『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
占いをしに行った
気持ちが少し楽になった
ブレスレットを買った
運が向いてきた気がする
壺を買った
これで幸せ
集会に参加する
「ありがとうございます!明日も素晴らしい日になります!」
落ちていく
25.セーター
頭が顔を出した
もぞもぞ…
パフゥン
遂に登場
あどけない
ほんわかした顔
えへへ
両手が首元を掴み
スリスリしながら
暖かさを実感してる
白色がお似合いだね🤍
暖かさに包まれ
ふふふっ笑みが漏れる
日差しは柔らかく
あなたに注いでいる
優しく見守られてるようだ
編み込みのセーターは交差に糸が絡んでいる。
永遠に取れないそんな糸である。
引っ張れば微妙に伸びるが強い結束力でセーターが壊れるわけじゃない。
きっと人間も縦糸と横糸でずっと絡み合っている。
永遠にね?
私は、セーターが嫌いだった。
あのチクチクとした肌触りが、特に。
それなのに母は、決まってクリスマスの時期になると、カラフルなセーターを私にプレゼントしてきた。
最初のころは、「ありがとう!」なんて言って母親の機嫌をとっていたが、思春期にもなってくると、嫌いなものを自分の感情で押しつけてくるようで苛立ちを隠せなくなってきた。
そしてついに、16才のクリスマスで、母親に怒り散らかしてしまう。母は、
「もうそんな時期になったのね…」
なんて苦笑いしながらこちらを見る。
その様子に余計腹が立って、家を飛び出した。
街は10年ぶりのホワイトクリスマスだということで、人も多かったが、それでもモノクロの景色が淋しく感じた。私だけだろう。
何でクリスマスに喧嘩だなんて。葛藤。
走り続け、近くのショッピングモールまでやって来た。すると、ふと汗だくの体が嫌な肌触りを思い出した。チクチク。
そして、コートのボタンを外し、中を見ると、去年のセーターが出て来た。そのカラフルなセーターは、ベツレヘムの星のようにモノクロの世界に色を与えた。
その瞬間、私は母に抱きしめられている感覚で、涙ぐんでくる。私はすぐ家へ帰った。
その後はたやすいことだった。家に帰り、謝って、セーターの編み方を暖炉の前で教わった。私もまた、子供が出来たらセーターをあげようと思って。
雪は、既にやんでいた。
セーター
最近セーターってあまり着てないな
私の場合、歳を重ねるごとにおしゃれは二の次で
何より暖かさと軽さを求めてしまってる
機能性インナーやフリースなどの重ね着に
おまけにコートはダウン
気づけば価格もお手頃な化繊ばかり
ああ、どうりで静電気バチバチのはずだわ
やばいやばい
すこしは気を使わなくちゃ
軽くて素敵な色のカシミヤのセーター
今年は奮発して買ってみようかな
セーターを着た。……暑い。
わかっている。天気予報を見なかった俺が悪い。
でもまさか、この季節に20℃を超えるなんて誰が思うだろうか?
たしかに朝起きた時、いつもよりなんかあったかいな、とは思った。しかし、いくらなんでも上がり過ぎでは? 一応もうすぐ12月なんだが。
失敗したなぁ。明日は気を付けよう。
……で、なんで今日は寒いの?
まるで夏と冬を反復横跳びしているようだ。
今日こそセーターを着れば良かった。そう頭を抱えても寒さは変わらない。仕方ないからコート買うかぁ。しかし、いきなり変わり過ぎでは?
