3/5/2025, 5:30:50 AM
「やくそく、したよね」
桜を見上げる。
「桜をもう1回一緒にってさ」
ひらひらと舞い落ちる花弁。
「すぐ葉桜になっちゃうよ」
骨壷の君は何も言わないまま。
12/27/2023, 10:29:24 AM
「ねぇ、何でいつも黒手袋してるの?」
無垢な瞳がボクに聞く
「なんとなく、かな」
そう言って、彼を撫でた。
掌とは、心の内側だ。
心理学的にも掌を見せることは心を開いてることと同じと聞く。
だから。
見せたくないものは黒い布で隠さなければ。
触れられたくないところはちゃんと護らなければ。
「………いつか、手袋を外せる日が来るといい」
そんな夢物語を、零した。
11/30/2023, 10:28:02 AM
「泣かないで」
そう言って君は私の涙を拭う。
あぁ、やめて。そんな幸せそうに笑わないで。
腹部から零れ落ちる血液は私の手を赤く染めていく。
この手に握られた刃物。
敵だとわかっていたのなら、突き放してほしかった。
こんな苦しみを味わいたくなかった。
「ごめんなさい」
あぁ、秋が死んで冬が始まる。
11/28/2023, 6:59:11 PM
この恋心を殺してしまおうかと、何度思ったことか。
恋なんて怖くて怖くて、ただ弱みにしかならない。
この恋心を、殺してしまえば。
そうやって手に掛けようと頸を圧えれば、それは泡を吹く。苦しげに呻きながら。されど抵抗などせず。
もう少しで死のうかというとき。とん、と肩を叩かれる。
振り返れば悲しげな顔をした幼い自分が立っていた。
彼は一言、言う。
「終わらせないで」
それは絶望と、悲しみを含んだ、縋る様な声だった。
そんな声を聞いてようやく気づく。
自分はこの恋心に間違いなく救われていたのだ、と。
11/26/2023, 10:46:41 AM
この恋はまだ微熱だ。
そう信じていた。
「ボクは貴方に恋なんてしちゃいけないのに」
微熱なんかじゃなかった。
あつくてあつくて脳細胞が熔けてしまいそうな。
この叶うことのない恋がどうか伝わってほしくないと。
そう、願った。