『エイプリルフール』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
エイプリルフール
無意味なものはないと思っていたが
まさかの無意味な風習があった。
バレンタインやハロウィンのように
イベント商戦があるわけでもない。
子供時代は、4月1日だけできる会話
として特別感は確かにあった。
大人になってする会話ではない。
変なの。
ちなみに、今日の夕飯は
A5ランクの牛肉でした。
【エイプリルフール】
嘘かもしれない
という希望を残したいから
どうか
告白の返事は
エイプリルフールに
この人生どうか嘘だと言ってくれ
世界はこんなにも美しいのに
「エイプリルフールについたウソって、一年間は叶わないらしいよ」
へぇ、とキミは興味なさげに相槌を打った。
「ウソは嫌い?」
「嫌いもなにも、嘘なんてつくべきじゃない」
「はははっ、相変わらず頑固だねえ」
私がそう返すと、キミは不服そうな顔をする。
素直に感情を出してくれることが嬉しくて、私は笑顔になってしまう。
そんな私の顔を見て、キミは更に嫌そうな顔をする。
「……笑うなよ」
「はははっ、ごめんごめん」
笑うことをどうにかこらえて、キミへ呼びかける。
「ねぇ」
「なんだよ」
「来年も、再来年も、その後もずーーっとこんな風に生きていたい!」
いきなり大きな声を出して私に、キミはポカンと口を開ける。
「それは嘘か……?」
「どうでしょう?キミが信じるほうでいいよ」
目をぱちくりとさせて少しの間キミは考えているようだったけど、やがて穏やかに言った。
「じゃあ、そう思っておくよ」
「えー?そう思うってどっち!?」
「秘密だよ」
普段はしないような、いたずらっぽい笑みを浮かべてキミがそんなことを言うから、なんだか心がふわふわしていた。
「エイプリルフール」
「ああ。嘘だよ。だってエイプリルフールだよ」
君は笑ってそう言った。
「良かった。君に何かあったら私は」
と、ホッとした。
「ごめんね。驚いたよね」
「うん」
「君の事、好きなのは嘘じゃないよ」
「知ってる」
と笑い合った今年のエイプリルフールだった。
エイプリルフール
エイプリルフールについた嘘は、1年間実現しなくなる。
例えば、恋人ができたと嘘をついた人には、
その先1年恋人はできないらしい。
それを知った上で親友やら恋人やらに、
絶交だ、とか冗談を言うのが定番なのだろうか。
私が友達についた適当な嘘。
「3日後に見る映画、今日が上映最後らしいよ」
...1年間上映し続けるの?
フランスのエイプリルフールは
魚の絵や魚の形の紙を
気づかれないようにそっと
誰かの背中につける🐟
今日のうちに、
全部ついちゃって。
傷つきそうな嘘も、優しい嘘も。
私はあなたが大好きです
それなのに彼は私を残して逝ってしまったと警察に電話で伝えられた
どうして?なんで、なんで彼は何も悪いことをしていないのに
死んでしまうはずがない
思い出した!今日はエイプリルフールだ!
これはきっとドッキリなんでしょう?
