『キャンドル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「キャンドル」
娘の誕生日ケーキの上に刺さる“6”のキャンドル
普段キャンドルなんて使わないから今日のためにマッチをひと箱買った。
たったひとつの数字のためのマッチ1本
残りのマッチはどうしようか、使い道なんてないけどこのまましけってしまってはもったいない。
燃やしたいものを家中からかき集め全て燃やして何も無かったことにしてしまおうか
1度も花が咲かずに枯れた苗、なんの思い出も詰まっていない学生時代のアルバム、この家から出ていった男のネクタイ、知らない口紅、娘のお気に入りのぬいぐるみ、黄ばんだボロボロの壁。
要らないものを集めていたら手が止まらなくなっちゃった。もう何もかもが要らないもう全部無くしてしまいたい
よく考えもせずマッチ棒を箱に擦り付けゴミの山に投げつける、瞬く間に物から物へ火が燃え移るのを私はぼーっとただただ見ていた広がる火に娘が気づき怯え泣くものだから力いっぱい抱きしめ離さない。絶対に離さない。
私はこのまま全て終わらせた。
わざと電気を使わず、カーテンを締め切ってキャンドルに火を灯す。
ベットから掛け布団を持ってきてその場で横になる。
すると窓の外から聞こえる落ち着いた雨音と、すぐ側で揺蕩うか弱い火だけが私の世界を創る。
サーサー、ぱちぱち、ぽとんぽとん、じゅっ……
優しい光が私の心を癒して、やがて、小さな眠りに頭を撫でられる。
作品No.004 課題名「キャンドル」 題「私の世界」
私のリサイクルショップのキャンドルは、夢の中で約束の地行きの空飛ぶ移動ローラーシューズ付なんだけど、運命の友人全員勝手に移動とワープ夢の中でしてて買ったあの日から永遠に、夢の中の約束の地の部屋の中に辿り着くまで履いてるよ。
きみとのおもいでをキャンドルで照らして
またおもいでをふやしてく。
キャンドルが消える時キャンドルはどう思って、キャンドルの周りのみんなはどう思うのだろう?
キャンドル本人はすごく嬉しそう。でも、周りのみんなはそれを望んでない。灯火がなくなるから。そんなみんなの悲しげな表情をみたキャンドルはまた火を灯し周りを照らすのだ。
キャンドル
ろうそくって何故だか少し好きで、ワクワクする気持ちを感じる。
私が思うに、クリスマスを連想させるものがあるからだろうか。
甘ったるいクリームに埋もれて、
そこから逃がれられない曖昧な灯りが
居場所であるはずの蝋を溶かしていく。
私はため息をつくように
揺れる雫を暗闇から釈放した。
キャンドル
寒い。
何も見えない。
ずっと暗闇の中にいる。
己で身を溶かすことも出来ずに、
暗闇の中でただひたすら待ち続けている。
置物として映えるような見た目ではない。
火を灯すという本来の用途を満たさない私に、
存在意義はあるのだろうか。
ライターを向けられても炙られるだけ。
チャッカマンは熱すぎて耐えられない。
健気なマッチ売りの少女なんてもういない。
私が求めるのはただ一つ。
同じ体で同じ火力で灯るあなたに、
キャンドルサービスをしてもらうこと。
そっと寄り添ってもらうこと。
時間はかかるかもしれないけれど、
一度でも火がつくならば、
すぐに同じ火力に並ぶから。
私も火を分け与えられるキャンドルになるから。
【キャンドル】
ずっと見ていたくなる不思議な魅力がある。
薄暗い部屋で、キャンドルの火が揺れていて、
気持ちが落ち着くと思う。
今ソワソワしている私にぴったりだ。
ゆらゆらと揺らめく小さな灯火が、命のようだと誰かが言った。
お前の手に持つその儚い炎を、決して途切れさせてはいけないと。
どんな激しい吹雪にあおうとも、冷たい雨に打たれようとも、風に煽られようとも。絶対に、この灯火だけは離すなと。
誰かが言った。
離したらどうなってしまうの。
なんて、分かりきったことを言う人々もいなかった。
「綺麗だね。」
高々と掲げられた無数のキャンドルを見て、彼は感嘆の声をもらした。
クリスマスが近くなると開かれるパーティには、協会の儀式としてキャンドルレーンというゲームが存在する。ルールは至って簡単であり、四つの人の列を作り、どのチームが全員のキャンドルに火を灯すのが一番早いかを競うというものだ。
