『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
揺れて揺れてブランコ
いつかあの三日月に触れさせてよ
あたしのココロをぶら下げるから
〈ブランコ〉
ブランコ
「人間は群れて弱い者をいじめる」ブランコを漕ぎながら僕は呟く。だがその声は錆びれた鉄の音で誰にも聞かれてはいない。僕はそう思っていた。
だがその声はある一人の女子に聞かれていた。
「何それ、アニメのセリフ?」僕は彼女を無視し、下を向く。
僕は彼女が新倉奈々が嫌いだ誰にでも優しく、誰からも好かれている。八方美人という言葉は、彼女の事を表しているような群れに媚びているそんな嫌な女なのだから。
「じゃあ、連君は疑心暗鬼だね。いや、天邪鬼か?」僕は思わず目を見開き新倉のいる方向を向いた。彼女は真っ直ぐ見つめていた。視線の先には人間の群れがいた。
ギィ…ギィ…僕のブランコから音がする。彼女からは音がしない。漕いでいないというよりも漕がないことが当たり前のようにまるで漕いでいる僕がおかしいかのように彼女はただそこに座っていた。
そんな彼女を新倉奈々という人間を目から離せなくなっていた
「私ね、心を読む力があるの」理解が出来なかった…いやそれは違う意味も分かる、言葉も分かる、じゃあ何故僕は理解ができなかったかのかそれは、
何故それを僕に話すのかそれが理解できなかった。
「理解できない?理由は簡単だよ、連くんは誰にもこの事を話さない、いやそうじゃないね話しても誰もその話を信じ無いのほうが正しいかな」
「じゃあ何で僕に話すの」
「君が群れから外れているから情をかけただけ私ってほら、八方美人だから」
「…」八方美人と言った事を根に持っていたらしいそして、俺は新倉奈々に悪口を言われた
「嬉しかったから悪口言ちゃった」
「嬉しい?」
「八方美人してると悪口は言えないから関係が悪くなっちゃうからね」
群れの中心に居るやつの苦労話を聞かされても…
「人が群れを作る理由知ってる?」
「?」
「人が群れを作る理由はね同じ敵を攻撃するときに群れを作るんだよ」
「…何が言いたいんだ」
「私は本当の仲間なんていない。それと、これから仲良くしよって事」
ギ…ギ…いつの間にか僕のブランコは勢いを失い彼女と同じスピードで僕はそこに群れを成していた
ブランコ
ブランコがキィキィと軋む。
地面と靴を見ていた顔を上げると、木々の奥に冷たそうな紺色と温かそうな赤色が混ざった空が見えた。
揺れるのは当たり前で
定まらないのは当たり前で
翻すのは当たり前で
ぶれるのは当たり前で
迷うのは当たり前で
決まらないのは当たり前で
そうじゃないなら
生きてない
揺れたことを
定まらないことを
翻したことを
ぶれたことを
迷うことを
決まらないことを
隠さずに認めればいい
そこから始まる
だから
生きている
それでいい
【ブランコ】
ブランコ_29
僕はあの人にブランコを譲った。
ただ それは
あの人が次を待っているように見えたから。
僕は君のことが 好きで好きでたまらない。
抱きしめて愛してると伝えたいくらい。
あぁ どうやら 君と僕は
性格が似すぎていたのかもしれないね。
僕は 君の隣で
あの人が座って漕ぐのをのを見た。
優しさだけでは
君に繋ぐ赤い糸は結べない。
だから 強引な人は結び上手なんだ。
子供の頃、ブランコが好きだった。もう何年乗っていないのだろう。きっと中学以降は乗っていない。いつかもし子供が生まれたらまた乗る日が来るのかな。
