『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ブランコにとって人間と風は同義だった
突然やってきて自分を揺らす
そよ風みたいに
つむじ風みたいに
だけど知っていますか
ブランコは止まっている時間のほうが
ずっとずっと長いこと
そこでは人間たちが落としていった記憶や恋や約束を集めて空へ返しています
嵐が去ったあと
遠くでヒバリが鳴いた
#ブランコ
公園に行くと、ボッチ仲間の友達が私を迎えてくれる。
彼女は優しくて、とても面白い。
私は彼女が大好きだった。
だから毎日会いに行った。
嫌なことがあった日、死にたいと思った日。
そんな愚痴を話しても、彼女はそっと私に寄り添ってくれた。
けどそんな彼女はもういない。
最低な大人やクソみたいなガキにボロボロにされていた。
けど、私には何も出来ない。
例え彼女が現実には存在していない、ただのブランコだと分かっていても、私にはかけがえのない、たった一人の親友だった。
それなのに…。
私は…無力だ。
【ブランコ】
私は周りより
何もかもゆっくりだった
ブランコすらもこげなくて
小さい頃はよく泣いた
一生懸命練習して
のれるようになったあの日
頬に当たる風に
目に映る青い空に
感動した
鮮やかな思い出
楽しかったな。
風をきっても
空に手を伸ばしても
届きそうだと思っても
引き戻されてしまう。
戻されることなんて
もう分かりきっているのに
風を切る度
空に飛べそうな気がする。
そうして私は手を伸ばす。
「ブランコ」
胸のポケットにいる天使が、誕生日だというので、手のひらサイズのブランコをプレゼントした。
羽根が仕舞えないので、行ったり来たりがぎこちない。それがめちゃくちゃ楽しいのだと、大声で笑っている。
人がどんな夢を見るのか知らないが、夢だ、と自覚できた時はいつも、真白い空間に、ぽつんと一つブランコがあった。
現実で見たこともない、つまり思い入れもないブランコは、所々塗装が剥げた簡素な鉄パイプに、腐敗の進んだ木の板が、一つだけ、吊り下げられていた。少し押してやるだけで、錆びて赤茶の鎖が、きい、と音を立てた。
ブランコは、ひとりでに、風に吹かれた程度揺れることもあったし、永遠に沈黙を貫くこともあった。それがなんとも、その日の気分次第、といった具合で、少しばかり人間らしく思えた。
夢の中にブランコがある理由は、さっぱり分からなかった。そのブランコで何をすれば良いのかも、やっぱり分からなかった、けれど。
それなりに息苦しくて、目まぐるしく変わる日々の中で、そのブランコに腰かけて、ただぼうっと虚空を見つめるその時間は、あながち嫌いでは無かった。
故に、それについて、深く考える理由も無かった。
「寂しいんじゃないの」
珍しく、気が合う人だと思った。だから他愛ない会話の応酬を、幾ばくか重ねる内に、そんな夢を見る、とでもこぼしたのだろうか。そう言われて、ブランコの話を自分がしたのか、と初めて気が付いた。
気が付いたのは、たぶん、曖昧な納得をしたからだ。夢を見る理由が、なんとなくそうなんじゃないか、と思っていた気もしてきた。
「よく、映画とかであるじゃん。夜の公園で……独白? って言うの、ブランコにのってさ。告白して振られた、とか、喧嘩しちゃった、とか。……あとは、」
──人生が、なんとなく虚ろに思ってるとか。
妙な心地だった。心の底を言い当てられたのか、或いは、そうだと思わされたのか。いずれにしても、はっとした。
どっちであるかもどうでもよかった。
もう少しだけ、この人の話を聞いていたい。次に浮かんだ言葉は、ただそれだけであったから。
だから取り敢えず、何でそう思ったのか、聞いてみた。
だって君、暗そうだったから。
その人は、悪戯っぽく笑って言った。
人と話すのは苦手だと決めつけていた。しかし食わず嫌いに近しいもので、きっかけがあれば瓦解するのは容易であった。寂しいんじゃないの、そう言ったあの人が、話し上手だっただけかもしれない。ただもう少し、いろんな人に話を聞いてみたいと思わされた。
