『カラフル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
明度と彩度
感性とセンスの黄金比でバランスが整われてないと
ただの毒にしかならない視覚の栄養
『カラフル』
三時間前は昼食のカレーが思いのほか辛かったようで渋い顔をしていた。二時間前はリビングで真面目な顔をしながら本を読んでいた。一時間前は外干しの洗濯物についた虫を困り顔で追い払っていた。それから今。時間ごとに色んな表情を見せるあの人は、自室にこもって出てこない。何かおやつでも、と呼びに来たはいいが邪魔をしたら悪い気がする。今何を、どんな顔でしているのだろう。部屋の前で逡巡していたら、いきなり目の前のドアが開いた。そして至近距離で悲鳴が上がった。まさか自分がいるとは思っていなかったらしく、心底驚いた様子でへなへなと肩口に縋りつく。不慮の事故とはいえ、そんな顔をさせる気はなかったので少し申し訳ない。つい笑ってしまったことも含めて、謝りながら撫でて宥める三時過ぎ。
(題:カラフル)
色とりどりの花が詰められた箱の中の君は、どんな色鮮やかな花より美しい。
貴方の持っている色と
僕の持っている色を混ぜたら
僕の持ってる暗さと貴方の持っている明るさが掛け合わさり
程よい色が出来そうです
教室のカーテン撫でる緑風は白いページもカラフルに染む
老母逝き風の踊りたる病室に馴染まぬピンクのガラケーの艶
題目「カラフル」
スマホの壁紙を変えて欲しいと言われ、祖母のカメラロールを覗いた。
一面に並ぶ色鮮やかな写真たち。
先週訪れた日光東照宮の陽明門、三猿、猫。
カモメが飛び立つ海辺の公園。
桜吹雪の下を歩くポチの後ろ姿。
そして…
「あぁ、これこれ」
祖母が指差すのはアルバムの一枚目。ぐちゃぐちゃの線で描かれた落書きの写真だった。
「あんたがちっちゃい頃くれた絵だよ。『ばぁばをかいたの!』ってね」
…もう二十年も前の絵だ。
すこし黄ばんでこそいるものの、折り曲がった跡もない綺麗な画用紙……。
祖母はこの一枚を、ずっと大切にとっていてくれたのだ。
「ありがとね、夕子」
祖母はずいぶんとカラフルになった画面を撫でながら、私にそう微笑んだ。
色とりどりでいい
青でも
赤でも
真っ黒でも
大切なのは
それぞれを否定しないこと
比べないこと
恋をすると世界が色付く、なんて嘘だ。
実際には、色を失って、その人以外は全部灰色に見える。
ホコリを被ったように重苦しい視界の中、彼だけが色彩を放つ。
きっと、神様が世界に色を付ける時、彼を初めに塗ってしまったのだ。だから、その絵の具が乾くまで、周りに色を付けることが出来ない。
ああしかし、絵の具の乾きの遅い事!
どれほど経ってもその人は、鮮やかにてらてら輝いている。不気味なほどに、美しく。
いくら神様だからって、ちょっと悠長すぎだ。コンクールの期限はそんなに長いのだろうか。
この絵の具が乾かないうちは、僕は彼を見続けるだろう。だって、白の中に朱があれば、思わずそちらに目が行くだろう?僕の場合は極彩色が、灰の中に異彩を放っているんだ。
どうしてそれを、見過ごせようか?
早くパレットに絵の具を出して。
油彩だろうが水彩だろうが、この際クレヨンだって良い。早くキャンバスに描きこんで。
もう僕の目はチカチカしてめくらになりそうなんだ
日常はどんな色だったろう
僕は彼の色しか分からなくなってしまったんだもの!湖はどんな色だったか、家の外壁は何の色だったか、今まで見えていたもの全て。
彼が奪って身に纏ってしまった!
しかも僕はそれに馴染んでさえいる。
もし彼が恋に落ちれば、彼にも同じように見えるのかしら?
