昔、近所のお宮にはちょっとした遊具が揃っていた。滑り台にブランコ、回転遊具。そのどれもが所々塗装の剥げた年期もの。
お宮のブランコは両端の鎖がとても長くて、台が地面に付きそうなほどで、そのままじゃ乗れないから両端の鎖を輪にして台の所に巻き付けて鎖の長さを調節しながら乗っていた。
ちょっと面倒だったのを覚えている。
でも、丁度いい高さにして乗ると楽しかった。
お宮は鬱蒼とした森の中にあったから、まるで緑の中を飛んでいるような気分になれて、私はその場所が好きだった。
けれどそれは、小さい頃の話。
小学校も高学年になりお宮に行く機会もめっきり減った頃、いつの間にかお宮の遊具は全て撤去されていた。
多分私と同じで、近所の子も大きくなって遊ぶ子が減ったからだと思う。遊具はどれも錆びついていたし、危険との判断もあったのだろう。
今はもう、記憶の中だけのブランコ。
小学校にもブランコはあったけれど、私がブランコと言って思い出すのは、この、緑生い茂るお宮の、古びた茶色いブランコだ。
2/1/2023, 11:07:24 AM