その協会のボランティアとして参加した俺たちは、パーティの参加者が笑顔で掲げるキャンドルを見ながら雑談をしていた。
手伝いは一通り終わっており、やることといえば参加者が帰ったあとの後片付けくらいである。
「キャンドルって随分と原始的なものだって感じるけど、見るのは飽きないよな。」
揺らめく小さな無数の火と、薄暗い協会。
目に映る幻想的な景色に、不思議な感情が湧いてくる。
「君たちもキャンドルに火をつけるかい?」
突然横からかけらた声に、思わず体を跳ねさせて振り向くと。人当たり良さそうな優しい顔の老人が腰を曲げて俺たちを見上げていた。老人の手には二つの小さなキャンドルと身体を支える杖が握られている。
「僕達ただのボランティアなんですけど、いいんですか?」
首を傾げる友人に、老人はゆっくりと頷くと少し微笑んで言う。
「このキャンドルを掲げる儀式はずぅっと昔からこの協会でやっていてね。今はゲームと子供たちに親しみやすいよう言っておるが、皆が楽しみにしている行事のひとつなんじゃ。」
それは、全員がキャンドルを持って初めて成立するのじゃよ。老人は友人と俺にひとつずつキャンドルを手渡し、火を貰ってきなさいと優しい声音で言うと直ぐに背を向けて去っていく。
貰っておいて何もしないことも失礼なので、近くにいた若い男性達からキャンドルの火を灯させて貰った。
「うわぁ。この火、小さすぎて直ぐに消えそうだよ。」
友人が話しただけで大袈裟に揺らぐ火は、儚すぎて持っていられたものじゃない。
すぐにこのゲームという名の儀式的なものが終わらないかと俺は小さくため息をついた。
「あ。」
小さく声を上げた友人が、俺の手元を凝視している。
なんだと思い目を向ければ、ため息のせいか火は消えていた。
「お前何やってんだよ。」
「…別にいいだろ。」
火をつけたばかりで消してしまうというのはどうにも格好つかないし、居心地が悪い。
なんとなく視線を外してキャンドルを掲げる人々の方に目を向ければ、横から盛大なため息が聞こえた。
「貰ったばっかなのに。」
「うるせぇ。」
そんなのわかってる。隣からグチグチと言われる言葉を無視し、揺らめく炎たちを呆然と見つめた。
あんなもの、水をかけたり風を吹かしたりすれば、直ぐに消えてしまうのに。
なにがいいんだ。
「ったく。しょうがないな。ほら。」
「は?」
手元が少し暖かくなったことに疑問を持ち目線を戻すと、再び火がともされたキャンドルがそこにはあった。
いいって言っただろ。と言えば友人は素知らぬ顔でそんなこと聞いてない。とそっぽを向く。
もう一度ため息をついて消してやろうか。
と考え始めた時。
友人は俺の思考を読んだかのように嘲笑した。
「君がどんだけキャンドルの火を消そうと、無理矢理つけてやるよ。」
何故かその言葉に、俺は凍りついたように動けなくなった。何度も火をつけてやる。
それはキャンドルに対する言葉だ。決して俺に向けられたものでは無い。けれど、なんでか、何故か俺の心を揺さぶった。
「おい。大丈夫?」
固まった俺の目の前に手をヒラヒラと振りながら呆れたように顔をのぞき込む友人に、俺は何も反応を返せない。ただ見つめることしか出来ない。
人間酷く心が揺さぶられると動けなくなるものなのだろうか。
「…なんでもない。」
やっと出せた声は掠れていて、どう考えても何かある。だけど俺は知っていた。俺が話したがらなければ、友人は追求することはしない。
「あっそ。」
案の定、友人は気にすることなく自分の手にもつキャンドルに目を向ける。
「それではみなさーん!願いを込めてキャンドルの火を吹き消してください!」
協会のステージに立つ女の人がマイク片手に陽気な声で言った。騒がしかった会場は静まり、皆が願い事を考え始める。うーんと唸る友人を酷く羨ましく思えた。
「皆さん決まりましたか?カウントダウンで一斉に行きますよー!さんー!にー!いち!」
ふっと灯火が消えた暗い空間の中、一つだけジュと嫌な音が聞こえた。
【キャンドル】
燃えよ、燃えよ、盛えよ。
この灯火は、我が心情。業火の如く。
