夕暮れ時、日が沈む直前の黄昏。公園にあるブランコから、ギコギコと金属が軋む特有の音が響いてくる。あれは、小学生の時だっただろうか。初恋の女の子と放課後によく一緒に漕いでいた頃を思い出した。
あの頃の純真さはどこへ行ったのか。今のぼくは、片思いだった相手に振られ、上司にはミスを責められ、自分の不甲斐なさから目を逸らしたくなって公園へと赴いた。
土を払ってブランコへと腰掛ける。窮屈だと思えたのは、暗にぼくがもう子供じゃないと拒絶されているようで少し胸が苦しくなった。
何とか乗ってブラブラと手を引いて漕いでみた。ギコ、ギコ、ギコ……。
「ゆうちゃん?」
そこは、出張が続いて生まれ故郷から遠く離れた土地。耳に馴染んだその声は、まるであの頃の情景が鮮明に思い浮かぶ程に懐かしく愛おしい響きだった。
「さっちゃん……!?」
これは、幼馴染との再開の物語。
2/1/2023, 11:10:06 AM