Rutu

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ブランコ…ね。私は先輩と2人ブランコに乗って地上に降りることはない。お互いに一生交わることの出来ない恋なのである。ずっと私だけが一方的に愛を注ぎ続けて、今やもうフラれた想いは行き場を失ってしまった。
自習時間、陸上部が待機する教室で私はペンを走らせた。でも、どうしても先輩の勉強する姿に目が行ってしまう。隣の同じ種目の先輩はタブレットで動画を見ていた。一見釣り合ってないように見えて、2人とも楽しそうだった。青春、楽しんでるんだな。私は先輩から目が離せずにいた。先輩は私の視線に気づいたのか、体を後ろに動かした。
あ、ヤバい、ダメだこれ…
焦っていても魔法をかけられたように私は動けなかった。そして、先輩は笑った。口元に人差し指をあてながら。先輩は私のブランコを直接ではなくとも押している。心を揺さぶっているのだ。私たちはもう交わらない…交われない。

「君さ、好きな人とか作らないの?」
私は戻ってきた幼馴染くんに問いかけた。私は、多分心配だった。
幼馴染くんのアピールに気づいていたのに何もしなかった私。私、好きな人いるんだ…そう女子本人から伝えられた。それから、その子は同じ部活の子を通してちょっかいを出すようになった。
ー取られたくないー
近くにあるものほど失いたくないと思うのは私だけ?ずっとそばにいたのに…複雑な感情が心の中にある。

「俺が?彼女作る気ないんで。その方が楽だし」

嘘つき。私だってわかってて聞いた。でも、幼馴染くんだって思ってもないことを…なんでこんなに私たちって素直になれないのかな?
素直になれない私たちは今日もまたブランコのようにすれ違う。交わっては離れていく、宙に浮いた想いよ…

2/1/2023, 11:21:26 AM