『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【セーター】
「そのセーター素敵ね、手編み?」
彼は頷き、はにかむ。はにかんでいるように見えている。何ともない会話。何ともなく感じたい会話。
>>走る思考
誰が編んだの?私以外の、誰が
聞きたいのはそこであって其れはとても重要で…
"私にとっては"重要で、そんな、そんな…
彼にとっての些細なことをどうか私にとっても些細なことにしてください!私にとってを彼にとってもにしてください!神だかなんだか誰か聞いてますか?!
『亡くなった祖母が編んだんだよ。』
「え、あ…そう……」
私たちは擦れ違う。
私の走りを止めたのは祖母の死という"彼にとっては"重要な出来事で私にとってはどうってことない出来事で、
ほかの女じゃなかった事に胸を撫で下ろす不謹慎さ、性悪さ。こんな女でごめん。
悴んだ指がチクリと痛む。もっと鋭い痛みをくれ。
私は素敵なセーターを編むことが出来ない。
小さく頷いて、吐く息の白さを睨んだ。
セーター。
セーターは
編んだ事あるなぁ。
でも
大作すぎて
あと少しのとこで
飽きちゃって。
来年こそって思ったら
彼氏と別れた。
冬になると
毛糸が恋しい。
セーター
糸と糸で紡がれた服
その服は何度も糸が絡み合って
できた凍てついた体を暖めうるもの
人もまた等しく
人はまたちがう
温めることも凍えさせることも
できてしまうから
それでもセーターのように
雪降る冬の中、凍てついた心を暖める人に
私はなりたい
全国的に有名な某印の無いお店のセーター。
着心地最高。
苦手なちくちく感なし。
お手入れ楽々。
お値段お手頃。
良いことづくめ。
しかし、私が着用するには決定的な欠点がひとつ。
穴がやたら空いてしまうのですよ。
それも2、3回袖を通したあたりで、気付くと袖口や肩口、背中部分にちょこっと。
おそらく、私が職場でちょこまか動いている間に、どこか何かの角やでっぱりで、セーターの糸を引っ掛けて、そこから穴がひろがっているんだろうなと。
己のおっちょこちょいが原因だとわかってはいるけれど。
着心地もお値段も気に入っているのに、生活スタイルに合っていないので使えないとは本当に残念過ぎなのです…。
【11/24お題:セーター】
30年前に、貴方が編んでくれたセーターまだ持ってるわよ。
状態は悪くなっているけれど、このセーターは私の想い出よ。
冬のお洋服といえば、そう! セーターですよね!
最近めっきり寒くなってまいりまして、お洋服売り場でもお探しの方をお見かけします。
そんな暖かいセーターで皆さんから必ず聞かれる質問がございます。
ズバリ!
「これって毛玉になりますか?」
観客の皆さんが大きく頷いております。
テレビの前の皆さんも店員さんに聞いたこと、ございませんか?
この毛玉は大半が摩擦によって引き起こされているんです。
お手持ちのセーターをよくご覧になってみてください。
毛玉の出来ているところといえば、袖口、脇や脇の下、裾の一部、ではありませんか?
また毛玉の出来ていないところは、背中、襟元から胸元にかけて、ですよね?
セーターと他のお洋服やカバンなど、繊維が当たり強く擦れる部分にできてしまうんです。
反対に衣服同士の擦れがない部分には出来にくいんです。
まぁ、皆さんそれぞれ着方が異なりますから、もっと違う部分にできたりします。
例えばジャンパースカートのふち部分とインナーのニットが当たる部分ですとか。
普段リュックを背負う方は肩や背中にもできます。
ちなみにセーターの素材は関係ありません。
化繊だろうとウールだろうと出来るものはできます。
そうやって聞くと、やっぱりセーターって手入れが面倒だしやめようって思っちゃいますよね。
その決断、ちょーーーっと待った!
大変お待たせしました!
今日皆さんにご紹介するのは、発達した文明によって生み出された代物です!
こちらがその!
自 動 毛 玉 取 り 器 !
ああ、待って待って!
そのまま、そのままでいてちょうだい!
はな、話だけでも聞いていって!
コホン、これは画期的なんですよ。
皆さんは手作業で毛玉取り、やったことありますか?
