『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
毛玉とか縮んだだとか伸びたとか
/お題「セーター」より
おそろいのセーター
今年も気づいたらあのセーターに袖を通す季節が来た
毎年きっとタンスから取り出すたびに
ふと思い出すのだろう
そういえば今何してるかな?って
どこで何してるのか分からないけど
とりあえず元気ならいいな
誰よりも自由に幸せに生きていてくれたらいいな
他の誰にもあなたの人生を邪魔する権限は無い
だからあなたには幸せでいて欲しい
特別お金持ちとか幸運が続くとかじゃなくても
とりあえず普通に元気だよと
答えられるならそれで十分
それ以上は望まないから
あなたはずっとこれから先も大切な人だから
おそろいのセーターはもしかしたらあなたはもう、、
それでも構わないよ
私の思い出の中では
今でもずっとあなたは輝き続けているから
セーターを抱きしめていた。
からっぽな部屋で、独り。
「ねぇ、」
声が聞こえて振り返る。
「泣かないでよ、もう」
昔と同じ笑顔で笑う彼女が居る。
「一番泣きたいのは此方なんだから」
嗚呼、ごめん。そうだったね。
彼女が抱きしめるセーターは、僕が彼女に編んだものだ。
パパが冬になると着るアーガイルセーターはとっても素敵。
パパが着てるから素敵に見えるのかもしれないけれど、わたしはとってもお気に入り。あんまりにもわたしが大好きだって言うから、パパが「サイズが合うようになったら君にあげよう」って約束してくれたくらい。
だけどその約束は、翌週には叶ってしまった。
「洗濯をしたら縮んでしまったんだ」
まだ主夫初心者のパパは時々失敗をする。セーターって、そのままお洗濯したらダメなんだって。それを知らずに洗濯をしたら、わたしサイズのセーターができあがりってわけ。
『セーター』
落ちていく、彼の腕の中へ。
微かに鼻腔をくすぐる、甘酸っぱい苺の香り。この香りを私は知っている。1週間前ほど前、クリスマスコスメとして発売された香水の香り。
香りは、私を目がけて放たれる。鼻を通り口を通り、耳も毛穴も、体中の穴という穴から私を犯していく。
太腿に帯びた熱は、徐々に上へと昇っていた。それから逃げるように空気に触れる私の上半身。それでも尚、体から熱は消えない。少しして、空調がいつもより暖かい事に気がついた。
視線の先には人間の顔。顔、と言うより、目と鼻と口と青髭とその他、と形容する方が正しいのかもしれない。天井の照明が月明かりのように輝き、彼を後ろから照らしている。まるで皆既月食みたいだ。いつか彼も、お月様みたいに禿げちゃうのかなー、なんて。
「なに、反応悪くね?」
私の反応が普段より悪いことに対し気を悪くしたらしい。私を見下げたまま、彼は訝しげに目を細めた。太腿に置かれていたはずの両手はいつの間にか下腹部へと移動している。
「別に」
彼と1mmより近い距離で交わる度、彼とひとつになれないという現実を突きつけられる。強制的な快楽に身を委ね心を溶かそうとも、彼を侵食する事は叶わない。日が昇るまでの契約関係。流れる時間は形を持たず、隙間からどろどろと零れていく。これが夢なのか現実なのか、夢であって欲しいのか現実であって欲しいのかすら曖昧で不確か。
「…ねえ、私の事、好き?」
その言葉が利敵行為になる事を、私は重々承知していた。それでも私は、今目の前で息を荒らげるこの男が、私の創り出した空想なのか否かを知りたくなってしまうような馬鹿な女だった。
「ん、めっちゃ好き」
ねえ、誰の事思い浮かべて言ってんの。
私の声は、果ての見えぬ闇へと堕ちた。
小さくなったセーターが、クローゼットの奥から出てきた。おそらく、五年ほど前に着ていたものだとサイズから判断した。
けれど、小さくなったそれを今の自分は着ることはできないし、何よりお下がりとしてあげられるほど、綺麗では無い事は明らかだった。ふと、自分の体にセーターを合わせてみたがやはり腕の丈が10cm程差があった。