会話を試みれば早かった。苦手なんだ、と言えば、皆懸命に話を紡いでくれた。なんだよ、お前面白い奴だな、そう、何度言われたことか。しかし悪い気はしなかった。
なんとなくあった閉塞感は、いつの間にか霧散していた。
あの人の言った事が図星であったことに気付くのに、そう時間はかからなかった。幾度枕に顔を埋めても、もうあのブランコは、自分の中の何処にも見当たらなかった。
けれど不思議な事に、それが一番寂しく感じた。
【ブランコ】
ブランコ
グッと背中を押され
僕は空に舞がある
すると今度は落ちていく
舞い上がっては落ちていく
一瞬だけ空に近づいて
あの雲を掴みたい
虫取り網でも取れなかった
クワガタがあんなところに
あと少しで捕まえられるのに
あと少し もう少し
前のめりになる
僕の手は鎖をぎゅっと握った
僕の気持ちはブランコのように
ゆらゆらと揺れている
右でも左でもなく
ずっとさまよっている
本当にこれでいいのだろうか
疑問だけが振り積もって
消化できないまま
ずっと揺れている
風を切って
めいっぱい空に近づいて
いつか一番になることを
信じていた
誰よりも高いところへ
行けるんだって
迷いもなく
信じていたのだ
#ブランコ
お題 ブランコ
今俺はブランコを漕ぎ出そうとしている。
後ろには目以外黒い服で覆われた刑務官。
板に乗れと促する
無機質な黒い空間で、一歩先は何処までも続く深い穴、はるか上まで続いている2本のロープとそれに繋がっている木の板。
ロープと腕に手錠を繋がれ自由は無い。
ロープを握る手は汗ばみ、膝は震え、喉は乾き、目が回りそうだ。
そう、俺はいま死刑が執行されようとしている囚人。
漕ぎ出せば死ぬまで漕ぎ続けなければならない
この国独特の新しい処刑方法
俺がこの処刑方法の第一号になるそうだ
よって漕ぎ出すことによってどう死ぬのか何にも情報がない。
ああ覚悟が決まらない。
乗るタイミングは任されているが、一歩が踏み出せない
バンジージャンプみたいなものだろう。乗り出す覚悟が持てない。
何故なら乗ったら死だから
…永遠とも感じる時間が過ぎた
当然ながら精神のバランスは保てなくなる
発狂してしまう。
救われる道はこれしか無い
死ぬしか無いんだ
俺はブランコの板に足をかけた
…だが、板にかけた足はそのまますり抜け深い闇へ落ちていったのだ。
そこで俺は気を失った
…なんかの悪い夢だったんだろう
ふと、我に返って目を覚ます
…なんということだ
また、あのブランコの前にいるじゃ無いか!
…あぁ、なんという絶望感
【ブランコ】
ブランコがある公園は特別な感じがした。
小学校のとき公園で遊ぶときはいつもブランコがある公園で遊んでいた。どれぐらい高く振れるか対決したり、ときには二人乗りをして楽しんでいた。
ブランコに乗ると風を感じて心が晴れる。
友達を泣かせてしまってブランコに乗りながら泣いているとなぜか泣きやめる。一定のリズムを刻みながら揺れ心を落ち着かせてくれる。少しだけこいでみると世界が広く感じれる。
《ブランコ》
小学生の頃の私
公園で1人で乗っていたブランコ
ほんとはシーソーなんか乗ってみたいなって
思っていたけど
シーソーは相手がいないとできないから
乗ったことは無かった
ブランコ(投稿2回目で、私の人生の振り返りです)
私が、小学生の時に、ブランコに沢山乗っていたのを、今でも覚えている。
昔住んでいた自宅から近くにある公園や、昔住んでいた自宅から少し遠いところにあった公園、そして、卒園した幼稚園で水泳教室(今はあるかは分からないです)を、小学生時代通っていて、水泳教室が終わった後に、幼稚園にあるブランコに乗っていた。
本当に楽しかったです。
私が昔住んでいた自宅から近くにある公園と、昔住んでいた自宅から少し遠いところにある公園にブランコが、今もあるかは分からないですが、あると良いなと思います。
私にとってブランコは、楽しかった思い出の一つです。
#ブランコ
幼稚園でブランコは人気遊具だった
休み時間は順番待ちになり