ねえそうだ。って、そうだよ。ってお願いだからそう言って
#エイプリルフール
「はじめまして!引きこもり君!君を外に誘いに来たよ!」
目の前でパタパタと羽を動かし、俺の顔を覗き込む小さな人。
妖精、としか言いようのない生物。
18歳の時から引きこもり始めて早5年。
俺はとうとう幻覚まで見るようになってしまったらしい。
「もう!返事くらいしてよ!引きこもりすぎて声の出し方忘れちゃった?口を開けて、お腹から息を出してあーって言ってごらーーー」
「流石に話し方はわかる。お前に驚いただけだ」
「あっそうなの?まあ仕方ないか。人間に姿を見せることなんて滅多にないからね」
さもありなん、と妖精らしき生物が頷くたび、羽から銀の光が舞う。
「お前、妖精…で合ってるのか?こんな夜中に何をしに来た」
「うん!僕はエイプリルフールの妖精だよ!僕はね、ある願いのために君を外に誘いに来たんだ」
「願い?親父とお袋のか?悪いが外には出られない。出ようとすると動悸と眩暈がして倒れてしまうからな。もう諦めたんだ…」
「願いは人間だけのものじゃないよ引きこもり君。それに、今は僕がいる。君の『本当は外に出たい』っていう願い、僕なら叶えてあげられる。ね、玄関に行ってみようよ。お庭に出るだけでいいからさ」
外に出られる?俺が?随分と都合の良い幻覚を見ているんだな俺は。
それに庭に出るだけってなんなんだ。誰の願いでそんなことを…。
でも、今日はエイプリルフールだ。
この冗談みたいな幻覚に付き合ってやってもいいかもしれない。
夜なら誰にも見つからないだろうしな。
なぜか急にそんな考えが浮かんだ俺は、着替えて玄関へ向かった。
「さあ!扉を開けてみて!僕が魔法をかけたから、今の君は絶対外に出られるよ!」
靴を履き、震える手で玄関のドアノブを掴む。
冷や汗は出るものの、本当に動悸も眩暈もしなかった。
ギイーーー
これまでのことが嘘のように、俺はあっさりと外に出て、家の庭に向かう。
なんだかぼんやりしていて、頭がうまく働いていない気もするが、久しぶりの外は、月明かりが優しくて、思いの外心地良かった。
「嘘だろ…本当に外に出られた…」
「だから言ったでしょ!大丈夫だって!ーーーさて、この子が願いの主だよ」
そう言って妖精が指差したのは、俺が生まれた年に植えられた一本の木だった。
「この子がね、君の姿がもう何年も見えない、どこにいるのか、大丈夫なのか、会いたい、会いたいってずっと僕に言ってきててね、あんまりかわいそうだから、本当はダメだけど僕が君の前に現れて、君を連れ出したってわけ」
「そう、だったのか…」
「今は久々に君の姿が見られてとっても喜んでるよ。この子にとって君は特別に大切な友達なんだってさ」
にこにこと木を撫でていた妖精が、くるっとこちらを向いて、真剣な眼差しで言葉を紡ぐ。
「一度外に出られたんだ。きっと君はこれから、お日様の下も歩けるようになるよ。だから、どうか、この子のことも忘れないで。年に一度でも良いから、顔を見せてあげてね」
「わかった…約束する」
「ふふ、絶対だよ?」
妖精と木に向かって微笑んだその時ーーー
「宏樹!あなた、外に」
窓を開け、こちらを見て涙を流す母と父。
ふと周りを見れば、あの妖精はいなくなってしまっていた。
「ああ。お袋、親父、俺、外に出られた。この木と、エイプリルフールの妖精のおかげなんだよ。俺、これから頑張るから」
俺の言葉に少しきょとんとした両親だったが、すぐに笑顔になって俺を抱きしめにきてくれた。
幻のような妖精のおかげで、俺は扉を開けることができた。
これからは自分の足で、一歩ずつ進んでいこう。
冗談みたいなエイプリルフールの奇跡と、特別な友の存在を胸に刻んで。
テーマ『エイプリルフール』
p.m.11:59
『きみのことが好きだー!』
……て、おいおい
同級生から届いていたメッセージに戸惑う
今日はエイプリルフールだぞ?
a.m.0:00
既読にした時間は
日にちを跨いだ4月2日
嘘か真実か
どっちなんだ〜!?
#エイプリルフール
エイプリルフールって事で妹に
「私達本当は孤児で今の両親に拾われたの」
って嘘ついたら妹大泣きしちゃって私はママに大激怒され、妹にネタバラシしたら頬にビンタ食らった。
みんなも噓は程々にね。
中の人はこんな嘘ついてないっすよ??
カラムーチョに
ニガムーチョガ出たんだって
えー?まずそう
健康に良ければいいけど
流行るかな?
嘘だよ
エイプリールフール
くうぅぅぅぅぅ
忘れてた
こういうのは先手必勝なのに…
傷つけない嘘をつくために
ずっと考えてたよ
じゃあしゃーないか
好きだと抱きしめると彼は困ったように笑って、
「何言ってんの」と言った。
こんなことでしか素直になれないんだから自分のことながらどうしようもない。ねえ知ってる?エイプリルフールは午前までなんだって。今は何時だったっけ?
好きだと抱きしめられた。いちいちこんなので高鳴る鼓動が煩わしい。今日がこんな日じゃなかったらよかったのに。
そうしたら・・なんて考えてしまう。本当に馬鹿みたい。
『四月馬鹿(エイプリルフール)』
作者の自我コーナー
以前別サイトで書いた話のサルベージです。
超SS。超絶拗らせ両片想いが好きなのは今も昔も変わらないってことですね。
エイプリルフール
ウソをついてもいい日
だとしても
べつに誰かを騙したいとは思わない
ならば自分にウソをついてみる?