私はね、やったことあります。
糸切りバサミで一つ一つをチョキン、チョキンと切っていくんです。
今どきカミソリやスポンジの硬い面など裏技が発見されてますが、セーターの品質を長く保ちながらキレイに毛玉を取るにはやはり糸切りバサミか自動毛玉取り器なんですよ。
でも糸切りバサミはオススメしません。
なぜなら失敗しやすいから。
チョキン、チョキンと進めているうちに、ジャキンと数ミリ深く切ってしまうんです。
深く切ってしまったセーター、もちろんそこには穴が空き、ほつれていきます。
このセーターの補充作業もまーーー時間かかるんですわ。
チョキチョキ ジャキン チクチク
チョキチョキ ジャキン チクチク
ひたすらその繰り返しなんですが、皆さん一体どのくらい時間かかったと思いますか?
正解は、一枚のセーターにつき約二時間!
セーターに引っ付いた毛玉を全て除去するのに二時間も掛かったんです!
二時間って、映画一本観られますよね!
まあ映画観ていたらセーター穴だらけになりますけどね。
手作業の毛玉取りは本当にオススメしません。
時間と労力と肩こりと腰痛の無駄です。
そんな大掛かりな作業を変えてくれたのが、こちらの自動毛玉取り器。
充電式と乾電池式とコンセント式がありますが、それはお好みで。
いざ、スイッチオン!
私が使っているのと同様に、風車状の刃がクルクルと回っています。
このまま直接当てるとセーターに穴が空きますので、あらかじめガードをつけておきましょう。
さてこちらには毛玉だらけのセーターをご用意しました。
この一枚を糸切りバサミで切ると二時間は最低掛かります。
自動毛玉取り器の実力は如何に!
早速この袖の部分に当ててみましょう。
ゆっくりのスピードで小さな円をたくさん繋げるようにグルグルっと回していきます。
このまま繋げて見頃もやりましょう。
グルグル ジョリジョリ
グルグル ジョリジョリ
反対袖もやって、後ろもやって。
グルグル ジョリジョリ
グルグル ジョリジョリ
はい、皆さん、ご覧ください。
あれだけ毛玉だらけだったセーターが、あっという間に綺麗になりした!
掛かった時間は約十五分、大幅な時間短縮になりました。
このスピードだと空いた時間は好きな事に有効活用できますし、何より隙間時間にちょちょっと毛玉取りができます!
溜まった毛玉はここをパカっと開けるとそのまま捨てられます。
掃除フィルターも入りませんので大変エコ(?)ですよね。
さぁ、皆さん気になるのはそのお値段。
え? 百円均一でも売ってる?
でもよく取れて手入れしやすいものがいいでしょう?
こちら、毛玉取り器はメーカーによって差はありますが、大体千円から三千円以内には収まります!
何年も使うと考えれば、あって損はないです。
さぁ、皆さん!
今すぐ電気屋さんに駆け込みましょう!
『セーター』
衣替えでセーターを取り出した
糸玉とほつれを見つけた
去年の私へ
綺麗にしてからしまってください
そして
暖かくなったら
忘れてそのまま箪笥の奥へ
【セーター】
セーター越しに伝わる君の体温が
私を安心させる。
寒いのに暖かいね。
今年もずっと寒くなるみたいだよ。
─────『セーター』
ダサセーターは
己の個性を表す模様
己がダサいと認めず
認めてはならぬと藻掻き続け
藻掻くほど 己のダサさが
浮き彫りになり
気づけば深淵を覗く者すら
その滑稽さを嗤い出す
ダサセーターは
己の個性を表すそのもの
ダサい己を 否定し続ければ
哀れさのあまりに
その滑稽さに失笑して
ダサいと認ることになる
それを避けようと藻掻けば藻掻くほど
ダサい醜態が丸出しになり
気づけば嗤う者は居なくなり
ただ ただ己の無様さに
涙が落ちるばかり
今日からまた、仕事だけどさ
ぶっちゃけ会社に毎日出勤する
だけで偉いんだからそれ以上の
事従業員に求めちゃあかんと
個人的には思う自分が昔
居た施設の薬師寺ってやつなんか
うん・・・半日ぐらい自分の部屋で
寝てる癖して貧血だから~とか
言い訳してるのはムカついたわww
それに比べたらマシだと思ってる
さっき言ったやつちなみに
みんなが仕事して夕方疲れて
施設帰ってくる頃に・・・・・
後は察してね
セーター_69
いま、君の声を聞きたい。
星が見える夜だよ。
電話をしたいの。
私は編む。
この藍色のセーターに
星屑を散りばめて。
セーター
今年の冬は
きっと昨日買ったセーター以外は増えないな
特に意識してないのに
何となく避ける色がある
それは
誰かと結びついている色
あなたの好きだった色
なぜ避けているのかは
まだわからない、ことにしている
君の前
だけは萌え袖
制服の
オーバーサイズ
でも無いセーター
〜セーター〜
あったかいセーターに包まれると
心もあったかくなる
なんでかな
冬は寒いけど
あったかいって感じる瞬間
とても幸せになる
冬って寂しいけれど
あったかさをより感じられる
だから冬を味わっていきたい
【セーター】
『ところでよ。お前のセーター、袖がボロボロだな。』
「うん。あちこち引っ掛けちゃって。」
そうぼやいたこいつは、自分の袖口に目をやる。
打楽器にはボルトが出っ張っているから、
多少引っかかるのはわからなくもないが、ここまでなるか?
