ゆずの香り』の作文集

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ゆずの香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

12/22/2024, 3:35:06 PM

聖夜クグロフにシトラールくゆらし
 回復魔法を授かろうか

幼子がいくつも浮かべしたり顔
 むせ返る柚子の入浴剤


♯ゆずの香り

12/22/2024, 3:32:15 PM

おとうさんが欲しい!

口裂けても言わんけどな。
おとうさんってどんな感じなんやろう。

となりのトトロ(今変換で“となりの土々呂”になってもた。おもろいわ!)みてたら、余計考えてまう!
おとうさんってどんなんなんやろう。

ラピュタの歌では“父さん が くれた 熱い想い”ってある。
なんかに情熱を注いで、必死で身を粉にする姿を示す、とかそんな感じなんやろうか。理想の父?作品によくある良き父ってな。

母はとなりに、父は一歩前に……って感じ?

そういや1回おとうさんの車乗った事あるわ。めっちゃきったなかったなあ。
おとうさん一人しか乗らへんのやろうな、助手席も後部座席も足の踏み場なかった。ただ運転席のスペースがあっただけ。
なんかの拍子に、ブレーキの裏へ物挟まったりしそう。そんくらい散らかってた。

でもおとうさんの車のニオイ好きやったな。なんか“漢気”が漂ってるって感じや……
おとうさんよう音楽とか聴いてたんやったっけ?運転してはる間、なんにも流してへんかったんやっけな〜、あんまり覚えてへんけど、なんか乗り心地良かったなあ。
僕はめちゃくちゃ運転下手クソになるやろうけど(自分の体でさえ、いろんなとこにぶつけてんねんから、車なんか買ったら死神からスカウトされるわ)、おとうさんはめちゃくちゃ運転上手かったんやろなあ。

おかあさんも運転上手いけどな!でも最近、疲れてはるからか、ちょっと危なっかしいわ。
せやけど、僕のかかってる病院(くそ遠い!えげつなく遠い!とおいっクルマ!)へ一々送迎してくれてはるし、やっぱ運転は上手いと思うわ!
僕の友達のおかあさんも上手かったな〜。なんか、めっちゃ山道を臆すことなく降りていかはるねん!僕高所恐怖症で、そういう急な坂下るだけでも恐怖で震えるのに、そのおかあさんの時だけは見てて気持ちよかったわ。

車運転するのは恐ろしいけど、乗ってるのは好きやなあ。雨降ったあとの夜景色を走ったり?ラジオから流れる音楽無心に聴いたり……
時にはスマホとイヤホンセットに持って行って、耳塞ぐ時もあるわ。
最近のお気に入りはShawn Wasabiの“Spicy boyfriend”!この人最近知ったけど、なんかすっげえ独特な音楽スタイルでハマってまうわ〜、EDM好きやったんがよかったんかもしれん。

眠くなってきたな。おとうさんおかあさん、おやすみ

12/22/2024, 3:27:06 PM

【ゆずの香り】

「あぁ、なんか疲れたな」

仕事の休憩中。
鏡の向こうにいたのは
やつれた顔と乱れた髪をした
自分だった。

髪を直す為束ねていた髪をほどく。

するといつもとは違う香りがした。

「そうだ昨日お泊まりしたんだった。」
自分が使わないシャンプーの香り。
昨日は楽しかったなぁ。またいつか。。

社会人になってから1日前のことが
4日前のことのように感じる。

午後からまた頑張ろうと思えた。

12/22/2024, 3:24:24 PM

ゆずの香り

ゆずの香りが好きだ
柑橘系の匂いだから
苦手って人もいるけれど
爽やかさの中に
独特な酸味のする
あの香りが好きだ

蜂蜜に付けたゆずを
お湯でといて飲むと
とても暖かい

肩の力がふっと抜けるような
日々の疲れが癒されるような
そんな気分にさせてくれる

ゆずの香りが好きだ

12/22/2024, 3:23:42 PM

ゆずの香を描く

 ゆず、と言ったかな。東の国から伝来した果物。私はあれが嫌いだった。
「絵の具ごときでゆずの香りまでは描けぬだろう」
 小さな頃から芸術の道に進みたかった私は、卒業後間もなく、農家だった実家を飛び出した。
 私の絵を認めてくれなかった、頑固で野心家の両親。彼らが手を出した新事業、それがゆず栽培だ。しかし、この国でゆずという果物はウケが悪かったらしく、近年は赤字続きだった。
 家を出て数ヶ月が経ったある日。転々としていた職のうちのひとつの職場で、問題は起こった。
「画家さん、職場まで来てくれたところ悪いんだが、今日の仕事はもうないよ」
 理由を聞く。私がパッケージデザインをするはずだったのは、異国の果物シリーズと銘打った香水の新作。そのための材料調達で、道に迷った社長が農家との商談に2時間遅れてしまい、激怒され契約できなかったという。
 社員のうちの一人が、産地はここだよ、と地図を指し示す。
「ゆず、という果物らしい。知っているか?」

