『タイムマシーン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「タイムマシーン」
今思えば、なぜ自分はこんなことをしているのだろう?
なぜ、この仕事についてるんだろう?
……人間というのは強欲な生き物だ。過去を変えたいだとか、未来を知りたいだとか……そんな夢みたいな事を言う。
例えば、タイムマシーンなんてその象徴だろう。
けれど、過去や未来に干渉すると、その歪みを世界が戻そうとして、起こらなかったはずの悲劇が訪れたりする。蝶が羽を動かすと、どこかでハリケーンが起こる……なんて例え話が有名か。
まぁそんなことはともかく。今日もまた哀れな人間たちを走馬灯に送らなければ……それが自分の仕事なのだから。
「そういえば、これも一種のタイムマシーンみたいなものなのかね」
自分の過去限定だが、本人が忘れていることさえ追体験できるのだから、タイムマシーン過去版と言っても別におかしいことは無いだろう。
「いや……走馬灯とタイムマシーンはどう考えても違うか。あぁ、疲れてるな……自分」
これが終わったら、泥のように眠ろう。うん、それがいい
【目黒探偵事務所】
明朝体で象られた社名が表札に飾られたマンションの一室。そこが目黒探偵事務所のオフィスだった。
「こんな時間からわざわざすまん。」
検視官の鳶田さんが目黒探偵と軽く握手を交わすのを倣う。
「はじめまして、鑑識課の守山です。」
「来てもらえて嬉しいよ。連日のニュースで僕はもう気になって仕方がなくてね。」
黒縁のメガネを押し上げながら、踊るような所作で我々をソファへと勧める。想像していたよりかなり若く、32歳の自分とあまり変わらないように感じる。
連日起こっている、不審水死体引き揚げ事件。誰もが頭を悩ます担当に不幸にもなってしまった鑑識官の守山と、検視官の鳶田に事件の謎を解くカギを与えたのが、この目黒探偵だった。
「これがお出し出来る一連の事件の概要です。」
さすがに資料の全てを渡せるわけはなく、内容をまとめ直した資料を渡す。
10日間続いた不審な事件、被害者の誰もが誰かに執着されていたが、相手もまた、行方不明か故人。その事件の前後からSNSで話題になっている“海神様へのおまじない”。
資料をパラっと捲った目黒は得心がいったように軽く息を吐く。
「まあ……“人ならざるもの”の仕業だろうねぇ…」
深く頷きながらオフィスチェアにどさりと腰を下ろす。弾んだスプリングの音が耳に煩わしい。
「ひ、人ならざるものですか…」
思わずどもる守山に、目黒の眉がつり上がる。信じられないと言うことか?と言外に責められているように感じ、守山は革張りのソファで身を縮めた。
「たとえば、これ。」
目黒は人差し指を立てると、デスクにある車の模型を指した。
ミニカーと呼ぶには少し大ぶりなそれは、自分も子供の頃熱中した映画に出てくる、時をかける車だ。
「タイムマシーン…ですか。」
過去へも未来へも行ける魔法のような自動車。あの自動車に憧れて自分は理系の道に進んだのだ。尤も、最終的に選んだのは工学ではなく理学の方だったが。
「タイムマシーンを非科学的でファンタジーなものだと思っていないかい?」
心臓がどきりと跳ねた。
「アインシュタインの相対性理論をご存知かな?」
「時間と空間の理論体系…ですがそれは…。」
「現在の技術では不可能?それは単に我々が遅れているだけだ。一切が不可能なわけじゃない。」
目黒が両手を振り上げて大仰に力説する。
「光速を越えれば時間が止まる、光速で動けば未来に行ける、強すぎる重力では時空が歪む。どうだい、タイムマシーンですら現実になった。」
そうだ。理論上はタイムマシーンですら不可能ではないのだ。守山の中の少年が疼いていた。
「地球が平らだと思われてた時からヨーロッパと日本の両方で人魚がいると言われてきたんだ。空想だとして、こんな偶然あるかい?私は人魚はいると思ってる。人魚がいるなら、神様がいたって不思議じゃないさ。」
「つまり、海神様の呪いというのも可能性があると。」
それまで黙っていた鳶田さんが口を挟む。そうだ、つい映画でも見ているかのように聞き入ってしまったが、本題はここにあった。
「もっとも……“海神様”が本当に神様かはわからんけどね。」
眼鏡の奥で瞳をギラギラさせながら、目黒がニヤリと笑った。
「タイムマシーン」
過去と未来どちらへ行こう
選択肢は無限大
そんな日々が当たり前なら
今は一体どこにある
右も左も前も後ろも
ななめも上も
下までも
タイムマシーンというよりも
無数のベルトコンベアみたい
お題:タイムマシーン『リセット・マラソン』
