『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ブランコ」
大空を掴みたくて
無我夢中にブランコを漕いで
太陽に右手を翳すと、
青く雲一つない空を
掴めたような感覚に陥った。
ブランコ
実家の団地敷地内の公園には、滑り台と鉄
棒はあったが、ブランコで遊びたいときは、
少し離れた裏の公園へ。私が子供のころは、
近所のお兄ちゃんお姉ちゃんが公園で遊ん
でくれて、その真似をしてブランコの漕ぎ
方も覚えた。
世情が変わり、遊具の遊び方は親が我が子
を見守りながら教える時代に。心配性の私
は、もちろん付きっきりで遊ばせていた。
女王気質の娘は、これまた当然のごとく自
分でブランコを漕がなかった。もっと強く
押せと命令気味で可愛くなかったな。
大人になると、ブランコの揺れは気持ち悪
くてなかなか楽しめない。滑り台も幅が狭
くお尻がつかえるし、走り回っていた公園
は、小さく感じる。もう遊ばないけれど、
たくさんの思い出があふれている。
皆んなが好きな遊具の一つ
取り合いまでしてしまう
そんなに人気な遊具
そんなブランコの気持ちは多分
嬉しいだろ楽しいだろう
でも寂しい時もあるだろう
その時は泣いているだろう
楽しい時寂しい時も
ブランコは頑張っている
楽しい時は、夜ご機嫌で
ぐっすり眠る
そんなブランコをみんな知っている
乗る時はみんなブランコに当たらないように
気をつけて乗ってね
進んで戻って
登って落ちて
私の人生みたい。
#ブランコ
#1『ブランコ』
君の隣で雲を取ろうとしたら君は
『雲はとれないよ笑』
と笑った。
君の一言で揺らぐ僕のブランコは何時になったら止まるのだろう。
ブランコ
小さい頃は
靴を遠くに飛ばしたり
柵を越えるように
飛び降りたり
どこまで高くこげるか
立ちこぎで試してみてた
最近は押すことはあっても
乗ることはない
乗ったら壊れるんじゃないか
そんなドキドキがある
ゆらゆら
ゆらゆら
青空の下に
ゆらゆら
子供たちの笑い声
鳥がさえずり
風は、優しく頬を撫で。
気持ち良い春のいちにち。
ぶらんこ
ゆらゆら。
ブランコを漕いでいる時の感覚は忘れられない。
もう漕ぐことはないが、あの感覚は鮮明に覚えている。
頂点に達したときの浮く感覚。
勢いよく前後移動するときの風。
この2つが、ずっと僕の中にある。
無意識に足に勢いをつけて、どんどん景色が高くなっていくときの恐怖。
前に飛ばされるのではないかという恐怖。
これらもずっと、僕の中にある。
あの感覚を、もう一度味わいたい。
公園にあるようなブランコでは、もう僕の体は大きくなっている。
どこかに大きなブランコはないものか。
ないとは言わせない。
覚えていても、いくら鮮明に覚えていても、実際にやるのとでは天と地の差くらいに違うものだ。
もう一度漕ぎたい。
あの感覚を、もう一度。
ブランコ
夜の公園
ふたりで乗ったよね
覚えてる?
あの日あなたはすっかり変わった風貌で
新しいにおいを纏っていた
だけど幸せそうに微笑むその顔
4年前のあの頃と変わらない
気持ちもすっかり消えてしまったの
そんなふうに感じて寂しくなった私が
嘘かのように笑顔になった
あなたのその顔が大好きで
好きで好きで好きで
その顔をいつまで向けてくれるかな?
4年後はそばで見られるようになってたらな
そんなわがままを言っとくよ
ブランコ
あの、腹のみぞおちが抜ける感覚、
いくつになっても忘れられません
あの頃、一日中遊んで結局最後はいつもの公園に。
オレンジ色に染まる景色の中ブランコに乗りながら大声で歌ってたよね。
今も時々その時のオレンジ色、声思い出すんだ。
モヤモヤで息苦しくて外に出て
蹴っ飛ばすよう夜のブランコ
お題:ブランコ
私達が出会ったときのこと覚えてる?