小さな炎と侮るなかれ。
小さな炎と言えど、貴殿を魅せることは充分よ、容易きことよ。
ええ、ええ。
ご覧なさい、怯えるならば、近づきなさるな。
しかし、手に入れたいなら怯えなさるな。
我が心情は、まだまだ燃え咲き足りぬよ。
ぜひぜひ、我に、恋という業火を教えてくんなませ。
大丈夫だよ
そんなに
思い悩まないで
私がいなくても
君は幸せに
生きていけるし、
君がいなくても
私はなんとか
生きていけるから
眠れない
君のココロに
キャンドルを
キャンドル塔での事件が解決してから、マダムグリムは忙しい身らしくちっとも会ってくれない。結局、僕ら「こども自警団」は森のツリーハウスにたむろっている。みんな拾ってきた新聞を読むときだけ目をらんらんとさせるけど、あとはどこか虚しい空気がただよっている。かくいう僕も瓶の王冠を眺めるのに飽きてきた。ヴィルヘルムさんはミュンヘンまで無事に着けただろうか。考えてもどうしようもないことをどうしても考えてしまうけどみんな口には出さない(ピーターを除いては)。それは今回の一件で僕らの中に共通して生まれた暗黙であり戒めなのだ。
何もかも丸く収まるなんて都合がいいことは、滅多に起きない。ささくれだったチクチクを忘れる頃に、やっと僕らは大人になれるのかもしれない。
ひとつひとつ丁寧にライターで火をつける。小さくてかわいいキャンドル。暗い部屋の中で、ただ蝋が溶けていくのをぼんやり眺めるのが好きだった。
まっ暗なのも怖いけど、明るすぎるのも嫌な気分。今、私を見ているのはキャンドルだけ。
【キャンドル】
キャンドルの火は暖かい
心まで少しずつ暖めてくれる
君にとって私はそんなキャンドルのような存在で入れることを願っています。
暗い部屋に灯る小さな灯り。
そのキャンドルはとても小さかった。
今にも消えて溶けてしまうようなキャンドルだった。
でも私はこの小さなキャンドルが大好きだ。
小さくてもこんなに淡く灯る火が
とても綺麗に見えるから。
それに普通の光よりも何故かこのキャンドルの火は
私の心の中に暖かい光をともしてくれるから……
キャンドル
むわっと薄い白が空気に滲んで消える代わりに
ふわっと空に旅に出たわたしのわんこが記憶から現れる。
きっと神様の周りをくるくる走って
神様も天使たちも空にたどり着いたたくさんの人も君を見て微笑んでるんだろうね。
火を灯す。
床も壁も、隙間が無いほどに敷き詰められたキャンドルに。
一つ一つ、小さな生命の火を灯す。
君はそれを、一つずつ消していく。
僕が灯したキャンドルを、乱暴に、握り潰すように。
僕が火を灯す度に君が消していくから、いつまで経ってもキャンドルはいっぱいにならない。
「どうして消すの。」
僕は尋ねた。
せっかく灯した生命の火なのに、どうしてそれを消してしまうのか。
君は、小さな火で酷い火傷になった手のひらを僕に見せた。
「少し触っただけで、こうなる。」
「だったら、消さないで。」
「できない。だって、」
君は、火傷した手で僕の手を指さした。
「お前は、自分の手が燃えてることに気づいてない。」
言われてやっと、気がついた。
キャンドルに生命の火を灯すたびに、僕の手にも火がついていたこと。
増えすぎたキャンドルが、僕自身を焼いていたこと。
今までずっと気がつかなかつた。
「キャンドルが、増えすぎた。お前の手まで燃えるほど。」
キャンドルは、小さな灯りをちろちろと揺らしている。
今まで大切に守ってきた灯りが、急に冷たく、重いものに感じた。
「だから、減らさないと。」
君は笑って、キャンドルを一つ踏み砕いた。
***
そうして、全世界に拡散した一つの感染症によって、多くのキャンドルの灯りが消えた。
[キャンドル]
学校から帰ると、テーブルの上に見慣れない箱が二つ置いてあった。
そこへ母が帰って来たので、これは何かと尋ねた。母は気まずそうに
「うん…あのね、蝋燭立て」と言った。
「蝋燭立て?外国の本に出てくるやつ?銀とか真ちゅうの?」
「ううん、ガラス」
話を聞くと、昼間家の前に突然若い(母によると超絶イケメンの)男の人が現れて、気の毒な身の上話を聞いてあげたところ、もしよかったら自分が作った蝋燭立てを買ってくれないかと言われ、だいぶ迷ったが買ってあげた、ということだった。
