裏表のないカメレオン

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 んー……どうしよ。
 あたりを私は見渡す。藤井大丸の七階、その最奥にある店舗がここバーバルである。
 京都一と言っていいほどお洒落な空間が広がっている。
 そんなところで、迷うなと言う方が無理である。
 まるで、美術品が展示されるようにかけられている服。
 タンスの肥やしとなったボトムスが頭に浮かぶ。
 これなんか合いそうだけど……私は手にとったシャツを鏡で合わせる。
 ピンとこない。
 店員が近づいてくる。
 ご試着承っております、とそのひとは言って去ろうとする。
 よし、ここはひとつプロから技術を盗むとしよう。
「こういう白いパンツに合う上をさがしてるんですけど」
 カラフルな背中に向かって私は声をかけた。

5/2/2024, 3:45:27 AM