 この国で、あの場所で、ゆず農家。間違いなく私の実家だ。
 赤字続きは今も同じはずだ。それなのに、相手の遅刻に激怒して突き返すあたり両親らしい。私が一言連絡すれば結果が覆るかもしれないが、それは私の気持ちが許さない。
「その話、私に考えがあります」
 だから、私は絵筆を執った。

 それから数日が経って。
「農家さん言ってたよ。この絵からは今にもゆずの香りがしてきそうだ、熱意が伝わった、って!」
 私が描いたゆずの絵を携え、社長が向かった商談のリベンジは、遅刻することもなく大成功となった。
 この功績の甲斐あって、私はこの会社で正社員として働けるようになった。実家も収入が増え、うちの会社と良い関係を築けているようだ。
「今日、出来上がった香水を持って農家さんのところまでお礼に行こうと思うんだ。きみもぜひ来てほしい」
 社長が、生産者表示の写真を手渡して紹介してくれた。畑の前で満面の笑みの両親。
 もう、隠し通す必要もないかな。
「ええ、喜んで」
 今の私って、親孝行かな。それともまだ反抗期?
 何でもいいや。頑固で野心家な画家。それが私だ。

12/22/2024, 3:15:07 PM

湯船に浮かぶ黄色
柚子の香りが漂って
ぼんやり寛ぐ
冬至の夜は更けて

12/22/2024, 3:14:09 PM

『ゆずの香り』
子供の頃、母親が毎年柚子湯を用意してくれた。
ゆずの良い香りがしてすごく嬉しかったのを子供心に覚えている。
それから数十年。母は亡くなり、私もずいぶん歳をとった。そんなある日、ふと思い立って柚子湯をしてみた。湯船に浸かると、あの頃の記憶が鮮明に蘇ってきた。私の思い出はゆずの香りの中にある。

12/22/2024, 3:08:08 PM

『ハンドクリーム』

誰にも話せない
秘密の片思い

苦しくなった時
このハンドクリームを塗れば大丈夫と
自分に魔法をかけた

繋がりたい繋がれない
大丈夫、大丈夫よと
私を慰める柚子の香り

#ゆずの香り

12/22/2024, 3:06:04 PM

ゆずの香り

ふゆのかおりがワタシは意外と好み

クリスマスからお正月
この時期の匂いの便りだ

12/22/2024, 3:01:26 PM

ゆずの香りがお風呂からしてきて
冬至を迎えていることに気付いた。
きっとお母さんが入れたんだろう。
毎日、早くお風呂入りなさいって
ゲームしてる時もお構いなく口うるさく言ってきて、
ちょっとウザったらしかった。
でも、私はお母さんの優しさを知っていたはずなんだ。
私がいつの間にか寝落ちしてたら、
ブランケットを何も言わずに掛けてくれてたことも、
体を冷やしちゃダメだと、
逆に暑いぐらいに厚着にさせようとしてきてたことも、
全部私のためを思ってくれての事で。
きっとこのゆずも
体が温まるからって言って入れてくれたんだ。
いつもいつもお母さんは私の事ばっかり。
こんな態度ばっかりとってしまって、
嫌なことばっかり言ってしまって。
でもお母さんは私に対して
暴言も言わずに、手もあげずに、
ごめんねぇ。とただ謝るばかりだった。
こっちの方が謝らなきゃいけないのに。
ごめんね。ごめんね。お母さん。
意地張ってごめん。
反抗期だからって当たっちゃってごめん。
本当は大好きで大好きで、大切な
自慢のお母さんなの。
謝らなきゃ。
そしたら、ありがとうって伝えたい。
いつも暖かいご飯作ってくれてありがとう。
朝起こしてくれてありがとう。
家事もいつも文句も言わずしてくれてありがとう。
苦しかった時にいつも寄り添ってくれてありがとう。
私を、ここまで育ててくれて、ありがとう。
私、お母さんの所に生まれてこれてよかった。
迷惑ばっかりかけてごめんね。
お風呂から出たら伝えよう。きちんと。
そう思ってお風呂に入ろうとした。
「あっっっっつ!!!!!???」
お風呂の温度が45になってた。
「……もう……お母さんったらーーーー!!!!」
「あっ!!ごめんね!!」
そう言って「ごめんねぇ……間違えてあげてたわ……。」って言いながらお風呂の温度を下げてくれた。
……本っ当に……ドジだなぁ……。
「お母さん」「?」「いつもありがとう。」
そう伝えたら、ちょっと笑って
「どういたしまして。」って。