「リセマラって楽しい?」
唐突に、咲が聞いてきた。
思わぬ問いに、私は口ごもる。
人生をやり直せるならどうするか。
そんな夢物語も、実際に叶えてしまえばそれはファッションや文化の一部として生活に溶け込んでいった。
22世紀の初頭、とある天才科学者が人生やり直し装置を開発した。
あらかじめセーブポイントを設定しておけば、装置を起動すると起動者本人の意識だけがその時間に戻ることが出来る。
リセマラは高校生活中で1人1回まで、なんていうルールが設けられるも、そんなものが守られるはずがなかった。
リミッターを外すパッチが流出し、誰もが複数回のリセマラ経験者。
誰が何回リセマラしてるか分かったものじゃない。
私が話した覚えのない過去のことを、友人が当たり前の様に知っていて時々恐ろしくなる。
他人の中に複数の私がいて、私の中にも複数の彼らが存在する。
合わせ鏡の様に広がる無限の並行世界。
隣のクラスのとある男子は、好きな女子と仲良くなる為に数え切れないリセマラを繰り返し、1年ですっかり別人格になってしまったそうだ。
ただ稀に、リセマラを拒否する者もいた。
たとえば咲、私の幼馴染み。親友。
咲は中学入学時、リセマラの装着をきっぱりと拒否したのだ。
リセマラ装着手術の適合年齢は13歳までと言われている。
親や教師は必死で説得した。
手術なんて15分で済むのよ、考え直しなさい。
リセマラするかどうかは着けてからでも選べるじゃない。
とか、なんとか。
咲はみんなの憧れだった。
バスケ部のエースで文武両道。
私は勉強だけでも咲に追いつこうと必死だったが、リセマラを使わない咲の努力は並外れたものだったはずだ。
咲は中学の3年間、リセマラについて語ることは一度も無かった。
興味本位で聞いてくるクラスメートがいても、そうゆうの興味ないから、の一点張りだった。
けれど、そんなわけはなかったのだ。
私達は同じ高校に進学した。
そして高校卒業間近、凍えるような1月の夕暮れ時、並んで帰宅する咲が不意に立ち止まり私に言った。
「つぼみってさ、リセマラしてるんだよね?」
公園の白熱灯が朧に咲を照らす。
「なんかさ、嫌になっちゃうなーって」
アハハ、と咲が乾いた笑い声を出した。
そして軽く鼻水をすすり、沈黙が訪れた。
「リセマラって楽しい?」
唐突に咲が言う。
切れ長の澄んだ目が私を見据える。
うまく声が出せない。
「えっと」
分かんないよ、そんなの。
そう言いかけて口籠る。
そんなことを言えば軽蔑されるに決まっている。
けれど、咲は見透かした様な目で続けた。
「つぼみ、ちゃんと考えてリセマラしてる?」
「一応、それは。うん」
「全部否定はしないよ。でも、リセマラしただけあなたの世界が無かったことになって、私との思い出も無かったことになって。そうゆうの、ちゃんと考えなさい」
ちょっと上から目線な物言い。
仕方ないじゃない。だって、みんなやっていることなのだ。みんなが咲みたいになれるわけじゃない。
私はごく控え目に、上目遣いで睨み返す。
その時私は、咲の瞳が涙で潤んでいることに初めて気付いた。
唇をキュッと噛み締めた後、咲が言う。
「ごめん、嘘。時々後悔するの。なんであの時拒否したんだろうって」
咲は【後悔】という言葉を使った。
何て愛しく、美しい言葉なのだろう。
この世界から失われつつある概念。
いや、もしも私に後悔というものがあるとすれば……。
「でも、つぼみが、もし私と同じになってくれたらさ」
咲の腕が私の首筋に伸びる。
リセマラ装置の設置箇所に指がかかる。
咲の吐息が頬にかかる。
吐息のリズムから、咲が震えていることが分かる。
クラクラする、胸の鼓動が早くなる。
「駄目っ!」
私は咲の腕を振り払っていた。
私はもう、戻れないのだ。
13歳より前の自分に、後悔に満ちた美しき荒野に。
先日見たVR通信でニュースキャスターは、人間の精神寿命が千年を超えたことを報道していた。
気が遠くなりそうな時間だ。私はその長い旅路を、何度もリセットしながら走り続けるのだろうか。
その日、私は帰宅して制服を脱いだ後、リセマラのセーブポイントを更新した。
今日という日を、忘れぬ為に。
咲と過ごしたあの瞬間を、永遠に確定する為に。
タイムマシーン
アメリカの物理学者、故ホーキンス博士は何度かタイムマシーンは理論的に可能だとか不可能だとか二転三転して発表していた。
自分は夢の無い話で申し訳ないが、論理的に絶対不可能だと想う。
元々、故アインシュタイン博士の相対性理論が始まりだった?オーソン・ウェルズの「タイムマシーン」の映画か小説が始まりだったか?それ以前から有る空想理論や空想話か?
