『モンシロチョウ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
モンシロチョウ
白地の絹に黒糸で刺繍を施した。真っ白なそのドレスの裏側に、小さなプリムラの花弁を。飾られている状態では見えないそれは、ドレスの裾が広がるその瞬間だけ、光に透かされてほんのわずかその姿を現す。きっと誰も気づかない。それで良かった。私だけが知っていれば良い。
彼女は蝶のような人だった。軽やかで、光の中で美しく羽ばたく人。スボンは窮屈で嫌いなの、と言って滅多に着ることはなかった。彼女が動く度に、繊細なフレアのスカートがひらひらと舞うのを見るのが好きだった。
親友、なんて称されて、彼女の隣にいた。醜い蛾の私が彼女の隣でだけは特別になれた気がした。服を作り始めたのは彼女のためだった。彼女の美しさを引き立てるには、既存の服では足りない気がして。試行錯誤の末に創り出した店は、僅かながら評価され出した。
__ウェディングドレスは貴女のが良いの。
頬を染めてそういう彼女が愛おしくて、そして同時にどうしようもないほどに憎かった。気持ちを告げる勇気すらなかったくせに、気付かず笑う彼女を恨んだ。恋の一言すら、彼女に捧げられなかった臆病者。
ドレスなんて作ったことは無かった。それでも彼女の望むことだからと、その他の仕事も、生活も、全てを放って没頭した。私の作った花嫁衣装に袖を通してバージンロードを歩く彼女を想像すると、苦にはならなかった。
蝶のようにうつくしい人。ねぇ、貴女はきっと気づかない。衣装に象られた私の想いを。それでもいいの。それがいいの。純白の衣装に影を落とす、黒い斑点。
貴女のための衣装はこれで最後。だからどうか、どうか許して。貴女に捧げるプリムラの花。私の小さな恋を。
『モンシロチョウ』
ひらひらと舞う
小さくて白い
かわいらしい蝶々
あなたが眠る石のそばで
ずっと舞い遊んでいる
ひらひら ひらひら
もしかして…?
挨拶にきてくれたのかな
そうなら嬉しいな
ひらひら ひらひら
またくるね
白い羽根に黒い紋があるから紋白蝶なんだって。
みなさんひとつ賢くなりました。
「モンシロチョウ」
薄暗く狭い部屋から早く飛び出したい
太陽の暖かさを薄い壁一枚越しに
待ち望んでいた今日
隙間から差し込んだ期待
少しの不安
ここからみな羽ばたいてゆく様を
壁一枚越しに羨んでいた
鮮やかなレモン色いちごの色
いつも壁越しに見ていた天井の色
私を彩る翼はどんな色だろう
期待を胸いっぱいに
飛び出す
ふわり身体が宙を舞い、
天井は、どこまでも続いている
私の翼、まだ何色にも染まらない
無垢な色これから彩る未来色
雲のようにふわり
爽やかな群青に溶けだしてゆく
【モンシロチョウ】
目の前をモンシロチョウが飛んで行く。
一匹のメスを追いかけて、複数のオスが群れをなす。
その様子が彼女と彼女の周りの人々を想起させた。
男性も女性も関係なく魅了する、美しいモンシロチョウ。
私もまた、彼女に魅了された者の一人だった。
どうか貴女が私の手をとってくれますように。
そう願いながら、今日もまた彼女に会いに行く。
モンシロチョウっていうのは意外と知られていないが、
2週間しか生きられないらしい。
君はそんなモンシロチョウが脆くて儚くて好きだと言った。
モンシロチョウは鱗粉を無くしては飛べず、
華がなくては生きられず、
アブラナ科の植物がなければ産まれることすらできない。
まるで私たちと一緒だ。
私たちも儚く脆い生き物だ。と
そんな脆くて儚い僕たちは、今日も志だけを持って生きる。
モンシロチョウと一緒だなんて飛んだ名誉だ。
虫ピンに刺された白い翅が一等美しいと思った。もう宙を舞うことは出来ない翅が、額の中に均等に並べられている様が、世界中の何よりも美しいと感じた。
「その辺を飛んでいるモンシロチョウでもかい?」
「そりゃあモチロン」
胸を張って頷く。どんな蝶であろうとも、額の中で虫ピンに刺され、飾れている様が美しいのだから、希少性や、翅の紋様など、関係ないのだ。
移り気な君は
花から花へ
ひらひらと飛び回り
誰にも捕らえられない
魅了するような
鮮やかな羽でもないのに
人の目を惹きつけて
弄ぶように舞う
【モンシロチョウ】
罠を仕掛けて待つ僕を
愚かだと笑って
春になるとひらひら飛ぶ蝶と言えば、アゲハチョウにモンシロチョウが思い浮かぶ。
音もなく飛ぶそれを見たら「春だなあ」としみじみ思う。
蝶は好きだ。鮮やかでかわいいから。
でも幼虫は嫌いだ。
モンシロチョウ。
モンシロチョウは
最近見ないかも。
もう少し田舎なら?
久しぶりに。
春の陽だまりを縫うように、一頭のモンシロチョウがひらひらと舞っている
その白さは、まるで太陽の光をそのまま切り取って形にしたかのようで、何も持たず、ただ風に身を任せて揺れる姿を見つめていた
「君の心に触れたい」なんて願うのは、贅沢すぎるだろうか?