失敗したなぁ。明日は、明日こそは気を付けよう。
『セーター』
【セーター】
ぎゅうぎゅう詰めの通勤列車を降りた駅で、赤いセーターを見かけた。黒い背広姿ばかりの中ではやけに目立つそれに一瞬、君がいるのかと錯覚する。
(……バカみたいだ)
君がいなくなってもう四年に差し掛かるというのに、いまだに僕は君のことを探しているんだ。その事実に気がついてしまって、胸が痛くなった。
どっちが似合うと思うなんて洋服屋で君が持ってくるのは、いつも派手な色の服ばかりで。どっちも似合うよと返せば頬を膨らませられたものだった。そういう毎日が、どうしようもなく好きだった。
首に巻いた赤いマフラーに顔を埋める。君と共に過ごした最後の誕生日に贈られた、編み込みのマフラーだ。
『お揃いだね』
お気に入りの真っ赤なマフラーで笑った君の声を思い出して、目の奥がじんわりと熱くなった。
「セーター」
セーターの色とりどりに編む冬の間
セーター出す昨日の吹き込み風
セーターが出来上がるように
片思い人との
見えない糸がほつれたり
きれないで
二人の形は 暖かい 関係と
なれますように
魔法の季節がやってきた
世界が白く染まり
大切な人と
美味しいものと
暖かい部屋で
ぬくぬく過ごす季節
四季の中で
もっとも美しい季節
もっとも心が暖かくなる季節
みんなで過ごせるこの季節
私は冬が一番好きだ
みんなで過ごせるこの季節
まるで魔法のよう
寒いのにこころはぬくぬく
白いセーターを着て
ぬくぬくしながら
空を見る
今年も探す
幸せを運ぶ
赤サンタ
新年も願う
七福神へ
どうかみんなが幸せに暮らせますように
ほらね、まるで魔法でしょ?
動物病院から子猫が帰ってきた。二日前に駆が拾ったものだ。検査などのため一晩入院させたが、特に問題はなく、晴れて駆のもとに戻されたと言う訳だ。風呂に入れてやれという獣医のアドバイスに従い洗われた子猫は毛も乾かされて毛糸玉のようになった。
「ふふっ、ふわふわだね」
駆は子猫に構いっぱなしである。それほど動物好きだったのは意外だ。
「名前は何にしようか」
駆が問う、目を子猫に向けたまま。俺が無視されているようで、正直面白くない。
「飼うのか」
「え、飼っちゃだめ?」
「駄目とは言わんが」
ここのアパートはペット不可ではない。駆にも俺にも動物アレルギーなどはなく、収入面にも余裕はある。駄目だという理由はなかった。
「七実はねこ嫌い?」
「嫌いではないが苦手かな。どう扱っていいか解らん」
「それなら、慣れていけばいいだけだよ。ほら、抱いてみて」
子猫が渡された。力加減がわからず戸惑っていると、子猫はにぃにぃと鳴きながら俺のセーターに爪を立て、よじ登り始めた。
「はは、すっかり懐かれてる」
「そうか? 本当にそう見えるのか?」
子猫は首元まで上がってきた。引っ剥がして太股の上に乗せ直すと、再び腹に手を掛けてセーターを登っていく。
「うーん、懐かれたのは七実じゃなくて、七実のセーターかな?」
憎らしい事をいう。
「……三日月」
「え」
「こいつの名前」
「考えてくれたの?」
「イマイチか?」
「いや、悪くないよ。ありがとう七実」
猫を見守る駆の口角が上がっているのを見て、『ふしぎの国のアリス』に出てくるチェシャ猫を思い出したのだ。三日月のように笑う猫。
「おまえは今日から三日月だぞー」
子供のように笑う駆を見ながら、やっぱり俺は正直面白くなかった。
(お題 セーター)
キミのくれたあのセーターは
今は愛犬の寝床になりました。
キミはいなくなって
キミの匂いも消えたけど、
ポクも着なくなって
ボクの匂いも消えたセーター。
いまはどこをとっても
とにかくとっても犬くさいです。
「静電気ばちってさせるのやりたい」
助手席に座っていた先輩が突然そう言い出した。詳しく聞けば、昼間に観ていたテレビ番組で特集が組まれていたらしい。
「一人でやってくださいよ」
闇に浮かぶ信号を注視しながらハンドルを切る。特に目的地のないドライブだから、どの道を通るかでいちいち悩んでしまう。深夜一時を回っているので車通りが少ないのが、唯一ありがたいことだ。
「えー、やろうよ」
「やりません。意外と痛いんですよあれ」
忌々しいことに、十一月も半ばを過ぎて本格的な冬が到来しつつある。静電気とは長い付き合いだけれど、一向に仲良くなれる日は来ない。