『やっぱ。先輩に似てるな。』
いつも活発に動き回っていた、2つ上の先輩が浮かんだ。
「え〜?この流れだと不名誉なんだけど。」
『だって先輩は大胆な人だったろ?』
「良く言えばね。」
『で、お前も案外大雑把だろ?』
「おい。」
『そっくりじゃねぇか。』
「似てるって話なら、
弦バスの方の『そりゃないな。』えぇ〜。」
件の先輩と同級の、冷静沈着で物静かな先輩を思い浮かべる。
絶対に似ていない。
『お前落ち着きないし「あるわ!」どこがだよ!』
「お前たち、その辺にしておけ。」
食い気味に言い合っていたところを、同級生に止められる。
…嫌な予感がする。
悪巧みしているのを隠そうともしない顔で言い放つ。
「 色違いセーターの仲良し同士ではないか。」
『「仲良くねぇ/ない!!」』
わたしがこれまで生きてきた中で
このセーターほど大事にしたものはない
あなたは裁縫なんて多分
できなかったし、無縁の人だったと思う
だって、ボタン付けだってできないって言ってたもの
でも、わたしのために
クリスマスプレゼントとして贈ってくれた
わかるんだぁ
このセーターを見たら…、
あなたがどれほど苦労して作ってくれたのか
あなたがどれほどの想いを込めてくれたのか
どんな高価なアクセサリーよりも
嬉しかった
セーター
兄のいらない服ゾーンから
セーターを2枚パクリました。
いらない服なんだからいいよね?
満足です。
セーター
お気に入りの毛糸を買ってきて、
温かい部屋で、編み物をする。
朝晩はすっかり寒くなってきたから、
セーターを編もう。
せっかくだから、
大切な友達や、
お世話になっている先生にも、
俺の手編みのセーターを、
プレゼントしたい。
俺は慣れた手つきで、
セーターを編んでいく。
貴方に教えてもらった、編み物のやり方。
初めは不恰好だったけれど、
今ではもう、すっかり手慣れている。
貴方の隣で、編み物をする時間が、
大好きだった。
俺と貴方の間に流れる、
静かな時間。
ずっとずっと憧れていた、
愛しい貴方。
でも、もう。
貴方は居ない。
俺を置いて、
遠い天へと昇って行ってしまった。
貴方に逢いたい。
叶わぬ願いだと分かっていても、
毎日毎晩、願ってしまう。
貴方の居る天国は、
セーターなんて要らないほどに、
暖かな所だといいな。
編みかけのセーターに、
貴方の面影も求めて、顔を埋める。
貴方の居ない冬が、またやってくる。
そのことに、胸がチクリと痛む。
編みかけのセーターを握る手が、
僅かに震える。
貴方を想う心だけが、
この冷たい季節を温める。
#セーター
セーターのチクチクに抗えないくらい
乾燥するようになりました
これも生きてる証拠ということで
自身の潤いバリアの物足りなさに寂しさを覚えつつ
保湿アイテムを血眼になってAmazonで検索
同じ悩みを持つ全国の同志たちのレビューに
心静かに耳を傾けています
セーターのチクチクに負けないくらい心を尖らせて
これでもかとばかり着倒す覚悟であります
「あ、」
委員会が終わり、戻った教室は無人だった。
彼のセーターが、イスの背もたれに掛けられているのを見つけた。
忘れ物……? そう言えば、今日は小春日和で日中暖かく、ブレザーの下のものを脱いでいたような。
窓辺で日当たりの良い席の彼。
何気なく、手が伸びた。そっとセーターを取り、見つめる。