転入してきた幼稚園になかなか馴染めず、一人でブランコをこいでいた私に、声をかけてくれたよね。
私、すごい嬉しかったんだよ。もう涙が出そうなくらい。
あのとき声をかけてくれてありがとう。そしてこれからもよろしくね。
ブランコ…ね。私は先輩と2人ブランコに乗って地上に降りることはない。お互いに一生交わることの出来ない恋なのである。ずっと私だけが一方的に愛を注ぎ続けて、今やもうフラれた想いは行き場を失ってしまった。
自習時間、陸上部が待機する教室で私はペンを走らせた。でも、どうしても先輩の勉強する姿に目が行ってしまう。隣の同じ種目の先輩はタブレットで動画を見ていた。一見釣り合ってないように見えて、2人とも楽しそうだった。青春、楽しんでるんだな。私は先輩から目が離せずにいた。先輩は私の視線に気づいたのか、体を後ろに動かした。
あ、ヤバい、ダメだこれ…
焦っていても魔法をかけられたように私は動けなかった。そして、先輩は笑った。口元に人差し指をあてながら。先輩は私のブランコを直接ではなくとも押している。心を揺さぶっているのだ。私たちはもう交わらない…交われない。
「君さ、好きな人とか作らないの?」
私は戻ってきた幼馴染くんに問いかけた。私は、多分心配だった。
幼馴染くんのアピールに気づいていたのに何もしなかった私。私、好きな人いるんだ…そう女子本人から伝えられた。それから、その子は同じ部活の子を通してちょっかいを出すようになった。
ー取られたくないー
近くにあるものほど失いたくないと思うのは私だけ?ずっとそばにいたのに…複雑な感情が心の中にある。
「俺が?彼女作る気ないんで。その方が楽だし」
嘘つき。私だってわかってて聞いた。でも、幼馴染くんだって思ってもないことを…なんでこんなに私たちって素直になれないのかな?
素直になれない私たちは今日もまたブランコのようにすれ違う。交わっては離れていく、宙に浮いた想いよ…
1番遠くまで靴を飛ばせた人が優勝ね。
人気のあの子が楽しげに言うのを、僕はすこし離れた、1番後ろで聞いている。
先生がここにいたら、そんな危ない遊びはやめなさいっていつもの狐顔で言うんだろうな。
次々と2個ずつ宙を舞う鮮やかな魚、鳥、あれは…蛙みたいだ。
勢いをつけて、えいっ。
あ。
僕の魚は元いた場所に帰りたかったらしい。
隣の子に苦笑いを向けようにも、透明人間の顔の位置は分からないや。
『ブランコ』
ブランコ
ぶらぶら、ぶらぶら
ゆっくりでもいいし、勢いをつけてもいい。
どんどん高くなって。
あの空まで届くかな。
悲しいことも振り切って
きっと気持ちいいはず。
夕暮れ時、日が沈む直前の黄昏。公園にあるブランコから、ギコギコと金属が軋む特有の音が響いてくる。あれは、小学生の時だっただろうか。初恋の女の子と放課後によく一緒に漕いでいた頃を思い出した。
あの頃の純真さはどこへ行ったのか。今のぼくは、片思いだった相手に振られ、上司にはミスを責められ、自分の不甲斐なさから目を逸らしたくなって公園へと赴いた。
土を払ってブランコへと腰掛ける。窮屈だと思えたのは、暗にぼくがもう子供じゃないと拒絶されているようで少し胸が苦しくなった。
何とか乗ってブラブラと手を引いて漕いでみた。ギコ、ギコ、ギコ……。
「ゆうちゃん?」
そこは、出張が続いて生まれ故郷から遠く離れた土地。耳に馴染んだその声は、まるであの頃の情景が鮮明に思い浮かぶ程に懐かしく愛おしい響きだった。
「さっちゃん……!?」
これは、幼馴染との再開の物語。
「はぁ…」
俺は深夜の公園で一人ブランコに座り、うなだれていた。
まさか会社をクビにされるとは。
ため息しか出ない。何も考えたくない。
無心でブランコを漕いでいた。大の大人が。
しかし、不思議なものでブランコを漕いでいると童心に帰れたように感じしばらく夢中になって漕いでいた。
傍から見たら頭のおかしいやつだろう。
そんなことはどうでも良かった。
ブランコに振られるごとに遠心力で負の感情が吹き飛ばされている…ように感じた。
―――大丈夫。
俺はまだ頑張れる。
テーマ:ブランコ
私の心は
ブランコのように
ゆらゆら揺れているの
昔、近所のお宮にはちょっとした遊具が揃っていた。滑り台にブランコ、回転遊具。そのどれもが所々塗装の剥げた年期もの。
お宮のブランコは両端の鎖がとても長くて、台が地面に付きそうなほどで、そのままじゃ乗れないから両端の鎖を輪にして台の所に巻き付けて鎖の長さを調節しながら乗っていた。
ちょっと面倒だったのを覚えている。
でも、丁度いい高さにして乗ると楽しかった。
お宮は鬱蒼とした森の中にあったから、まるで緑の中を飛んでいるような気分になれて、私はその場所が好きだった。
けれどそれは、小さい頃の話。
小学校も高学年になりお宮に行く機会もめっきり減った頃、いつの間にかお宮の遊具は全て撤去されていた。
多分私と同じで、近所の子も大きくなって遊ぶ子が減ったからだと思う。遊具はどれも錆びついていたし、危険との判断もあったのだろう。
今はもう、記憶の中だけのブランコ。
小学校にもブランコはあったけれど、私がブランコと言って思い出すのは、この、緑生い茂るお宮の、古びた茶色いブランコだ。