隣から聞きなれない音がし始めたのでちらと見やると、先輩はセーターの裾を掌まで引っ張りあげて、懸命に左右の手を擦っていた。摩擦によって帯電させようとしているのだろう。
「セーター伸びますよ」
「それは困る」
すぐさま手を止めて、先輩はセーターに謝罪をした。そんな謝罪ではセーターも納得しないだろうという実にラフなものだったけれど、それは当人同士の問題なので黙っておく。
「新しいやつですか」
黄色は止まれだ。段階に分けてブレーキを踏んでいく。車が停止するまで返事がないので不安になり隣を見てみると、先輩もこちらをまじまじと見ていた。
「何の話?」
「セーターの話です。去年は見たことないやつだなと思って」
風船から空気が抜けた時のような返事があった。
「これね。実は君のセーター」
先輩は何故か助手席の窓に向かって話しだした。
「先輩が着てるじゃないですか」
「正確には、君のクリスマスプレゼントになる予定だったやつ」
先輩の着ているセーターを改めて見る。
「そのふわふわモコモコがですか?」
「文句あるのか」
「特には」
先輩が前方を指さした。見ると信号が変わっている。少し慌てがちにアクセルを踏み込み、車はのっそりと走り出した。
「ほら、あるでしょ。写真で見るとめちゃくちゃ美味しそうなのに、いざ手元に運ばれてくるといまいちなパフェとか」
実体験のありそうな例え話だ。
「作ってみたはいいものの、イメージより小さいのが出来ちゃったって感じ」
感じも何も、そのまま全て言った気がする。
言われてみれば、男性向けファッションにありそうなモノトーンの配色をしている。
「似合ってますよ」
「取ってつけたように褒めるな。褒めるならちゃんとやって」
「ふわふわモコモコが、普段サバサバした感じとのギャップ萌えでとても良いです」
肘掛けに乗せていた左腕に、先輩が自分の腕を擦り始めた。
「悔しいから静電気を貯めてやる」
「やめてください」
「観念しやがれ」
言いながら、先輩が手を強く握ってくる。静電気はおろか、特に何も起きなかった。
「手、暖かいね」
「ひんやりしてて鳥肌立ちました」
「よし、そこのコンビニに入れ。でこぴんしてやる」
特に逆らう意味も無かったので素直に従う。広いスペースがあると駐車が楽だ。ヘッドライトを消して、エンジンを切る。
「何か買いますか?」
「暖かい飲み物」
先輩がドアを閉めたのを確認して、運転席の扉を閉めようとした時、中指に一筋の痛みが走った。
「いてっ」
反射的に声が出てしまう。別に痛みがなくなるわけじゃないのに、意味もなく手を振った。
「天罰が当たった」
「別に悪いことしてないんですけど?」
先輩が嬉しそうに駆け寄ってくる。
「仕方ないからでこぴんは許そう。代わりにココア奢って」
「『許す』って、難しいですね」
「簡単だよ。たったの二百円だし」
車の鍵を閉めてから、どちらともなく手を繋ぐ。残念ながら、静電気は流れなかった。
どうも、こんばんは。
私は曲の作れない、しがない音楽家ですよ。
今日もお話を…と行きたいのですが、
寒いので、今日のお話はお休みでございます。
お題は「セーター」でした。
いましたよお。好きな人に手編みセーターを編んでいた男子高校生。
でも、今日はお休みなので。
セーター、暖かくていいですよね。私もすきです。
どうか皆さん流行病にはお気をつけてね。
ゆっくり休んでね。
敬具 貴方のための音楽家より。
追伸__結局セーターが送られることはなく。
もうかなり前からセーター着ていない。
ちくちくしたり、かゆくなったりするから。
肌に合うセーターがあったら着てみたいけど…あんまり勇気ないな。
テーマ:セーター
たまたま赤いセーターを着てて、
たまたまドアに引っかかって、
たまたまセーターがほつれちゃって、
たまたま君が教えてくれただけ。
『暖冬』
冬なのに暖かい日が続くと セーターは眠くなる
出番が無いのでそのまま寝てしまう 糸の解れ揺れている 猫の昼寝垣間見る 心地良さ一級品 白昼夢にお似合いのシチュエーション
今はセーターと言わなくなったし聞かなくなった。
ニット、それだけでセーターのことだと伝わるからだ。悲しいことだが、これも時代の移ろい、流行り廃りなのだろう。