ブランコ
ブランコに乗って
前後にゆらゆら
星に足をかけ
桜を掴む
星にさえ届きそうな
そんな錯覚を覚える
星々を眺めながら
風の声を聞き
鳥の鳴き声を音楽に
めくをつぶる
記憶に閉じ込めた思い出が蘇り
ほら今も聞こえる
空のオーケストラ
君の夢を見る
無意識に追う君は優しく私は幸せで
ブランコの話随分前に書いたっけな
懐かしい君との思い出が私を寂しくさせる
この場所に綴りすぎた
いつの間にか使いはじめて1年が経っていた
ふりかえれば君の記憶
区切りはついているが塞がらない
残したのは私なのに置いてかれているのは私なのだ
ブランコから降りなきゃ好きなものともお別れしてみんな帰ってしまったから
テーマ/ブランコ
私の齢は60歳に到達する3年手前。
そんな歳の私でも、ブランコを見かけるとつい乗りたくなる。幼いころから好きな乗り物だった。初めて乗ったときのことを、オトナになっても夢に見ることがあるくらいだ。その夢には決まって母親の印象というか雰囲気がつきまとっていた。……母親との思い出でも夢に見ているのだ、というくらいに思っていた。
「なんでそんなにブランコが好きなの?」
と聞かれたことがあった。そのときはなんでだろう?と深く考えたことはなかったけれど、そう聞かれてストレートに思ったことは
〝空に吸い込まれるくらい高く漕ぐのが気持ちいい〟
そんな感じ。……なのだけれど、もう何年も前からなんだか心に引っかかるものを感じていた。なんでこんなにブランコが気になるのかと。
7年ほど前に、東京の自由が丘にある有名な占い館で鑑定してもらったことがある。そのときに
「あなた……小学校へ入る前、特定は難しいけれど、そのくらい幼かった時期に家族以上に想い慕っていた歳の近いお姉さんのような人がいたでしょ?」
と言われて、ドキッとした。
私は一人っ子だったから、まるで兄弟姉妹のように近所の子供たちとよく遊んでいた。その中でも一番仲良かったのが2歳年上のヒサコ姉ちゃんだった。
「二人でよく一緒にブランコに乗って遊んだりしてますよね?イメージとしては、二人で抱き合うくらいの近さで何かに乗って揺れている感じを受けたのですけど……」
そう言われて思い出した。
どうして忘れていたんだろう……何かきつく閉じていた蓋を開けたときのように昔の出来事が飛び出してきた。頭の中でグルグル、グルグルと螺旋を描くかのように。
そうだった。
私が初めてブランコに乗ったのは、ヒサコ姉ちゃんの膝の上に座って、後ろから片腕をまわして私をしっかり抱きしめてくれながら漕いでもらったんだ。
確か、そこに母親が血相を変えてやってきて
「ヒサコちゃん!落ちたら大ケガするでしょ!」
みたいなことを言って、ヒサコ姉ちゃんを叱った……
漕ぐのをやめて、しばらく私を後ろから強く抱きしめて
「ごめんね。もし落としたりしたら大ケガさせちゃうところだったね……」
と言って……そしたら、私の頬に雨が当たったんだ。でもそれは雨なんかじゃなくてヒサコ姉ちゃんの涙だった。ヒサコ姉ちゃんの泣いている顔を見たら、私も悲しくなって一緒に泣いたんだ……ヒサコ姉ちゃん悪くないのに。楽しかったのに。
そんなことがあっても、その後も親には内緒で私はヒサコ姉ちゃんと一緒にブランコに乗って遊んだんだった。
空は青くて眩しくて、そんな空に吸い込まれるくらいに漕いで、そのときのヒサコ姉ちゃんの笑う声も、私には心地良かったんだ。