少なくとも、僕の極彩色はまだ消えてくれそうにない。
お題『カラフル』
緑に囲まれて気持ちいいって言う時
その緑は一色だけじゃないんだよなあ
いろんな色合いの緑
木の種類によっても
おんなじ木の葉っぱによっても
雨の日晴れの日曇りの日
おんなじものでも違って見える
いろんなものが見えてくる
いろんなものを見たくなる
カラフルっていいな
つまらない人生を「色がない」とは
よく言ったものだ。
どれほど美しい風景も
どれほど美味しい料理も
俺にしてみれば全て灰を被っているも同然だった。
君に出会ってからなんだ。
世界が色づき始めたのは。
俺の人生、君といるこの時間が
目映いほどにカラフルだ。
カラフルなものには目が行く。子ども達はカラフルが好きだ。私も子どもの頃はカラフルが好きだった。カラフルに惹かれて近寄ってみると、看板一枚がただ、色とりどりに描かれただけのものだったりもしたのだが、カラフルを見かければ懲りずに近寄って行った。「何か楽しくすてきな」気配がしたから。
マーブルチョコ
お菓子のパッケージ
風船のかたまり
楽しそうな何か
化粧品売場
色鉛筆セット
ちらし寿司
バースデーケーキ
花畑
虹
彩雲
色のそれぞれには、特有の波動がある。
色の彩度、色の明度、色の組み合わせにも、響きがある。それは、人間の感覚を通じて意識に作用するとも聞く。好きな色彩が生活スペースにあれば、心身に良い働きがあるそうだ。
明るいトーンの、内側から光るような色彩を、心の中に咲かせたい。
「去年は『狐の子供が宝箱持って、駄菓子屋とか和菓子屋とかまわってお気に入りのものを買って、宝箱の中身をカラフルに染めた』ってハナシを書いた」
なんか「白って200色あんねん」の「200色」はカラフルと言い得るか、みたいなことも悶々考えてた記憶もあるわな。
某所在住物書きは色のついたマーブルチョコレートをパリパリ噛み砕きながら、アプリの通知文としばし、にらめっこを続けていた。
たしか先月「無色の世界」なるお題があった。
そこからの「カラフル」だという。
無色と有色でペアになる物語でも書ければエモいのだろうが、残念、物書きが先月手を出したのは「無色(むしき)」、仏教用語の方であった。
「カラフルねぇ」
物書きは毎度恒例に、途方に暮れ、窓の外を見た。
「……意外と車の色って、皆似たりよったり」
――――――
最近最近の都内某所、某アパートの一室、午後。
部屋の主を藤森というが、その藤森の後輩と、藤森の友人の付烏月――ツウキが、
陽光さし込む少し温暖な室内で、数種類の冷茶をチビチビ。8K対応テレビモニタを時折観ている。
ガーネットのアールグレイ、琥珀の台湾烏龍、トパーズの川根に翡翠の八女。レモンを絞ればバタフライピーはサファイアからアメジストへ。
卓上は色にあふれ、それら茶の宝石にふさわしく、菓子にはパステルカラーのマカロンが控えている。
「……うん」
モニタを観ていた後輩が、確信をもって頷いた。
「カラフルではないけど、キレイ」
無論、茶と茶菓子に関しての評価ではない。
――時刻はその日の正午までさかのぼる。
午前中で仕事を終えた後輩は、同僚の付烏月と共に店内の掃除とセキュリティー点検を済ませて退勤した。
ブラックに限りなく近いグレー企業ながら、祝日はキッチリ休業日。明日から、待望の4連休である。
『今日、久しぶりにモンカス来たじゃん』
その4連休直前に、後輩は「彼等の店のサービスにご満足頂けていない客」と遭遇した。
来客用に出したアップルティーにケチを付けられたのだ。しかもバチクソどうでもいい理由で。
