『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#32 草原のススキが風に吹かれて揺れる。サラサラという音もその風景は美しく、心地よかった。見ているだけで心も温かくなって、お母さんに抱きしめられた時のように落ち着いた。
ハッとベット上で目が覚める。夢、か……。
久しぶりの幸せな夢だった。最近は、恐ろしく死を感じる!悪夢しか見ていなかったので、嬉しい…。
ふぅ〜と息を吐きながら、今日も時間を大切に。
そう思って一日が始まる。
___ススキ
『ススキ』
それは満月が水面に反射してより一層美しく輝いていたある年の十五夜のことであった。
私は、仕事でまとまった休養が取れたので、それを利用して郊外の実家に来ていた。
その年の十五夜は、天気もよく、例年よりも月が良く見える年だったので、私はそれを聞きつけ、独り湖岸を歩きながら、美しい月が出るのを待っていた。
辺りには、穂が黄金色に染まるススキが群生している。
湖岸をしばらく歩いていると、若い女性に声をかけられた。
「こんにちは。月、綺麗ですね。」
女性は恐ろしいほどに綺麗なひとだった。髪がススキの穂と共になびいて、銀色に輝いていた。
「ええ。十五夜ですから。今年はとても綺麗な満月が見れるということで、ちょっと来てみただけなのですが。」
「珍しいですね。最近はここの湖でも人を見なくなりましたから。」
郊外の過疎化が進行し、この湖に来る人も居なくなってしまったのだろう。
昼間だというのに、町の神社にも、商店街にも、人の姿はないなんてことがザラにあるらしい。
「ススキも枯れたら、もう冬です。」
女性は独り言のように、哀しさを纏った声をあげた。
「冬支度、ですね。気が乗りませんが。」
「そうですか?案外いいものですよ。冬と言うものは、自分が一番大事にされるから。」
「はぁ、そうですか。」
「貴方にはわからないですよ、ずっと。」
「それは、どういう訳で?」
突然風が吹き、女性は狐に化かされたように消えた。辺りは、月に照らされ、より美しく映えていた。
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4作目。月の話です。
遠出のデートに誘われると
つい「富士サファリパークに行きたい」
と言ってしまう。
動物が好きなんだ?と聞かれるけど、違うのです。
サファリパークにいく途中にある
『自衛隊東富士演習場』が好きなんです…。
だだっぴろく、ゆるやかな起伏の草原。
秋になれば、ススキが視界のすべてを支配する。
風になびく穂が一斉にうなり、光る。
誘い込むように真っ白な渦を巻く。
怖いような高揚するような、ド迫力の光景。
とにかく壮観!
デートで「演習場へ」とは言いづらいけど。
でも、あのススキに一緒に圧倒されてくれるかどうかは、かなり重要な指標だな。
ススキ
昨日、死を選んだ君は
今日、居なくなって
明日、花になった。
しなやかで、いつも天に向かって真っ直ぐなススキ。
そんな姿を見習いたい。
あのススキのように
どんな場所でもたくましく生きられるように
自分を保ち続けた
あんなふうに生きられたら…
どんな気候にも環境にも屈しない
あの生命力がどうしようもなく羨ましくて
秋の月まで凛々しく伸びるススキに
思いを馳せる
月があり、日が沈む。
矛盾の世界。
子どもの頃の私は、
ただ独り迷っていた。
曖昧な記憶。
夕暮れが世界を染め、
「ススキ」が揺れて、
再び夜になった。
あの時の私は本当に、
帰る事が出来たのか。
未だ、信じられずにいる。
子供の頃河川敷でキャッチボールをしていて、捕り損ねたボールを追いかけてススキの草むらに入ったら、知らぬ間に腕に切り傷ができていた。ケガをした当初は何で切ったか判らなかったけれど、後にススキの穂に刃(正確には棘)があることを知り、見た目によらないということを学んだ。
時が経ち大学生となり、体育会柔道部に入った私はある稽古の場で再びその時の気持ちを思い出すことになる。とあるススキのようなご老人と組み稽古をする段になりケガをさせまいと思いきり手加減をしていた私は、知らぬ間に畳に尻餅をついていた。投げられた当初は何故倒れたか判らなかったけれど、近くで見ていた同級生曰く、目にも止まらぬ足払い一閃だったそうだ。
つくづく見た目によらないなぁと思い、起き上がりながらそのご老人の帯に施された名前の刺繍を見ると、そこに記されていたのは「ススキ」ならぬ「鈴木」という名前であった。
ススキ
オーナメンタルグラス、観賞価値の高い草類のこと。
ススキはどうやらそれに分類されるらしい。
指をスライドさせて、出てきた何千ものオーナメンタルグラスを眺め見る。
光に透けるような穂があまりにも美しくて、ああ好きだなぁ、なんて頭に出てきた言葉を噛みしめる。
きっと、急いで歩いている途中でこういうのを見たところで何も感じないはずなのに、いやそもそも認識すらしていないのかもしれない。
でも明日からはちょっとだけ世界が綺麗に見える。
ただの草だとしても、それらが何気ない好きを運んできてくれるかもしれないから。
ほんの少しだけ増えた知識が世界を鮮やかに彩るから。
好きが増えた世界はきっと美しくて、愛しいから。
空はどこまでも高く澄んでいて、
日差しは穏やかに降り注ぎ、
風に揺られて、きらきら光る。
辿り着いたら一休みをしよう。
空気を胸に吸い込んで
また一歩、踏み出した。
風になびいて
揺れる
月明かりに照らされて
うさぎと一緒に
お月見をたのしむ
ススキ
秋の気配を含んだ冷たい風が
俺たちの間を吹き抜ける
左隣には沢山のススキ
はらはらと散ってゆくススキ
儚い、この言葉が似合う景色だった
右隣の彼女が俺を見上げ、そっと囁く
「私たちは一緒に幸せになろうね」
風に靡く髪を抑えながらそう囁く君
「もちろん、そのつもり」
君はこのススキに負けないくらい
綺麗、そして儚い存在
ススキは
秋の風物詩
ススキの
奥にはお月様
手前には月見団子
私の手には
月見バーガー
そしてススキは
ゆらゆら揺れる
秋風がススキを揺らした。
まるで私の心みたい。
好きな人ができた。
でも、初恋の人が忘れられない。
そんな気持ちが揺れて
素直になれない。
冬が来ればきっと…。
その言葉は1年前にも言った。
どうしたらいいのだろうか?