12/22/2024, 2:53:39 PM

日付けが変わる前に
2024/12/22㈰日記

お久しぶりのノラさん。
畑の中を歩くノラさん。
絵になっていたから
写真を撮ろうと
スマホを取り出したら
もう居ない。
散歩中の犬が来たからか、残念。
畑の中を歩くのは
人も動物も楽しいよね。

日曜の昼というのに
町は人が少ないから
寒々と感じる。
用水路を通ったら
白鷺が飛び出して来た。
灰色の空に白鷺。
空は遠いが白鷺を近距離で
下から見上げて迫力があった。
こういう瞬間を見逃さない為に
動体視力が欲しい。

今夜は、まだ起きている。
明日の朝、郵便局で
送りたい物を作成中。

12/22/2024, 2:53:09 PM

『ゆずの香り』
↓題材変更

『Christmasがくる度に…』


「私は…
どれだけ良い子にしていれば
サンタさんは来るのだろう?」
という問題に直面する

別にこの年齢にまでなって
特別欲しいものがあるわけではない

ただ…
幼い頃から
どんなにサンタさんに手紙を書いても
どんなに良い子にしていても
一度も、
ただの一度も
私にだけは欲しいものが届かなかった

もうこれは
トラウマでしかないだろう
Christmasの朝…
どんなに期待して包装紙を剥いでも
欲しいものが届いたのは姉だけだった

その度に
親の手前、喜んでいるフリをする自分を
今なら抱き締めてあげたい
「泣いてもいいんだよ」って
抱き締めてあげたい

「すごく良い子にしてたよね!
ちゃんと見てたよ!
頑張ったね!偉かったね!
スゴいね♡」って
言ってあげたいな…

「欲しいものがこないのは
あなたのせいじゃないよ!
この親、この姉が悪かっただけ。
あなたが悪い子だったからじゃないよ!」
って抱き締めてあげたい

でも世の中は理不尽なことに溢れていてさ
その先も…素敵なChristmasは
一度も来なかったのは確かだけど

世の中がChristmas一色に代わる度に
傷つくのはもうやめる!
今年からやめる!

別にクリスチャンでもないんだ
世の中が浮かれていたって
執拗に流される必要はない

誕生日だってそう
誰にも祝われなくたって
イベントがくる度に
執拗に傷つくのはもうやめるんだ

どんなに良い子にしていても
パニック障害
うつ病~双極性障害になってしまうくらいなら
ずーっと
誰かにとっての良い子でいる必要なんてない!

だから
『Christmasがくる度に…』
自分を責めることはもうしない
世の中がHAPPYなChristmasや
誕生日やお正月も
私には…関係ない

大好きな人と過ごすことすら叶わない

だから
イベントは嫌いだ
大嫌いだ…

でも私は悪くない!
悪い子じゃなかったもん!
自分であの頃の自分を
抱き締めることが出来たらいいのにな
そうしたら…
こんなひねくれた大人には
ならなかったのかも知れないね…

今の私は
私は嫌いだ
だから
いつか自分を愛せる人間になりたいな☆ミ

12/22/2024, 2:52:24 PM

【ゆずの香り】
ガタガタと荷物が揺れる。地平線には赤く燃える大洋。尻はサドルに落ち着けてボクは夕日に照らされる。火照った体を流すような心地よい風。滴った汗もずっと後ろへ。
オレンジとか赤とか暖色系は爽やかってイメージじゃないのに、なんだか青春を感じてるみたい。
それにこの坂を下ってると頭で2人組のバンドが歌い始めるんだよね。愉快なシャカシャカ音が流れてくる。

「お、ひろっちー」

どうでもいいこと考えていると、女友達が歩いているのを見つけた。というかあっちから声をかけてきた。こっちはまだ自転車で風を感じているけどあっちは結構暑そうで額から伝う汗が妙に目を奪う。