「だってね、芸術家の卵だっていうのよ。応援したくなるじゃない?」
「高かった?お父さん、怒った?」
「怒鳴られちゃった。」
どうやら小学生の私には想像もつかない額だということは分かった。
「見せて見せて!」
そう言うと、母は少しワクワクしながら箱を開けた。
細長い箱から出てきたのは、本当に透明なガラスの燭台だった。取手のところがクルクルと捻ってあり、中に小さな気泡がたくさん浮いていた。
もう一つはワイングラスだった。
これは燭台を買ってくれたお礼だそうで、紫色の持ち手に分厚い飲み口の全体が傾いているグラスだった。どこか海の生き物を思い出す形だった。
夜になって姉や兄、そして父が帰って来て、口々にその「作品」の批評をした。
そして要するに、母はイケメンにコロッと騙されしょうもない物をぼったくられたけれども、まあこれで一つ学んだんだから今後は大丈夫よねと結論が出て、その件はおしまいになった。
燭台とグラスは、サイドボードの隅に押し込まれるように飾られた。
先日ふとこのことを思い出し、母に覚えているかと聞いたところ、後日談があることが分かり驚いた。
その「事件」から半年ぐらい経った頃、郵便受けに無記名の小さな包みが入っていたそうだ。
母は急いで庭のベンチに座り、それを開けた。
差出人はやはり、あのイケメンだった。同封された手紙には鹿児島の住所と初めて知る彼の名前、そして
「怪しい自分のような者の話を聞いてくれた上に、作品まで買ってくれて、とても嬉しかった」という内容が書かれていたという。
そして幾重にも巻かれた白い包みを解いて現れたのは、なんと金色と銀色の蝋燭だったそうだ。
芝生の緑を背に、陽の光に照らされた二本の蝋燭は、母の手の中で眩しく輝いたという。
「あの燭台に合うと思ったんでしょうね。蝋燭を立てたら驚くほど素敵になったの。彼に見せたかったな」
そう言って、電話の向こうで母は笑った。
学校から帰ると、テーブルの上に見慣れない箱が二つ置いてあった。
そこへ母が帰って来たので、これは何かと尋ねた。母は気まずそうに
「うん…あのね、蝋燭立て」と言った。
「蝋燭立て?外国の絵本とかに出てくる?銀とか真ちゅうとかの?」
「ううん、ガラス」
話を聞くと、昼間家の前に突然若い(母によると超絶イケメンの)男の人が現れて、気の毒な身の上話を聞いてあげたところ、もしよかったら自分が作った蝋燭立てを買ってくれないかと言われ、少し迷ったが買ってあげたということだった。
「だってね、芸術家の卵だっていうのよ。応援したくなるじゃない?」
「高かった?お父さん、怒った?」
「怒鳴られちゃった。」
どうやら小学生の私には想像もつかない額だということは分かった。
「見せて見せて!」
そう言うと、母は少しワクワクしながら箱を開けた。
細長い箱から出てきたのは、本当に透明なガラスの燭台だった。取手のところがクルクルと捻ってあり、小さな気泡が浮いていた。
もう一つはワイングラスだった。
これは燭台を買ってくれたお礼なんだそうだ。持ち手は紫色でグラスの飲み口は分厚く、全体が傾いていた。どこか海の生き物を思い出す形だった。
夜になって姉や兄、そして父が帰って来て、口々に燭台とグラスの批評をした。要するに母はコロッと騙されてぼったくられたけれど、まあ一つ学んだね、今後は気をつけて、とその話はおしまいになった。
燭台とグラスは、サイドボードの隅に押し込まれるように飾られていた。
先日ふとこのことを思い出し、母に覚えているかと電話したところ、後日談があることが分かり驚いた。
その「事件」から半年ぐらい経った頃、郵便受けに無記名の小さな包みが入っていたそうだ。同封の手紙でその男の人からだと分かったらしい。
手紙には「怪しい自分のような者の話を聞いてくれた上に、作品まで買ってくれてとても嬉しかった」と綴られていたそうだ。
そして白い包みをぐるぐると解いてやっと出てきたのは、金色と銀色に輝く二本のキャンドルだったらしい。
「あの燭台に合うと思ったんでしょうね。蝋燭を立てたら驚くほど素敵になったの。彼に見せたかった。」
そう言って母は笑った。