使用感はある。でも、きちんとお洗濯をして着ている跡があった。くったり肌なじみがよい。
「……」
出来心だった。つい、袖を通してかぶってしまう。Vネックセーター。
ベージュの、何の特徴もない学校指定の物。
優しい匂いに包まれた。これは、柔軟剤……?そして、男子用なのでぶかぶかだ。
長い萌え袖になっている。私はつい笑った。
「ぶかぶか」
声に出してしまう。ーーと、そこへ教室後ろの戸がガラッと開いた。急に。
私は飛び上がった。
「あれ。委員長、ひとり?」
「~~う、うん」
ドクンドクンと心臓が喉元へせり上がる。どどどどっど、どーしよう! 本人、間宮くん来た!来ちゃった。
きっとセーター忘れたのに気付いて引き返してきたんだ。それを私が身に付けてると知ったら……。ヤバい女、認定決定。
私は身を固くして、彼の「あれ? それって俺のだよね」の言葉に備える。その瞬間、私はこの教室での居場所を失う。そして同時に彼のことを好きだって、ずっと想ってたってことも、本人ばれすることになるのだ。
でも間宮君は「明日英語の単元テストだってのに、テキスト忘れちゃって」と言い、自分の席に近づいた。中から教科書を取り出し、あった、と笑う。
ーーあれ、もしかして。気づいてない?
私はほっとして、イヤまさかと思い直し、緊張を解かずにいる。間宮君は「新田さんは、まだ残ってるの」と話を向けた。
「あ、さっきまで中央委員会で、それで」
「そっか。じゃあ玄関まで行く?」
爽やかに誘う。やっぱり気づいていないみたい。私が、彼のセーターを羽織っていることに。
男物なのに・・・・・・こんなに、ぶかぶかなのに。
これって、気にも留めてないってこと、よね? そう思うとなんだか切なくなった。
「……うん」
でも私は頷いた。スポーツバッグを取り上げ、ショルダーを肩にかける。
ちょっとの間だけど、間宮君と一緒に過ごせる。玄関まで行ける。
それだけで、じゅうぶん。放課後の神様に感謝したい気分だった。
「~~~はああああ。マジ、きんっちょうしたああ」
玄関を出て委員長と別れるなり、俺はしゃがみこんだ。顔が熱い。心臓、バクバク。
軒下で待っていてくれた友人が「どした? 忘れもんは」と尋ねる。
「取って来れなかった」
「はあ? 何のためにお前教室まで戻ったんだよ」
怪訝そうに首を傾げる。
俺はしゃがみこんだままぐしゃっと髪を掻きむしった。
委員長がーーあの、新田さんが、俺のセーター、着てた。明らかにぶかぶかで、萌え袖で。
見つかったと思ったのか、顔が真っ赤になって強張ってた。とっさに、テキストを取りに来たと誤魔化したけど。
「なにあれ、なんなの。俺のセーター羽織るとか、俺のこと、好きなの?」
うわああああと喚いてしまう。友人が「何をさっきからぶつぶつと……挙動不審だぞ、お前」と首をひねる。
だって、だってよ。あの新田さんだよ。きれいで頭もよくて、うちの高校の才媛と名高い彼女が、他校にもファンが大勢いる彼女が、もしかして俺のこと、好きなのかもしれないんだぜ。
事件だろ、これ!
心臓の鼓動が全く収まらん。夕方、帰り際の西の空はもう暮れかけている。うっすら肌寒い。
俺のセーター……うちまで着て帰ってくれるといいな。
ブレザーの下、すうすうするのを今更のように感じ、俺はくしゅんとくしゃみを一つした。
#セーター