「きいてるー?」
「あ、無視してた訳じゃないごめんごめん」

手を合わせると、彼女はぷくっと頬を膨らませる。
ご立腹のご様子。

「あんなぁ、ウチが自転車壊してせっせこ歩いてるのに自分は気持ちよくご帰宅してウチの話も気もそぞろだなんて許せんで?」
「だーから悪かったって。コンビニでアイスでどうよ」

こいつにへそ曲げられるとこっちのクラス生活も怪しくなるし。あともう少し話してたい。一人で帰るよりかね?決して変な意味じゃなくてね?
だけど、そんな僕の常少ないお小遣いからの痛い出費だけでは足りないらしい。

「もー、何したら許してくれるんよ」

多分自分でも結構情けない顔してると思う。困り眉でへにょへにょーって口で。だからか、彼女はつーんってしていた態度を一気に崩して笑い転げた。すずどころかやかんが転がってそうなくらい。耳馴染みのある笑い声が収まると涙が残る目をこっちに向けて、小さくつぶやく。

「のせて」
「え?」

思わず聞き返すと、彼女は自転車に手を置いて言う。

「だーかーらー、乗せてーなって」
「あー、ええで」

彼女の方が家遠いしまぁ明日あたり返してもらえば良いか、と気軽にハンドルを開け渡そうとする。が手が離れない。彼女の手が僕の手を掴んでいた。

「違うって、このすかぽんたん」
「ひっでー、何が違うん」
「後ろに乗せてって言ってんの!」

彼女の感情表現が激しく腕を揺らす。
つまりはそういうことで。

「え、でもあぶないで?」
「ドラマと違うのは知ってる!でもウチだって女の子だもん」

思わず夕焼けに照らされた彼女の顔を見る。彼女は怒ってるような困ってるような顔で夕日に彩られていた。

「じゃ、じゃああれ、な?」
「う、うん、よろしくな?」

ぎこちなさと心地良さが混じった手を取って後ろに乗るまで待つ。カバンとは別の小さい温かさが背中に乗っけられた。心臓の音がとてもうるさい。
だって彼女だけに言わせときたくないから。

「じゃあ進むぞ?」
「え、ええで。ばっちこい!」
「覚悟決まりすぎ。あとな」
「ん?」

「俺もお前のこと好き」

頭の中にゆずの香りが残る。夏の色として、きっといつまでも忘れないだろう。

12/22/2024, 2:50:38 PM

『ゆずの香り』

とても好きな匂い

優しくて柑橘系の匂い

その香りを匂うと、

あぁ、生きていて良かったなぁ

なんて思う人生の

少しの幸せだと思うんだ。

12/22/2024, 2:49:07 PM

作品No.266【2024/12/22 テーマ:ゆずの香り】


 ゆずの香りの入浴剤にハマってた時期があったんだけど。
 あれははたして本当に、〝ゆずの香り〟だったのだろうか。
 ちなみに私、本物のゆずに触れたことがないので、香りなど諸々わからない民です。

12/22/2024, 2:34:27 PM

「ゆずの香り」


「ゆずの香り」というこのワードを目にしたとき、私は咄嗟に今までの人生を振り返り、ゆずに関係しそうな記憶を漁ろうとした。しかし、何も出てこない。「ゆず」と聞いて連想するものはある。ゆず湯にゆず胡椒、ゆずポン酢……などなど。しかし、これらのワードを並べてみても引っかかる記憶がないのだ。あれ?でも、ゆずの香りと聞いて、何故かゆずの香りは想像できたのだ。あの、香りが。別に可笑しいことじゃないか。私が覚えている記憶なんてほんの一部に過ぎないのだから。ただ、記憶に残りやすいという「匂いの記憶」が、死なずに生き残ってくれていただけだ。そのおかげで私は今までの人生の何処かで「ゆずの香り」を嗅ぐ機会があったのだということを知れた。それだけでも十分、過去の、白黒の消えかかった写真を修復できた気がしないか。

12/22/2024, 2:34:24 PM

今日のテーマは『ゆずの香り』ということで。

このテーマで最初に思ったことは「おいおい、運営さん、冬至は昨日だぞ?」ということで。別に責めているつもりはないのであしからず。
さて、先にも書きましたが、このテーマで最初に思い浮かんだことは「冬至」そして「柚子湯」でした。祖父母の家の庭には柚子があって、子どもの頃は冬至の日に入りに行っていた記憶があります。

私の幼い頃の記憶はさておき。
「冬至」は二十四節気の一つなわけですが、他にも「土用」と「うなぎ」、「節分」と「豆まき」など二十四節気と年中行事は関わりがあるようで。あとは五節句などなど。
※厳密には土用と節分は二十四節気に含まれていなかったと記憶していますが、気になる方はご自身でお調べになってください。