一光年離れた星の、天体望遠鏡で見ることが出来る光景は、一年前の光景になる。
光速(光りの速度)で進むロケット飛行船が有れば一年で行くことが出来る。
放たれた光を、その速さより速いスピードで追い抜けば、過去の光景を見ることが出来る。タイムラグがあるので待つ必要があるが。
理論的にも、実質的にも、論理的にも、倫理的にも、“G”の問題で出来ないらしい。“G”と言っても携帯電話のギガとかの問題ではない。
“G”とは重力加重のことで人間も物体もそんな速度では耐えられない。
もっと読みたい♡899突破号
通算 85作目
タイムマシーンで過去に戻るより、今を悔いなく生きたい、子供の頃は早く未来に行きたかった 未来と名が付く教室で教師をしている 徳博🤓
タイムマシーンに乗りこむ
①未来か過去 どちらを選びますか?
- 過去
②どのくらいの過去に遡りますか?
- やり直したい どん底のあの頃
…「ファイナルアンサー ?! 」
無機質なAIの音声が
突然 鳴り響く
え?…ファ…ファイル…アンサー?
……急に怖じ気付き
震えが止まらなくなる
もつれる指先で
慌てて キャンセルボタンを押し込む
「コングラッチュレーション!
あなたは正しい選択をしました!」
祝福の声と共に
ファンファーレが 鳴り響く
「過去にとらわれず
未来を憂えず
今を懸命に生きなさい!」
厳しくも なぜだか懐かしい声が
頭上に 朗々と響き渡る
…涙が溢れ 止まらなくなる
気がつくと
乗り込んだはずの
タイムマシーンは
跡形もなく
消えていた
#タイムマシーン
『タイムマシーン』
タイムマシーンを貰った。
往復で1度きりしか乗れない。
過去に行ってみるか?
後悔を何度もした。
それは数え切れないほどに。
笑い話もあるけれど、ほとんどが笑えない。
一つだけ変えたって一緒だろう。
多分、きっと。
未来に行くか?
未来に行ったってそれが本当にそうなるかは分からない。
誰も分からない、未知の世界。
「……そもそもこれを使うべきじゃないな。」
今 自分は、自分の人生のピースを、パズルのピースを埋めている。
パズルは自分で作っているように見えて完成系が決まっている。
過去も、これからの未来も変えられない。
ならこれを使う意味は無い。
自分はタイムマシーンを壊した。
タイムマシーン
「ねぇ近い将来 ロケットで宇宙旅行が
出来るなら 遠くない未来
タイムマシーンで時間旅行も出来るかもよ」と唐突に一緒に住んでる
彼女が言って来た。
また何かのテレビ番組に感化されたなあと
僕は、思ったが 黙って彼女の話を聞く
「ねぇそうなったら君は未来と過去どっちに行きたい?」彼女が究極の二択を
突き付ける様に僕に聞く
「う~ん考えた事ないから良く分かんない
しいて上げるならどっちにも行きたくないかなあ・・」と僕の答えに彼女は途端に
不機嫌になる。
思っていた答えと違ったのだろう...
彼女が答えて欲しかった返事とは
違うと分かっていたが これが僕の
ありのままの本心だった。....
過去の事を考えると 二度と体験したくない出来事を思い出すし...