私は終わりまで遊べなかった
母さんが迎えに来たが、遊べなかった私はひどくすねていた
見かねた母さんは帰りに公園でブランコをするのを待っててくれたのを覚えてる
夕焼け空の下ブランコに夢中な私を母さんは優しく見ていた。
仕事帰りに、偶々公園に立ち寄った。
その公園には、人は居らずただブランコが隅っこにぽつんと置いてあるだけであった。
私は、吸い寄せられるようにブランコへ向かっていた。
ブランコに腰掛け、今までの人生を振り返った。
その中で、子供の頃の記憶が鮮明に思い出された。
あの時に戻れないのは知っているのに無性に戻りたくなる。
そんな、事を考えている間に、あたりはすっかり夜になっていた。
今日は、もう家に帰ろう。
そう考え、ブランコから立ち上がり家に帰った。
ブランコみたいに
揺れては戻る
恋心
お題
ブランコ
「先生。俺、貴方の様にはなれません。」
「あぁ、そんなのどうだっていいさ」
薬を砕いた音とそれに混じった貴方の匂い
何時忘れることか分からない
その匂いが好きで、追い掛けて、
追い付いたと思ったら居なくなって。
「...何故なんですか。何故貴方は、」
「君さ、私の匂いが好きで追いかけたんだろ。
だったら匂いが着くまで私のモノで居なさいな。」
「はい」
俺はまた、貴方に揺られる
--《ブランコ》
ハイジのブランコってあるじゃん
あれ 子どもの頃に見て 憧れたんだよね
わからない?
あ〜 若い子には通じないかな
さみしそうに笑うあなた 一線ができたようで
ぼくもさみしい
娘の幼き日のビデオを観ていたら
ブランコを立ち漕ぎしているシーンがあった。
2~3歳だろうか。
一応、クイッと膝を曲げているのだけれど、形だけで、ブランコの揺れに影響していない様がおかしくて可愛い。
そういえば、同じ頃、私をブランコに座らせて後ろで、押してくれたこともあったなあ。
私はうっかり後ろを気にせず
ブランコの揺れにまかせて娘を倒してしまって…。
怪我がなくて良かったけど。
ブランコには、娘とのそんな思い出がある。
もう人生で乗ることはないんだろうなあ。
ぶらんこに乗ろうか、なんて言い出したのは僕と彼のどっちだったっけ。
いや、そもそもこんな夜に散歩したいなんて言い出したのはどっちだっけ。
僕らは真っ暗な夜の道を、ろくな会話もせずに歩き続けていた。時折ぽつぽつとだけある街頭の光に照らされる彼の顔は憂いをおびて何か深く沈んでいるように見えて話しかけづらかった。どうしたの、なんてとてもじゃないけど言えなかった。彼を慰めるどころか、僕の不器用な慰めや元気づけの言葉はかえって彼を傷つけてしまいそうだった。
ひたすらに無言のまま歩き続けていると公園を見かけた。公園といっても、ぶらんことすべりだいしかないとても簡素で小さな、公園といってもいいのか分からないくらいのものだったけれど。
…ああ、そうだ。それで僕はぶらんこに彼を誘ったんだ。遊べば元気になるかな、なんて子供じみた考えで彼をぶらんこまで連れて行った。さすがにこの歳になってすべりだいはキツいと思ってぶらんこにしたんだ。思い出した。
僕は彼をぶらんこに座らせ、肩を押して、彼のぶらんこを漕いだ。彼は訳が分からないといったような顔をしていたけれど、ただ黙ってぶらんこに乗っていた。
夜空に向かって、綺麗な弧を描いて彼は飛び出したと思ったら、またすぐに僕のところに戻ってくる。
それを僕はまた押してやる。ぶらんこは勢いを増して行く。次第に彼は自分で上手くバランスを取りながら、ぶらんこが上がるギリギリまで勢いづけて漕いで行く。
僕は離れてぶらんこを漕ぐ彼を眺めていた。
何往復か漕いだあと彼は僕の方を向いた。
「元気出た」
さっきと打って変わって、スッキリとした笑みをたたえている。
僕もつられて微笑んだ。
「それは良かった」
背中を押したいと思っていたものの何だか物理に押すだけになってしまったけど、まぁいいか。
不器用だけど不器用なりに精いっぱい彼を支えていきたい。これからもどうか良い友人として、出来れば拠り所として、こいつの側にいられますように。