いろいろなものが廃れていく中で、なんだかんだ年中行事は廃れることなく続いている、薄らとでも伝統が繋がっていく事は良いことだと、そう思います。
ただ、なんとなく年中行事にフリーライドして楽しむだけではもったいないと言いますか、その由来や歴史についてお手持ちの平たい板で調べて見るのも一興なのではないかと、そう思うわけです。
というのも、私は美術館や博物館など、文化施設で行われる特別展によく足を運びますが、前提知識があると、ただ眺めるだけよりも楽しめたりします。
体験に奥行きをもたらしてくれる、そんな感じです。

はい、今日は柚子を浮かべていない湯船でこれを書いていたわけですが、40分くらい浸かってしまいました。
そろそろ湯舟から上がるので、今日のテーマはこれくらいでお終いにさせていただきます。

12/22/2024, 2:33:27 PM

『それだけが残る』 テーマ:ゆずの香り

「いーい匂い」

 カーディガンから伸びる、彼女の白魚のような手を取った。仄かに柑橘系の香りがする。

「セクハラですよ。ま、今更ですけど」

 涼しげな目から送られる視線が、こちらを糾弾する。気にする必要はない。仕事中の彼女は何もしなくたって厳しいから。
 ただセクハラは本当に今更だと思う。僕にとって彼女は会社の同僚であり、そして元カノ。
例えばその昔、僕と彼女がどれだけ恥ずかしい行為に及んでいたか、そう揶揄ってやろうとして――やっぱり止めた。

「これ、ハンドクリームの匂い?」
「そう。ゆずの香り。使います?」
「んーん。イラナイ」

 僕、手スベスベだから。両手をひらひらさせて見せると、彼女は白けた顔で「そうですか」とそっぽを向いた。いや、時計を見やったのか。
 次の会議まであと15分。僕が時間潰しのつもりで立ち寄った給湯室も、お茶出しを急ぐ彼女にとっては戦場同然というワケだ。

「ゆずといえばさア」

 まあ、僕は休憩したいだけなので全然雑談振るけどね。彼女、若干睨んでる気がするけど。

「ゆずってさ、味思い出せなくない?」
「は? 意味分かりませんけど」
「分かんないかなー。
 オレンジはさ、オレンジの味って思い浮かぶじゃん。レモンもさ、レモンの酸っぱい味、何となく想像つくじゃん。
 でもさ、ゆずの味って何故か出てこないの」

 彼女は作業の手を止めない。でも僕には分かる。彼女が今、ゆずの味を思い出そうとしてくれているのだと。
 けど沈黙に耐えられなかったので、僕は彼女の返事を待たなかった。

「ゆずの、あの匂いだけしか思い出せない」
「貴方が普段ゆずを口にしないだけでしょう」
「えっ、そういうこと?」
「まあ、でも、思い当たる節はあります。
 私にとっては、さくら味がそうです」
「あー分かる。さくらも匂いしか出てこない」

 湯気と一緒に漂ってくる、淹れたてのお茶の匂い。
 お茶の味だってやっぱり思い出せるのにな。

「ま、要はさ。ちゃんと何度も味わわないと忘れちゃうってことだねきっと」

 それなりに名言っぽい言葉を浮かべて、彼女の背中にそっと手を伸ばす。
 ああ、すっかり忘れちゃったな彼女の味。
 あんなに何度も味わったっていうのに。

「いえ、忘れる程度ならそれまでですから」

 僕の手をするりと抜けて、彼女はお茶の並んだ盆を持ち上げる。
 そしてこちらを見ることすらなく、給湯室をさっさと離れていってしまった。

「……つれないなぁ」

 ゆずの香り。それだけを残して。

2024.12.22

12/22/2024, 2:24:51 PM

『ゆずの香り』

ゆずの香りを嗅ぐと
一年の終わりを感じる。
でも同時に、
まだ今年は終わらないとも思う。
不思議な気持ちになる。
もう一年終わるんだっていう
気持ちと
まだ今年はこれからだ!
みたいな気持ち。
終わりと始まりが同時に来るみたいな。
それでも落ち着く。
私はそれがすき。

12/22/2024, 2:24:33 PM

「ゆずの香り」
柑橘系の香りで爽やかさの中にも
少し苦味のある香りだ。
これから生きてく中で、辛いことが沢山あるだろう。
そんな人生の苦味も乗り越えて、最後に
楽しかったと思えるようになれるだろうか。
ゆずの香りが似合う女性に。

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