神樂

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12/27/2023, 10:29:24 AM

「ねぇ、何でいつも黒手袋してるの?」

無垢な瞳がボクに聞く

「なんとなく、かな」

そう言って、彼を撫でた。


掌とは、心の内側だ。
心理学的にも掌を見せることは心を開いてることと同じと聞く。
だから。
見せたくないものは黒い布で隠さなければ。
触れられたくないところはちゃんと護らなければ。

「………いつか、手袋を外せる日が来るといい」

そんな夢物語を、零した。

11/30/2023, 10:28:02 AM

「泣かないで」
そう言って君は私の涙を拭う。

あぁ、やめて。そんな幸せそうに笑わないで。

腹部から零れ落ちる血液は私の手を赤く染めていく。

この手に握られた刃物。


敵だとわかっていたのなら、突き放してほしかった。

こんな苦しみを味わいたくなかった。



「ごめんなさい」

あぁ、秋が死んで冬が始まる。

11/28/2023, 6:59:11 PM

この恋心を殺してしまおうかと、何度思ったことか。
恋なんて怖くて怖くて、ただ弱みにしかならない。

この恋心を、殺してしまえば。

そうやって手に掛けようと頸を圧えれば、それは泡を吹く。苦しげに呻きながら。されど抵抗などせず。

もう少しで死のうかというとき。とん、と肩を叩かれる。
振り返れば悲しげな顔をした幼い自分が立っていた。
彼は一言、言う。

「終わらせないで」

それは絶望と、悲しみを含んだ、縋る様な声だった。



そんな声を聞いてようやく気づく。

自分はこの恋心に間違いなく救われていたのだ、と。

11/26/2023, 10:46:41 AM

この恋はまだ微熱だ。

そう信じていた。


「ボクは貴方に恋なんてしちゃいけないのに」


微熱なんかじゃなかった。 
あつくてあつくて脳細胞が熔けてしまいそうな。

この叶うことのない恋がどうか伝わってほしくないと。
そう、願った。

11/24/2023, 11:47:32 AM

セーターを抱きしめていた。
からっぽな部屋で、独り。

「ねぇ、」

声が聞こえて振り返る。

「泣かないでよ、もう」

昔と同じ笑顔で笑う彼女が居る。

「一番泣きたいのは此方なんだから」



嗚呼、ごめん。そうだったね。
彼女が抱きしめるセーターは、僕が彼女に編んだものだ。

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