『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
セーター
気の合う彼とは微妙な距離感
どちらからとも好きとは口にしない
そのくせ休みの日にはお出かけの誘い
周りからは付き合っていると思われるほどなのに
お互い無意識にこの心地よさ壊したくないと感じているのかもしれない
さあ肌寒くなった今日は何を着ていこう
ざっくり大きめのセーターにミニスカートを合わせ、足元はブーツにしようかな
長い袖から指先をちょっとだけ覗かせて
コートは羽織らずにいこう
あざとさと受け取られるかな?
それとも少し寒そうな私との距離を縮めてくれるかな?
「何かを変えたい」淡い期待を抱いて待ち合わせに急ごう
すきま風下手くそな縫い目に指を入れた
(セーター)
『セーター』
解れかかったセーター。
色あせたセーター。
縮みかけたセーター。
それでもあなたから貰ったセーター。
セーターって暖かいよね。
その暖かさは体温なんだろうけど。
でも、心みたいに暖かくなる。
あの子にさ、誕生日プレゼントにセーターもらったの。
白のセーターだった。
あの子からもらえるなんて思ってなかったから、驚いた。
なんか、着る気になれなかったんだけど、あの子がいなくなってから着るようになった。
ごめんなさいとか、ありがとうとか、何も言えずにさよならしちゃったんだけどね。
あの子さ、私の誕生日には必ずプレゼントとお花を贈ってくれるの。
花言葉とか、調べてなかったんだけどさ、この前調べてみたの。
たらね、今年の花の花言葉、「別れ」だった。
だからさ、気づいてたんだって、わかったの。
気づいてたんなら、私の気持ちにも気づいて欲しかったよ。
そんなこと思いながら、私は今日もセーターを編む。
きっといつか、あの子に想いが伝わると願って。
占いをしに行った
気持ちが少し楽になった
ブレスレットを買った
運が向いてきた気がする
壺を買った
これで幸せ
集会に参加する
「ありがとうございます!明日も素晴らしい日になります!」
落ちていく
25.セーター
頭が顔を出した
もぞもぞ…
パフゥン
遂に登場
あどけない
ほんわかした顔
えへへ
両手が首元を掴み
スリスリしながら
暖かさを実感してる
白色がお似合いだね🤍
暖かさに包まれ
ふふふっ笑みが漏れる
日差しは柔らかく
あなたに注いでいる
優しく見守られてるようだ
編み込みのセーターは交差に糸が絡んでいる。
永遠に取れないそんな糸である。
引っ張れば微妙に伸びるが強い結束力でセーターが壊れるわけじゃない。
きっと人間も縦糸と横糸でずっと絡み合っている。
永遠にね?
私は、セーターが嫌いだった。
あのチクチクとした肌触りが、特に。
それなのに母は、決まってクリスマスの時期になると、カラフルなセーターを私にプレゼントしてきた。
最初のころは、「ありがとう!」なんて言って母親の機嫌をとっていたが、思春期にもなってくると、嫌いなものを自分の感情で押しつけてくるようで苛立ちを隠せなくなってきた。
そしてついに、16才のクリスマスで、母親に怒り散らかしてしまう。母は、
「もうそんな時期になったのね…」
なんて苦笑いしながらこちらを見る。
その様子に余計腹が立って、家を飛び出した。
街は10年ぶりのホワイトクリスマスだということで、人も多かったが、それでもモノクロの景色が淋しく感じた。私だけだろう。
何でクリスマスに喧嘩だなんて。葛藤。
走り続け、近くのショッピングモールまでやって来た。すると、ふと汗だくの体が嫌な肌触りを思い出した。チクチク。
そして、コートのボタンを外し、中を見ると、去年のセーターが出て来た。そのカラフルなセーターは、ベツレヘムの星のようにモノクロの世界に色を与えた。
その瞬間、私は母に抱きしめられている感覚で、涙ぐんでくる。私はすぐ家へ帰った。
その後はたやすいことだった。家に帰り、謝って、セーターの編み方を暖炉の前で教わった。私もまた、子供が出来たらセーターをあげようと思って。
雪は、既にやんでいた。
セーター
最近セーターってあまり着てないな
私の場合、歳を重ねるごとにおしゃれは二の次で
何より暖かさと軽さを求めてしまってる
機能性インナーやフリースなどの重ね着に
おまけにコートはダウン
気づけば価格もお手頃な化繊ばかり
ああ、どうりで静電気バチバチのはずだわ
やばいやばい
すこしは気を使わなくちゃ
軽くて素敵な色のカシミヤのセーター
今年は奮発して買ってみようかな
セーターを着た。……暑い。
わかっている。天気予報を見なかった俺が悪い。
でもまさか、この季節に20℃を超えるなんて誰が思うだろうか?
