「あのさ」
心地よい沈黙を破った気まずそうな君の声
「あのー…すごーく言いづらいんだけど…言わなきゃいけないことがあってさ」
なんだろう、これは嫌な予感がするぞ…
「付き合ってそろそろ3ヶ月くらい経つじゃん?でも…その…もう君のこと好きじゃないっていうか…なんと言うか…その…」
「別れたい?」
「え、あ、えっと、そ、そういうんじゃなくて、その」
「違うの?」
「うん、違くて…でも…うーん…」
言いたいことはよくわかる
何しようとしてるかもよくわかる
ただ、
「ついていい嘘と、悪い嘘があるよね?」
「…はい…すみませんでした…」
今日はエイプリールフール
必死に慣れない嘘を捻り出そうとする君はかわいらしかった
素直で純粋でわかりやすい君でよかった
「少し、傷ついた」
「ごめんなさい」
「一瞬騙された、マジのやつかと思った」
「マジじゃないです」
そんな悲しそうな顔するくらいならそんな嘘つくなよな…
「でもね、ちゃんと意味があるんだよ」
「ほう、どんな?」
「エイプリールプールでついた嘘は1年間、あるいは一生、現実にはならないって言われてて、だから、その…」
恥ずかしそうにモゴモゴ話す君がなんだかおかしくて、愛おしくて
「ふふっ」
「え!な、何がおかしかったのさ!」
「顔真っ赤だよ、ふふっ」
「うっ…あーもー…からかわないでよ…」
「要するにさっきの嘘は告白に近いものだったって言いたいの?」
「…ハイ、ソウデス…」
「ありがとう」
「……」
俯いて顔を見られないようにするので精一杯か
耳まで真っ赤だ
そんな君が
「そーゆーとこ、嫌いだわ」
「へぁ!?」
「嘘だよ嘘…逆の意味、好きだよ」
「よかった…」
深いため息とともにこちらに倒れてくる君を優しく抱きしめる
君の願いを心に刻みながら
4/1/2024, 11:00:41 AM