しかし今時のニットはなんだか薄く、何度も洗うと毛玉ができやすかったりボロくなりやすくなってきてる気がする。それに対し、昔のセーターは今も綺麗な形を保っている。品質が恐ろしく良いのだ。やはり、バブル期にできたものだからなのだろうか。
安くしても品質が悪ければ、すぐ廃棄することになり、全くもってエコではないなと感じる。
どうせなら、長く着られるものの方がずっとコスパ良くまた環境にも優しいものであれば良い。
ぬっくと穴から顔出すと
ぱち、ぱち、ぱちり 音がする
腕を通せば、またぱちり
髪は編み目にくっついた
毎々 うんざり思うけど
今年も冬の盛りを知る
#セーター
「よし。出来た」
私は毛糸で編んだ長物を両手で顔前に垂れ下げた。
「私にしてはよく出来たんじゃない」
初めてできた彼氏へのプレゼントのために、マフラーを編んだ。
手編みのプレゼントなんて今どき時代ではないのかもしれないが、彼氏に手編みのセーターをプレゼントするのがちょっとした憧れだったのだ。
初心者の私にはセーターはハードルが高くて、結局マフラーになったのだが、出来栄えはそこまて悪くはないと思う。
一度コツを掴むとマフラーぐらいであれば、そこまで手間が掛からないこともわかったので、せっかくなので私の分も作ることに。
ただ、やはり手製の編み物は少し恥ずかしいのでデザインは少し大人しめに、端っこに小さいハートマークを拵えた。
私は中央に噴水のある広場で、彼を待った。
ここは有名な待ち合わせ場所で、私以外にも彼氏、彼女と待ち合わせしているであろう人々が所々に立っている。
広場の周りには洋服屋や玩具屋、レストランなどが立ち並び、店の入口はクリスマス仕様に色とりどり飾られている。
この周辺に有名なレストランがあるようで、彼がこの場所を指定した。
「おまたせ。ごめん、待った?」
一人の男性が手を振りながら小走りでこちらに歩み寄る。
「私も今来たところ」
私は首を横に振る。
手を合わせて謝罪する彼に、私は手元の紙袋を手渡した。開けてよいか、と訊かれて、もちろんと返答する。
「うわ!マフラーじゃん。これもしかして手編み?俺手製のマフラー貰ったの初めて!」
くしゃと笑う彼の笑顔が、足の先まで冷えた体をほんの少し温める。
彼はマフラーを両手で広げた後に折りたたんで袋に戻した。
私はマフラーを巻いた姿を見たかったのだが、おそらく、レストランでマフラー姿を見せてくれるのだろう。
巻いた彼を想像すると、顔が少し綻びそうになる。
彼が私の首に指を差して、もしかしてペアルック?と訊ねたので、私は小さく頷いた。
私の顔は茹で蛸のように真っ赤に染め上がっているに違いない。
「それじゃ、行こっか」
そう言うと、彼は右手を差し出した。
私は彼の右手を握り、軽やかに足を踏み出す。
「たくみ」
踏み出すと、背後から男の名前を呼ぶ声が。
踵を返すと、一人の女性が立っている。
私は彼に誰かと尋ねると、彼は言葉を言い淀む。
たくみは彼の名前である。
「どちら様ですか?」
私の心がざわめき出し、とっさに彼女に問いかける。
いつの間にか彼の右手は離れていた。
「あんた、たくみの彼女?」
私は黙って頷いた。
不安げに彼に目線を移すと、彼とぱちりと目があった。
「いや、違うんだ。彼女はただの」
彼は言葉を詰まらせる。
「ただの何?」
私の問いかけに、彼は何も応えない。
「訳が分からないのなら教えてあげる。私、彼と付き合ってるの。昨日も一緒に出かけたよね?もちろん二人で。うちに泊まって、そのまま他の女と会うなんてあなたほんと最低ね」
私の心に黒い何が渦巻いた。
「たくみ、それ本当?」
彼は私の問いには答えずに、彼女の方へ駆け出した。
「はぁはぁはぁ」
気づけば私は走り出していた。
店の灯りが漏れる街路を限界がくるまで走り続けた。
膝に手をつき息を整え、振り返る。
彼は私を追ってこない。
クリスマス仕様に飾られたショウウィンドウに背中を押し当てる。
服の上からもわかるくらいに硝子はとても冷たく感じる。
「本当に私って馬鹿だなぁ。浮かれてマフラーなんか編んじゃって」
顔を上げると、街路を行き交う男女が目に入る。
私は行き交う人を暫く眺め、震える両手に息を吐いた。
「ほんと、セーターにしなくてよかった」
私の編んだマフラーに雪解け水がじわっと広がる。