たしかに朝起きた時、いつもよりなんかあったかいな、とは思った。しかし、いくらなんでも上がり過ぎでは? 一応もうすぐ12月なんだが。
失敗したなぁ。明日は気を付けよう。
……で、なんで今日は寒いの?
まるで夏と冬を反復横跳びしているようだ。
今日こそセーターを着れば良かった。そう頭を抱えても寒さは変わらない。仕方ないからコート買うかぁ。しかし、いきなり変わり過ぎでは?
失敗したなぁ。明日は、明日こそは気を付けよう。
『セーター』
【セーター】
ぎゅうぎゅう詰めの通勤列車を降りた駅で、赤いセーターを見かけた。黒い背広姿ばかりの中ではやけに目立つそれに一瞬、君がいるのかと錯覚する。
(……バカみたいだ)
君がいなくなってもう四年に差し掛かるというのに、いまだに僕は君のことを探しているんだ。その事実に気がついてしまって、胸が痛くなった。
どっちが似合うと思うなんて洋服屋で君が持ってくるのは、いつも派手な色の服ばかりで。どっちも似合うよと返せば頬を膨らませられたものだった。そういう毎日が、どうしようもなく好きだった。
首に巻いた赤いマフラーに顔を埋める。君と共に過ごした最後の誕生日に贈られた、編み込みのマフラーだ。
『お揃いだね』
お気に入りの真っ赤なマフラーで笑った君の声を思い出して、目の奥がじんわりと熱くなった。
「セーター」
セーターの色とりどりに編む冬の間
セーター出す昨日の吹き込み風
セーターが出来上がるように
片思い人との
見えない糸がほつれたり
きれないで
二人の形は 暖かい 関係と
なれますように
魔法の季節がやってきた
世界が白く染まり
大切な人と
美味しいものと
暖かい部屋で
ぬくぬく過ごす季節
四季の中で
もっとも美しい季節
もっとも心が暖かくなる季節
みんなで過ごせるこの季節
私は冬が一番好きだ
みんなで過ごせるこの季節
まるで魔法のよう
寒いのにこころはぬくぬく
白いセーターを着て
ぬくぬくしながら
空を見る
今年も探す
幸せを運ぶ
赤サンタ
新年も願う
七福神へ
どうかみんなが幸せに暮らせますように
ほらね、まるで魔法でしょ?
動物病院から子猫が帰ってきた。二日前に駆が拾ったものだ。検査などのため一晩入院させたが、特に問題はなく、晴れて駆のもとに戻されたと言う訳だ。風呂に入れてやれという獣医のアドバイスに従い洗われた子猫は毛も乾かされて毛糸玉のようになった。
「ふふっ、ふわふわだね」
駆は子猫に構いっぱなしである。それほど動物好きだったのは意外だ。
「名前は何にしようか」
駆が問う、目を子猫に向けたまま。俺が無視されているようで、正直面白くない。
「飼うのか」
「え、飼っちゃだめ?」
「駄目とは言わんが」
ここのアパートはペット不可ではない。駆にも俺にも動物アレルギーなどはなく、収入面にも余裕はある。駄目だという理由はなかった。
「七実はねこ嫌い?」
「嫌いではないが苦手かな。どう扱っていいか解らん」
「それなら、慣れていけばいいだけだよ。ほら、抱いてみて」
子猫が渡された。力加減がわからず戸惑っていると、子猫はにぃにぃと鳴きながら俺のセーターに爪を立て、よじ登り始めた。
「はは、すっかり懐かれてる」
「そうか? 本当にそう見えるのか?」
子猫は首元まで上がってきた。引っ剥がして太股の上に乗せ直すと、再び腹に手を掛けてセーターを登っていく。
「うーん、懐かれたのは七実じゃなくて、七実のセーターかな?」
憎らしい事をいう。
「……三日月」
「え」
「こいつの名前」
「考えてくれたの?」
「イマイチか?」
「いや、悪くないよ。ありがとう七実」
猫を見守る駆の口角が上がっているのを見て、『ふしぎの国のアリス』に出てくるチェシャ猫を思い出したのだ。三日月のように笑う猫。
「おまえは今日から三日月だぞー」
子供のように笑う駆を見ながら、やっぱり俺は正直面白くなかった。
(お題 セーター)
キミのくれたあのセーターは
今は愛犬の寝床になりました。
キミはいなくなって
キミの匂いも消えたけど、
ポクも着なくなって
ボクの匂いも消えたセーター。
いまはどこをとっても
とにかくとっても犬くさいです。
「静電気ばちってさせるのやりたい」
助手席に座っていた先輩が突然そう言い出した。詳しく聞けば、昼間に観ていたテレビ番組で特集が組まれていたらしい。
