数本のペンが置いてあった。
机で短冊に願いを書き込む者、楽しそうに笹に短冊を吊るす者、皆和気あいあいと行事を楽しんでいるようだった。
こんな煌びやかな所に久々に来たせいか、眩しく感じもしたが、少し興味もありちょっと覗いてみることにした。
そばの行事のポスターをみると、数日前から催していたようで、既に沢山の短冊が笹に吊るされていた。
他人の願いを覗くのはどうかと思ったが、こういうのも七夕の醍醐味な気もしたので笹飾りに近寄った。
【テストで100点取れますように。 なお】
【彼女が出来ますように。 りょうすけ】
【宝くじが当たりますように。 ゆう】
願い事の下に名前も書いてあり、「こういう感じだったなぁ」と懐かしみながら、短冊を見ていく。
まぁ当たり前だが、自分の欲に忠実な願い事ばかりが並ぶ。可愛らしいものから生々しいものまでそれぞれだ。
今は子供ばかり楽しんでいるが、短冊を見るとどうやら大人の字も混じっているので、大人も書いているのだろう。駅の職員はいい企画を考えたものだ。
似たような願いが並ぶ中、一つの短冊が気になった。
【あの子に会いたい。 】
名前は書いておらず、シンプルな願い事。
こういった恋愛系の短冊は何個も見たが、これだけふと気になった。
一体誰に会いたいのか。そんなの、短冊を吊るした本人にしか分からないものだが、何となく気になってしまったのだ。
そして、短冊を見た時に思い出したことがある。
子供の頃、七夕の夜に必ず見る夢があった。
満天の星の下で、同じ歳くらいの男の子と遊ぶのだ。
遊具や何か特別面白いものがある訳では無いが、ただたわいもない話をしたり、追いかけっこで遊んだりと時間を過ごしていた。
顔もはっきりと覚えているが、現実ではそんな男の子はおらず、夢の中にしか現れなかった。
大きくなるにつれて夢も見なくなり、記憶からも消えていたがそういえばなぜ見なくなったんだろうと不思議に思ったが、まぁ子供特有の不思議な夢と思えばそこで納得する。
考え事をしていると、気づけば30分以上も居座っていたことに気づき、さすがに帰ろうとした時だった。
「…あの。」
低い男性の声だった。
声をかけられると同時に肩を掴まれ、声のする方へ思わず顔を向けた。
そこには自分より少し身長が高いくらいの男性がたっており、優しそうな顔立ちをしていた。
走ってきたのか息を切らしており、彼が呼吸を整えながら私を見つめてくる。
何を言ったらいいのか分からず、沈黙の時間が続く。
「えっと……どちらさまで?」
やっと発せられた言葉で、男は我に返る。
「あ、あの……えっと……覚えてない?」
男は小首を傾げながら聞いてくる。
申し訳ないが、私は顔にも見覚えがない。
整った顔立ちをしているため、さすがにどこかで会っていれば覚えているはずだが……。
「すみません……覚えてなくて……。」
申し訳なさそうに言うと、男はガックリと肩を落とす。
「……そうだよな……もう20年近く前だもんな……。」
「え?」
男はボソボソ言いながら、自身のカバンを漁ると何かを取りだし、私の前に見せる。
「これ、幼い頃の俺。」
言葉を失った。
そこには、幼い頃夢の中にでてきた男の子が写っていた。
夢の中でしか出会えなかった少年。
子供の頃は探そうかとも考えたが、もちろん会うことなんてできず断念した。
それが今20年近くの時を経て、今現実で目の前に現れた。
こんな事があるのかと、正直まだ信じられずに困っていると、男は話し始めた。
「実は、君のことは数日前にこの駅で見つけたんだけど、急いでそうだったから。でも尾行して行くのは気が引けて、また会えた時にきちんと声をかけようと思ったんだ。」
確かにここ数日は仕事が忙しくて、鬼気迫る顔でこの駅を歩いていた気がする。
その姿を見られていたと思うと、少し恥ずかしい気もする。
「短冊に願いも込めてよかったな。」
「短冊って、この笹の?」
そう聞くと、男はニコッと笑って笹に目をやった。
「七夕の夜にいつも会えていたから、またこうやって会えるとしたら七夕の夜なんじゃないかって思って、短冊に願いを込めてみたんだ。」
恥ずかしそうに話す彼を、少し可愛いなと思ってしまった。
もしかしたら、ずっと探していてくれてたのだろうか。
この20年近くずっと?