指の間をすり抜けていく光のように、その羽ばたきはあまりに軽やかで儚い
ただ、この温かな孤独の中で、君の影を追い続けることだけが僕に許された光だった
モンシロチョウ
散歩をしていると、蒲公英と白詰草が広げる草原を見かけた…麗らかな青空と、新芽の柔らかな緑の中を、穏やかな風が吹き抜けていく…
そんな、昼下がり、一匹のモンシロチョウが、ひらひら花の間を彷徨っていた…時には、風に流れる様に、白い羽に斑模様をパタパタさせながら…
その姿を目で追いながら、自分の姿を重ねていた…独りぼっちで、彷徨っている姿は、自由なようでいて、行き場のないのに、居場所を探し続けるみたいで…この、広い世界の片隅にでも、居場所を見つけられたなら…
モンシロチョウ
俺の実家には、畑がある。
走り回れるぐらい、広い畑。
春には、その畑を、自由に飛び回る影がある。
その蝶は、春の訪れを感じさせてくれる。
あぁ、もう春か。暖かくなったんだな。と
毎年、思わせてくれる。
畑がある家だからこそ、卵をレタスやキャベツに
産み付ける厄介者として、みられることもある。
けれど、その蝶たちには、罪はないのだから。
“モンシロチョウ”は、春の訪れ。
モンシロチョウ
窓辺にふと映り込んできたモンシロチョウに思いをはせた。
退屈な主婦の毎日に、嫌気がさしていたのかもしれない。
気まぐれで想像してみる。
花々をめぐり飛んでいく日々。
しかし、不規則なその軌道はもしかしたら
チョウの自由な意思ではなく、絶えまなく飛ぶ力が不安定なせいなのではないかと
小さいカラダで懸命に風に逆らっているのではと。
もしかしたらモンシロチョウも大変な生活なのではと思ってしまう、午後の昼下がり。
あ、もうすぐ子供が帰ってくる時間だわ。
「あれ、モンシロチョウ。」
公園の適当なベンチに座って休憩。
後ろにレンガの塀があって、ちらっと見てみた。
そこにいたのはモンシロチョウ。羽が破れてて、見るも無惨な姿。
誰にやられたんだろう、可哀想。
そんなことを思うけど、きっと明日には忘れちゃう。なんだか無性に悲しくなる。でも、これも人間なんだなって、神秘的にも感じる。全然神秘的じゃないのにね。
虫の世界にも、人間の世界にも、殺人は起こる。
ただ、法律で罰せられるかっていうだけの違い。
たまに人間に生まれたことを嫌に思うけれど、どうせ同じようなものなんだったら人間の方がマシかな。まだ自分の夢が持てるし、意思疎通もできる。治安だって虫よりかは良いだろう。
虫に人類が支配されたら、きっと地球は終末を迎える。人間にしか世界は作れない。驕りすぎかもしれないけど、人間って強情で我儘だから、そんなものだ。
この世界にある数々の輝かしい栄光や技巧だって。
怒りを通り越して仰天するような事件の犯行理由だって。
バカで結局自分が一番大切な僕達だって。
全部、人間だから成り立ってる。
虫なんかに取られちゃたまらない。
でも、虫は大切にしなきゃね。共存できるものとはしておかないと。
僕はモンシロチョウに、小さなお花をお供えした。
死化粧は、美しく。
#モンシロチョウ 0510
モンシロチョウ
どこにでも行けるのに
なぜか戻ってきてしまう場所がある
あなたがいるだけで
その景色は少し特別になる
優美に白い蝶が舞い踊る
目の覚めるような青を背負って
鮮やかな花から花へと
甘い香りの花弁の上で
ほんの少しだけ羽を休めて
素知らぬ顔でひらり、ひらり
麗しい花から花へと
優雅に白い蝶が舞い踊る
目の覚めるような空を背負って
[モンシロチョウ]
わたしは虫が嫌いだ。
蝶も、モティーフとしては綺麗だと思うけれど、リアルな意匠は嫌いである。
成虫ばかりがもてはやされるのも、蝶にとってはおかしな話だろうとは思う。
何故虫嫌いになったかは、記憶がない。何かキッカケがあったとは思う。ただトラウマのようで、思い出すこともできないし、無理にしなくていいと思っている。
【モンシロチョウ】
モンシロチョウ
多分、偶然だった。
その日、白くてヒラヒラものが目の前を通り過ぎて行った。ちょうちょだと思って、視線を向けたらかなり先にいた。
足を向けたのは一体なぜだったか。
兄弟の中でも小さいもの達と一緒に蝶を追いかけたことがあった。春、温かい日差し。笑いながら、広い庭を探検しながら追いかけた。やがて一匹が二匹になって、くるくると回りながら飛んでいくのを、兄弟達と見送った。
だから、きっと思い出に引かれたのだろう。
とんとん、たたとん、ととたんたん。すっきりとした青空がステップを誘う。
広い庭から家屋の方へ。飛んでいた蝶は、突然羽を休めた。
探検も休憩。その場に腰を下ろして蝶を見る。その奥に、見覚えのある空色があった。数の多い弟達をいつも率いている長兄が、外廊下を進んでいた。歩みの先には執務室。そろそろ休憩の時間だろうか。
そういえば、いつか外廊下に兄がぼんやりと座っていたことがあった。あの頃の兄は不安げで、寂しそうで、話しかければ切なそうに笑っていた。
唐突に思い出して、はっとして視線を戻せば、兄は既に執務室の中。目を引く空色の髪は障子の向こう。
蝶が飛び立つ。どこからかもう一匹やってきて、寄り添いながら飛んでいく。
兄と審神者がいるはずの部屋の前にしばらく戯れてから、二匹はどこかへ飛んで行った。
多分偶然だ。
蝶からカサカサと音がしたのも、その音が、かつてこの本丸の審神者だった男が使っていた式からするのと同じだったことも。
悪戯が好きだった彼の、驚く男士を見る時の笑顔が、かすかに浮かんだ気がした。
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします。
今日も動けなかった
いや、動かない自分が悪いのだ
ダメな人間なのだ