わたしの前世は絶世の美女で
それゆえに不幸な目にもあって
世界を全てを呪ってしんだの
なので現世
モテない顔に生まれてきてラッキーなわけよ
とかね。
「あのさ」
心地よい沈黙を破った気まずそうな君の声
「あのー…すごーく言いづらいんだけど…言わなきゃいけないことがあってさ」
なんだろう、これは嫌な予感がするぞ…
「付き合ってそろそろ3ヶ月くらい経つじゃん?でも…その…もう君のこと好きじゃないっていうか…なんと言うか…その…」
「別れたい?」
「え、あ、えっと、そ、そういうんじゃなくて、その」
「違うの?」
「うん、違くて…でも…うーん…」
言いたいことはよくわかる
何しようとしてるかもよくわかる
ただ、
「ついていい嘘と、悪い嘘があるよね?」
「…はい…すみませんでした…」
今日はエイプリールフール
必死に慣れない嘘を捻り出そうとする君はかわいらしかった
素直で純粋でわかりやすい君でよかった
「少し、傷ついた」
「ごめんなさい」
「一瞬騙された、マジのやつかと思った」
「マジじゃないです」
そんな悲しそうな顔するくらいならそんな嘘つくなよな…
「でもね、ちゃんと意味があるんだよ」
「ほう、どんな?」
「エイプリールプールでついた嘘は1年間、あるいは一生、現実にはならないって言われてて、だから、その…」
恥ずかしそうにモゴモゴ話す君がなんだかおかしくて、愛おしくて
「ふふっ」
「え!な、何がおかしかったのさ!」
「顔真っ赤だよ、ふふっ」
「うっ…あーもー…からかわないでよ…」
「要するにさっきの嘘は告白に近いものだったって言いたいの?」
「…ハイ、ソウデス…」
「ありがとう」
「……」
俯いて顔を見られないようにするので精一杯か
耳まで真っ赤だ
そんな君が
「そーゆーとこ、嫌いだわ」
「へぁ!?」
「嘘だよ嘘…逆の意味、好きだよ」
「よかった…」
深いため息とともにこちらに倒れてくる君を優しく抱きしめる
君の願いを心に刻みながら
「ずっと前から好きでした」
「……え、あー」
「……な〜んて、冗談だよ。今日はエイプリルフールだからね」
素直な想いをよくも悪くも濁せる日
【エイプリルフール】
年に一度のfool
残りの364日は賢明に正直に誠実に
「エイプリルフール」
#378
【エイプリルフール】
それが嘘でもホントでも
私は君を嫌いになったりはしないよ。
エイプリルフール――――
エイプリルフールと言えば、過去に嫌な思い出がありましてね。まだ若かった僕はエイプリルフールの意味をよく理解していませんでした。
一日全体を通して、嘘を付けるエイプリルフールと称されていると思ってました。でもね、その方が僕にとっては都合が良かったのかもしれません。
15年前の4月1日――――
明日は奏ちゃんと僕の付き合って3周年記念日だ。
折角高級レストランを予約して、おめかしする為にスーツも購入した。かなり気合いの入った準備をしたつもりなので、奏ちゃんに恥をかかせる訳にはいかない。普段貧乏な僕からしたら痛い出費だが、大切な彼女との記念日くらい奮発しなければ男が廃る。
明日が楽しみだ、きっと奏ちゃんも喜んでくれるはずだ。彼女にはこの事を伝えていないが、それなりにお洒落をしてきてくれるだろう。
いつもデートをする時は、とっても可愛いお洋服を着て現れるからね。あの姿はお姫様そのものだ。
なんて現を抜かしていると、一本の電話が鳴り響く。
僕は急いで家の電話を取り、受話器に耳を当てた。
「奏の母親です、奏が事故にあって緊急搬送されました。搬送先は██病院なので来れるなら来てほしいです」
とだけ告げられ電話は切れた。
僕は呆気に取られ、ただただ口を餌を求める鯉の様にパクパクする事しか出来ずにいた。
今日はエイプリルフール……
きっとこれは嘘だ、夢だ、幻だ。
そうじゃなければ彼女は本当に――――