「一人でやってくださいよ」
闇に浮かぶ信号を注視しながらハンドルを切る。特に目的地のないドライブだから、どの道を通るかでいちいち悩んでしまう。深夜一時を回っているので車通りが少ないのが、唯一ありがたいことだ。
「えー、やろうよ」
「やりません。意外と痛いんですよあれ」
忌々しいことに、十一月も半ばを過ぎて本格的な冬が到来しつつある。静電気とは長い付き合いだけれど、一向に仲良くなれる日は来ない。
隣から聞きなれない音がし始めたのでちらと見やると、先輩はセーターの裾を掌まで引っ張りあげて、懸命に左右の手を擦っていた。摩擦によって帯電させようとしているのだろう。
「セーター伸びますよ」
「それは困る」
すぐさま手を止めて、先輩はセーターに謝罪をした。そんな謝罪ではセーターも納得しないだろうという実にラフなものだったけれど、それは当人同士の問題なので黙っておく。
「新しいやつですか」
黄色は止まれだ。段階に分けてブレーキを踏んでいく。車が停止するまで返事がないので不安になり隣を見てみると、先輩もこちらをまじまじと見ていた。
「何の話?」
「セーターの話です。去年は見たことないやつだなと思って」
風船から空気が抜けた時のような返事があった。
「これね。実は君のセーター」
先輩は何故か助手席の窓に向かって話しだした。
「先輩が着てるじゃないですか」
「正確には、君のクリスマスプレゼントになる予定だったやつ」
先輩の着ているセーターを改めて見る。
「そのふわふわモコモコがですか?」
「文句あるのか」
「特には」
先輩が前方を指さした。見ると信号が変わっている。少し慌てがちにアクセルを踏み込み、車はのっそりと走り出した。
「ほら、あるでしょ。写真で見るとめちゃくちゃ美味しそうなのに、いざ手元に運ばれてくるといまいちなパフェとか」
実体験のありそうな例え話だ。
「作ってみたはいいものの、イメージより小さいのが出来ちゃったって感じ」
感じも何も、そのまま全て言った気がする。
言われてみれば、男性向けファッションにありそうなモノトーンの配色をしている。
「似合ってますよ」
「取ってつけたように褒めるな。褒めるならちゃんとやって」
「ふわふわモコモコが、普段サバサバした感じとのギャップ萌えでとても良いです」
肘掛けに乗せていた左腕に、先輩が自分の腕を擦り始めた。
「悔しいから静電気を貯めてやる」
「やめてください」
「観念しやがれ」
言いながら、先輩が手を強く握ってくる。静電気はおろか、特に何も起きなかった。
「手、暖かいね」
「ひんやりしてて鳥肌立ちました」
「よし、そこのコンビニに入れ。でこぴんしてやる」
特に逆らう意味も無かったので素直に従う。広いスペースがあると駐車が楽だ。ヘッドライトを消して、エンジンを切る。
「何か買いますか?」
「暖かい飲み物」
先輩がドアを閉めたのを確認して、運転席の扉を閉めようとした時、中指に一筋の痛みが走った。
「いてっ」
反射的に声が出てしまう。別に痛みがなくなるわけじゃないのに、意味もなく手を振った。
「天罰が当たった」
「別に悪いことしてないんですけど?」
先輩が嬉しそうに駆け寄ってくる。
「仕方ないからでこぴんは許そう。代わりにココア奢って」
「『許す』って、難しいですね」
「簡単だよ。たったの二百円だし」
車の鍵を閉めてから、どちらともなく手を繋ぐ。残念ながら、静電気は流れなかった。
どうも、こんばんは。
私は曲の作れない、しがない音楽家ですよ。
今日もお話を…と行きたいのですが、
寒いので、今日のお話はお休みでございます。
お題は「セーター」でした。
いましたよお。好きな人に手編みセーターを編んでいた男子高校生。
でも、今日はお休みなので。
セーター、暖かくていいですよね。私もすきです。
どうか皆さん流行病にはお気をつけてね。
ゆっくり休んでね。
敬具 貴方のための音楽家より。
追伸__結局セーターが送られることはなく。
もうかなり前からセーター着ていない。
ちくちくしたり、かゆくなったりするから。
肌に合うセーターがあったら着てみたいけど…あんまり勇気ないな。
テーマ:セーター
たまたま赤いセーターを着てて、
たまたまドアに引っかかって、
たまたまセーターがほつれちゃって、
たまたま君が教えてくれただけ。