ノーネイム

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お題 ブランコ


今俺はブランコを漕ぎ出そうとしている。

後ろには目以外黒い服で覆われた刑務官。

板に乗れと促する

無機質な黒い空間で、一歩先は何処までも続く深い穴、はるか上まで続いている2本のロープとそれに繋がっている木の板。

ロープと腕に手錠を繋がれ自由は無い。

ロープを握る手は汗ばみ、膝は震え、喉は乾き、目が回りそうだ。

そう、俺はいま死刑が執行されようとしている囚人。

漕ぎ出せば死ぬまで漕ぎ続けなければならない
この国独特の新しい処刑方法

俺がこの処刑方法の第一号になるそうだ

よって漕ぎ出すことによってどう死ぬのか何にも情報がない。

ああ覚悟が決まらない。

乗るタイミングは任されているが、一歩が踏み出せない

バンジージャンプみたいなものだろう。乗り出す覚悟が持てない。

何故なら乗ったら死だから


…永遠とも感じる時間が過ぎた

当然ながら精神のバランスは保てなくなる

発狂してしまう。

救われる道はこれしか無い

死ぬしか無いんだ

俺はブランコの板に足をかけた

…だが、板にかけた足はそのまますり抜け深い闇へ落ちていったのだ。

そこで俺は気を失った

…なんかの悪い夢だったんだろう

ふと、我に返って目を覚ます

…なんということだ

また、あのブランコの前にいるじゃ無いか!

…あぁ、なんという絶望感

2/2/2023, 5:42:39 AM