自分が成長したのか、セーターが縮んだだけなのかはこれを着ていた当時の自分に聞くしかないが、私はそれを成長と結論づけセーターをひざ掛けに変えて使う事を決めた。
形を変えて、私と共に。
お終い
編み物はしたことはない。
ただ、寒い雪国に生きる女性が、
雪で閉じ込められ、
手慰みに編み物をすると聞いたとき。
編み物が世界にあることに感謝した。
暖炉や炬燵に、入りながらしてたら良い。
イタズラ子猫が、毛玉で遊んでいたらなお良い。
完成して、満面の笑みの老婆は良い。
来年用に、セーターを作るが、
『おばあちゃん、入らない!』
と、孫に怒られる。
『ごめんね』
怒られたが、孫の成長が嬉しくて、
優しく、孫の頭を撫でたなら、
それは、とても良いことだ。
暖房から吹く風に色や形を望まないように、寒さを和らげるためのセーターに私は多くを望まない。
身体に合うサイズであればいいし、できれば少し大きめなくらいがいい。
生地が薄くて寒くなければいいし、できればあんまりゴワゴワしてないくらいがいい。
派手すぎないデザインじゃなければいいし、できればたまに個性的だね!って言われるくらいがいい。
すぐにボロボロにならなければいいし、できれば3年ほど愛用できるくらいがいい。
袖を通すときに惰性の気持ちがなければいいし、できればこのセーターを手に入れた喜びを毎回感じられるくらいがいい。
セーターに、私は多くを望まない。
【セーター】
私は、セーターが嫌いだ。
モノにもよるけど、ちょっとカバンにかすっただけでビヨンと毛が伸びる。そして、それを誤魔化そうとすると毛玉ができる。毛玉を取ると、周辺の毛がモワッと広がる。その広がったところにカバンが……の繰り返しで気づけばボロボロ。私の心もボロボロ。
デザインや、あのゆったりとしたシルエットが好きだから買ってしまうけど、来年の冬まで持ち越せない。だから、毎年このシーズンに必ず一着買っている。
金の無駄、なんて友達にも言われた。
確かに、セーターは私には向かなかったんだーって諦めて、違う服着回ししたほうが得。絶対、得。
でもなあ、なんか諦められないというか。
私の"かわいい"と疼いた心に抗えないんだよねえ。
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『かわいいの魔力』
"セーター"
そういや、出した冬服の中にセーターがあったな。結構寒くなってきたし、そろそろ出番か。
あ、ダメだ着れない。子猫の毛が付く。セーターだと毛取りが大変だからダメだ。あとよじ登ってきた時爪が引っかかって糸がほつれる。
だから今年は出番無し。…ごめん。
次着るのは、あいつが大きくなって落ち着きが出てきたら…。
来年辺りに出てきてくれりゃあ助かるんだが。……ムズそうだな。
セーター
あなたのセーターに
包まれて…ねむるわ…
あなたの香り…
あなたのぬくもり…
想いを馳せて…
君が裾を掴んで伸びたセーター。
ずいぶん昔のことだけれど、記憶は今も鮮明に蘇る。
泣きながら君が引っ張るから、
その柔らかい黒髪を優しく撫でた。
笑いながら君が引っ張るから、
その低い目線に合わせて微笑んだ。
怒りながら君が引っ張るから、
その可愛い拳を甘んじて受けた。
君の成長は早く、気づけば綺麗な女性に変わった。
もう私のセーターを引っ張ることはなくなり、君は君の愛する人と歩んでいくことを選んだ。
「…私ね、叔父さんが好きだっんだ」
純白のウェディングドレスをまとったまま、そう耳打ちした君は幸せそうな笑顔でそう言って、私のもとから離れていった。
君は覚えているかな。君が伸ばしたあのセーターは、君が私にプレゼントしてくれたものだったんだよ。
捨てるにはどうにも惜しくて、クローゼットの奥深くに今もある。
いつか、君と君の愛する人にその話をしよう。
そのとき君はいったいどんな顔をするんだろうね。
【セーター】
セーター
律はブルーがよく似合うと思う。