ブランコ
『遅いなぁ』
あの暑い夏の日
よく遊んだ友達とよく遊ぶ公園で遊んだ。
仲良かったAは明るくて正義感あるいい子だった。
夏があけて秋になり始めた頃ニュースをみた
近所の交差点で交通事故が起きたって、
顔が見るに堪えないほどぐちゃっと潰れて身元不明になってしまった死体と猫がいたそう。
お母さんはそれを見るなり『怖いわね…あの交差点公園行く時使う道じゃない?あんたには申し訳ないけど外出禁止で、』
酷いじゃないか。またAと遊びたい。僕はよく遊ぶ公園に向かった。いつも来ているAがいない。
『あーあ、つまんなぁい』
僕は黒猫を撫でて呟く
『遅いなぁ』
ブランコ
「こんな大人にはなるなよ」
これは平日の昼間にブランコを漕いでる激キモおっさんに言われたセリフである。
ブランコの柵の周りには自分より10歳は離れているであろう子供たちが不満げな顔でおっさんを見ている。
少し離れたところでこのおっさんを警戒している女性たちはきっとこの子らの母親であろう。チラチラとこちらを見てはコソコソ話をしている姿は同じクラスの女子を思い出させた。
僕はあまりおっさんを刺激しないように、けどハッキリとこう言ってみた。
「はい。こんな大人にはならないように気をつけます。」
この試合を見ている観客たちが歓声を上げる声が聞こえた気がした。
「ーー選手決めました!」と実況席も沸き上がっている。さあどうなる、どうなる。自分の息が自然と上がっていくのがわかる。
「ふひひひひひひひっ」
…いや気持ち悪っ
なんだこの笑い方は。
さっきまで興奮を抑えきれないと言わんばかりに大声を張り上げていた観客も落胆した様子だ。
「いや、けどキミ、正直言ってさ、もう無理だと思うよ。僕は結構キミのこと同類だと思っちゃってるから。ふひひひっ」
このおっさんは何を言っているんだ?
僕とこの汚いおっさんが同類?そんなわけないだろう。
「僕とおっさんは同類」
この発言には流石の僕も怒りが湧いてくる。
僕は決めつけられるのが大嫌いだ。そうやって大人は僕のことを決めつけてくる。成績だの日頃の行いだの、そんなもので僕の全てを知った気にならないでほしい。
「…なんで、なんでそんな決めつけてくるんですか…僕は、僕は…」
僕は少し泣きそうになってしまった。
「あ、怒っちゃった?ごめんね?けどさ、こんな時間に学校も行かないでこんなところにいるキミと、仕事もしないでここで暇つぶししてる僕、結構似てると思うんだよね。けどさ、けどさ、キミはまだ子供だし未来があるじゃん?だからさ、からさ…」
捲し立てるようにそういうおっさんはどうやら焦っているらしい。おっさんの額には汗が滲んでいる。その焦り具合にちょっと笑ってしまいそうになる。
……おっさんは、いい人なのかもしれない。
「……そうですね。僕、考えすぎてたかもしれません。もうちょっと気楽に生きてみます。……ふひっ」
ブランコの柵の周りには子供たちが不満げな顔で少年とおっさんを見ている。
今日もこの公園では彼らがブランコを占領している。
夕闇にのまれてゆくちいさな公園に、
いたずらにブランコを揺らして帰った子らの
余韻がさみしく満ちている。
[ママ押して]
子供の楽しそうな声が公園に響き渡る。
公園の遊具の中でもお気に入りのブランコを見つけて
笑い声を上げながら走っていく。
そんな小さい背中を少し力を入れて軽く押した。
お題[ブランコ]
No73
ブランコですって!?
