『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
窓際の席。風の強い日。
換気をしようのポスター。
照らされた黄色い生地と、日陰の黒板。
きいろ、みどり、きいろ、きいろ、みどり…
まぶしい、くらい、まぶしい、まぶしい、
くらい、くらい…くら……くら………
踊る布と同じくらい、気分もふんわり夢心地。
あ、前の席の子に窓閉められた。
カーテンはすっかりしぼんで、
その後ろにいた先生がこっちを見て……
やっぱり怒られた。
その間、カーテンは素知らぬ顔。
きっちりと結ばれ、どこかりりしい。
子供をからかうおじいちゃんみたいだ。
いつまでも守られてると思うなよって?
やかましいわ。
子供の時、アパートに住んでいて、
わたしは自分の顔を隠す手段というのを昔から好んで、カーテンを自分の顔に覆いかぶせることが多かった。
寝っ転がって、お行儀が悪いかも知らないけど、昔から飽き性だったし食事中の家族の視線の圧なんかを感じてたから、寝っ転がって休憩して、うとうとした。
昔から、家族に自分の感情を見せることに蓋をしてきた。あまりそうしたいと思わなかった。
感情を見せる=自分の心の機微を相手に知られてしまったら、負け、のように感じていた。
そんなわたしの感情をかくしてくれる、
ひとりになる空間を残してくれる、
隔たりをつくってくれた、あの空間を、わたしは冬の日に大事に思う。
学校の保健室のカーテンが揺れるのが好きだった
でもチャイムがなったらあの場所に戻らなきゃ行けないのが怖くて
ずっと、カーテンの隙間から見える青空を眺めていれたら幸せだったのに
カーテン
カーテン。それは、部屋のプライバシーを守ってくれるのと同時に、1日という舞台の幕の役割もあるのかもしれない。
朝起きて、カーテンを開いて、シャッターも開く。
朝日が空に広がり始めた頃だ。
新鮮な日差しをいっぱいに浴びるのはなんて幸せなんだろう。
さぁ今日も1日が始まる。私は着替えてリビングに向かった。
夜になって、濃紺の空を見上げ涼しい風を浴びる。
今日もよく頑張った。夜空はまるでカーテンコールの客席。
シャッターを閉めて、カーテンも閉める。
明日はどんな物語が幕を上げるのだろう。
不安と期待をかかえ布団に入った。
カーテン
我が家のリビングの掃き出し窓と、腰高窓にかかっているカーテンは40年以上前の年代もの。
色に拘りのある義母が、生地を選んで自作したカーテン。生成りの地に茶の格子がおしゃれです。
わたしが初めて遊びに行ったときからありました。
まだまだ現役のカーテン。
長い間、家族の生活をみてきたカーテンです。
大切に使うとカーテンは長持ちするんですね。
「君はいつもひらひらして、楽しそうだね」
暖かくなってきた風に乗ってカーテンが揺れる。
最初は忌々しかったそれも、今ではすっかり友達だ。
「風に乗るってどんな感じ?」
尋ねるというていで呟き目を閉じる。
考えるのは、カーテンになった自分。春のぽかぽかした日差しの元でひらりひらりと優雅に舞えたら。
どうせなら、こんな陰気臭い部屋の真っ白なカーテンじゃなくて、明るい部屋の、色鮮やかなものがいい。
ふわっと一際強く吹いた風に乗って、カーテンが私の頬を撫でていく。なんだよ、君も私のことが好きかい?
―――懐かしい夢を見ていた。懐かしい、と思う記憶すらこの部屋の中だなんて、つまらない人生。
「起きたの?」
母の優しげな、悲しそうな声。ゆっくりとそちらに顔を向ける。あのカーテンの前に立つ母の顔がよく見えない。
「……あ、さ……ん」
声が掠れる。そういえばやけに体が重い。
「……がんばったね」
「……ん」
ああ、そっか。もうだめなんだ。
不思議とあまり悲しくはない。しいて言うなら、優しい両親よりも先に逝くのが申し訳ないけれど。
「あり、がと」
残る力を全て込めて声にした言葉は、届いただろうか。
それを確認することも返事を聞くこともできずに、私は眠りに落ちた。
ひらり、ひらり。
風に揺れるカーテンが、だらりとベッドからのびる少女の手を撫でた。
まるで、もう目覚めることのない友を労るように。
お題《カーテン》
金木犀の香りがする季節。
淡いカーテン越しに、君を盗み見。
ほんの少しの勇気があれば伝えられるのに。
君が近くて、遠い。
君の隣には、いつも笑顔のかわいいお姫様。
胸巣食う錆びた感情。
わたしが行き着く先は――泡となって消えるお姫様。
カーテンはいい
真夏の暑さから、真冬の寒さから守ってくれる
日の日差しを遮ってしまうのは仕方ないけれど、夜の寂しさからも守ってくれるんだろうな
#カーテン
ひとつ風が吹いて、
君乃気配がしたような気がする
でも後ろを振り返れば
そこにあるのはただ揺れているだけの…
カーテン
朝起きて、カーテンを開ける。空気を目一杯吸い込んで、ふと前を向く。目が合った。多分相手も同じことをしていたのだろう。なんだか気まずい。