『アップルティー出したのと、「リンゴの花は白ばっかりでカラフルじゃない」のと、「多様性を認めてない」のって、なんか、関係ある?』
『しらな〜い』
せっかくの「連休の前日」が台無し。
そこで付烏月は一計を案じ、後輩の先輩であるところの藤森にスマホで連絡。
『とりあえず、藤森のアパートで飲み直す?』
お茶好きにして花好きである、雪国出身の藤森に、
「カラフル」な茶と
「カラフル」なリンゴの花の画像の準備を求めた。
某和菓子屋の和色でパステルなホイップマカロンを手土産に、後輩と付烏月が藤森の部屋に到着すると、
モニタには、一斉に咲いた赤と白の林檎花の海、
卓上には耐熱ガラスの1〜2杯用ティーポットに入れられた複数色のアイスティー。
『まぁ、確かに、リンゴの花はカラフルではない』
モニタはスマホとリンクしているのだろう。手元の板をスワイプして、藤森が言った。
『カラフルではないが、多分、キレイだと思うよ』
で、物語は冒頭の数行へと繋がるワケである。
――「真っ白とか、少しピンクとか、模様みたいに赤が混じってるとか。ヒトコトに『リンゴの花』って言っても、色々あるんだね」
形も違うし。大きさも違うし。スワイプスワイプ。
レモンを絞ったバタフライピーで喉を湿らせて、後輩が藤森に言葉を投げた。
「もっと濃い、『赤い花』のリンゴもあるそうだ」
今回はちょっと、用意できなかったが。
言葉を返す藤森は付烏月が台湾烏龍をガブ飲みしているのをチラリ横目に、ため息。
新しく茶葉と湯を用意している。
「白、赤、ピンク、薄桃。まぁまぁ。そのクレーマーが言うところの『カラフルじゃない』は……一応。
で、付烏月さん、気に入ったのかそのお茶」
「ふぇ?」
「さっきから烏龍ばかり」
「なんか、あんこホイップマカロンと合う」
「あんこには、日本茶では?八女や川根は」
「うーうん。烏龍」
あーだこーだ、云々カンヌン。
藤森と付烏月が柔らかく穏やかな議論を重ねている間に、後輩は黙々と花の画像をバックにバタフライピーやらマカロンやらの写真を撮ってはゴクゴクぱくり。
ほぼ一人勝ちも同然である。
「カラフルとキレイって、必ずしもイコール、ってワケじゃないんだね」
後輩が言った。
「……甘味だけでなく塩味も食べたくなってきた」
今の彼女には味の多色性が求められているらしい。
んー……どうしよ。
あたりを私は見渡す。藤井大丸の七階、その最奥にある店舗がここバーバルである。
京都一と言っていいほどお洒落な空間が広がっている。
そんなところで、迷うなと言う方が無理である。
まるで、美術品が展示されるようにかけられている服。
タンスの肥やしとなったボトムスが頭に浮かぶ。
これなんか合いそうだけど……私は手にとったシャツを鏡で合わせる。
ピンとこない。
店員が近づいてくる。
ご試着承っております、とそのひとは言って去ろうとする。
よし、ここはひとつプロから技術を盗むとしよう。
「こういう白いパンツに合う上をさがしてるんですけど」
カラフルな背中に向かって私は声をかけた。
私の世界が総天然色だったのは
あなたと出会ってからだったことを忘れていた
あなたが去った今
すべてが色を失った
その現実が私の心に突き刺さる
お題「カラフル」
創作 「カラフル」
炎色反応という現象がある。炎の中に特定の金属を加えることで炎の色が変わる現象だ。例えば花火の色が変化するのは炎色反応を活用しているからなのだそう。
俺はあれから嫉妬の炎で身を焦がしていた。彼女が別のクラスの男から何かをもらっていたのを見てしまったのだ。しかも、彼女のあのにやけ顔。いつも俺の前では澄ましているくせに。俺は灰色な感情をくすぶらせていた。
