シャノン

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【セーター】


『ところでよ。お前のセーター、袖がボロボロだな。』
「うん。あちこち引っ掛けちゃって。」

そうぼやいたこいつは、自分の袖口に目をやる。
打楽器にはボルトが出っ張っているから、
多少引っかかるのはわからなくもないが、ここまでなるか?

『やっぱ。先輩に似てるな。』

いつも活発に動き回っていた、2つ上の先輩が浮かんだ。

「え〜?この流れだと不名誉なんだけど。」
『だって先輩は大胆な人だったろ?』
「良く言えばね。」
『で、お前も案外大雑把だろ?』
「おい。」
『そっくりじゃねぇか。』
「似てるって話なら、
弦バスの方の『そりゃないな。』えぇ〜。」

件の先輩と同級の、冷静沈着で物静かな先輩を思い浮かべる。
絶対に似ていない。

『お前落ち着きないし「あるわ!」どこがだよ!』
「お前たち、その辺にしておけ。」

食い気味に言い合っていたところを、同級生に止められる。
…嫌な予感がする。
悪巧みしているのを隠そうともしない顔で言い放つ。

「 色違いセーターの仲良し同士ではないか。」
『「仲良くねぇ/ない!!」』

11/24/2024, 10:28:53 PM