セーター
お気に入りの毛糸を買ってきて、
温かい部屋で、編み物をする。
朝晩はすっかり寒くなってきたから、
セーターを編もう。
せっかくだから、
大切な友達や、
お世話になっている先生にも、
俺の手編みのセーターを、
プレゼントしたい。
俺は慣れた手つきで、
セーターを編んでいく。
貴方に教えてもらった、編み物のやり方。
初めは不恰好だったけれど、
今ではもう、すっかり手慣れている。
貴方の隣で、編み物をする時間が、
大好きだった。
俺と貴方の間に流れる、
静かな時間。
ずっとずっと憧れていた、
愛しい貴方。
でも、もう。
貴方は居ない。
俺を置いて、
遠い天へと昇って行ってしまった。
貴方に逢いたい。
叶わぬ願いだと分かっていても、
毎日毎晩、願ってしまう。
貴方の居る天国は、
セーターなんて要らないほどに、
暖かな所だといいな。
編みかけのセーターに、
貴方の面影も求めて、顔を埋める。
貴方の居ない冬が、またやってくる。
そのことに、胸がチクリと痛む。
編みかけのセーターを握る手が、
僅かに震える。
貴方を想う心だけが、
この冷たい季節を温める。
11/24/2024, 9:55:58 PM