本当に何も思いつかない。
何も考えられない。
これがスランプの状態ってことなのね。
ブランコに例えるならば、揺れすぎて吹っ飛んでどっか行ってしまったみたいな感じかな。
とりあえず最後はマル。
幼い息子との思い出。
すべり台とブランコ。
初めは抱っこをしながら揺らすブランコ
そのうちにお座り出来て後ろから押し
そして自力で反動付けてブンブンと漕げる様になった。
息子の成長を目の当たりに出来た日々…
その息子は今一人暮らし3年目、
最近、将来の伴侶となる女性を紹介したいと言ってきた。
母としての役割が一段落して行くようです
※流血表現あり
放課後、独りブランコに座る。
少し錆びついているせいでキィ、キィ、と音が鳴る。
今日、学校で全校集会があった。
真剣に聞く人、悲しむ人、哀れむ人、驚く人、どうでもよさそうな人。
人が、それも同じ学校の生徒が死んでいるのだから、出来ればどうでもよさそうな態度でいるのは止めてほしい。
俺は買ったアイスを袋に入れたまま。早く食べないと暑さで溶けてしまうだろう。でもそれはどうでも良かった。
一週間前、陽太(ひなた)が死んだ。
トラックのながら運転による事故で。
重軽傷者は多数いたが、死んだのは彼だけだった。
俺はアイスの様子を見る。まだ溶けていなさそうだ。
アイスは二つ。ミカン味とソーダ味。いつも俺はミカン味を食べる。彼はソーダ味だった。
放課後、こうやってブランコに二人で乗ってアイスを食べるのが夏の習慣だった。だからコンビニに行った時、間違えて癖で二つ買ってしまった。
買う必要なんて無かったんだが。
彼と出会ったのは高校入学の時。出席番号順で隣になったのが彼だった。髪色が真っ黒の俺と違って明るい綺麗な茶髪を持っていたのが印象的。
彼は見た目もよく、誰にでもフレンドリーで、気さくで話しかけやすい人物で、一方俺は窓際で一人本を読んでいるようなやつだった。
何がきっかけで話し始めたのかは覚えていない。でも、いつの間にか彼の周りの友人より仲良くなっていたのは覚えている。
楽しかった。ただそれだけだった。
あの日、俺達は交差点で信号が青に変わるのを待って歩き出そうとした時だった。
俺の靴紐がほどけていたのに気づいた。
一瞬、一瞬だけ立ち止まった。
彼が後ろを振り向いて、縛ってからでいいよ!先にアイス買ってくるね~と先に歩き出した。待て、そう言おうとしたがもう既にかなり遠くにいた。俺は仕方なく道の隅で靴紐を縛っていた時。
硝子の大きく割れる音がして、地面が少し揺れ、悲鳴が聞こえた。
俺が顔をあげて立ち上がると、そこにはコンビニに正面から突っ込んでいるトラックがあった。
「陽太?」
辺りを探しても見つからない。彼の明るい茶髪は何処にも見当たらない。
「陽太!!」
俺は人混みを掻き分け、彼を探す。
「ひな」
た、そう言おうとした時、粉々に割れた硝子と車体が抉れたトラックの間から腕が見えた。
血塗れの腕が。
俺はそこまで思い出すと気分が悪くなった。
あの時、俺が陽太を止めていれば陽太は巻き込まれなくて済んだのではないか。
俺ではなくて、陽太の靴紐がほどけていれば良かったのに。
そんなことを思っても、過去は戻ってこない。
陽太はもう生きていない。
俺が陽太の分まで幸せにならなくては______いや、俺が陽太の手に入れるはずだった幸せを、この世界で手に入れる必要がある。
俺の幸せなど彼の幸せに比べれば小さなものだ。だから問題ない。
俺は袋の中のアイスを取る。
彼がいつも食べていたソーダ味。びり、と袋を破ると真っ青なアイスが出てくる。俺はそれを頬張った。
頬が冷たくて痛い。初めて食べる味だ。少ししょっぱいな。
確か、陽太は食べている時はいつもこう言ってたな。
「嗚呼、『幸せだなぁ...』」
今の俺には似つかわしくない言葉だな。ソーダってこんなにしょっぱいのか?暑いのか汗もかいてきたな。家に帰った方がきっと快適だろう。
でも、まだ帰らないでおこう。
夕暮れ、公園でブランコが一つキィ、キィ、と揺れていた。
お題 「ブランコ」
出演 真人 陽太
2 つ の 椅 子 に
僕 と 君 が 座 っ た
君 は 元 気 よ く ぶ ら り と 高 く と ぶ
そ ん な 君 を 見 て
僕 は 惜 し い 気 持 ち を 只 抱 く