部室の戸を開けると、先に来ていた彼女が普段通り、つんと澄ました顔で後輩の作品を添削していた。俺は彼女の向かいに座り自分の作品に取りかかった。
「あ、昨日ね良いものもらったんだ」
彼女がリュックから一枚の紙を取り出した。大きな見出しが目立つ商店街のイベントのチラシである。下のほうにじゃんけん大会の参加券がついていた。
「どーしても欲しいものがあって。そしたら、ちょうど先輩からこれを譲ってもらったんだ。来週の休み一緒に行こうよ」
ふっと灰色な嫉妬の炎が鎮まる。そして、なんだかいろんな感情が入り乱れ、俺は乾いた笑いをもらした。
「……来週の休みね。行こうか」
「え、本当?やったぁ!」
俺の感情は彼女の表情で、言葉で色が変わる。まるで炎色反応のように。 そして、 彼女の気持ちが俺と同じ色に燃えていることを少しだけ期待してしまうのだ。
(終)
昔友達と心霊スポット旅をした帰りに高速道路上で3本の虹を見たことがある。
夕日が出ていてデカい雲が鬱蒼としたところから小雨が降っており、そこから柱のように虹がカーブして「スゲー」と言いながら友達が運転してる横でカメラにおさめていた。
虹はキレイでカラフルだったが、連なっていたのではなく雲の層の色々なところから突き出すような感じで出ており、生涯これを見ることはないのかもしれないと思った。
そして今思えばそんな経験が、自分にして見ればなんてことない事なのだが、貴重な経験だったな。
記憶はカラフルだが、今という時をもっと大切にしていけたらいいと思う。
あの子かわいい
あの人かっこいい
でもあの子よりあの子のほうが、
君の色は所詮君にしかなくて、
僕の色は所詮僕にしかなくて、
特別な色なんか1つもなくて、
みんなただの人間なのに、
特別になりたかったのに、なんとなく気づいてた僕に
価値なんかなくて、誇れるものなんてなくて
誰かの特別になんてなれるわけがなくて
でも、それでも、僕は僕なんだって思いたかった
かわいくなくていい、かっこよくなくていい
顔の美しさでしか指針をたてられない僕に
醜いものが受け入れられるわけなかった
そんな僕が1番醜いのにさ
カラフル
米粒よりは大きいけれど、私たちはかなり小さい。丸くて、でも凸凹してて、ピンクや水色、緑、白色のものもある。ただの砂糖の塊だなんて言わないで!ただ甘いだけかもしれないけど、その愛しい小ささや、心が躍るようなカラフルな色でなんだか幸せな気持ちになるでしょう?
駄菓子屋さんに行って、並んでるのをみたらつい買ってしまいたくなるもの、金平糖。
カラフル
色とりどりのキャンディ。いちごにメロン、色々な味が楽しめて嬉しいね。でも好きな味だけ入ってるほうがいいよね。だから買うのは金のミルク。
キャンディというか飴は時々買うけどアソートより一種類だけ入ってる商品のほうがいいよな。だって好きな味だけ食べれるんだから。
その味に飽きて別のを食べたいのならまた別の商品を買えばいい。そうすれば好きな二種類の味が楽しめる。
でもアソートの中にしかない味っていうのもあるんだよな。それちょっと食べてみたいけどほかの味は別に、みたいな感じになって結局アソートは買わないけど。
キャンバスに好きなだけ、好きな絵を描いてください。
そう言われて、幼稚園の頃は大好きな家族を描いた。
小学生の頃はお気に入りのぬいぐるみたちを目一杯描いた。
中学生の頃はお友達を描いて、高校生の頃は再び家族に戻った。
結局、幼稚園の頃と高校生の頃は変化なし。
けれど、キャンバスを見比べると、大きさが違った。
幼稚園の頃はキャンバスの真ん中に、ポツン。
高校生の頃はキャンバス全体に、ドカン。
これは視野の違いだろうか。
ふーむ、分からん。