そう思うと胸の奥が少し暖かいような苦しいような気がした。
「どうして、そこまで……」
私が小さな声で問いかけると、少し寂しそうに答えた。
「俺、家族とか人間関係全然上手くいってなかったんだ。だから人と話すの嫌いだったんだけど、君と話してる時はいつも楽しかった。」
まっすぐと私を見つめる彼の目は、まるで星が降ったかのようにキラキラしていた。
「きっと君に会えていなかったら、ずっと人と関わらずに生きようとしていたと思う。少しでもこうして、前向きに生きてこれたのは君のおかげなんだ。」
優しそうに話す彼に対して、上手く言葉にならず、どう話せばいいか分からなくなって俯いていると、男は跪いて私の視界に入ってくる。
「迎えに来るのが遅くなってごめん。どうか、俺と一緒になって貰えませんか?」
熱烈なプロポーズを受けて、良い返事をしてあげたいところだが、幼い頃に仲良くしていたとはいえ、私は彼の事をずっと忘れていた。
彼は私の事をずっと思っていたかもしれないが、私は彼にそこまでの気持ちを持っていない。
それなのに、プロポーズを受けるのは少しいい加減なのではないかと思ってしまう。
言い淀んでいると、目の前の視界がぐにゃりと歪んだ。
ぐるぐると歪む視界。
私を呼ぶ彼の声。
どんどん遠くなって、意識はとだえた。
目が覚めると、自分の部屋で寝っ転がっていた。
どうやら帰ってきてそのまま寝てしまったのか、外着のまま眠っていた。
この時期特有の蒸し暑さのせいで、汗をじっとりとかいていて気持ち悪い。
男が出てきたのは夢だったのだろうか。
はたまた現実か。
とりあえず、夢の中だろうと現実だろうと、
彼にいえなかった返事を考えておくべきだなと、私は思うのだ。
#七夕
お母さん、愛ってなんですか?
安定ってなんですか?
愛と安定ってどっちか揃ってなかったらどっちをとればいいんですか?
24歳になって周りが出産、結婚をし出してお母さんは安定してていい収入の人と結婚しなさいって言ったよね。
どうしたらいいんですか。
教えてよお母さん。
今年は会えたね
一年、好きな人に会えないなんて
きっと私には耐えられない……
下手すると
二年も三年も……何年も会えないんだよ?
“大丈夫?”
なんて言われて
甘い言葉に惑わされることもなく
二人は互いを思う
川に挟まれ
互いの姿を確認する
姿形は見えても
表情が見えないかもしれない
何か叫んでも
川の音が声を掻き消すかもしれない
それでも互いを信じて……
それがもし
私と旦那だったら
何年、もつだろう?
そんなことを考えて
クスクス笑ってしまう
冗談交じりで
それはそれで長続きするんだろなぁ
(2023.07.07/七夕)
『織姫と彦星』テーマ:七夕
一年に一度しか会えない織姫と彦星の話。
くだらない。私にはなんの関係もない話。だけど毎年私の気持ちを憂鬱にさせる。だって、誰も私の誕生日だってことを認知してくれないから。そう、思っていたけれど。あなたは違った。
私の彦星はどこにもいない、なんてくだらない冗談を言ったら、僕を君の彦星にしてくれないか? なんてクサイセリフで返してきた。そんなことを言ってきた人は初めてだった。
最初は少し気持ち悪いと思った。でもその気持ちは本当だったみたいで、あなたはいつも私に真剣に向き合ってくれた。だからほだされたのかな。でも確かに愛されている実感があなたのことを信じさせてくれた。
私たちは晴れて恋人になった。それから結婚もした。でも幸せなのはそこまでだった。
あなたが死んだのは私の誕生日だった。ケーキを買った帰り道の事故だった。
誕生日であり命日である、という事実が私に重くのしかかった。けれど考え方を変えた。私たちは同じ日に生まれ、同じ日に死んだのだから、一年に一度会えているのではないか?
それから私は織姫になった。
七夕の思い出と言えば、七夕が近づくと近所の人が笹を貰いに来たことだ。
何をするのかははっきり分からないが、おそらく七夕の飾り付けだろうか。短冊を飾ったりしたのだろう。
『願い事』
七夕は、年に一度だけ織姫と彦星が会える日だ。
この2人の恋愛はいいなと思う。
お互いがお互いを好きで、一年待っている。
ここまでとはいかずとも、私にもそんな人ができたらいいな。
短冊にはなんて願い事を書こう。
お星さまへの願い事。
『いつか、私にも大切な人が出来ますように』
って書こうかな。
お題:《七夕》
七夕
「絵が上手くなりますように」
「小説が上手く書けますように」
「ギターが弾けるようになりますように」
「デザイン力が上がりますように」
「誰1人裁縫の話しないじゃない!」
「まあまあまあ」
「『彼女ができますように』!? 知るか!」
「まあまあまあ」
「『世界平和』? 荷が重いわ!!」
「まあまあまあ」
「こいつら七夕をなんだと思ってるの!?」
「でもみんな晴れるように祈ってくれるし」
「望みと釣り合ってないでしょーが!」
「願い」という名のワガママを
自分勝手に、空へと託す
胸の奥に閉じ込めていた
あれやこれやを
ぜんぶ開放していいんだよ
言いたいことを全部
言ってしまっていいんだよ
わたしたちだって
しあわせにならなくちゃ
【七夕】
今年も曇り空だった
でもその雲の上はきっと美しい天の川が流れていて
わたしたちには見えなくてもそれはただ
ただただ美しいはずで
この地球も、月も、太陽も
宇宙全てのほんの一部が人間なのだと思う
けれどいつしか人類はそれを忘れて
宇宙にも地球にも我が物顔で
そんな人類の願いは叶わないかもしれない
でもそれでも願いたい
どうかもう争わないでほしいと
傷つけあって欲しくないと
『七夕』