なかでも似合うのは鮮やかなくすみのない青色だ。
じゃあ律が雲一つない真夏の青空のようなすっきりした人間かといえば、全く違う。
過ぎたことをくよくよとひきずるちょっと面倒な性格だ。
今も、さっきの店員への態度はそっけなかったのではないか、次にお店にいったらあのそっけない客が来たと思われるのではないか、と悩んでいるところだ。
私からみれば十分フレンドリーな客だったと思うのだけれど、言ったところで聞きやしない。気が弱いけれど頑固なのだ。
次に行くときはこれ着ていきなよ、と紙袋を押しつける。
ラッピングもなにもないただの茶色い袋だ。
律は受け取ると不思議そうな顔で袋を開ける。なかから鮮やかなブルーのセーターが現れた。
律はセーターを体に当ててみる。うん、やっぱり似合う。
派手すぎないか、と律は言う。
言うと思った。だがこればかりは譲れない。誰がなんといおうと律はこの色が似合うのだ。
派手じゃないしとても似合っている。そのセーターを着た律を見れば店員も大歓迎してくれる、と熱弁を振るう。
君がそういうならそうかもしれないな。
私の勢いにけおされて律は言った。
よし、じゃあこれを着て行こう。
律は着替えはじめた。
セーターが活躍する季節。
あなたが着ているそれは、昨年一緒に買いに行ったもの。
バチッ
手を繋ごうとした瞬間、静電気が走る。
その痛みをも包むように手を繋ぎ返してくれる。
…ああ、幸せだ。
231124 セーター
こんだけ厚着しても
心は冷たいままなんだ…
お題『セーター』
セーター
編むのは母の趣味だ。
透明な衣装ケースが何段も重なり、
その中にはカラフルな毛糸が所狭しと詰まっている。
母は今日もセーターを編んでいる。
着るはずがないのに、
我が家のハムスター達のセーターを
いつもにやけながら編んでいる。
高校生の時にお付き合いしていた彼に
”セーター”を編んであげようと毛糸を買った
すぐに諦めて マフラーになった
それも諦めて ネックウォーマーみたいになった
学ランの襟元に ちょこっと巻いて使ってくれていた
あんな不格好なものをそれでも使ってくれていた彼
懐かしむのと同時に いまさらながら感謝する
「やるよ。」
ぽい、と投げ渡された、何やら重くて暖かいもの。
顔に直撃したそれを見てみれば、真新しい毛糸のセーターだった。
「セーター?」
「冬服欲しいって言ってたろ。いいやつ買ったから、何年か使えるぞ。」
「……何で急に。」
贈り物をされるようなことをした覚えはないし、彼は何の理由もなしに物をくれるような性格でもない。
もしや何か企んでいるかと睨め付ければ、もごもごと口ごもって顔を逸らした。
「…………だよ。」
「え?何?」
「っ〜、だから!誕生日プレゼント!察せよ!」
「……あぁ!」
すっかり忘れていたが、そういえば今日は自分の誕生日だった。
何やかんやとやる事が多すぎて、頭の中から追い出されてしまっていた。
「覚えててくれたんだ。」
「当たり前だろ。……こ、恋人の、誕生日だし。」
「……照れてる?」
「照れてねぇ!」
耳まで真っ赤になっているのに、照れていないとはこれ如何に。
口は悪いが、初心な青年である。
「くふふ……ありがとう。」
「……どういたしまして。」
貰ったセーターは品がよく、何年でも使えそうだ。
これは、彼の誕生日にとっておきのプレゼントを送らねばなるまい。
一つ、楽しみな予定が増えた。
[セーター]
冬
寒がりな私。
出来るだけ、
薄手のものを何枚も着こみ、
モコモコしながら
室内だと汗がでる。
その上、
コートやブルゾンを
羽織ると
さらに
動き辛い。
今は、
生地も様々なものが
出ていて、
薄いものでも、
しっかりと
暖かくなります。
色も、黒や、
濃いめのものが
多い
友達に、たまには
明るい色も着てみたら?
と、
特に白は
避けていた色
汚れたら大変だし
でも、
ちょっと、
チャレンジしてみようと
白のセーターを
買ってみた!
お‼️
意外に良いかも!