ススキを見ると、あー秋だなぁって思います。紅葉見ても秋だとわかるけどススキが並んで咲いている(咲いているというのかな?)と、秋の始まりを感じます!
そして、ススキと言えば満月!(満月に限らずそこには月の姿が似合いますよね!)
──随分と明るい月だった。
田舎の片隅。人口の光など差し込まない辺境の地で、僕はぼんやりと浮かんだ月を眺めていた。
綺麗な満月が丁度真上に来ている。いつもなら足元も覚束無い程常闇で覆われるこの場所も、降り注ぐ月光のおかげではっきりと見えていた。
時折優しく流れる風が心地良い。近くで生い茂っているススキの間を通り抜け、緑と秋の香りを運んでくる。撫ぜるように通るその風に、僕は身を預けるように目を細めた。
遠くで虫の音が響く。
鈴虫の静かな独奏は、耳をすませばどんどん増えていく。普段は気にならない彼らの演奏は、少し意識を傾けるだけで小さなオーケストラの様な存在感を放っている。
もっと、さらに遠くの方で鳴いているあの蛙の合唱も、彼らの演奏と混ざり合い、綺麗な旋律を奏でていた。
一際大きな風が吹いた。
さぁっとススキが擦れ合う音がする。
虫の演奏はピタリと止み、柔らかな光が降り注ぐこの会場は一抹の静寂で満たされた。
時が止まったかのような感覚。まるで世界でたった一人しかいないみたいだ。或いは僕だけがどこかに取り残されてしまったのかもしれない。
おもむろに地面に倒れ込む。重力に負けた身体とは裏腹に、ふわりと宇宙を揺蕩っている気分だった。
このまま明日になれば、きっと怒られてしまうな。
容易に想像できる未来に少し、頬が綻ぶ。
月は、相変わらず燦然と輝いていた。
ススキってなんでか知らないけど綺麗に見える。
なんでかな?
月を見上げながら君思う夜。
お題〈ススキ〉
秋の終わりのこと。
近所の小学校の前の横断歩道で、
黄色い旗を振って子どもたちを渡らせていたおじいさんがいなくなった。
5日経ち、さすがにもう戻ってこないと察しはつくが
なにか諦められない。胸につかえるものがある。
私がここに越してきて五年、平日の朝と午後三時に必ずその老人を見かけた。
小柄な身体で青信号になるたびに道の真ん中に飛び出すように進み、旗を振って、
行ってらっしゃい、
はいおかえりと子どもたちに声をかける。
少し曲がった背と、どこかぎこちない動きと
しわがれた声の中に少しの偏屈さを感じながら、
その枯れ薄のようなおじいさんを私はただただ横目に通り過ぎてきた。
それが、いざいなくなってみたら、こんなに寂しいなんて。
枯れ薄なんて思ってごめんなさい。
雨の日も風の日もご苦労様でした。
そんな言葉も伝えられない。
名前も年齢もなにも知らない、枯れ薄のおじいさん。
別れと死は同じだなどと、私に思わせる威力を持っていたおじいさん。
昔、草むらの隅でススキをちぎる時にふと、その穂の元に深い赤があるのを知ってはっとしたことを思い出した。
私は今、横目で見たあの老人の残像に、その赤を見ている。
[ススキ]
わたしはみぎ
わたしはひだり
べつに けんかをしてるわけじゃないのよ
きづいたら、たがいに
せをむけるように さいていたの
だから
ほんとうは なかよしなのよ
そうなのよ
みんな すきかっていうけれど
わたしは
わたしも
きにしないわ
かぜが ふくたびに
ちがうほうこうに ゆられながら
ふたりは くすくす とわらいました
【ススキ】
古くから日本人に愛されている秋の七草の一つ。
天高くすくすくと育って、赤ん坊から大人になる。
それはまるで、生きとし生けるものの一生のよう。
生まれて、食べて、寝て、出会って、心が芽生えて、、、
沢山の過程を経て、自分と何かを通じて成長する。
私たちは、そのススキから命という名の
豊かさを貰っている。