シャノン

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4/6/2025, 10:01:34 PM

【好きだよ】


「お疲れ」
「おう、お疲れ。久し振りだな」

半日シフトの仕事終わりに、友人とランチの約束をしていた。
お互い仕事で忙しく、会うのは1ヶ月ぶりだろうか。

「ほんと久し振り。休み全然合わなかったもんね」
「そうだな。ほら、早く行こう。話聞いてやるからさ」
「うん、ありがとう」

今日はただのランチ会ではない。仕事で積もり積もったストレスの発散も兼ねていた。
本当は、お互いの休みが重なる日に会う予定だった。しかし、あまりにも色々と“酷い”新人のおかげで、私の精神が限界を迎えていたのだ。そこで、「半日だけでも予定が合う時に会っておこう」と提案してくれたのだ。なんとも有り難く、頼もしい友人だ。

そうこうしている内に店に着き、注文を済ませる。

「それで?例の新人さんは、今度は何をしでかしたんだ?」
「無断で早退した」
「は?」
「何もしないで10分以上突っ立ってやがると思ったら、何の断りもなしに帰りやがった」
「なんだそりゃ。何があったんだよ」
「うーん…。3ヶ月も働いてればさ、何がどの程度必要かってわかるじゃない?」
「まぁ、日によって変動しなければな」
「でしょ?で、用意する物は沢山あるのに随分ゆっくり作業しているもんだから、声かけたの」
「どんな風に?」
「それじゃ全然足りないけど大丈夫?って。…前科があるから、この時点でもうイライラはしちゃってたかも」
「それで、なんて返ってきたんだ?」
「あぁ…って」
「あ?なんだよそれ。そいつ後輩なんだよな?」
「そうだよ。んで、今までもそんな舐めた口の利き方するもんだから、もう我慢できなくなって怒っちゃったの。そしたら、“なんでそんなに怒られなきゃいけないの?”だって」
「…とんでもねぇ奴だな」
「挙句の果てには“正社員じゃないんだから…”なんて言い始めてさ。正社員レベルの仕事なんてさせてないし、高校生でも務まる程度の仕事しか任されてないやろがい。ふざけやがって」
「それは…災難だったな。で?また不貞腐れちまったのか?」
「そう。で、そのまま帰った」
「なる程な」
「仕事覚える気がないならさっさと辞めちまえよ」

今までの鬱憤が爆発する。
ただ仕事ができないだけならまだしも、そもそもやる気がないような人間になんて、優しくしてやれない。働く気がないなら帰ってしまえ、と思ってはいたが、断りは入れるのが筋だろう。最低限の筋も通せない人間なんて、とても許せそうにない。

「お前も苦労するな。この前も、1から製作し直しになったんだろ?その件は大丈夫だったのか?」
「一応間に合ったけど、謝罪の言葉は一切なかったね」
「なんだよそれ。その新人って学生じゃないんだろ?」
「もうとっくに社会人だよ。だから余計に腹が立つの」

「とはいえ、出来ないとわかってる相手に厳しくしすぎちゃったのかな、とも思ってるんだよね」
「…程度がわからんから何とも言えないが、」

4/4/2025, 11:08:36 AM

【桜】


〈お久し振りです!今回、お手伝いに来て頂けると伺いました。
またよろしくお願いいたします!〉

〈久し振りだな。こちらこそ、よろしく頼む。
皆んな元気か?〉

〈相変わらずの馬鹿ばっかです!〉

〈そうか笑 また会えるのが楽しみだ。〉
〈そちらに行く頃には、桜も咲いているだろうから
また皆んなで花見にでも行こう。〉

〈行きましょう!是非!〉
〈いつでも行けるように準備しておきますね!〉


先輩方とお花見だなんて、いつ振りだろう。
今から楽しみで仕方がない。気が早いと呆れられるだろうか?
まぁこの際、そんなことはどうだっていい。

まずは何を用意しようか?
レジャーシートはまだあったかな?
いやでも、あの公園はベンチ付きのテーブルがあるから…
そもそも場所の候補は他にないのか?

あぁ、考えがまとまらない…。


〈【速報】先輩からお花見のお誘いあり!〉
〈場所どうする?何持ってく??〉

〈気が早すぎるわバカタレ〉

〈桜が咲き始めるのはまだ先だぞ〉

〈でも、先輩たちと会えるの楽しみだね!〉


案の定。こんな返しが来るだろうとは思っていたさ。
想定の範囲内だ。

この“いつも通り”がこの上なく嬉しい。
これけら先も、ずっとこのままでいられますように…。

4/4/2025, 10:28:02 AM

【君と】


太陽のように明るい君と歩いた道

負けず嫌いな君と励んだ朝練

完璧な君と取り組んだ課題の山

穏やかな君と過ごした休み時間

優しい君と語り合った放課後

馬鹿真面目な君との帰り道


思い出に満ちた君との時間
これが私の宝物

3/27/2025, 8:58:47 AM

【七色】


「イメージカラー?」
「そう!定期演奏会のパンフレットで恒例だっただろう?」
「打楽器パートだけな」
「部室の安寧を守る戦隊だったか?」
「まぁ、そんな感じ?」
「でも、あれは好きな色を選んでるだけだから…」
「イメージカラーとは違うかもね」
「そこはいいんだよ!ほら、僕らはアンサンブルチームなんだし」
「あー…言いたいことわかったわ。そういうことね」
「たまに先輩方も参加されるから、違う色にしないとな」
「先輩は確か…黄色、白、青だったな」
「で、赤でしょ?」
「ああ。お前は紫だな」
「なぜだ?」
「毒々しいから」
「面白い冗談を言うようになったな」
「君は緑だったよね」
「うん、何となく」
「何となく?」
「強いて言うなら緑かな〜って感じだったから」
「緑は僕も好きだよ」
「お前の方が緑っぽいかもな」
「じゃあこいつは?」
「何色だろうな」
「他に好きな色は?」
「ワインレッドとか、藍色とか?パステルカラーも好き」
「極端だな…。」
「オレンジはどうだ?お前に似合うと思うぞ」
「あ〜確かに!雰囲気に合うかもね」
「ピンクじゃないんだ」
「そんなガラじゃないだろ」
「何、喧嘩売ってる?」
「おいそこ、じゃれるな」
「じゃあ、それぞれの色も決まったことだし…」
「ふふ、楽しみだね」


さて、何を作ろうか

3/1/2025, 10:48:23 AM

【あの日の温もり】


ある冬の日の寒い夜

君と入ったコンビニで、
一緒に買ったホットドリンク

並んで歩いた帰り道

明るい月に照らされて
よもやま話に花が咲く

着いてしまった分かれ道

お別れするのが寂しくて
歩みを止めて話し込む

それじゃあまたねと手を振った

すっかり冷めたホットドリンク
それでも心は温かった

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