粥井

Open App

寒い。
何も見えない。

ずっと暗闇の中にいる。
己で身を溶かすことも出来ずに、
暗闇の中でただひたすら待ち続けている。

置物として映えるような見た目ではない。
火を灯すという本来の用途を満たさない私に、
存在意義はあるのだろうか。

ライターを向けられても炙られるだけ。
チャッカマンは熱すぎて耐えられない。
健気なマッチ売りの少女なんてもういない。

私が求めるのはただ一つ。
同じ体で同じ火力で灯るあなたに、
キャンドルサービスをしてもらうこと。
そっと寄り添ってもらうこと。

時間はかかるかもしれないけれど、
一度でも火がつくならば、
すぐに同じ火力に並ぶから。

私も火を分け与えられるキャンドルになるから。

11/19/2023, 4:48:28 PM