同 じ よ う に は と べ な い 僕 と 君
き っ と 最 後 は 違 う ブ ラ ン コ へ と 行 っ て し ま う
そ れ は き っ と 僕 の せ い
僕 が 君 と 心 地 よ く と べ な か っ た か ら
僕 が 君 に
迷 惑 を か け た か ら
明 日 に な れ ば ま た
遊 ん で く れ る か な
2/1 「ブランコ」「きっと僕達はわかりあえない」
#作者の日記帳
なぜ俺は、ブランコに乗りながら小春に尋問されているのだろう。
「はい、それで?なんて答えたの?」
「あっ…ええと、今は誰とも付き合うつもりはない、と…」
「はい弱い。言い方が弱い。それじゃ、これからいけそうだと思うもん。待ってるとか、諦めないとか言われなかった?」
「どっちも言われた…」
「やっぱりね」
同級生の綾瀬小春は、俺の幼なじみである。
家が近くて親同士が仲が良いので、
昔から何かと交流があった。
高校生になった今でも、帰り道が同じになれば、話をしたりもする。
正直俺は、こいつに長年片思いしている。
「翔真さあ、もうめんどくさくなって、付き合っちゃおうとか思ってない?」
「いや…それは思ってないけど…」
思っていないが、あんまりつきまとわれると、放置する可能性はある。
放置された子が勘違いし、彼女になったと言いふらされたケースが過去あった。
ろくに話したことさえなかったのに。
おかげで、翔真は一部の女子から批判されている。身に覚えがないので不満だが、それも含め女子がめんどくさいので無視している。
「ちゃんと断らないとダメだっていつも言ってるじゃん?なんか知らないけど、高校入ってからモテはじめちゃってさ。背ばっかりのびたって、ひょろひょろするばっかなのにさ。」
なぜこんなに不機嫌なんだ。こっちは昼休みも早々に呼び出されて、昼を食べ損ねたって言うのに。
これ以上文句言われてもかなわん。
俺は早々にここを去ることにした。
カバンをひっかけ、さっさと歩きだす。
「あ!ちょ、どこ行くの」
「福来軒」
「あ、あたしも行く」
小春があっさり話を切り上げてついてくると、俺たちは公園を後にした。
「俺、味噌チャーシュー」
「え、贅沢。あたしは…醤油かなー」
よく通っているラーメン屋の福来軒は、安くてうまくてしかも早い。
学生割引もあるので、うれしい限りだ。
少し待って、ラーメンが置かれる。
やっと昼にありつける。歓喜しつつ、箸を割った。
「でもさ、今日告白してきた河瀬さんさ。男子に人気あるよね。可愛いよね?ほんとに振っちゃうの?」
また蒸し返してきた。せっかくラーメン食べてんのに、うるさいな。
「いや知らねえよ、人気とか。河瀬とか、なんか女子っぽくてめんどくさい」
ぶっきらぼうに言うと、小春は少し黙っていた。
しかし、またすぐに続ける。
「でも、でもさ、もうすぐ翔真の誕生日もあるし、河瀬さん何かプレゼントとかくれるんじゃないの」
「うるせえな」
今度はかなりキツめに言った。うっとうしかった。
小春に、こういうことを言われるのはこたえる。俺に気がないのが、よくわかるからだ。
今度こそ小春は黙り、そのままラーメンを食べ終え、お互いひとことも話さず帰路に着いた。
***
「やべ、定期がねえ」
家に帰って、定期入れを落としたことに気づいた。
学校を出て、バスから降りたときはあったのだから、たぶん公園あたりで落としたのではないか。
そう思った俺は、急いで公園に戻った。
公園の近くで、植え込みの下に落ちていた定期を発見した。
ほっとしていると、公園でブランコに乗る小春の後ろ姿が見えた。
こいつ何やってんだ、帰ったんじゃないのかよ。
声をかけるのも気まずくて、なんとなく遠目から見つつ立ち止まった。
小春はスマホで通話しているようだ。
「…って……から……と、思って…」
様子が変だ。
小春は、なんと泣いているらしかった。
ちょっと動揺した俺は、思わず聞き耳を立ててしまった。
小春が泣くなんて、何かあったのだろうか。いつも笑っていて、嫌なことがあっても翌日にはケロッとしてる奴なのに。
「…だって、今度こそ付き合っちゃうと思ったんだもん。だって河瀬さんだよ?誰が見ても可愛いし、あたしとは全然違うもん」
え、俺のことか?きつく言いすぎたのか?