未来の出来事を知るのは 怖いし 退屈に
なる気がする
そう僕が理由を述べると彼女は、
何故か胸を張って
「タイムマシーンの操縦士やコンダクター達がお客様を不快にさせる旅行プランを
立てると思う?」
一瞬僕は、何の話をしてたんだっけと
首を傾げる。
「いい 君 あくまで私達はお金を
払って 時間旅行を楽しむ為に
タイムマシーンに乗ってるんだよ
それを誰が好き好んで 自分の過去や
未来を知りたいと思う?」
「あれ そういう話じゃないの?」と
僕は思わず疑問符を返してしまう
「発想が暗いな君 もっと 未来の流行の
最先端を先取りするとか
過去に戻って 行列がすごくて入れなかった 人気カフェのパンケーキを今度こそ
食べるとか 見逃した番組を過去に
戻ってもう一度見るとか
未来に行って まだ完成していない
テーマパークを先に楽しんじゃうとか
まだ発売していない漫画雑誌の続きを
見るとか... あとは...」と彼女が際限なく
欲望を吐露しそうだったので 僕は、
「ストップ!!」と言って止めた。
彼女は、僕の声を聞いて押し黙る。
「遠い未来にタイムマシーンが出来るなんて それこそタイムマシーンがなければ
分からない事なんだから... それより
今 出来る事をした方が良いんじゃない」
と僕は彼女に二枚のチケットを見せる。
「あーそれ!!」彼女が椅子から
勢い良く立ち上がる
それは、彼女が 前々から行きたいと
言っていたライブのチケットだった。
人気のライブで中々チケットの予約が
出来ない事で有名だった。
彼女の目がきらきらと輝く
「じゃあ 少したったら出掛けようか!」
僕が促すと・・・
彼女は、嬉しそうに笑顔になって頷いた。
「うん!」彼女のその笑顔を見て僕は
チケットを渡せて良かったなあと
つくづく思った。
過去も未来も関係無く 今この時の
彼女の笑顔を見れるのは 今此処に居る
僕だけなんだと思うと やっぱり当分
タイムマシーンは、要らないなあと
僕は、密かに思った。
タイムマシーンがあったら
幸せだったあの頃に戻ってみたいな
私がタイムマシーンに乗ったら、過去にいく。
でも、私は子どもたちに会えないだろう。
今の自分では確実になくなってしまう。
嫌だったと思うことを避けて生きるだろう。
しかし、沢山のものを失うだろう。
今沢山のものが在ることが奇跡なのだ。
#タイムマシーン
昨日の時点で今日のテーマは文章が浮かばないからパスしようと思っていた。
でも今日「ぽかぽか」を観ていて「これだ!」と思って書き記すことにした。
ぽいぽいトークのゲストが爆笑問題で、あとから後輩芸人に話を聞くコーナーでタイムマシーン3号が出てた時に太田さんが
「タイムマシーン3号が太田プロに入った時に同じく所属していた前田敦子さんが出した曲が『タイムマシーンなんていらない』だったんだよね(笑)」と言ってた。山本さん曰く「実話だった」らしい。
太田さんは昨年のデジャヴかと思うほど今日も暴れていた。
昼太郎のへそが取られたのでまた光代社長が(空気階段の水川さんみたいに)昼太郎をご飯に誘ってお詫びするのかな…
それでは皆さん午後も頑張りましょう!(笑)
テーマ:タイムマシーン
タイムマシーン
ああ遊園地楽しかった!
家同士遠くてなかなか会えない友だちとたくさんお喋りしてたくさん乗り物に乗ってたくさん美味しいもの食べてたくさん笑った!
また行こうねって約束もした!
タイムマシーンがあったなら楽しかった今日をまた過ごしたいし早く約束の日まで進んじゃいたい!
でも今日のできごとを思い返しながら約束の日まで待つのもいいな!
また会いたいな!
タイムマシーン
嗚呼、一輝、、、ッ、
暑い中、私は唯あの人を思って泣いた。
タイムマシーンに乗って、戦中に。
そこで出会った彼は、眩しかった。
大好きだった。
ねぇ、会いたい。
「しみるくんはいつも不思議なことを考えている」
はい♪ども!!しみるです♪
うおぉー!やっべ♪自分のこと名前で言うのハズイ(笑)
てことで、最近流行りの長いタイトルのアニメ風にしてみました♪
お願い誰かこのタイトルでアニメ化して(笑)
冗談はさて置き
実はボクたまに町を歩いてると思うことがあるんですよ!聞いて聞いて♪
きっと今立ってる場所や見てるアスファルトやコンクリートの
敷き積まれたここも
遥か遠い昔には生い茂るジャングルだったのかなぁって
それこそ恐竜とかが居た大昔よ!
