この恋心を殺してしまおうかと、何度思ったことか。
恋なんて怖くて怖くて、ただ弱みにしかならない。
この恋心を、殺してしまえば。
そうやって手に掛けようと頸を圧えれば、それは泡を吹く。苦しげに呻きながら。されど抵抗などせず。
もう少しで死のうかというとき。とん、と肩を叩かれる。
振り返れば悲しげな顔をした幼い自分が立っていた。
彼は一言、言う。
「終わらせないで」
それは絶望と、悲しみを含んだ、縋る様な声だった。
そんな声を聞いてようやく気づく。
自分はこの恋心に間違いなく救われていたのだ、と。
11/28/2023, 6:59:11 PM