「そんな、言えないよ今さら。振られたらもう一緒に帰ったりできないし。翔真のこと、こんな五年も、ずっと好きなのあたしだけだもん」
衝撃だった。
心臓が跳び跳ねるとは、こういう感覚なのか。
一瞬理解ができなくて、その後じわじわと顔に熱が集まっていく。
自分の心臓の鼓動が、耳もとで聞こえる。
「うん、わかった。これから愛梨のうちに行くね。…ありがと、それじゃ」
電話を切った小春は、俺に気づかず反対側の出口から帰っていった。
衝撃を受けすぎて動けなかった俺はもちろんチキン野郎だが、そこは勘弁してほしい。
俺の片思いはなにしろ十年にもなっており、生きてきた年数の半分以上だったのだから。
***
翌朝。小春が俺の家の前に立っていた。
「な、なんだよ、朝から」
どもってしまった。
顔も確実に赤面しているのがわかる。
はっきり言って目が見られない。
もしかしたら、告白されるのか?いや、それは俺が言うべきだ。心の準備は整ってないが。
そんな俺を不審そうに見ながら、小春が言う。
「…え、なに?具合悪いの?」
「ちげえよ」声が裏返った。もはや穴があったら入りたい。
「…あの、昨日は言いすぎてごめんね。
これ、おわびっていうか誕生日プレゼント」
「…なんだよ?これ」
思わず素に戻った。
差し出されたのは、ぺらぺらの長い紙だった。
「福来軒の食券、十枚セット!学生限定のやつね。…あれ、欲しがって…なかった?」
俺は吹き出した。
あまりにいつも通りの小春に、緊張しすぎていた俺は拍子抜けした。
そうしたら、なんだかめちゃくちゃおかしくなってきた。
そうなんだよな。
こいつとは、ずっと自然体でいられる。
だからいいんだ。
「え、なに?なに?変なものだった?いらなかった?」
あせる小春を見て、俺はなんとも言えない幸せな気持ちになった。
「…いや、嬉しい」
「え、だよね、だよね?よかったー、色々迷ったんだけど!」
「うん、だからさ、それは一緒に使おうな」
「…え?」
「とりあえず、今日ふたりで行こう。帰り、待ってるからな。あ、あとちょっと待って。俺も今出るから」
ラーメン食べながら告白したら、何て言うかな。
思わず小春が噴き出して、怒って振られたりしたら困るから、それはやめるか。
朝の光と、真っ赤になった小春の顔。
たまらなく愉快な気持ちになりながら、
俺はカバンをとりに家に戻った。
ブランコ、もう私より小さい。
こいでもこいでも高くならない。
古びた紐がキィキィうるさい。
あまりにも古くて怖いからはしゃげないし。
おんなじところを振り子のおもりみたいにいったりきたり。
それだけ。
つまんない。
でも楽しかったんだよ。
なんでだろうね。
2024 2/1 (木) 13『ブランコ』
カクコトナイネ
最近学校が学級閉鎖が起こって、休みになってたからマジで明日の学校面倒臭い🫠
もう少しで新しい学年になるからか、先生から勉強しとけとか言われるんすよ🫠
まぁ適当にそういうのは流しているんですけど🫠
出来ることならずっと布団の中でスマホをいじっていたい…!!
何か来年の事とか考えずに…!!
でもそうしていると分かってくることがあるんでしょうねw
いやでもなぁ…ずっと何かしているんだったら布団の中でぬくぬくしてたい…🫠
そういや最近、友達に有名になったMBTI診断的なものを無理やりやらされました🫠
一回やらされた事があったんですけど、普通にサボったらこうなりました🫠
ちな僕は仲介者(INFP)←打つの大変ねこれ。
特徴に病むことって書いてるの見て笑っちゃいましたね🫠
でも僕はこういうの楽しいかもしれない…!!!
皆もやってみてねー!