そう考えると今目の前に広がる風景も
ホントよくここまで変わり果てたよねぇ〜って不思議に思う(笑)
だって恐竜やそれこそ原始人が居た当時は
そもそも「なになに時代」なんて概念なかっただろうし
時代に名前をつけたのも知識を身につけた人達だろうし
まさかウホウホ語で通じ合ってた原始人が考えてないよね?(笑)
やっぱ人の進化ってハンパないよね
そりゃ他の生物が絶滅しても人は残るわけだ♪
人間てカッコウィィー♪♪
と、↑こうやって長々と書いてると
たまに何話してたか分からなくなるよねぇ〜不思議だぁ(笑)
自分の思想が一番不思議だぁー!
やっぱ、ちょっと、しみるって変な人ぉ〜(←自分で言うな)笑
けど、そんな自分が大好き♪
てことで♪不思議なしみるくんでした!
またねン(^^)ノシ
過去も未来も知るには重すぎて
私には必要がないかもしれない
タイムマシーン
タイムマシーンか。
別に戻りたい過去も無ければ
覗いてみたい未来も無いな。
うーん…あ、そうだ。
姉が産まれた直後の両親のところに教えに行ってくるか。
「次はハズレですよ」って。
(タイムマシーン)
おじいちゃんが譲ってくれた
タイムマシンはポンコツで
どこへ行くのか分からないこともある
望んだ場所に行ける確率は7割
人生と一緒だって
おじいちゃんは笑ってた
小さなことだけどね
できなかったことを叶えてくるよ
明日
最初で最後の旅に出る
私はとうとうタイムマシーンを開発したぞ!
長い年月を費やし幾度の困難を乗り越えようやく完成した。異様な形の機械は私の人生の集大成なのだ。
これから私の新しい人生が始まるのだ
私は興奮と緊張が張り詰め、更にはボタンを押そうとする手が震えだす。
このマシーンがあれば過去も未来も好き放題だ。
辛かった。このマシーンを作るのに誰も信用出来ず、孤立し全てから逃げたのだ。それでもやはり人間それでは駄目なのだと悟ってしまった。
だから人生をやり直すのに丁度良いかもしれない
そう思っていた時だった。
やめろ
男のしかもか細い声が異様に耳に刺さった。
振り向いた先に声の主らしき人物が立っていた。
誰だ!?
姿を見せた男はみすぼらしい格好をした老人だった。
しかしその顔には見覚えがあった。
私はお前だ
何しに来たんだ!?お前は今頃幸せを掴んでるはずではないのか!?
過去や未来を変えても私は変わらなかった。
まさか、そんな筈はない!? 今まさに新しい人生を始めようと決心したばかりなのに、どうしてだ!?
私はお前の人生のやり直しに来たのだ...
過去に行って君の運命を変えたい
もっと早く逢えれば もっと早く気づけたら
もっと もっと もっと…
冷えていく絡めた手も
君の好きな5本の薔薇が生けられた花瓶のない部屋も
混ざり合う呼吸音も
消えてなくならないように!
「それでもきっと私は同じ道を歩みたいな」
#タイムマシーン
『タイムマシーン』
人を信じるとはどういうことなのだろう。相手のことを疑わず、私のことだけを想ってくれていると思うことだろうか。相手のあやまちを窘めて直してほしいと訴えかけることだろうか。殴られても蹴られてもすべて許すことだろうか。死んでしまった今ではよくわからない。
彼は浮気相手の女と相談した結果、私を山奥に棄てることにしたようだ。警察にすぐ相談してくれたなら、死んでなお恨みを持つこともなかったのに。
「タイムマシーンがあったらなぁ。こいつと付き合う前に戻りたいよ」
彼は私との生活に不満があったのだと語り始めたが、同情を誘うためか自分には非がないという内容に変えられていた。助手席からわかる、かわいそう、と気持ちのこもっているようないないような相槌が聞こえる。私なら、タイムマシーンがあったらどうするだろう。もしも過去に戻っても恨みは抱いたままで何も知らない振りをできる気がしない。それならば死んだこの身で恨みを晴らすほうが遥かにいい気がする。信じ合っているように見えるふたりから土を被せられながら、私はふたりの未来をひたすらに呪うことにした。