顔色が
明るくなった。
それ以来、
冬も、
明るく元気に
のイメージで、
明るい
色を着るようにしてる。
それだけで、
気持ちも明るくなる。
セーターも
冬には
必須アイテム。
友達に感謝だね。
【セーター】
彼女はいつも、セーターを着ていた。
夏には夏のセーターを。
季節に限るのではなく、一年中ずっっと。
初めて見た時は、どんだけセーター好きなんだこの人、、と若干引いたが、今では年がら年中セーターを着ている彼女が愛おしい。
毎日色のとりどりのセーターを見るたびに、彼女がセーターを選んでいる様子が脳裏に浮かんできて一人でニヤけてしまう。
今日はそんな彼女と一緒に図書館で勉強。
予定の十分前に着くのは俺にしては珍しい方。
これにはちゃんとした目的と理由があるのだよ。
その理由は、彼女はいつも五分前に着くから、『ごめん、待った?』『いや、今来たとこだよ。』とにこやかに答えるという彼氏のやりたいことTOP5には入るシチュエーションにならせるためである。
そんなことを頭の中で妄想していたら、十メートルほど先から彼女が歩いてきていた。
俺に気づいた彼女は小走りになって黒髪を靡かせながらこっちに近づいてくる。
『ごめーん!待った?』
予想通りの反応。可愛いな。
『いや、俺も今来たとこだから大丈夫だよ。』
そういうと、ニッコリ微笑んで俺に自分の腕を絡ませてくる。
『じゃあ、行こうか。』
先を促せば、幸せそうに左右に揺れながら俺を引っ張る。
『ねえ、綺麗だよ!イルミネーション!』
時刻は午後六時。
冬なので日が沈むのが早く、真っ暗の空の中にキラキラと輝くイルミネーションが幻想的だ。
『そうだね。』
彼女の後ろに立ち、一緒にイルミネーションを見上げる。
光に照らされて彼女のセーターもキラリと光る。
ん、、?
セーターに短い髪の毛がついている。
、、、彼女はロングヘアーだ。
『、、、ねえ、短い髪がセーターに絡まってるよ。』
そう言うと、慌てて振り返って誤魔化す様に笑った。
『えへへ、、猫の毛かな、、。』
、、彼女が飼っているのは犬だ。しかも短毛種。
嘘をついている。浮気か?
『そうなんだ〜。』
平然を装いまたイルミネーションを見上げる。
最近男を部屋に呼んだ記録はない。
考えすぎか。
こんなに愛おしく笑う彼女を疑うのは良くない。
そう思い直し俺は彼女とのイルミネーションを楽しんだ。
ーー
ガシャン
ヂャリ、、
鈍い金属音で意識が浮上する。
『、ここは、?』
瞬きをして視界を慣れさせると、そこはコンクリートの部屋だった。
何にもなくて、窓もない。
ドアは一つだけで、俺の右斜め五メートルくらい前にある。
確か、彼女と別れて、、そこから記憶がない。
コツコツ、、
人の気配がして、慌てて隠れようとするが、足と腕をぎっちり固定されていて動けない。
ガチャ
ドアが鳴きながら開いた。
そこに立っていたのは、、
愛おしい彼女だった。
『やっほ〜。』
ロングヘアーを後ろに縛って、全身白いレインコートを着ている。
手にはゴム製の手袋。
暗い部屋、縛られている俺、汚れない格好の彼女。
何がどうしてそうなったのかはわからないが、一つだけわかることがある。
今、俺は危機的状況にあるということだ。
『俺、、何かした?』
まずは目的を探ろう。
浮気をした記憶はないが、人によって浮気の線引きが違う。
『ううん。何も。』
彼女は平然と答え、俺に近づく。
一歩。一歩。
近づいてくるたびに、困惑と恐怖が入り混じり背中が冷たくなるのがわかる。
『何が目的、?』
恐る恐る聞けば、彼女はキョトンとした顔をして首を傾げた。
『、、、ん〜、、強いて言えば、、髪、かな。』
髪、、、?
まさか、この前俺がロングヘアーよりショートが似合うと言ったことか?!
いや、、髪、、髪、、
『もしかして、俺が勝手にお前の部屋に入って浮気の疑惑がないか調べていた事か?』
その時に髪の毛も採取した。まさかそれに気づいて?
彼女はまたキョトンとし、そして納得した様な顔になった。
『あ〜だからか、、まぁ、いいや。』
『そ、そのことは謝る。怖かったんだ。俺から離れて行く事が、、だから』
ドスッ
包丁は綺麗に男の胸に刺さり、男は絶命した。
女は包丁は抜かずに手に持っていたバリカンで男の髪を刈り始めた。
『気づかれたら、材料になってもらうしかないよね。また新しいセーターが作れる〜。』
さも楽しそうに、男の頭を刈る女。
彼女は特殊なタイプだった。
セーターが好きという男の見解は正しいが、付け加えるなら、、
"髪の毛が一緒に編み込まれたセーター"が好きなのだ。
『みんな平等に、着てあげるね。編むのが楽しみ〜。』
彼女のクロゼットには、歴代の彼氏の髪入りセーターが並んでいるのだった。