朝時々見かけて、軽く会釈する程度。会話なんかしたことない。家の外で見かけるあの人は、スーツを着こなしてて、『大人』って感じがした。
そんな人の意外な一面。ボサボサの髪、寝起きでショボショボの目、庶民的な部屋着。好きだったわけじゃない。ただオフショットが見られた優越感に浸っていたかっただけ。
もう一度見れないかな。
その日から朝起きると、カーテンを開けるようになった。お隣さんは気まぐれで、開いてる日もあれば閉まってる日もある。偶に姿を見ることができて、テンションが上がる。
そして数年が経った。
その日、カーテンを開けると、隣の部屋は空っぽだった。
正確には、物がないわけじゃなかった。ただ、そこにあったはずのあの人の痕跡が消えてた。
「お隣の〇〇さん、一人暮らしするんですって」
朝食の席で暫く前にそんな話を聞いた気がする。そうか、〇〇さんっていうんだ。そんなことも知らなかった。
翌日も、そのまた翌日もカーテンを開けた。そして毎日、空っぽの部屋を見つめる。
『カーテン』
カーテン。
カーテンの中は
かくれんぼで
よく入ったなぁ。
大人になって
見てみると
すぐに
バレるのね。
かわいいカーテンに
憧れる。
風が吹いたら彼に触れることが出来て、太陽が眩しいと彼に触れてもらえるそんな君が羨ましいよ
🍀カーテン
ひらひらと揺れるカーテンの向こう側。
私とあなただけの秘密の場所。
よそ者は立入ることを禁ずる。
2人だけの世界。
全ての感情の表出が許される。
強く風が吹く。カーテンが強く舞う。
外の世界と混ざる。
ひらひらと揺れるカーテンの向こう側。
私とあなた以外の人もいる場所。
2人きりになることを禁ずる。
みんなの世界。
全ての感情の表出を抑える。
カーテンのすき間から
差し込む朝の光は
雨雲のあいだから
差し込む光に似て
あなたを優しく包む
真っ暗なステージの一点を
パァーと明るくする
スポットライトに似て
あなたを主人公にする
さあ、昨日のことは忘れて
あなたの物語を演じ続けるのだ
あなたの笑顔を
みんなが待っている
題「カーテン」
カーテン
現実の世界に絶望し、引き込もっている。
外の光も音も温度も風も、何も感じない。
お陰で部屋は昼間でも薄暗い。
暫く窓も掃除をしていないのでカビだらけで、カーテンをも侵食し始めていた。
自分はすでに侵食されている存在だな。
馬鹿な空想に浸りながら、死を考える。
めちゃくちゃな人生だ。
心のカーテンは疾うに腐っているのに。
揺れていた
あのカーテンは
大空からの風を受けて
静かに靡いていた
ふとカーテンが開いて
窓枠に切り取られた空は
異常な程に青く
白く光る太陽が眩しかった
この空をキャンパスに収めようと
筆を握った手が微かに悴んで
冬の訪れを感じさせた
冷たい空気のなか
澄んだ青空を見上げると
カーテンがそれを遮るかのように
外からの光を遮断した
「秋は、どこ行っちゃったんだろ」
いつもの如く口にした言葉は
あの大きな青空に吸い込まれた
季節外れの寒さの中
吐き出した息は白く濁って消えた。
カーテン
カーテンに残ったコーヒーのシミが
ハートの形をしていることに気付いた今日。
ちいさなちいさな笑顔があふれた。
カーテン
カーテンを開ける
すると、そこには、
雲が動いて、空の色が変わって
見るたびに変わる景色
『カーテン』
カーテン
カーテンが風に吹かれてふわっとなるのを見るのが好きだ。
実家を建て直して、自分の部屋を作ってもらった。
カタログの中から自分の好きなカーテンを選んでいいよと言われたときは嬉しくてワクワクした。
オレンジと黄色のチェック柄のカーテンを選んだ。
太陽の光りに照らされると、自然に光が入ってきて、とても明るい部屋になる。オレンジと黄色のカーテンを選んで正解だ。とてもお気に入りのカーテンとなった。今もそのカーテンは、実家の私の部屋に存在している。
短い小説 『カーテン』
あれは少し前の話。私は家でテレビを見ていた。
夜が寒い季節になりつつ、空はすっかり秋の夕暮れ。
「うぅ、、寒い」
身震いしながらシャッターと窓を閉める。
最近私は人生で必要な知識を得ることに必死だ。
特に投資はやっておいた方が良いと確信し、今日も本と動画を見る。
そんな時だった。
サラサラ…
最初は気のせいだと思っていた。しかし、
ユラユラ…
カーテンが僅かに揺れていた。風もないのに。
窓も確認したが、ちゃんと閉まっていた。
背筋が凍った。
たまらず私は立ち上がり、カーテンを注意深く見た。
しかし何も起こらなかった。
気のせいか?勉強のし過ぎで疲れたらしい。そう自分に言い聞かせ、少し休もうと腰かけた。
ウトウトして頭も目もボーッとしていたが、カーテンの端から何かが出てくるのが見えた。その姿を見た時、一瞬時が止まった。
ムカデであった。
私は悲鳴をあげ、そいつを退治やら処理やらするのに数時間はかかった。
おかげで投資の知識は全部どこかにぶっ飛んでしまった。
それから数日はカーテンを見るのも触るのも近づくのも怖い日が続いたのだった。