セーターを抱きしめていた。からっぽな部屋で、独り。「ねぇ、」声が聞こえて振り返る。「泣かないでよ、もう」昔と同じ笑顔で笑う彼女が居る。「一番泣きたいのは此方なんだから」 嗚呼、ごめん。そうだったね。彼女が抱きしめるセーターは、僕が彼女に編んだものだ。
11/24/2023, 11:47:32 AM